認知行動療法を学んでみたいと思って資格を調べると、「認知行動療法師®」「認知行動療法士」「認知行動コーチ®」と似た名前が並び、どれを取れば何ができるようになるのかが見えにくいと感じる方は多いと思います。講座の案内だけを読むと、資格を取れば認知行動療法を行えるようになるように見えることもあります。
認知行動療法の資格は、医師や公認心理師などの専門職が実力を示すための学会の資格と、前提の資格がなくても学べる協会の資格に分かれます。そして、医療機関で保険を使って行う認知行動療法を担えるのは、厚生労働省の資料上、医師・医師と看護師・条件を満たした公認心理師に限られます。民間の資格を取っても、治療としての認知行動療法を行えるようにはなりません。
ここでは、認定する団体の公式サイトに書かれている条件と費用だけをもとに資格を並べました。順位をつけるためではなく、受ける前に必要な条件の重さで並べています。
たとえば、
- 認知行動療法の資格にはどんなものがあり、それぞれ何が前提になるのか
- 保険診療で認知行動療法を行えるのは誰か
- 認知行動療法士と認知行動療法師は何が違うのか
- 前提の資格がない人が民間の資格で学べることと、学べないこと
といった内容です。
この記事では、認知行動療法の名前がつく資格を、受ける前に必要な資格と取り方で整理し、目的に合う選び方を考えていきます。
>認知行動療法とは|まず出来事と気持ちの間にある考えに気づきます
本記事で紹介している一次情報について
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 情報の性質 | 一般社団法人 人間力認定協会 メンタルヘルス支援士 受講後アンケートより抜粋 |
| データ取得者 | 一般社団法人 人間力認定協会 |
| 調査期間 | 2025年3月〜2026年8月 |
| 有効回答数 | 248件 |
| 設問 | 「各章の満足度」のうち第3章(認知行動療法の種類と基礎知識)/「改善して欲しい点」(複数選択) |
| 分析方法 | 選択肢ごとに人数を数え、248件に対する割合を出しました |
| 一般情報の出典 | 各資格の認定団体の公式サイトと厚生労働省の資料(2026年10月6日確認) |
| 注意点 | 回答者は当協会の資格の受講者に限られます。他団体の資格の受講者の声ではありません。満足度は講座の章への評価で、認知行動療法の効果を示すものではありません |
認知行動療法の資格は医療の専門職向けと学ぶための民間資格に分かれます
名前に「認知行動療法」「行動療法」「認知行動」が入る資格のうち、認定する団体と条件・費用を公式サイトで確かめられた6つを、次の決まりで並べました。
- 学会が認定する資格を先に、協会が認定する資格をあとに置きます
- それぞれの中は、受ける前に必要な資格や経歴が重いものから並べます
- 費用は公式サイトに書かれた金額をそのまま載せ、研修や講座の費用が書かれていないものは書かれている費用だけを載せます
| 資格(認定団体) | 前提になる資格や経歴 | 取り方 | 公式に書かれた費用 |
|---|---|---|---|
| 認知行動療法認定医(日本認知療法・認知行動療法学会) | 必要:医師免許・医師歴5年以上・学会の会員 | 書類(学会発表か論文・研修・終結した事例1例以上・ケースレポート) | 認定の手数料3万円※ |
| 認知行動療法師®(一般社団法人 日本認知・行動療法学会) | 必要:国家資格かそれに準ずる公的な専門資格(医師・看護師・公認心理師・臨床心理士・産業カウンセラー®など) | 書類審査(研修の履修・終結した事例2例以上・スーパービジョンを受けた事例の報告) | 審査料30,000円+登録料20,000円※(研修の費用は別) |
| 行動療法士®(一般社団法人 日本認知・行動療法学会) | 必要:学会への入会(大学の学部卒業以上か近接領域で2年以上の職歴) | 書類とレポート(専門行動療法士は面接も) | 認定行動療法士は審査料・登録料とも10,000円※(年会費7,000円・入会金5,000円は別) |
| 認知行動療法専門カウンセラー(NPO 日本認知行動カウンセリング協会) | 国家資格や心理系の学部卒など。ない人は協会の基礎コースと修了テストから | 養成コースを6単位以上修了して試験(年1回・オンラインか現地) | 養成コース1単位20,000円※×6単位以上(受験料の記載なし) |
| 認知行動療法士/認知行動療法心理士(一般社団法人 日本推進カウンセラー協会) | 国家資格は不要。協会の心理カウンセラー資格か認知行動トレーナー資格と指定の養成講座の修了 | 学科と実技(面接を含む)の試験・年2回 | 受験料20,000円+認定料20,000円※(養成講座148,000円・入会費・年会費は別) |
