子どもに「発達障害」というレッテルを貼ることは大きなリスク!

我が子はグレーゾーン。医者に連れて行くべきか行かざるべきか、悩むところです。学校の先生から診断を受けてくるようにと言われても、何かと言い訳を付けて先延ばしにしてしまうことでしょう。親としての覚悟はあるのか?そうだとしたら子どもに正直に話すのか、それとも隠し通すのか。どちらにせよそこには大きなリスクが伴いますこれまで3万人以上の子どもたちの教育に携わり現在は(一社)人間力認定協会 代表理事の私井上が、今回は「子どもに「発達障がい」というレッテルを貼ることは大きなリスク!」というテーマでお話いたします。

発達障がい児診断はリスクを伴う

グレーのままが良いのか、それとも白黒はっきりさせた方が良いのでしょうか。私自身これまでたくさんの方から相談を受けましたし、皆様にもいろいろなご意見がおありになるでしょう。いずれにせよそこには大きなリスクがあるということだけは事実です。

診断を受けることはリスクを伴う

ただし勘違いしないでくださいね。リスクとは危機(risk)であり危険(danger)というわけではありません。リスクとはつまり、それが良い方に転ぶのか、悪い方に転ぶのかはわからない、どちらに転ぶかはその子次第、その親次第という意味です。その上でリスクテイク(リスクを取る)するのかリスクヘッジ(リスクを避ける)するのかを決めなくてはいけません。

試される、あなた(親・指導者)の力(親力・指導力)

ただし、黒と判断された時、あなたにその子を支援する力がなかったとしたら、子どもにとってそれはリスクではなくデンジャー(危険)に限りなく近づくことになるかもしれません。準備がないまま宣告を受けてもただ混乱を起こすだけということです。

診断を受ける前に発達障害について知ることが大切

言い換えると、医者に連れて行って、その判断を仰ぐなら、その前にあなた自身も準備をしておいた方がいいですよ、ということです。例えて言うならば、治す医者と治す薬がない中で、病名だけを告げられても、そこには苦悩しか生まれないですよね。

発達障がいに医学的な治療法はない

先に言っておきますが、発達障がい(自閉症・ADHD・学習障害)と診断された場合、医学的に治療する方法はありません。それならば、準備しようがないではないかと思わるかもしれませんがそうではありません。医学的な治療法がないのであれば、人間的な対処をすればよいのです。私が言うところの人間的な対処とは、その子を「理解し、寄り添い、受け入れる」ということです。そして、それが出来たら次のステップに移ります。その子が持って生まれた才能を見いだし、支援するのです。

発達障がい児を支援する児童発達支援士資格

私たち(一社)人間力認定協会が提供する「児童発達支援士」は日本人の15%と言われる発達障がい者(自閉症・ADHD・学習障害)の支援をしたいという願いからスタートしました。それは、治療でもありませんし、思い通りに動かす魔法の方法でもありません。先に述べたように、まずは「理解し、寄り添い、受け入れる」ことを基本とし、次のステップに移行するための支援(サポート・アシスト)するための心構えとアプロ―チにすぎないのです。また、発達障がいで苦しんでいるのは何も子どもに限りません。実はその大多数が成人なのです。

言葉一つで救える命

ひとつのエピソードを紹介します。30年ほど前から、たくさんの教室でパソコンやプログラミングを教えていたのですが、子どもたちと接している中で、今の子どもたちに絶対的に不足しているコミュニケーション力を付けさせたいと思うようになりました。そこでコミュニケーション力をアップするためのアプローチ法の開発に取り組んでいた頃の話です。

ある年の冬休みを控えた12月の中旬、私がPTA会長を務める小学校で一つの事件が起こりました。3年生の男の子と、1年生の女の子の兄弟の置き去り事件です。その家庭は母子家庭だったのですが、お母さんがある日突然蒸発したのです。

どうしたの?と声をかけたのは同じクラスの男の子

二人の兄弟は3日間、放置されることになったのです。それでも二人はどうにか学校に通っていました。「なんか臭い」「なんか暗い」三日目にはそのような言葉が教室でささやかれるようになりました。そんな時、一人の同級生が声を掛けます。「どうしたの?」「何かあった?」、、、「別にない」、、「そんなわけないよ。服だって汚れているし」、、「ご飯食べてない」、、、「なんで?」、、、「お母さんが帰ってこない」、、、「朝ご飯は?」、、、「食べてない」、、、「だったら うちにおいでよ」、、、、。

結局、先生に相談することになり、その日のうちに児童相談所に保護されて、大事には至りませんでした。校長先生から報告を聞いた時、私は泣きそうになりまりました。声をかけてくれた子に「気づいてくれてありがとう」と校長先生がお礼を言うと、その子は「だってマナカルの教室でいつもやってることだから」と言ったそうです。この事件をきっかけにこのアプローチ法は強化され、全国に拡げるための協会設立という流れを加速することになったのです。

児童発達支援士は良き理解者であり、人生の伴走者

児童発達支援士とは発達障がい者(自閉症・ADHD・学習障害)の良き理解者であり、共に生きる人生の伴走者です。テレビで例えるなら司会者ではなくアシスタントであり、サッカーなら、ゴールではなくアシスト、病院なら医者ではなく看護士といったところでしょうか。

似たような資格にカウンセラーとかコーチングというものがありますが、それらは相談者のことを前もって知ることがないのに比べ、児童発達支援士は相談を受ける段階では、その子が置かれている状況をあらかじめ知っているという違いがあります。

結論:子どもに「発達障害」というレッテルを貼ることは大きなリスク!

リスクを取る時には準備をしておこう。発達障がい児と向き合う準備とは、彼らを理解し、共感できるだけの知識と、対処法を知り、彼らが新しいスタートを切れるようにアシストできるスキルを身に付けるということです。

無知による心無い言葉で傷つけられ、取り返しがつかないことになる前に、児童発達支援士の資格を取得し、多様な人たちが共に生きていける社会の実現に貢献しませんか。私たち人間力認定協会は、皆さんと一緒にこの発達障がい者支援の輪を拡げていきます。次回は「発達障害(自閉症・ADHD・学習障害)という言葉のない世界へ」というテーマでお話しいたします。

発達障がい児支援の人気資格
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