産業カウンセラー®について調べると、半年から10か月かけて通う養成講座と、受検者どうしのロールプレイで行う実技試験が出てきます。通信講座と在宅の試験で取れる心理系の資格も多いなかで、なぜこの資格はここまで手間をかけるのか。そこに引っかかりを覚えた方もいると思います。
その理由は、この資格がどんな目的で生まれ、講座と試験で何を確かめているのかを見ていくと分かってきます。この記事ではそれらを解決できるよう、一般社団法人 日本産業カウンセラー協会の公式サイトと公表資料をもとに、資格の成り立ちから講座と試験の中身、2026年からの変化までを整理します。講座の費用や受検の条件を比べる前に押さえておきたい内容です。受講料・受検料の合計や受検資格の細かな条件は、次の記事で詳しくまとめています。
たとえば、
- 産業カウンセラーはいつ・何のために始まった資格なのか
- 養成講座の179時間では何をどのように学ぶのか
- 学科と実技の試験はそれぞれ何を確かめているのか
- 2026年に変わった「2級・1級」の名前と、国の団体検定の意味
- 毎年どれくらいの人が講座で学び、試験を受けているのか
といった内容です。
>産業カウンセラーの費用と取り方|実技試験まであるのはこの資格です
心理カウンセラーの資格をお探しの方へ
話すのが苦手でも、
人の話を聴くのに話し上手である必要はありません。相手の気持ちを受け止める聴き方を、スマホでマイペースに学べます。試験も自宅で受けられるので、家庭や仕事の合間にも始めやすい資格です。
本記事で紹介している一次情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 情報の性質 | 一般社団法人 人間力認定協会 メンタルヘルス支援士 受講後アンケートより抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 調査期間 | 2025年3月〜2026年8月 |
| 有効回答数 | 248件 |
| 設問 | 「値段の評価」(5段階から1つ選択) |
| 分析方法 | 5段階の回答を満足側・普通・不満側の3つにまとめ、人数と248件に占める割合を出しました |
| 注意点 | 回答者は当協会の資格の受講者に限られます。他団体の資格の受講者の声ではありません。値段の評価は受講を終えた方の回答で、産業カウンセラーの講座の値段を評価したものではありません |
| 一般情報の出典 | 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会の公式サイト(協会の沿革・養成講座・講座の概要・2級試験と1級試験の実施概要・試験結果)と公表資料(2026年4月2日のプレスリリース・2級試験の受検要領・厚生労働大臣指定教育訓練の明示書)、厚生労働省 こころの耳(いずれも2026年9月24日確認) |
働く人の相談のために1960年から続く資格です
ここまで手間をかけるのは、この資格が職場で働く人の相談に乗る人を育てるために生まれ、知識だけでなく「話を聴く」技能そのものを確かめる作りになっているからです。2026年3月には、その試験が職業能力開発促進法にもとづく団体検定として厚生労働省の認定を受けました。
では、「話を聴く技能を確かめる」とは、講座と試験で具体的に何をすることなのか。養成講座では面接の体験学習を104時間行い、試験は学科と実技の2つで聴く力を確かめます。その中身を、このあと順に見ていきます。
日本産業カウンセラー協会は、産業カウンセラーを、働く人や組織が抱える問題を自ら解決できるよう心理的な手法で支援するカウンセラーだと説明しています。ハラスメントやメンタル不調、職場の人間関係といった課題に向き合う、職場に通じた支援者という位置づけです。まずは資格の全体像を表で確認します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会(1960年11月創立) |
| 試験の始まり | 1971年9月(第1回の2級産業カウンセラー試験) |
| いまの試験の名前 | 産業カウンセラー2級試験・産業カウンセラー1級試験(2026年度から) |
| 国の位置づけ | 2026年3月31日付で、厚生労働省が職業能力開発促進法にもとづく団体検定に認定 |