| 認知行動コーチ®(一般社団法人 コーチング心理学協会) | 不要 | オンライン講座(2日間)の資格認定コース | 44,000円(税込) |
出典:日本認知療法・認知行動療法学会・日本認知・行動療法学会・日本認知行動カウンセリング協会・日本推進カウンセラー協会・コーチング心理学協会の各公式サイト(いずれも2026年10月6日確認)。※は公式サイトに税込・税抜の表記が見当たらない金額で、表示のまま載せています。
上の3つは学会の資格で、学会の研修や実践の事例、研究発表など、専門家としての積み重ねを審査します。認知行動療法師®は、①メンタルヘルス支援の専門資格を持つ ②学会のトレーニング・ガイドラインに基づく研修(基礎5科目と各論1科目)を履修する ③最後まで終えた実践の事例が2例以上ある ④学会が認定する認知行動療法スーパーバイザー®から継続してスーパービジョンを受けた事例を報告する、の4つをすべて満たす必要があります(日本認知・行動療法学会・2026年10月6日確認)。研修は学会のeラーニングやオンラインでも受けられると案内されていますが、専門資格・事例・スーパービジョンの条件は変わりません。2026年の申請受付は6月10日から7月31日までで、すでに締め切られています。
認知行動療法認定医は医師だけが対象で、医師歴5年以上・学会の会員であることに加え、マニュアルに従って終結した個別の認知行動療法の事例などが求められます(日本認知療法・認知行動療法学会・2026年10月6日確認)。行動療法士®は国家資格を条件にしていませんが、学会への入会が前提です。入会には大学の学部卒業以上か、医療・教育・心理・福祉などの近接領域で2年以上働いた経験が必要で、認定行動療法士はさらに会員歴1年以上、学会主催の研修を延べ6時間以上、学会での研究発表1回以上などが条件になります(日本認知・行動療法学会・2026年10月6日確認)。
下の3つは協会の資格です。認知行動療法専門カウンセラーは国家資格や心理系の学部卒などがある人を対象にしていますが、ない人も協会の基礎コース(動画の全10講座・1講座6,600円)と修了テストを経て養成コースに進めます。
養成コースは名古屋で開かれる対面の少人数セミナーで、全9単位のうち6単位以上を修了すると審査の対象になります(NPO 日本認知行動カウンセリング協会・2026年10月6日確認)。
認知行動療法士と認知行動コーチ®は、国家資格を前提にしていません。コーチング心理学協会のサイトには、5つの講座(各44,000円)と課題・面接の審査(33,000円)を経て認定されるポジティブ認知行動療法士®も載っています(コーチング心理学協会・2026年10月6日確認)。
取ったあとの決まりも資格ごとに違います。
認知行動療法認定医は5年に1回の更新(更新料1万円)、認知行動療法師®は規程で有効期限が5年とされ、更新のときにも登録料20,000円がかかります。
認定行動療法士は3年間有効です。日本推進カウンセラー協会の資格は3年で失効し、実務試験を受けるか3年間で15単位以上を取ると更新できます。
認知行動コーチ®は、協会のページで年会費・更新料はないと案内しています(いずれも各団体の公式サイト・2026年10月6日確認)。
総額は取るときの費用だけでなく、続けるための費用まで足して見ておくと読み違えません。
保険診療で認知行動療法を行えるのは3つの区分だけです
資格を選ぶ前に押さえておきたいのが、医療として行う認知行動療法を誰が担えるかです。医療機関で保険を使って受ける「認知療法・認知行動療法」は、診療報酬で行う人の区分が決められています。厚生労働省の令和8年度(2026年度)診療報酬改定の資料(概要)では、次の3つです。
- 医師による場合
- 医師及び看護師が共同して行う場合
- 公認心理師による心理支援を伴う場合(この改定で新しく加わった区分)
3つ目の区分には条件がついています。資料では、認知療法・認知行動療法を行っている保険医療機関で2年以上勤務した経験のある専任の公認心理師であることが求められ、施設の基準にも、治療面接への60回以上の同席や研修の修了といった項目が並んでいます。公認心理師の資格を持っていれば、すぐにこの区分で行えるわけではありません。
この資料のどこにも、民間の資格の名前は出てきません。上の区分に当てはまらない人が、民間の資格を取ったことで保険の認知行動療法を担えるようになることはありません。学会の資格も同じで、日本認知・行動療法学会は認知行動療法師®を、すでに持っている専門資格の業務を行う際に認知行動療法を専門的に実施する実力の認定と説明しています。公式の説明は、もとの専門資格の仕事の中で使う力の証明までです。
