職場の人間関係に疲れた…我慢しても辞めても悩みがつきまとう原因とは

休憩室に入ったとたん、さっきまでの話し声がぴたりと止まる。古株の先輩に、ほかの人の前できつい言い方をされる。子どもの用事で休みをもらうと、聞こえるように嫌味を言われる。

そんな毎日が続くと、出勤の前の夜から気が重くなり、朝には涙が出そうになる。何度も「もう辞めたい」と思う。でも、次の職場でうまくやっていけるのだろうか。自分が弱いだけではないのか。そう考えると踏み切れず、我慢したまま毎日を送るしかないと思っていませんか。

ですが、そのまま我慢を続けるのはおすすめできません。我慢を続けるほど、心と体は少しずつすり減っていきます。強いストレスが長く続くと、適応障害やうつ病などの心の不調につながることもあります。

辞めれば解決するのではと思うかもしれません。ですが、根本の原因がそのままだと、同じ結果を招くこともあります。

せっかく勇気を出して職場を変えても、次の職場でまた同じことに悩む。人間関係の悩みがずっとついて回るのは、その原因が見えていないからかもしれません。

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職場の人間関係に疲れたと感じるのはこんなとき|よくある5つの場面

職場の人間関係の疲れは、周りからはなかなか見えません。たとえば、こんな場面に心当たりはないでしょうか。

  • 人によって教え方が違う
    ほかの人には丁寧に教えているのに、自分が聞くと「前に言ったよね」と返される。できていないところだけを注意されます。
  • あいさつのあとの反応が違う
    あいさつは返ってくるけれど、自分とはそこで会話が終わる。ほかの人とは楽しそうに話し込んでいるのを見ると、心がしぼんでいきます。
  • 自分だけ連絡が回ってこない
    シフトの変更や職場の決まりごとが、自分にだけ伝わっていない。気づいたときには「聞いてないの?」と言われます。
  • 大変な仕事ばかり回ってくる
    人の嫌がる作業や急ぎの仕事が、いつも自分に回される。断ると何を言われるか分からず、黙って引き受けてしまいます。
  • ほかの人から自分の悪口を聞かされる
    「あの人がこんなこと言ってたよ」と教えられる。誰を信じていいのか分からなくなります。

こうしたことが続くと、相手のほうではなく自分のほうに原因があるのではと考え始めてしまいます。

「私が悪いのかな」と思ってしまう…自分を責めるほど職場に行けなくなります

Q&Aサイトや掲示板でも、「入って何年もたつのに気軽に話せる人がいない」「私の何がいけないのか分からない」という声を多く目にします。40代や50代で働きに出た方が、女性の多い職場で居場所を見つけられずに悩んでいる声も目立ちます。

嫌な言い方をされても、「私の仕事が遅いから」「私が気をつかえていないから」と自分のせいにしてしまう。そう考えるほど、職場では小さくなって過ごすようになります。

びくびくしながら働いていると、焦って小さなミスが増えます。そのミスをまた注意されて、「やっぱり私が悪いんだ」と思い込む。こうして自分を責めるほど、職場に向かう足がどんどん重くなっていきます。

我慢し続けた先に起こること|心と体と家庭に表れる限界のサイン

「仕事なんだから多少のことは我慢しないと」と思いますよね。ですが、人間関係の疲れは時間がたてば消えるものではなく、少しずつ積み重なっていきます。

職場の人間関係を強いストレスに感じる人は増えています

日曜日の夕方になると、明日のことを考えて気持ちが沈む。仕事が終わって家に帰っても、言われたことが頭の中で何度もよみがえる。そんな毎日が続くと、休みの日まで心が休まらなくなります。

仕事の強いストレスとして「対人関係」を挙げる人は、前の年の26.1%から32.9%に増えています。女性では37.6%と、さらに高くなっています。

いじめや嫌がらせの相談は14年続けて最も多くなっています

無視をされる。わざと仕事を回してもらえない。みんなの前で笑われる。これが毎日続くと、「自分がおかしいのかもしれない」とまで思うようになってしまいます。

全国の労働局などに寄せられる働くうえでの相談でも、「いじめ・嫌がらせ」は1年で55,614件ありました。14年続けて最も多い内容で、職場の人間関係で苦しんでいる人はそれだけ多いということです。

