家族が心の不調を抱えている。職場に気になる同僚がいる。何かしてあげたいけれど、下手に踏み込んで悪化させたらと思うと動けない——。「メンタルケア 資格」と検索される方の多くは、この状態にいらっしゃるのではないかと思います。
先に、この記事でいちばんお伝えしたいことを書きます。当協会の資格に申し込んだ146人のうち、「身近に精神疾患または症状がある方がいる(過去にいた)から」を動機に挙げたのは86人(58.9%)でした。そしてこの86人は、ほぼ全員が他の理由も同時に選んでいます。
- 「現在の仕事に活かせる」も選んだ人……43人(86人の50%)
- 「子育てに活かせる」も選んだ人……34人(40%)
- 「就転職時に活かしたい」も選んだ人……26人(30%)
- 「自身にも精神疾患または症状がある(過去にあった)」も選んだ人……26人(30%)
誰かを支えたいという気持ちは、単独では立ち上がっていません。仕事や子育て、そして自分自身のこととつながっています。この記事は、そういう状態にいる方に向けて、「メンタルケアの資格」というものの正体と、選ぶときに見るべき点を整理します。
>メンタルヘルスの資格はどんな人が取る?受講者146人の年代・職種・動機データ
本記事で紹介している情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データの性質 | 一般社団法人 人間力認定協会「メンタルヘルス支援士 受講前アンケート」より抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 調査期間 | 2025年2月〜2026年7月 |
| 有効回答数 | 146件 |
| 設問 | 「受講した動機(複数回答)」「申込のきっかけ」「申込の決め手」「他の団体が認定するメンタル・心理資格を申込したことはあるか」 |
| 分析方法 | 「身近に精神疾患または症状がある方がいる(過去にいた)から」を選んだ86人を抽出し、同時に選ばれた動機・きっかけ・決め手を集計 |
| 一般情報の出典 | 厚生労働省「こころの耳」および各資格の認定団体の公式サイト。2026年8月27日に実際に閲覧して確認 |
| 注意点 | 回答者は当協会の資格に申し込んだ方に限られます。支える側の一般的な傾向を示すものではありません |
受講者の声として引用している文章は、受講後アンケート(有効回答248件・2025年3月〜2026年8月)の自由記述欄および体験談欄からそのまま転載しています。誤字の修正以外の編集は行っていません。

「メンタルケアの資格」という区分は存在しません
まず前提を整理します。「メンタルケア」という言葉に、公的な定義や資格区分はありません。厚生労働省「こころの耳」の資格・検定ページも、メンタルヘルス対策に関連する資格を①事業場内産業保健スタッフ ②こころの健康問題の治療従事者等 ③労働法・労務管理についての相談対応者 ④こころの相談対応者──の4つに分類していますが、「メンタルケア」というカテゴリーはありません。
つまり「メンタルケアの資格」とは、個々の民間資格が名前に使っている言葉であって、資格の種類を表す用語ではない、ということです。名前が似ていても、認定団体も試験の形式もばらばらです。
ちなみに、このこころの耳のページには、産業カウンセラー・臨床心理士・認定心理士・メンタルヘルス・マネジメント検定試験といった民間の資格や検定も、国家資格と同じ一覧の中に並んで掲載されています。掲載の目的は「相談したり、カウンセリング等を受けるときの参考としてください」という案内であって、国が推奨・認定しているという意味ではありません。ただ、民間資格だから公的な場では扱われない、というわけでもないことは知っておいてよいと思います。
| 資格名 | 認定団体 | 試験の形式 | 費用(税込) |
|---|---|---|---|
| メンタルケア心理士 | メンタルケア学術学会(試験の実体は「こころ検定2級」/日本こころ財団主催) | CBT方式・全国の会場で受験 | 検定7,700円+認定登録費6,100円+講座費用 |
| ケアストレスカウンセラー | 一般財団法人 職業技能振興会(内閣府認可) | 在宅受験(IBT)・随時 | 12,000円 |
| メンタル心理カウンセラー | 日本能力開発推進協会(JADP) | 在宅受験・随時(指定講座の修了が条件) | 受験料5,600円+講座費用 |