保険の対象になる病気は、うつ病などの気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、神経性過食症に、この改定で不眠症が加わりました。日本認知療法・認知行動療法学会によると、保険診療は2010年のうつ病から始まり、2016年にパニック症・社交不安症・強迫症・PTSD、2018年に神経性過食症へと広がってきた一方で、日本では普及が十分に進んでおらず、実施できる機関はまだ多くないとされています。
受ける側から見ると、保険で認知行動療法を行う医療機関は届出制で、厚生労働省の「心の健康」のページに届出医療機関の一覧(令和6年12月時点)が載っています。気分の落ち込みや不安が続いてつらいときは、資格や講座を調べるより先に、医療機関や「こころの耳」の相談窓口に相談してください。治療としての認知行動療法は、そこから始まるものです。
公認心理師になるまでの道のりは、別の記事で整理しています。
認知行動療法士と認知行動療法師は別の団体の資格です
検索すると並んで出てくる「認知行動療法士」と「認知行動療法師」は、1字違いですが、認定している団体も受ける条件も違う別の資格です。
- 認知行動療法師®:一般社団法人 日本認知・行動療法学会が認定。国家資格などの専門資格が前提で、研修・事例・スーパービジョンを書類で審査します
- 認知行動療法士:一般社団法人 日本推進カウンセラー協会が認定。国家資格は前提にせず、協会の資格と指定の養成講座のあとに学科と実技の試験を受けます
違いは字ではなく、認定する団体と受けるまでの条件にあります。名前で見比べるより、どの団体の資格かを先に確かめると取り違えません。日本認知・行動療法学会は「認知行動療法師®」を商標登録しており、この名称を含む名前を学会の許諾なしに使うことは認めないと案内しています。
日本推進カウンセラー協会の資格には、同じ試験で2つの名前があります。協会の認知行動トレーナー資格を持つ人は「認知行動療法心理士」、持たない人は「認知行動療法士」として認定されます。受験の対象は、協会認定の心理カウンセラー資格か認知行動トレーナー資格を持ち、協会が推奨するハートフルライフカウンセラー学院の「認知行動療法心理士養成講座」を修了した人です。試験は年2回(8月末と2月末の最終日曜日)で、学科と、面接を含む実技があります(日本推進カウンセラー協会・2026年10月6日確認)。
前提の資格を持っていない人が「認知行動療法士になるには」いくらかかるのかも見ておきます。学院の案内では、養成講座(148,000円・教材費込み・教室で計16時間)を受けられるのは、学院の「プロフェッショナルコース」(314,000円・2時間×24回)の修了生などとされています。前提のコースから認定までを公式に書かれた金額で足すと、314,000円+148,000円+受験料20,000円+入会費5,000円+年会費4,000円+認定料20,000円で511,000円です(いずれも税込・税抜の表記なし。前提のコース側の受験料や認定料は確認できなかったため含めていません。ハートフルライフカウンセラー学院・日本推進カウンセラー協会・2026年10月6日確認)。
名前の響きより、前提の条件・取り方・取ったあとに何に使うかの3点で比べると、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。受験の条件の重さで資格を並べる見方は、心理カウンセラーの資格全体を比べるときにも使えます。
>【協会監修】難易度で選ぶなら?未経験でも取れる心理カウンセラー資格を勉強時間と受験条件で比較
前提資格のない人が学べるのは治療ではなく考え方の土台です
前提の資格がなくても取れる民間の資格は、何に役立つのでしょうか。提供している側の説明を見ると、位置づけがはっきりします。コーチング心理学協会は、認知行動コーチ®の案内ページの比較表で、診療報酬との関係を「直結しない(予防・成長支援の資格)」と自ら書いています(コーチング心理学協会・2026年10月6日確認)。
認知行動療法そのものについて、日本認知・行動療法学会は「行動科学と認知科学を臨床の諸問題へ応用したもの」と説明し、問題を具体的な行動として捉えて分析し、目標を具体的にして、不安の点数や行動の頻度などの指標で効果を確かめる治療法だとしています。学会のトレーニング・ガイドラインには、認知再構成法や問題解決療法、エクスポージャー法など11の基本技法が挙げられています。認知行動療法師®の条件になる研修は、このガイドラインに沿って組まれています。
この違いを踏まえると、前提資格のない人が民間の資格で学べることと、専門家に任せることは次のように分かれます。
- 学べること:出来事と考えと気分のつながりという基本の見方/技法の名前と、それぞれが何をねらう方法か/自分の考え方のクセに気づいたり、身近な人の話を聴いたりするときの視点
- 専門家に任せること:病気の診断と、治療として行う認知行動療法/エクスポージャーや曝露反応妨害法のように、専門家の指導のもとで行う技法を誰かに試すこと