職場の人間関係に悩む人は増えている

職場の疲れは家庭にまで持ち帰られます

職場で言い返せずにためこんだ気持ちは、家に帰ってから出てくることがあります。子どもがなかなか宿題をしないだけで、きつい声を上げてしまう。夫に職場の話をしても「気にしすぎ」と言われて、余計に孤独を感じる。

寝る前に「明日もあの人と顔を合わせるのか」と考えて眠れなくなり、疲れが抜けないまま朝を迎える。我慢を続けるほど、職場だけでなく家での時間まで少しずつ削られていきます。

※この章の数字は、厚生労働省「労働安全衛生調査」(令和7年)と「個別労働紛争解決制度の施行状況」(令和7年度)によるものです。

職場の人間関係で辞めたいと思っても…転職すれば楽になるとは限りません

ここまで我慢してきたなら、「もう辞めてしまおう」と考えるのは自然なことです。ですが、辞めて職場を変えれば楽になるかというと、そう単純ではありません。

辞めやすいからこそ同じことをくり返してしまう

パートの仕事は、正社員と比べて辞めるハードルが低いと感じやすいですよね。「合わなければ次を探せばいい」と辞めて、次の職場でもまた合わない人に出会い、また辞める。そのたびに新しい仕事を覚え、一から人間関係をつくり直すことになります。

パートで働く人のうち1年で辞める人は21.4%、新しく入る人は22.7%と、どちらも2割を超えています。正社員などと比べると、辞める人の割合はおよそ2倍です。辞めやすい分だけ、人間関係をつくり直す疲れも何度も味わうことになります。

人間関係で辞めても次の職場にも合わない人はいます

前の職場を人間関係で辞めて、新しい職場に入った。最初のうちはほっとしたのに、しばらくすると「また同じような人がいる」と気づいてしまう。「次は女性の少ない職場にしよう」と選んでも、人がいる以上は合わない人との出会いは避けられません。

人間関係を理由に職場を変えても、移った先でまた同じような人に出会うことはあります。

新しい職場でも満足できるとは限りません

思い切って職場を変えたのに、新しい仕事を覚えるのに必死で、気をつかう相手がまた一から増える。その疲れから「前のほうがまだましだった」と感じる人もいます。

職場を変えても、人との距離のとり方や物事の受け止め方が同じままなら、次の職場でもまた同じところで苦しくなりやすいのです。

※この章の数字は、厚生労働省「雇用動向調査」(令和6年)によるものです。

我慢しても辞めても人間関係の悩みがつきまとう原因

職場を変えても同じ悩みをくり返してしまうのは、性格が悪いからでも努力が足りないからでもありません。多くの場合、人との関わり方や受け止め方に、自分では気づきにくい癖があることが原因と考えられます。

相手の機嫌を自分のせいだと受け止めてしまう

相手が不機嫌そうにしているだけで、「私が何かしたのかな」と考えてしまう。実際には、相手が家のことで疲れていたり、もともとそういう話し方の人だったりすることも少なくありません。

相手の機嫌を自分の責任のように受け止めていると、どの職場に行っても、周りの顔色をうかがい続けることになります。

嫌われないように無理に合わせて疲れる

本当は断りたい仕事も引き受けてしまう。興味のない話にも笑ってうなずく。嫌われないように合わせ続けるほど、心は少しずつ疲れていきます。

そして周りからは「何でも引き受けてくれる人」と見られ、さらに頼みごとや無理な扱いが増えることもあります。

「私が悪い」と自分を責める考え方の癖

一度きつく言われただけで、「私はいつもだめだ」「どこに行っても嫌われる」と考えてしまう。一つの出来事を、自分全体の評価のように受け止めてしまう癖です。

この癖があると、新しい職場でも小さな失敗をきっかけに同じ考えに引き戻されます。職場が変わっても、つらさの感じ方は変わらないままになってしまいます。

合わない人との距離のとり方を知らない

合わない人とは、仲良くなる必要も、嫌われないように努力し続ける必要もありません。ですが、ほどよい距離のとり方を知らないと、「仲良くするか我慢するか」のどちらかしか選べなくなります。