| 主な取り方 | 協会の養成講座(6か月または10か月)を修了し、2級試験(学科と実技)に合格して登録する |
| 費用の目安 | 養成講座352,000円(税込)+受検料44,000円(税込)+資格登録料7,000円=403,000円 |
| これまでの認定 | 7万8千人あまり |
出典:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 公式サイト「協会の沿革」「産業カウンセラー試験」「講座の概要」と、2026年4月2日のプレスリリース(2026年9月24日確認)。
協会の沿革をたどると、この資格が職場の相談とともに歩んできたことが分かります。
- 1960年11月:日本産業カウンセラー協会が創立
- 1970年4月:労働省から社団法人の認可を受ける
- 1971年9月:第1回の2級産業カウンセラー試験を実施。1981年11月には第1回の1級試験
- 1992年1月:労働省の技能審査制度の認定を受け、公的な資格になる
- 2002年4月:2001年をもって技能審査の対象から外れ、協会が認定する試験になる
- 2026年3月31日:厚生労働省から団体検定の認定を受ける
協会は、産業カウンセラーの使命を、働く人の質の高い職業人生の実現を支援し、産業社会の発展に寄与することだと掲げています。名前の「産業」は、工場や特定の業種のことではなく、人が働く場全体を指していると考えると分かりやすいでしょう。
厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」も、メンタルヘルス対策に関連する資格等の一つとして産業カウンセラーを紹介しています。説明には、協会の養成講座を受けて試験に合格した人で、働く人全員を対象に、メンタルヘルスの教育・研修や、職場の人間関係やストレスに悩む人のカウンセリングとケアを行う、とあります(2026年9月24日確認)。
一方で、産業カウンセラーは国家資格ではなく、診断や治療を行う資格でもありません。病名の診断や治療を担うのは医師で、公認心理師を含め、心理系の資格はいずれもその役割を持っていません。産業カウンセラーの持ち場は、働く人の話を聴き、本人が自分で考えを整理していけるよう支えること、そして必要なときに医療や専門の窓口へつなぐことです。
養成講座では面接の体験学習を104時間学びます
協会の養成講座は、体験型のカウンセリング演習と、e-Learningを使った理論学習の二本立てです。講座の概要ページに示されている時間を並べると、次のとおりです。
| 学ぶこと | 学び方 | 時間 |
|---|---|---|
| 面接の体験学習(カウンセリング演習) | 通学が基本。一部の教室は通学とオンラインの併用かフルオンライン | 104時間 |
| 面接の体験学習に関する課題学習(6題) | ホームワーク | 28時間 |
| 講義動画の視聴 | e-Learning | 34時間 |
| 理解度確認テスト | e-Learning | 13時間 |
| 合計 | ― | 179時間 |
出典:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会 公式サイト「講座の概要」(2026年9月24日確認)。課題学習・講義動画・理解度確認テストの時間は、公式の表記では「相当」の目安です。
全体の6割近くを占めるのが、面接の体験学習です。昼間のコースなら15〜16日間、夜間のコースなら33〜36日に分けて、合わせて104時間を学びます。協会の説明では、受講者6人に1人の割合で指導者がつき、受講者は次の3つの役を交代で体験します。
- カウンセラー役:話を聴く側
- クライエント役:話をする側
- オブザーバー:客観的な立場からやり取りを観察する側
協会は、あらゆるカウンセリングの基本は「傾聴」で、その特徴は「受容」と「共感」だとしています。話し手を評価も批判もせずに受け入れ、その気持ちに寄り添いながら聴く。この態度と技法を、聴く側・話す側・見る側を行き来しながら身体で覚えていくのが、面接の体験学習の中身です。さらに、相談が始まってから目的を果たして終わるまでの流れ(カウンセリング・プロセス)も体験を通して学びます。
厚生労働大臣指定教育訓練の明示書によると、面接の体験学習では導入期・初期・中期・後期ごとに到達目標が示され、「進度チェック票」を使って受講者自身のセルフチェックと指導者による評価と指導が行われます。