後者には公的な線引きがあります。厚生労働省のPTSDの認知行動療法マニュアル(治療者用)は、持続エクスポージャー療法を実施する条件として、正規の指導者による24時間のワークショップへの参加と所定のスーパーバイズを挙げています。日本認知・行動療法学会も、認知行動療法師®の条件にあるスーパービジョンは、学会が認定した認知行動療法スーパーバイザー®以外から受けたものは認めないと案内しています。こうした訓練は、民間の講座の受講だけでは置き換えられません。
それでも、基礎を学ぶ意味がなくなるわけではありません。自分が追い詰められたときの考え方のクセに気づいたり、家族や同僚の話を聴くときに出来事と気持ちを分けて受け止めたりする場面では、基礎の知識がそのまま手がかりになります。治療を担うためではなく、日常の関わりの土台として学ぶ、という位置づけです。
基礎を学んだあとにもっと深く知りたくなる人もいます
当協会が認定するメンタルヘルス支援士も、前提の資格がなくても学べる民間資格の1つです。名前に認知行動療法がつく資格ではありませんが、全5章の公式マスターブックのうち3章で認知行動療法の基礎を扱っています。この資格の受講を終えた方に尋ねたアンケート(受講後アンケート・248件)から、3章に関わる回答を紹介します。
- 3章の満足度:大満足62人・満足146人(合わせて208人・83.9%)、普通34人、やや不満6人
- 改善して欲しい点(複数選択)で、認知行動療法の「深い知識が欲しい」を選んだ人:73人(29.4%)
8割を超える方が3章に満足と答えた一方で、3割近い方がもっと深く知りたいと答えています。基礎の知識が身につくと、技法ごとのやり方や病気ごとの進め方など、その先にある専門の領域が見えてくるからだと考えられます。回答したのは当協会の資格を受けた方だけで、ほかの資格を学んだ方の声は含まれていません。
深める道は、目的によって分かれます。資格として認知行動療法を専門に行う道は、先に並べた学会の資格で、国家資格などの専門資格が入口になります。知識として深めたいなら、国立精神・神経医療研究センターの認知行動療法マップのように、セラピスト向けのマニュアルやワークシートを無料で公開している公的なサイトもあります。基礎を学んだあとに「もっと知りたい」と感じたことは、次の一歩を選ぶ手がかりになります。

目的と持っている資格から選ぶと迷いません

ここまでの事実を、目的ごとに並べ直しました。並びは一覧表と同じく前提の重いものからで、名前に認知行動療法がつかない資格と、資格を取らない選び方を最後に置いています。
| 目的 | 近い資格 | 先に確かめたいこと |
|---|---|---|
| 医師として認知行動療法を専門に行う力を示したい | 認知行動療法認定医 | 医師歴5年以上・学会の会員 |
| 看護師・公認心理師・臨床心理士などの仕事の中で専門的に行う力を示したい | 認知行動療法師® | 研修・終結した事例2例・スーパービジョン。2026年の申請は7月31日で締め切り済み |
| 行動療法を学会の研修や研究発表を通じて学びたい | 行動療法士® | 学会への入会が前提・認定行動療法士は3年間有効 |
| 専門職や心理系の学部卒として対面の少人数セミナーで学びたい | 認知行動療法専門カウンセラー | 名古屋で対面・6単位以上 |
| 前提の資格なしで教室の講座と実技の試験まで受けたい | 認知行動療法士/認知行動療法心理士 | 協会の資格と養成講座が前提・試験は年2回・3年で更新 |
| 前提の資格なしで仕事や生活のコーチングに活かしたい | 認知行動コーチ® | オンライン2日間・44,000円(税込)・年会費と更新料なし |
| 心の不調の基礎知識とあわせて認知行動療法の考え方を家で学びたい | メンタルヘルス支援士(当協会の資格) | 3章「認知行動療法の種類と基礎知識」・24時間オンラインで受験・受講料と試験料で40,260円(税込)・登録料と更新料なし |
| 資格は取らずにまず考え方に触れたい | 資格は不要 | 認知行動療法マップのセルフヘルプ(無料の動画とワークシート) |
出典:一覧表の各団体、人間力認定協会、国立精神・神経医療研究センターの公式サイト(いずれも2026年10月6日確認)。
専門職として認知行動療法を行うことが目的なら、表の上の行のように、まず国家資格などの専門資格があるかどうかで候補が決まります。持っていない場合、学会の資格は入口が別にあり、民間の資格で代わりにすることはできません。反対に、自分や身近な人のために考え方を学びたい場合は、前提の資格がない資格からでも始められます。その場合は、教室か家か、講座の時間、取ったあとの費用まで比べると、続けやすいものを選べます。
