メンタルヘルスの資格を調べていると、「実際にはどんな人が学んでいるのだろう」と気になると思います。専門職でなければ場違いではないか、この年齢から始めるのは遅いのではないか。そう感じて申込ページを閉じてしまう方も少なくありません。
当協会では、メンタルヘルス支援士のお申し込み時に、年代・職種・受講動機をうかがっています。この記事では、2025年2月から2026年7月までにお答えいただいた146件の回答を、そのまま公開します。
たとえば、
- 受講者の84.2%が女性で、年代の中心は40代・50代(合わせて66.4%)
- 職種で最も多いのは医療・福祉業36.3%、次いで教育業・学習支援業20.5%
- 学ぶ理由の1位は「身近に精神疾患のある方がいる」58.9%で、「現在の仕事に活かせる」58.2%とほぼ並ぶ
- 「自身に精神疾患または症状がある」を選んだ方も30.8%
といった内容です。数字だけでは伝わりにくい部分は、受講後にいただいた自由記述もあわせてご紹介します。
>メンタルヘルス支援士の評判は?受講者248人の満足度データと実際の声
本記事で紹介している一次情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 情報の性質 | 一般社団法人 人間力認定協会「メンタルヘルス支援士 受講前アンケート」より抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 調査期間 | 2025年2月〜2026年7月 |
| 有効回答数 | 146件 |
| 設問 | 「性別」「年代」「職種(複数回答)」「受講した動機(複数回答)」ほか計7問 |
| 分析方法 | 選択式の回答をそのまま集計。職種と受講動機は複数回答のため、割合の合計は100%を超える |
| 注意点 | 回答者は当協会の講座にお申し込みいただいた方に限られます。記事中の引用は、同じ講座の受講後アンケート(248件)の自由記述欄からの抜粋です |
受講者の84.2%は女性、年代の中心は40代・50代

146件のうち、女性が123名(84.2%)、男性が19名(13.0%)でした。年代は40代が56名(38.4%)と最も多く、50代の41名(28.1%)が続きます。40代と50代を合わせると97名、全体の66.4%です。
この年代は、職場で後輩や部下を持ち、家庭では子どもの思春期や親の介護と重なりやすい時期です。キャリアのためというより、周囲に気になる人が増えたタイミングで学び始める方が多い、と読めます。
一方で、30代28名(19.2%)、20代12名(8.2%)、60代7名(4.8%)、10代も2名いらっしゃいました。実際には20代から60代まで学ばれています。「この年齢では浮いてしまうのでは」という心配は、あまり当てはまらないデータでした。
3人に1人が医療・福祉の現場で働いている
次に、どんな仕事をしている方が多いのかを見ていきます。
| 職種(複数回答) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 医療・福祉業 | 53件 | 36.3% |
| 教育業・学習支援業 | 30件 | 20.5% |
| 専業主婦(主夫) | 21件 | 14.4% |
| その他 | 21件 | 14.4% |
| サービス業 | 14件 | 9.6% |
| 製造・建築業 | 11件 | 7.5% |
| 卸売・小売業/学生・フリーター/金融・保険業/運送業 | 9件 | 6.2% |
医療・福祉業と教育業・学習支援業だけで83名、全体の56.8%を占めます。患者さんや利用者、子どもと日々接する仕事の方が半数を超えています。
残りの4割強は、専業主婦(主夫)やサービス業、製造・建築業など、支援を専門としない立場の方です。「専門職でなければ学んでも意味がないのでは」と感じている方には、この内訳が一つの答えになるかもしれません。
障害福祉サービスの仕事に従事しています。利用者様の個別特性に即して、就労継続を支援出来る事は大きな成功体験でしたが、就労となると社会や作業のルールマナーを守ってもらえない事が支援者としての大きなストレスとなり、葛藤の毎日です。自身のメンタルヘルスに大変役立つ学びでした。(50代)
>医療・福祉の現場で働く人がメンタルヘルスを学ぶ理由|受講者53人のデータ
学ぶ理由の1位は「身近に精神疾患のある方がいる」
ここからが記事の中心です。なぜ学ぼうと思ったのか、その理由を複数回答でうかがいました。
| 受講した動機(複数回答) | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 身近に精神疾患または症状がある方がいる(過去にいた) | 86件 | 58.9% |
| 現在の仕事に活かせると思った | 85件 | 58.2% |
| 子育てに活かせると思った | 49件 | 33.6% |
| 自身に精神疾患または症状がある(過去にあった) | 45件 | 30.8% |
| 就転職時に活かしたいと思った | 38件 | 26.0% |
| なんとなく興味がある | 24件 | 16.4% |
| 独立、起業時に活かしたいと思った | 13件 | 8.9% |
| 資格取得が趣味だから | 10件 | 6.8% |
注目したいのは、上位2つがほぼ並んでいることです。「仕事に活かす」という実務的な理由と、「身近に精神疾患のある方がいる」という個人的な事情が、同じ重さで並んでいます。1人あたりの選択数は平均2.40個で、2つ以上を選んだ方が112名(76.7%)でした。職場にも家庭にも気になる人がいる、といった重なり方をしています。