理論は23の章をe-Learningで学びます
理論学習は、2019年度から主にe-Learningで学ぶ形になりました。章立ては「産業カウンセラーとは」から「キャリア形成への支援」まで23章あり、たとえば次のような章が含まれます。
- 傾聴の意義と技法/カウンセリングのプロセスと面接記録
- 逐語記録の作成とその検討/事例検討とスーパービジョン
- こころのメカニズム/精神医学の基本
- 人事労務管理の基礎知識と人材マネジメントの現状/産業カウンセラー支援活動に関わる法
- 職場におけるメンタルヘルス対策への支援/キャリア形成への支援
カウンセリングの理論だけでなく、労務管理や法律、キャリアの支援まで入っているのが、職場の相談に特化したこの資格らしいところです。講師は大学教授や医師、産業カウンセリングの実践者などで、テキストは『産業カウンセリング―産業カウンセラー養成講座テキスト』のI・IIの2冊です。
修了には出席と課題とテストの条件があります
講座を修了すると2級試験の受検資格が得られますが、修了には次の4つの条件があります。
- 面接の体験学習104時間のうち90時間以上に出席する(やむを得ず14時間を超えて休んだときは、別料金の補講で出席時間に充てられる)
- 課題学習6題のうち4題で、4段階のAかBの評価を受ける
- 講義動画のうち指定された章について、視聴レポートを出す
- 理解度確認テストで、各章6割以上正解する
2026年度の講座は、春6か月(2026年4月1日〜9月30日)、春10か月(2026年4月15日〜2027年1月31日)、秋6か月(2026年11月6日〜2027年4月30日)、冬10か月(2027年1月8日〜10月31日)の4つの期で案内されています。面接の体験学習は、通学コース、オンラインコース(通学28時間あり)、フルオンラインコースの3つの学び方から選べますが、地域によっては開かれないコースもあります(日本産業カウンセラー協会 公式サイト・2026年9月24日確認)。
試験は学科と実技の2つで聴く力を確かめます
講座で身につけたことは、2級試験で確かめます。2026年7月に行われた2級試験の受検要領によると、試験は次の3つに分かれています。
- 学科試験1:基礎的な学識を問う150問に、正誤をマークシートで答える(90分)
- 学科試験2:基本的な事例への対応力と、傾聴の技法の対話分析力を問う15問に、5つの選択肢から答える(40分)
- 実技試験:受検者どうしがカウンセラー役とクライエント役になるロールプレイと、口述試験(30分程度)
並べてみると、試験の形が講座の中身とそのまま対応していることが分かります。学科試験2の「対話の分析」は、講座で学ぶ逐語記録の検討に通じ、実技試験のロールプレイは、104時間の面接の体験学習で繰り返した場面そのものです。本を読んで覚えた知識だけでは答えにくい部分を、あえて試験に残している。ここから、養成講座と実技がセットになっている理由が読み取れます。
協会のプレスリリースも、ストレスチェック、職場復帰の支援、ハラスメント対策、治療と仕事の両立支援、キャリア形成といった職場の施策には、産業カウンセラー試験で判定する傾聴のスキルが欠かせないと述べています。聴く力を「判定する」試験だと、協会自身が位置づけているわけです。
片方だけ合格した人は次に残りを受けます
学科と実技は別々に合否が出ます。どちらか一方だけに合格した人は「一部合格」となり、その後の試験では残りの一方だけを受けられます。2026年7月の回の受検料は、学科と実技の両方で44,000円(税込)、2024・2025年度の一部合格者が対象の学科のみが16,500円、実技のみが27,500円でした(日本産業カウンセラー協会 公式サイト・2026年9月24日確認)。
2026年7月の回では、学科は東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の6か所、実技は東京・名古屋・大阪・広島・福岡の5か所で行われ、実技の日時は指定・変更ができませんでした。次の2027年1月の回は、学科が1月24日(日)、実技が1月30日(土)・31日(日)で、受検要領と出願期間は2026年10月中旬に協会のサイトで案内される予定です。
