民間資格を履歴書に書いてよいのか、「資格の水増し」と思われないか。取得したあとで迷われる方は少なくありません。
結論から書きます。厚生労働省が公表している履歴書の様式例には「免許・資格」という欄があるだけで、そこに書けるものを国家資格に限定する定義や注記は一切ありません。それどころか、厚生労働省・ハローワークが求職者向けに公開している応募書類のパンフレットには、「民間資格」「国家資格」という言葉自体が一度も出てきません。資格の種別で書ける・書けないを分ける記述は、公的な資料の中に見当たらないということです。
この記事では次の順で整理します。
- 厚労省の様式例とハローワークのパンフレットに何が書かれているか(原文で確認)
- ジョブ・カードでは民間の検定が公式の記入例に載っているという事実
- 「就転職時に活かしたい」を挙げた38人が実は何を抱えていたのかというデータ
- 具体的な記載例
>メンタルヘルスの資格はどんな人が取る?受講者146人の年代・職種・動機データ
本記事で紹介している情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一般情報の出典 | 厚生労働省「公正な採用選考」特設サイトの履歴書様式例、ハローワークインターネットサービス「応募書類の作り方」、ジョブ・カード様式および公式記入例。いずれも2026年8月に実際に閲覧して確認 |
| 一般情報の位置づけ | 様式例は「参考にしていただくための様式例」であり、使用が義務づけられているものではありません。パンフレットの記載も法令上のルールではなく、公的機関による作成上の助言です |
| データの性質 | 一般社団法人 人間力認定協会「メンタルヘルス支援士 受講前アンケート」より抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 調査期間 | 2025年2月〜2026年7月 |
| 有効回答数 | 146件 |
| 設問 | 「受講した動機(複数回答)」「職種(複数回答)」「年代」 |
| 分析方法 | 「就転職時に活かしたいと思ったから」を選んだ38人を抽出し、同時に選ばれた動機・職種・年代を集計 |
| 注意点 | 回答者は当協会の資格に申し込んだ方に限られます。採用側がどう評価したかのデータではありません |
受講者の声として引用している文章は、受講後アンケート(有効回答248件・2025年3月〜2026年8月)の自由記述欄および体験談欄からそのまま転載しています。誤字の修正以外の編集は行っていません。

厚労省の様式例に、資格の種類を限定する記述はない
かつて履歴書といえば「JIS規格の様式」と呼ばれるものが広く使われていました。正確には、JIS規格そのものではなくJIS規格の“解説”に掲載されていた様式例です。令和2年7月に日本規格協会がこれを解説から削除したことを受けて、厚生労働省が新たな様式例を作成しました。項目は次のとおりです。
氏名/ふりがな/※性別/生年月日/現住所/電話/連絡先/写真をはる位置/学歴・職歴/免許・資格/志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど/本人希望記入欄
注記が付いているのは「性別」「連絡先」「写真」の3つだけで、「免許・資格」欄には何の説明もありません。国家資格に限る、といった限定は書かれていない——というのが、様式例そのものを見て確認できる事実です。
ついでに知っておくと役に立つ、様式例の変更点
従来の様式例から変わった点も、応募する側には重要です。
- 性別欄は「記載は任意です。未記載とすることも可能です。」と様式に印字されています。男・女の選択制ではなく、自由記載に改められました
- 「通勤時間」「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の4項目が削除されました。応募者のプライバシーの要素が非常に高い情報であるため、という理由です
ただし、この様式例は「参考にしていただくための様式例」であって、使用が義務づけられているわけではありません。「厚労省がこの履歴書の使用を義務づけた」という説明を見かけたら、それは正確ではありません。
>メンタルヘルスの資格一覧|結局どれ?目的別に選ぶ(146人調査)
ハローワークのパンフレットに書かれている、資格欄の書き方
様式例そのものには書き方の指示がありませんが、ハローワークインターネットサービス(厚生労働省)が公開している「応募書類の作り方」には、免許・資格欄について具体的な記述があります。原文の要点をまとめます。
| 項目 | パンフレットに書かれていること |
|---|---|
| 基本の書き方 | 「免許・資格は、『○○免許 取得』、『○○検定 合格』のように記載することが基本です。」 |
| 名称 | 「略号を用いたり省略した記載をしないようにします。学校名・企業名・資格名などの固有名詞は正式な名称・表示で記載します。」 |
| 年号 | 「文体や年号などの記載スタイルは統一します。年号は、和暦か西暦に統一します。」 |
| 順番 | 「古い順に記載する方法もありますが、応募先企業に対するアピール力の高い順から記載することをお勧めします。多数の資格を有する場合は、応募先の職務に関係するものを選んで記載します。」 |
| 取得前・失効後 | 「既に失効したもの、勉強中のもの、1次試験のみ合格、2次試験待機中などでも、意欲や能力のアピールになりますので、その旨を明示の上で記載しましょう。」 |
| 資格の種別 | 「民間資格」「国家資格」という語は一度も出てきません。種別による区別は設けられていません |
いちばん実用的なのは下から2番目の行です。取得前でも、その旨を明示すれば書いてよいと明記されています。「受講中だから書けない」と考えて空欄にする必要はありません。
学歴欄についても「職業訓練以外で、パソコンや英会話などの各種スクールへの入校、通信教育、あるいは自己啓発セミナーへの参加などによって自主的に能力開発に努めた経歴があれば記載しましょう」とあります。通信教育で学んだ経歴も、書いてよい対象です。