| メンタルヘルス支援士 | 一般社団法人 人間力認定協会(当協会) | オンライン受験・24時間 | 受講料35,200円+試験料5,060円 |
比べていただきたいのは値段の順位ではなく、「どこで受けるか」の違いです。会場に出向く必要があるのか、在宅でよいのか。家族の状況で予定が読めない方にとっては、ここが最初の分かれ目になります。
もう1点。心理・メンタルヘルスの分野には「業務独占」の資格がありません。国家資格である公認心理師も精神保健福祉士も名称独占です。ですから、どの資格を取っても「これで支援ができる」という保証にはなりませんし、逆に資格がないから話を聴いてはいけない、ということもありません。資格は、知識を効率よく手に入れるための手段だと考えていただくのが正確です。
>メンタルヘルスの資格一覧|結局どれ?目的別に選ぶ(146人調査)
支えたい人の理由は、1つではない|86人のデータ
冒頭で触れた86人のデータを、詳しく見ていきます。「身近に精神疾患または症状がある方がいる(過去にいた)から」を選んだ86人が、同じ設問で他に何を選んでいたかです。
| 同時に選ばれた動機 | 人数 | 86人に占める割合 |
|---|---|---|
| 現在の仕事に活かせると思ったから | 43 | 50.0% |
| 子育てに活かせると思ったから | 34 | 39.5% |
| 就転職時に活かしたいと思ったから | 26 | 30.2% |
| 自身に精神疾患または症状がある(過去にあった)から | 26 | 30.2% |
この表から読み取れることは2つです。
1つ目。半数が「現在の仕事」にも印を付けています。86人の職種内訳は医療・福祉業29人(34%)、教育業・学習支援業15人(17%)が上位で、支援を仕事にしている人が、身近な誰かのことでも困っているという構図が見えます。仕事で扱えることと、家庭で自分の家族に向き合うことは別だ、ということでもあります。
2つ目。30.2%が「自身にも症状がある(過去にあった)」を選んでいます。支える側と支えられる側は、きれいに分かれていません。誰かを支えながら、自分自身も揺れている——という方が、86人のうち3割にのぼります。
娘が社交不安症になってしまったことについて、あれこれと考えてしまうことがありましたが、ASDも持っていることで、ASDの43~84%で不安症を併存する確率が高いことが分かり、理解をすることができました。なかなか不安症を治すことは難しく、今は、ASDも不安症&強迫症も含めて娘を理解していきたいと思っています。これから、娘の希望が叶うように、また、安心して過ごせるような進学や就職ができるような環境を求めていきたいです。
50代の方の回答です。「治す」ではなく「理解していきたい」と書かれているところが、支える側の学びの性質をよく表しています。状態を変えることではなく、状態を理解して見通しを持つことが、実際にできることの中心になります。
障害福祉サービスの仕事に従事しています。利用者様の個別特性に即して、就労継続を支援出来る事は大きな成功体験でしたが、就労となると社会や作業のルールマナーを守ってもらえない事が支援者としての大きなストレスとなり、葛藤の毎日です。自身のメンタルヘルスに大変役立つ学びでした。
50代の方の回答です。支援職として学んだ内容が、自分自身のメンタルヘルスに役立ったと書かれています。支える側が消耗するという問題は、仕事であっても家庭であっても同じように起こります。
86人は、何をきっかけに、何で決めたか
| 区分 | 上位項目 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 申込のきっかけ | 協会からの案内 | 43 | 50.0% |
| 申込のきっかけ | ネット検索 | 31 | 36.0% |
| 申込の決め手 | 内容が魅力的だと感じたから | 39 | 45.3% |
| 申込の決め手 | 児童発達支援士と同じ認定団体だったから | 30 | 34.9% |
| 申込の決め手 | 短期間で取得できる資格だから | 6 | 7.0% |
| 他団体の資格の申込経験 | ない | 71 | 82.6% |
決め手の1位は「内容が魅力的だと感じたから」で45.3%。一方で82.6%が、他団体の資格を申し込んだ経験を持っていません。いくつも比較して選んでいるわけではなく、目の前の困りごとから調べ始めて、内容を見て決めている——というのが実際の姿です。