ほかのメンタルヘルスの資格と、受験資格や受け方を並べて見ておきたい方は、次の記事も参考になります。
>メンタルヘルスの資格を比較|費用より先に受験資格と受け方を見ます
2026年から試験の名前と国の位置づけが変わりました

2026年は、この資格にとって節目の年になりました。変わったことは大きく3つあります。
厚生労働省の団体検定になりました
2026年4月2日の協会のプレスリリースによると、産業カウンセラー試験は2026年3月31日付で、厚生労働省から職業能力開発促進法にもとづく団体検定の認定を受けました。事業主などが行う職業能力の検定について、内容と実施体制が法と厚生労働大臣の定める基準に合っていると認める仕組みです。
産業カウンセラーは1992年に旧労働省の技能審査制度の認定を受けて公的な資格になりましたが、2001年をもって技能審査から外れ、それ以降は民間の検定として続いてきました。協会は今回の認定について、かつての技能審査と同等以上の社会的評価を得たと受けとめているとしています。国家資格になったわけではありませんが、国の基準に照らして認められた検定になった、という変化です。
試験は2級と1級の名前になりました
2026年度から、試験は「産業カウンセラー2級試験」と「産業カウンセラー1級試験」の名前で案内されています。沿革を見ると、1971年の第1回は「2級産業カウンセラー試験」、1981年の第1回は「1級産業カウンセラー試験」で、2004年から「産業カウンセラー試験」、2005年から上位の「シニア産業カウンセラー試験」の呼び方が使われてきました。いわば、始まったころの呼び方に戻った形です。
- 2級:養成講座の修了などで受ける試験。年2回で、2026年度は2026年7月と2027年1月。プレスリリースでは年間約2千人の受検を想定
- 1級:産業カウンセラーとして登録した人が、協会のシニア産業カウンセラー育成講座を修了するなどして受ける上位の試験(労働者の相談の実務経験5年以上の人も受検できる)。2026年度は学科が2026年12月5日、実技が2027年2月20日・21日で、会場は東京。受検料は学科と実技で52,800円(税込)。プレスリリースでは年間約50人の受検を想定
実務経験3年で2級を受けられる道ができました
協会は団体検定の認定にあわせて受検資格を広げ、働く人の相談に3年以上携わってきた人も2級試験を受けられるようにしました。対象になる相談は、心の健康と不調に関する相談、職場のハラスメントやワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティの推進に関する相談、治療と仕事の両立支援の相談、職業適性の相談のいずれかで、対面での対応を続けて3年以上していることが条件です。このほか、心理学系の大学院の修了や、大学で公認心理師のための指定科目を履修したことによる受検資格もあり、いずれも事前の書面審査を受けます。
すでに人事や相談窓口の仕事で働く人の話を聴いてきた人にとっては、講座を経ずに試験で力を確かめる道が開かれたことになります。ただし、講座で積む104時間の体験学習を経ないぶん、実技試験への備えは自分で考えておく必要があります。
養成講座には1年で1,700人あまりが入講しています

では、この講座と試験に、毎年どれくらいの人が向き合っているのでしょうか。協会が公表している厚生労働大臣指定教育訓練の明示書には、令和6年度(2024年度)の講座の実績が載っています。
- 6か月コース:入講1,389人・修了1,337人・修了者のうち試験を受けた人1,296人
- 10か月コース:入講396人・修了372人・修了者のうち試験を受けた人341人
- 2つのコースの合計:入講1,785人・修了1,709人・試験を受けた人1,637人
入講した人の多くが最後まで修了し、そのほとんどが試験に進んでいます。同じ明示書では、6か月コースの修了者にたずねた講座の評価の回答889人のうち、受講を始めたときに仕事をしていた人が804人でした。養成講座の受講者の大半は、働きながら半年から10か月の講座に通っていることになります。
試験のほうは、協会が公表してきた各回の結果をもとに、学科か実技のどちらか1つでも受けた人の数を年度ごとに並べると次のようになります。
| 年度 | 受検者 | 回ごとの内訳 |
|---|---|---|