身近な人を支えたい(86件)
最多の理由です。家族・パートナー・同僚と対象はさまざまですが、共通しているのは「すでに目の前に、気になっている人がいる」という点でした。
発達障害の息子を育てて来た経験を生かせればと受講を始めました。成人するまで対応に悩み苦しんで来たことを思い出しながら、あれは正解だったんだな、あれは間違っていたんだな…とこの度勉強させていただくことで改めて再確認、再発見ができました。他の精神疾患を抱える知人にもここで学習したことを参考に接してみると、穏やかさを少しでも取り戻してもらえたり…嬉しい体験ができています。(50代)
いまの仕事に活かしたい(85件)
ほぼ同数だったのが仕事に関する理由です。就転職(38件)・独立起業(13件)を含めると、仕事に関わる理由をいずれか選んだ方は112名(76.7%)にのぼります。とくに医療・福祉業では53名中44名(83.0%)、教育業・学習支援業では30名中24名(80.0%)が「現在の仕事に活かせる」を選んでおり、すでに支援の現場にいる方ほど、学び直す必要を感じている傾向がうかがえます。
小学校の支援員として、2年目になります。我が子が発達障害があり、最初は児童発達支援士の資格を取り、その後順番に続く資格を取らせていただきました。それらの資格を持つことによって感じることは、我が子もそうですが、支援員をしてる支援学級や通級している子ではない、通常級にいるグレーゾーンと思われる子達の多さです。(40代)
自分自身のこととして学ぶ方も3割(45件)
「自身に精神疾患または症状がある(過去にあった)」を選んだ方も45名(30.8%)いらっしゃいます。「身近にいる」「自身にある」のどちらかを選んだ方は105名で全体の71.9%、両方を選んだ方も26名(17.8%)でした。支援する側と支援される側は、はっきり分かれているわけではありません。自分の経験を出発点に学び始める方が、決して珍しくないということです。
私自身がメンタル疾患で人生のどん底気分を経験したことがあります。家族をはじめ、周囲の人や環境に恵まれて回復し、今度は自分が誰かを支えたいと思ったことがきっかけで受講しました。自分の状況と照らし合わせながら学習をして、自身を見つめ直すことも出来たと思います。学んだことを活かして、社会全体を明るくしていきたいです。(30代)
>メンタルケアの資格とは?146人が実際に選んだ基準と選び方
年代・職種によって、学ぶ理由は少しずつ違う
立場によって学ぶ理由は変わります。母数の小さい区分は断定できませんが、特徴的だった点をご紹介します。
- 20代(12名):「自身に精神疾患または症状がある」が7名(58.3%)と全年代で最も高い割合でした
- 40代(56名):「子育てに活かせる」が27名(48.2%)と、子どもの年齢に重なる理由が増えます
- 50代(41名):「身近に精神疾患のある方がいる」が27名(65.9%)で最も高く、「自身に」は5名(12.2%)でした
- 専業主婦(主夫)(21名):「就転職時に活かしたい」が7名(33.3%)と、全体の26.0%より高めでした
年代が上がるにつれて、理由が「自分自身のこと」から「身近な人のこと」へ移っていく形になっています。20代は自分の状態を理解するために、40代は子どものために、50代は家族や職場の誰かのために学び始める方が多い、と読み取れます。どの入口から入っても学ぶ内容は同じで、あとから別の場面で役立ったという声も多く届いています。
>メンタルヘルス支援士資格の内容や試験概要をご紹介【徹底解説】
メンタルヘルスを学ぶ人の整理

| 申し込む前によくある不安 | 146件のデータが示していること |
|---|---|
| 専門職でないと場違いではないか | 中心は医療・福祉業36.3%と教育業20.5%だが、残りの4割強は支援を専門としない立場の方 |
| この年齢から学ぶのは遅いのではないか | 中心は40代・50代(66.4%)。20代以下も14名、60代も7名と年代の幅は広い |
| 仕事に使う予定がなくてもよいのか | 最多の理由は「身近に精神疾患のある方がいる」58.9%。仕事以外の理由で学ぶ方が多数 |
>メンタルヘルスの資格一覧|結局どれ?目的別に選ぶ(146人調査)
メンタルヘルス支援士について
ここまで、メンタルヘルスを学ぶ方の年代・職種・動機についてご紹介してきました。
こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
まとめ|学び始める理由は、たいてい「目の前の誰か」
- 受講者146名のうち女性が84.2%。年代の中心は40代・50代(66.4%)だが、20代から60代まで幅がある
- 職種は医療・福祉業36.3%、教育業・学習支援業20.5%。一方で4割強は支援を専門としない立場の方
- 学ぶ理由の1位は「身近に精神疾患のある方がいる」58.9%で、「現在の仕事に活かせる」58.2%とほぼ並ぶ
- 「自身に精神疾患または症状がある」も30.8%。支援する側と支援される側は、はっきり分かれてはいない
資格を取ること自体より、目の前の誰かとの関わり方を変えたくて学び始める。146件から見えてきたのは、そうした受講者像でした。
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、当協会が収集したアンケート・体験談の一部をもとにまとめています。心の状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や不安がある場合は、早めに医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。


