支援者4万人の声から生まれた 発達障がいに関する調査報告書

2025年10月09日

2-活動報告

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当協会の「調査報告書」とは——現場から生まれる一次情報の記録

当協会が発行している「調査報告書」は、発達障がい支援の現場で得られる“生の声”を基に作成された独自のレポートです。
全国に4万人を超える当協会資格講座の受講者(児童発達支援士、発達障害コミュニケーションサポーターなど)を対象にアンケートを行い、日々子どもたちや保護者、支援者と接している方々から一次情報を収集しています。

調査テーマは、発達障がいのある子どもへの支援や療育、教育現場での対応、家庭との連携、地域格差など、多岐にわたります。こうした現場のリアルなデータを体系的にまとめることで、支援者同士の知見共有や社会全体での課題理解を促し、より良い支援のあり方を探ることを目的としています。

なぜ調査報告書を作るのか——目的と思い

当協会が調査報告書を作成する理由には、いくつかの明確な目的があります。

1. 実態の可視化とエビデンスの蓄積

発達障がい支援の分野では、研究データや統計だけでは捉えきれない「現場のリアル」が数多く存在します。
支援者や保護者、教育関係者などが日々感じている課題や工夫を可視化し、社会に発信することで、実態に即した支援体制づくりにつなげたい——この想いが、すべての調査の出発点です。

2. 課題の発見と政策・支援提案への架け橋

調査報告書を通じて浮かび上がる傾向や課題を分析し、行政・教育委員会・研究機関などに対して、より効果的な支援施策や制度改善の提案を行っています。
「データを集めること」が目的ではなく、「支援現場の課題を社会と共有し、次の一歩を生む」ことこそが、当協会の調査活動の本質です。

3. 支援者・当事者間の共通理解を育む

報告書の公開により、支援者・教育者・保護者・当事者など、立場の異なる人々が共通の事実や課題を共有できます。これにより、支援方針のすれ違いを減らし、協働の土台を築く役割も果たしています。

どのように活用しているのか——実践と発信

当協会では、調査報告書を単なる資料としてではなく、「学びと行動を生むツール」として多角的に活用しています。

教育機関・研究機関への提供

大学や専門学校などの教育機関に提供し、発達支援や心理学、福祉分野の授業・研究素材として活用されています。将来、子どもたちと関わる人材が現場課題を正しく理解するきっかけとなるよう努めています。

行政・教育委員会との連携

各地の教育委員会や特別支援教育センターなどへ調査結果を提供し、現場の実態に基づいた施策検討や改善の参考資料としてご活用いただいています。実際に、静岡市教育委員会への報告や意見交換など、行政との協働の動きも広がっています。

情報公開と社会発信

当協会ウェブサイト内の「Library(研究・調査)」ページでは、すべての調査報告書を一般公開しています。誰でも閲覧できる形で発信することで、支援者だけでなく、保護者や地域の方々にも現場の実情を知っていただけるようにしています。また、プレスリリースやブログ記事、講演会などを通して、調査結果の社会的認知を広げています。

>>Library(調査報告書)ページはこちらから

今後の展開と展望

調査報告書の取り組みは、これからさらに発展させていく予定です。

調査テーマの拡充

これまでの「ADHDの投薬実態」「療育施設利用の現状」などに加え、今後は就学・就労支援、保護者支援、支援者の働き方やメンタルヘルスなど、支援を取り巻く多層的な課題を取り上げていきます。

継続的・縦断的な調査

単発の調査にとどまらず、時間を追って変化を記録する「縦断調査」を導入することで、支援の効果や社会の変化をより的確に把握できる仕組みを整えます。

連携と社会実装

今後は研究機関や行政との共同調査を積極的に進め、報告書の成果を制度設計や地域支援モデルの構築に活かしていきます。
調査を「終わり」ではなく「はじまり」とし、社会的な変化を生み出す起点にしていくことが目標です。

おわりに

当協会の調査報告書は、現場で働く支援者の経験と想いから生まれた“リアルな記録”です。
数字の奥には一人ひとりの子ども、保護者、支援者の姿があります。
その声を丁寧に拾い、社会に届け、次の支援につなげていく——それが私たちの使命です。

これからも、調査報告書を通じて現場の声を可視化し、誰もが安心して学び・働き・生きられる社会づくりに貢献してまいります。

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