メンタルヘルス支援士は当協会が認定する民間資格で、受講・受験の資格を設けていません。表の行のとおり、認知行動療法の基礎を心の不調の基礎知識と一緒に家で学ぶ形です。認知行動療法を治療として行うためではなく、家族や職場の人の心の不調に関わる場面で使える知識を持ちたい、という目的なら、比べる候補の1つになります。
心理カウンセラーの資格を目的別に選ぶ考え方は、別の記事でも整理しています。
>カウンセラー資格はどれがいい?仕事の目的で選ぶ6つと後悔しない確認点
メンタルヘルス支援士について
ここまで、認知行動療法の資格の種類と前提の条件、目的に合わせた選び方についてご紹介してきました。
こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。
当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。
資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。
Q&A|認知行動療法の資格に関するよくある質問
Q1:認知行動療法の資格を取れば医療機関で認知行動療法を行えますか
資格を取ったことで行えるようにはなりません。保険診療の「認知療法・認知行動療法」は、厚生労働省の令和8年度の改定資料で、医師による場合・医師及び看護師が共同して行う場合・公認心理師による心理支援を伴う場合の3つの区分に限られ、公認心理師には勤務経験などの条件もあります。民間の資格の名前はこの資料に出てきません。学会の認知行動療法師®も、すでに持っている専門資格の業務の中で使う実力の認定です。
Q2:認知行動療法士と認知行動療法師はどう違いますか
認定している団体と受ける条件が違います。認知行動療法師®は一般社団法人 日本認知・行動療法学会の資格で、国家資格などの専門資格と研修・事例・スーパービジョンが条件です。認知行動療法士は一般社団法人 日本推進カウンセラー協会の資格で、国家資格は前提にせず、協会の資格と指定の養成講座のあとに学科と実技の試験を受けます。
Q3:国家資格がなくても受けられる認知行動療法の資格はありますか
あります。認知行動療法士/認知行動療法心理士(日本推進カウンセラー協会)と認知行動コーチ®(コーチング心理学協会)は国家資格を前提にしていません。認知行動療法専門カウンセラー(日本認知行動カウンセリング協会)も、国家資格がない人は協会の基礎コースと修了テストから進めます。どれも治療として認知行動療法を行うための資格ではありません。
Q4:認知行動療法の資格はオンラインでも取れますか
資格によって違います。認知行動コーチ®はオンラインの2日間の講座です。認知行動療法専門カウンセラーは試験をオンラインでも受けられますが、養成コースは名古屋での対面です。認知行動療法士の養成講座は教室で行われます。認知行動療法師®は研修をeラーニングやオンラインでも受けられますが、専門資格・事例・スーパービジョンの条件は同じです。
Q5:認知行動療法の資格に更新はありますか
多くの資格にあります。認知行動療法認定医は5年に1回(更新料1万円)、認知行動療法師®は有効期限5年で更新時の登録料20,000円、認定行動療法士は3年間有効、日本推進カウンセラー協会の資格は3年で失効し実務試験か単位の取得で更新します。認知行動コーチ®は年会費・更新料なしと案内されています。
まとめ|認知行動療法の資格
- 認知行動療法の資格は、専門職が実力を示す学会の資格と、前提の資格がなくても学べる協会の資格に分かれます
- 保険診療の認知行動療法を担えるのは、医師・医師と看護師・条件を満たした公認心理師の3つの区分で、民間の資格では行えません
- 認知行動療法士と認知行動療法師は、認定する団体も受ける条件も違う別の資格です
- 前提資格のない人が学べるのは、治療ではなく自分や身近な人と関わるための考え方の土台です
- 取ったあとの更新や費用まで足して比べると、続けやすい資格を選べます
- 目的と持っている資格がはっきりすれば、学会の資格を目指すか、基礎から学ぶかの道筋が見えてきます
【注意事項】
この記事で紹介している内容は、当協会が収集したアンケート・体験談の一部をもとにまとめています。心の状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や不安がある場合は、早めに医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。
本記事に掲載した他団体の資格の情報は、2026年10月6日時点で各団体の公式サイトを確認した内容です。条件・費用・試験の日程・更新の決まりは変更されることがありますので、申し込みの前に必ず各団体の公式サイトでご確認ください。「認知行動療法師」「認知行動療法スーパーバイザー」「行動療法士」「認知行動コーチ」「ポジティブ認知行動療法士」「産業カウンセラー」は登録商標です(各団体の公式サイトの®表記による)。