支える側に必要な3つのこと
ここまでのデータをふまえて、資格を取るかどうかにかかわらず、支える立場の方に必要なことを3つに整理します。資格が効くのは、このうち1つ目だけです。

① 相手の状態を理解するための知識
相手の言動が「性格」なのか「症状」なのか「特性」なのかが分からないと、対応の方針が立ちません。逆に、そこに見当がつくだけで、こちらの受け取り方はかなり変わります。
精神疾患を持っている人に対する関わり方が難しいと感じる。
20代の方の回答です。一文だけですが、学んだあとでもなお「難しい」と書かれている点が重要です。知識を得れば関わり方が簡単になるわけではありません。難しさの中身が「何をすればいいのか分からない」から「難しいと分かったうえで手を打つ」に変わる、というのが実際のところです。
資格を選ぶ際にここを判断するなら、見るべきは講座の宣伝文ではなく目次です。自分が向き合っている相手の状態——たとえば「不安症」「うつ病」「大人の発達障害」——が、独立した項目として置かれているかを確認してください。
② 自分が消耗しきらないための距離
86人のうち26人(30.2%)が「自身にも症状がある(過去にあった)」を選んでいたことを思い出してください。支える側は消耗します。とくに家族の場合、仕事と違って終業時刻がありません。
ここで大切なのは、家族が「カウンセラー役」を務めようとしないことです。同じ相手と生活者としても関わっている状態では、専門的なカウンセリングは成立しにくくなります。抱え込まずに第三者につなぐ判断ができることのほうが、支援としては現実的です。
自分が相談するなら、と思いながら勉強しました。傾聴する方法が大切だと思いました。
40代の方の回答です。「自分が相談する側だったら」という視点の置き方は、支える側が距離を保つうえで有効です。相手を変えようとするのではなく、自分がどう聴くかに焦点が移ると、消耗の度合いが変わります。
③ 自分自身の相談先
意外に知られていませんが、お住まいの地域の精神保健福祉センターや保健所は、本人ではなく家族からの相談も受け付けています。「本人が行きたがらないので、まず私が相談したい」という形で構いません。
資格の勉強を始める前に、ここだけは先に確保しておいてください。知識は数か月かけて身につきますが、相談先は今日つくれます。この記事の最後に窓口の一覧を掲載しています。
歳を重ねて勉強するのは大変でしたが、メンタルヘルスについて知識を深める事が出来て良かったです。ボランティア活動にも自信をつけることが出来き、これからの活動に活かせるようにていきたいと思います。
60代以上の方の回答です。学んだ結果が「自信」という言葉で書かれています。支える側にとっての成果は、相手の変化よりも先に、自分の側の落ち着きとして現れることが多い——というのが、248件の回答を通して見えてくることです。
独学ではどこまでできるか
「わざわざ資格を取らなくても、本を読めばいいのでは」と考える方もいらっしゃると思います。実際、①の知識は書籍でも手に入ります。当協会としても、まず図書館で数冊読んでみる、という始め方を否定しません。
そのうえで、独学と講座で差が出るのは網羅性と順番です。書籍は関心のあるテーマから読むことになるため、うつ病は詳しくなったが発達障害の特性は知らない、といった偏りが生まれます。支える相手の状態が想定と違ったとき、この偏りが効いてきます。
もう1つは、期限があるかどうかです。受講期限が設定されていると、忙しい時期をまたいでも「いつまでに終える」という枠が残ります。書籍だけで進めた場合、中断がそのまま終了になりやすいのが実際のところです。今回のデータで「短期間で取得できる資格だから」を決め手に挙げた方が86人中6人(7.0%)にとどまっていたのは、この層が速さではなく、終えられる見通しを見ているからだと考えられます。
>メンタルヘルス支援士の内容|学べること・学べないことを受講者248人のデータで
メンタルヘルス支援士について
ここまで、「メンタルケアの資格」という言葉の中身と、支える立場で学んだ86人のデータをご紹介してきました。
こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|メンタルケアの資格についてよくある質問
Q1:「メンタルケアの資格」と「メンタルヘルスの資格」は違うもの?