| 2019年度 | 3,023人 | 年度の合計のみ |
| 2020年度 | 2,159人 | 年度の合計のみ |
| 2023年度 | 2,495人 | 2023年6・7月 1,040人/2024年1月 1,455人 |
| 2024年度 | 2,379人 | 2024年6・7月 1,029人/2025年1月 1,350人 |
| 2025年度 | 2,103人 | 2025年6・7月 872人/2026年1月 1,231人 |
出典:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会が公式サイトで公表した各回の試験結果(過去の回は以前の掲載ページで確認。2026年9月24日確認)。2021年度と2022年度は、すべての回の結果を確かめられなかったため載せていません。
2019年度の3,023人から、近年は1年に2千人台で推移しています。2026年7月の2級試験では、学科を949人、実技を729人が受けました(両方を合わせた人数は公表されていません)。協会はプレスリリースで、2級試験の受検者を年間約2千人と見込んでいます。
協会はこれまでに7万8千人あまりの産業カウンセラーを認定してきました。1971年の第1回から数えて55年、講座と試験を通ってきた人の積み重ねが、この数字になっています。
費用に見合うかは身につけたい力で決まります
養成講座から取る場合、講座352,000円、受検料44,000円、資格登録料7,000円で、合わせて403,000円になります。登録を続けるには協会の会員であることが前提で、登録は原則5年ごとの更新です(日本産業カウンセラー協会 公式サイト・2026年9月24日確認)。
金額だけを見ると大きく感じますが、内訳の大部分は養成講座で、その中心はこの記事で見てきた104時間の面接の体験学習です。講座の申込先である協会の支部には各種の割引制度があり、6か月コースと10か月コースは教育訓練給付金の対象講座にも指定されています。支払いには学費ローンも使えます。条件は申し込む前に支部や厚生労働省の案内で確かめてください。
もう1つの見方は、どの道で受けるかです。2026年からは、働く人の相談を対面で3年以上続けてきた人が、事前の書面審査を経て講座を受けずに2級試験を受けられるようになりました。すでに相談の現場にいる人には試験から目指す道があり、これから聴く技能を身につけたい人は、講座の時間そのものに費用を払う形になります。まず知識を身につけたい段階なら、別の学び方から始める選択もあります。
>【コスパ重視】心理カウンセラー資格を費用で比較!安くて役立つおすすめ資格一覧
メンタルヘルス支援士との共通点と違い
最後に、この記事を書いている当協会の資格とも並べておきます。メンタルヘルス支援士は当協会が認定する民間資格で、受講料35,200円と試験料5,060円の合計40,260円(税込)で取れます。受講を終えた方248人に講座の値段をどう感じたかをたずねたところ、結果は次のように分かれました。
- 満足側(大満足35人と満足100人):合わせて135人(54.4%)
- 普通:85人(34.3%)
- 不満側(やや不満25人と不満3人):合わせて28人(11.3%)
満足側が半数を超える一方で、「普通」と答えた方も85人いました。40,260円という金額は誰にとっても同じでも、受け取った価値の感じ方は人によって違ったということです。値段への評価は、支払った額そのものより、講座から持ち帰りたかったものがあったかどうかで変わるのかもしれません。なお、この数字は当協会の資格の受講者の回答で、産業カウンセラーの講座を評価したものではありません。
2つの資格に共通しているのは、傾聴・受容・共感を関わりの基本に置いていることです。違うのは、その身につけ方です。産業カウンセラーは進度チェック票で段階ごとの到達目標を確かめながら体験学習を重ね、最後に実技試験で聴く力を確かめます。メンタルヘルス支援士には実技試験がなく、精神疾患や発達障害の基礎知識、認知行動療法、傾聴の姿勢などを教材で学び、講座の受講者が自宅からオンラインで受験します。職場で相談を受ける技能を磨きたいのか、身近な人を理解する知識の土台をつくりたいのか。求めるものがはっきりしていれば、どちらを選んでも支払った費用に納得しやすくなります。
メンタルヘルス支援士について