1点だけ正確に。これは法令上のルールではなく、公的機関による作成上の助言です。違反しても違法にはなりませんが、応募先に「書類の書き方を知っている」と伝わる基準ではあります。
ジョブ・カードの公式記入例には、民間の検定が載っている
もう1つ参考になるのがジョブ・カードです。職業能力開発促進法にもとづき、様式が厚生労働省告示で定められています。「様式3-1 職業能力証明(免許・資格)シート」の欄構成が示唆的です。
- 免許・資格の名称
- 免許・資格の実施・認定機関の名称
- 免許・資格の内容等
- 取得時期(年・月)
ここでも資格の種別による制限はなく、代わりに「実施・認定機関の名称」を書かせる設計です。誰が認定した資格なのかを明示すれば足りる、という考え方です。
そして、厚生労働省が公開している公式の記入例には、TOEIC(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)が免許・資格として記載されています。民間団体が実施する検定が、公的な様式の記入例に実例として載っている、ということです。
これは「厚労省がTOEICを推奨している」という意味ではなく、あくまで記入例です。ただ、民間の検定を職業能力の証明として書くという形自体は、公的な仕組みの中で想定されているといえます。
就転職のために取った38人が、実は抱えていたもの
ここからは当協会の一次情報です。146人のうち「就転職時に活かしたいと思ったから」を選んだ38人(26.0%)が、同じ設問で他に何を選んでいたかを集計しました。
| 同時に選ばれた動機 | 人数 | 38人に占める割合 |
|---|---|---|
| 身近に精神疾患または症状がある方がいる(過去にいた)から | 26 | 68.4% |
| 自身に精神疾患または症状がある(過去にあった)から | 19 | 50.0% |
| 現在の仕事に活かせると思ったから | 14 | 36.8% |
| 子育てに活かせると思ったから | 11 | 28.9% |
68.4%が「身近な人のため」を、50.0%が「自身にも症状がある」を同時に選んでいます。キャリアのために資格を集めている、という像とはかなり違います。
職種の最多も医療・福祉業の11人(28.9%)、年代は40代13人・50代12人が中心でした。別の業界から心理職へ転職するためではなく、すでに近い分野にいる人が積み増している——というのが実際に近いようです。
貴社の資格取得をきっかけに、悩んでいた療育の世界に飛び込みました。先に取得したテキストを復習に使い、日々学びの気持ちで支援を行っています。こちらの資格も現場で役立たせる事ができる様、意識していきたいと思っています。
50代の方の回答です。「資格を取ったから採用された」ではなく、「資格取得がきっかけで踏み出せた」という書き方をされています。この順番は、38人のデータとも整合します。
浅く広く学習が出来て良かったです。自分のペースで出来るのも魅力的でした。認知行動療法を深堀したくてアンガーマネジメント協会の資格も取得しました。おかげで、就活で防衛省に臨時職員ですが入ることが出来ました。大人も子供も困り感は同じなので、これからは大人の発達障害の学びもしていきたいと思っています。
50代の方の回答です。就職につながったと書かれた数少ない回答ですが、複数の資格を組み合わせている点にご注目ください。1つの資格が単独で効いたという記述にはなっていません。
職場では上司に対して、また、初対面の人に対する接し方など、ここで習得したことが少し生かすことができ、なるほどなーと思うことがありました。もっと実践をしながら勉強したことを活かせるようになりたいです。
30代の方の回答です。履歴書に書く前の段階で、いまの職場での関わり方が変わっているという報告でした。資格の効き方として、実はこちらのほうが多く見られます。
発達障害の子どもを抱え、日々悩む事が多い中、少しでも知識を増やし、子どものメンタルヘルスを安定させたいと思い受講させて頂きました。(中略)職場の保育園でも学んだことを生かしていきたいと考えております。
40代の方の回答です。家庭のことがきっかけで学び、職場でも使う。38人のデータが示していた重なりが、そのまま書かれています。
>メンタルヘルス資格のおすすめは?職種・目的別に選ぶ方法と受講者146人のデータ
実際の書き方|メンタルヘルス支援士の場合
ハローワークのパンフレットと、ジョブ・カードの様式の考え方(実施・認定機関を明示する)を組み合わせると、次のようになります。
| 状況 | 記載例 | 根拠 |
|---|---|---|
| 合格・認定を受けている | 2026年8月 メンタルヘルス支援士 合格(一般社団法人 人間力認定協会) | 「○○検定 合格」の形・正式名称(ハローワーク)/認定機関を明示(ジョブ・カード様式3-1) |
| 受講中・試験前 | 2026年8月 メンタルヘルス支援士 受講中(一般社団法人 人間力認定協会) | 「勉強中のもの…でも、その旨を明示の上で記載しましょう」(同) |
| 資格が複数ある | 応募先の職務に関係するものを選び、アピール力の高い順に並べる | 「応募先の職務に関係するものを選んで記載します」(同) |
| 学歴欄に学習歴として書く | 2026年8月 メンタルヘルス支援士 講座 修了 | 「通信教育…によって自主的に能力開発に努めた経歴があれば記載しましょう」(同) |
ポイントは認定機関を括弧書きで添えることです。民間資格は名称だけでは伝わらないことがあり、誰が認定したのかを添えるだけで、確認したい人が確認できる状態になります。
年号は和暦・西暦のどちらでも構いませんが、書類全体で統一してください。

メンタルヘルス支援士について
ここまで、履歴書に民間資格を書くことについての公的な資料と、就転職を目的に挙げた38人のデータをご紹介してきました。
こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|メンタルヘルスの資格と履歴書に関するよくある質問
Q1:民間資格を書くと、かえってマイナス評価になりませんか?