呼び方の違いであって、内容の違いを表す区分ではありません。記事の前半で触れたとおり、厚生労働省「こころの耳」の分類にも「メンタルケア」というカテゴリーはなく、いずれも各団体が資格の名称として使っている言葉です。名前が「ケア」でも「ヘルス」でも「心理」でも、そこから学べる範囲は判断できません。比べるときは名称ではなく、講座の目次と、認定団体・受験方法・費用を見てください。
Q2:家族を支えるために、資格は必要ですか?
必要ではありません。心理・メンタルヘルスの分野に業務独占の資格はなく、資格がないから身近な人の話を聴いてはいけない、ということはありません。実際にできることの中心は、相手の状態を変えることではなく、状態を理解して見通しを持つことです。資格は、そのための知識を偏りなく、期限を区切って手に入れるための手段だとお考えください。本を数冊読むところから始める方法も、当協会としては否定しません。
Q3:資格を取れば、家族のカウンセリングができるようになりますか?
家族がカウンセラー役を務めることは、おすすめしていません。同じ相手と生活者としても関わっている状態では、専門的なカウンセリングは成立しにくくなります。学んだ知識は、相手を治すためではなく、抱え込まずに専門家や相談窓口へつなぐ判断のために使ってください。お住まいの地域の精神保健福祉センターや保健所は、本人ではなくご家族からの相談も受け付けています。
Q4:自分自身も気持ちが不安定なのですが、学んでも大丈夫でしょうか?
今回のデータでも、身近な人のためにと申し込んだ86人のうち26人(30.2%)が「自身にも精神疾患または症状がある(過去にあった)」を選んでいます。支える側と支えられる側は、きれいに分かれていません。ただし学ぶことは、診断や治療の代わりにはなりません。読んでいて気持ちがつらくなったときは、そこで読むのをやめてください。ご自身の症状が気になる場合は、教材や記事で判断せず、医師や下記の相談窓口にご相談ください。
まとめ|支えたい人が資格を選ぶとき
- 「メンタルケア」に公的な定義や資格区分はありません。厚労省「こころの耳」の分類にもこのカテゴリーはなく、個々の民間資格が名前に使っている言葉です
- 心理・メンタルヘルスの分野に業務独占の資格はありません。資格がないから話を聴いてはいけない、ということはありません
- 146人中86人(58.9%)が「身近な人のため」を動機に挙げ、その86人の50%が「現在の仕事」、40%が「子育て」、30%が「就転職」、30%が「自身にも症状がある」を同時に選んでいます。理由は1つではありません
- 86人の決め手の1位は「内容が魅力的」45.3%。一方で82.6%は他団体の資格を申し込んだ経験がなく、比較検討ではなく、目の前の困りごとから調べ始めています
- 支える側に必要なのは①相手の状態を理解する知識 ②自分が消耗しない距離 ③自分自身の相談先。資格が効くのは①だけです
- 独学と講座の差は、速さではなく網羅性と、終えられる見通し。まず数冊読んでみる始め方も否定しません
- ③の相談先は今日つくれます。精神保健福祉センターや保健所は、本人ではなく家族からの相談も受け付けています
【注意事項】
本記事に掲載した他団体の資格の費用・試験形式は、2026年8月27日に各認定団体の公式サイトで確認した値です。改定により変わりますので、申込前に必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。受講者アンケートの数値は、当協会が収集したデータの一部をもとにまとめており、回答者は当協会の資格に申し込んだ方に限られます。心の状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や不安がある場合は、早めに医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。