ここまで、産業カウンセラーの成り立ちと、養成講座と試験の中身、2026年からの変化についてご紹介してきました。
こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|産業カウンセラーの成り立ちと講座と試験に関するよくある質問
Q1:産業カウンセラーはいつからある資格ですか
日本産業カウンセラー協会の創立は1960年11月で、第1回の試験(2級産業カウンセラー試験)は1971年9月に行われました。1992年に旧労働省の技能審査制度の認定を受け、その後は協会が認定する試験として続き、2026年3月31日付で厚生労働省の団体検定の認定を受けています。これまでに7万8千人あまりが認定されています。
Q2:産業カウンセラーの養成講座では何時間学びますか
合計179時間です。内訳は、面接の体験学習104時間、課題学習6題が28時間相当、講義動画の視聴が34時間相当、理解度確認テストが13時間相当です。修了するには、面接の体験学習104時間のうち90時間以上の出席などの条件を満たす必要があります。
Q3:産業カウンセラーの2級試験と1級試験は何が違いますか
2級は、養成講座の修了などで受ける試験で、合格して登録すると産業カウンセラーになれます。1級は、産業カウンセラーとして登録した人が協会のシニア産業カウンセラー育成講座を修了するなどして受ける上位の試験で、労働者の相談の実務経験が5年以上ある人も受けられます。2026年度の1級は学科が12月5日、実技が2027年2月20日・21日で、会場は東京です。
Q4:産業カウンセラー試験は団体検定になって何が変わりましたか
2026年3月31日付で、職業能力開発促進法にもとづき厚生労働省の認定を受けた検定になりました。国家資格になったわけではありません。あわせて試験の名前が2級・1級になり、働く人の相談を対面で続けて3年以上してきた人も、事前の書面審査を経て2級試験を受けられるようになりました。
Q5:産業カウンセラーの養成講座は働きながら通えますか
働きながら受ける人が多い講座です。期間は6か月か10か月で、面接の体験学習には昼間のコース(15〜16日間)と夜間のコース(33〜36日)があり、通学・オンライン(通学28時間あり)・フルオンラインの学び方から選べます。明示書では、6か月コースの修了者で講座の評価に回答した889人のうち804人が、受講を始めたときに仕事をしていました。
まとめ|産業カウンセラーの成り立ちと講座と試験
- 産業カウンセラー®は、1960年創立の日本産業カウンセラー協会が認定する資格で、1971年から試験が続き、これまでに7万8千人あまりが認定されています
- 養成講座は179時間で、そのうち104時間が6人に1人の指導者のもとで聴く側・話す側・観察する側を体験する面接の体験学習です
- 2級試験は学科2つと実技で構成され、実技では受検者どうしのロールプレイと口述試験を受けます。講座で積んだ練習をそのまま確かめる作りになっています
- 2026年3月31日付で厚生労働省の団体検定の認定を受け、試験の名前は2級・1級になり、実務経験3年で2級を受けられる道もできました
- 養成講座には令和6年度に2つのコースで1,785人が入講し、試験は近年1年に2千人台が受けています
- 費用に見合うかは、講座で聴く技能を身につけたいのか、相談の実務経験を生かして試験から目指すのかで変わります。自分に合う道が分かれば、納得して学び方を選べます
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、当協会が収集したアンケート・体験談の一部をもとにまとめています。心の状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や不安がある場合は、早めに医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。
本記事に掲載した他団体の資格・検定の情報は、2026年9月24日時点で各団体の公式サイトを確認した内容です。受講料・受検料・受検資格・試験日程は変更されることがありますので、申し込みの前に必ず各団体の公式サイトでご確認ください。「産業カウンセラー」は登録商標です(日本産業カウンセラー協会の公式サイトの®表記による)。