公的な資料の中に、資格の種別で書ける・書けないを分ける記述は見当たりません。ハローワークのパンフレットは「多数の資格を有する場合は、応募先の職務に関係するものを選んで記載します」としています。問題になるとすれば種別ではなく、応募先と関係のない資格を並べたときです。
Q2:正式名称はどこで確認すればいいですか?
認定団体の公式サイト、または合格証・認定証の表記です。パンフレットは「略号を用いたり省略した記載をしない」「固有名詞は正式な名称・表示で記載します」としています。略称のほうが通りがよい場合でも、履歴書では正式名称を。認定団体の正式名称(法人格を含む)も確認しておくと、括弧書きで添えられます。
Q3:まだ受講中ですが、書いてもいいですか?
書けます。パンフレットに「既に失効したもの、勉強中のもの、1次試験のみ合格、2次試験待機中などでも、意欲や能力のアピールになりますので、その旨を明示の上で記載しましょう」と明記されています。「受講中」「◯月受験予定」の形で現在の状態が分かるように書き、合格していないのに「合格」と書くことだけは避けてください。
Q4:資格が採用の条件になることはありますか?
心理・メンタルヘルスの分野には業務独占の資格がありません(公認心理師も精神保健福祉士も名称独占です)。ですから、資格がなければその仕事に就けない、という構造にはなっていません。
参考として、厚生労働省所管の独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が2015年に公表した調査では、採用にあたって資格・検定の所持を重視する企業の割合は正社員の中途採用で37.3%でした。ただしこれは資格・検定全般の数字で、民間資格に限定したものではありません。むしろハローワークは求人側に対し「経験や免許・資格を必須とした場合、応募の可能性が低くなります」と、応募条件を増やしすぎないよう呼びかけています。
Q5:資格を取れば転職できますか?
民間資格が単独で求人の応募条件を満たすことは、この分野では期待しないほうがよいと考えています。今回のデータでも38人の最多は医療・福祉業(11人)で、異業種からの転職というより、すでに近い分野にいる方の積み増しでした。
そのうえで38人という数字が示しているのは、いまの分野で仕事を続ける・広げるための後押しとしては使われているということです。異業種から目指す場合は、実務経験を積める場(ボランティア、パート、関連職種での就業)とセットで考えるほうが現実的です。
>メンタルヘルスの資格は独学で取れる?248人全員が通学なしで学んでいる
まとめ|民間資格は履歴書に書けます
- 厚労省の履歴書様式例の「免許・資格」欄に、書けるものを限定する定義や注記はありません。注記があるのは「性別」「連絡先」「写真」だけです
- ハローワークの応募書類パンフレットには「民間資格」「国家資格」という語自体が出てきません。種別による区別は設けられていません
- 書き方は「○○検定 合格」の形/正式名称/年号は和暦か西暦に統一/応募先の職務に関係するものを選ぶ
- 受講中・勉強中でも「その旨を明示の上で記載しましょう」とパンフレットに明記されています
- ジョブ・カード様式3-1は「実施・認定機関の名称」を書かせる設計で、公式記入例にはTOEICなど民間の検定が載っています
- 就転職を挙げた38人の68.4%は「身近な人のため」、50.0%は「自身にも症状がある」を同時に選択。キャリアのためだけの資格ではありません
- ただし様式例もパンフレットも法令上のルールではなく、参考・助言です
【注意事項】
本記事に掲載した履歴書様式例・応募書類パンフレット・ジョブ・カード様式の内容は、2026年8月に厚生労働省およびハローワークインターネットサービスの公式ページで確認したものです。様式や記載内容は改定されることがありますので、実際に作成される際は最新の公式情報をご確認ください。なお、これらは法令上の義務ではなく、参考としての様式例および作成上の助言です。受講者アンケートの数値は、当協会が収集したデータの一部をもとにまとめており、回答者は当協会の資格に申し込んだ方に限られます。採用側の評価を示すデータではありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や不安がある場合は、早めに医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。