その結果、合わない人がいるたびに我慢をくり返し、限界が来たら辞める。この流れが、人間関係の悩みがつきまとう大きな理由の一つです。

辞める前に今日からできる3つのこと

とはいえ、職場の人を変えるのは難しいと思います。そこでここでは、相手を変えるのではなく、自分の受け止め方と関わり方を少しずつ変えるためにできることを紹介します。

相手の機嫌は相手のもの|全部を気にしないように割り切る

きつい言い方をされたときは、「これは相手の問題」「これは自分が直せること」と、心の中で分けてみてください。仕事のやり方への注意なら、直せるところだけ直せば十分です。言い方のきつさや機嫌の悪さまで、自分が背負う必要はありません。

すべてを気にしないのは難しくても、「ここから先は相手のもの」と線を引くだけで、受け止める重さは少し軽くなります。

言い返さずに自分を守る伝え方を覚える

黙って我慢するか、強く言い返すか。その二つしかないと思うと、結局は我慢を選んでしまいますよね。ですが、相手を責めずに自分の気持ちや事情を伝える方法もあります。これを「アサーション」と言います。

  • 仕事を急に頼まれたとき
    「今これをやっているので、終わってからでもいいですか」と、今の状況と自分ができることを一緒に伝えます。
  • きつい言い方をされたとき
    「すみません、もう一度教えてもらえますか」と、言い方には反応せず内容だけを確かめます。
  • 休みをもらうとき
    「ご迷惑をおかけします。代わりにこの日は出られます」と、できることを添えて伝えます。

言いなりにもならず、けんかにもならない伝え方を知っておくと、合わない人とも必要な分だけ関われるようになります。

職場の外に居場所と相談先を持つ|孤立しても一人で抱えない

職場で孤立していると、世界中から嫌われているような気持ちになることがあります。ですが、職場はあくまで生活の一部です。趣味の集まりや昔からの友人など、職場の外にほっとできる場所をもっておくと、職場での出来事を少し離れて見られるようになります。

いじめや嫌がらせを受けているときは、全国の労働局などにある「総合労働相談コーナー」に無料で相談できます。心のつらさを話したいときは、厚生労働省の「こころの耳」の相談窓口もあります。職場のつらさを誰にも話せずに抱えてしまうときは、次の記事も参考になります。

>誰にも相談できない職場のストレス…上司にも言えず抱え続けた人の末路と対策

職場の人間関係に疲れたとき辞める前にできる3つのこと

ただ、どの方法も一度やれば終わりではありません。人との距離のとり方や受け止め方の癖は、長い時間をかけて身についたものです。我慢しても辞めても同じ悩みをくり返さないためには、心の仕組みや人との関わり方を知り、どこで働いても使える自分の守り方を身につけておくことが大きな助けになります。

メンタルヘルス支援士について

当協会が認定している「メンタルヘルス支援士」は、心の不調について順を追って学べる民間資格です。ストレスや心の不調の基礎・考え方の癖に気づく認知行動療法・傾聴を中心としたカウンセリングの基本まで扱います。職場の人間関係に振り回されず、自分の心を守るための知識が身につきます。

人間関係で疲れる仕組みが分かる|ストレスと心の不調の基礎

ストレスが心と体にどう表れ、どのように心の不調につながっていくのかを学べます。出勤前に体がついてこなかったり眠れなかったりするのは、気持ちが弱いからではなく、心と体が出しているサインだと分かるようになります。

仕組みが分かると、「まだ大丈夫」と無理を重ねる前に、自分で立ち止まれるようになります。

自分を責める考え方の癖に気づける|認知行動療法

認知行動療法では、「私が悪い」「どこに行っても嫌われる」と考えてしまう癖に気づき、受け止め方を少しずつ変えていく方法を学べます。

相手の言葉をそのまま自分への評価として受け取らずにすむようになると、同じことを言われても、心にかかる重さが変わってきます。

言い返さずに伝える練習ができる|アサーションと傾聴

別冊のワークでは、相手を責めずに自分の気持ちを伝えるアサーションを練習できます。「今は手が離せません」「もう一度教えてください」と、我慢も言い返しもせずに伝える助けになります。

傾聴を学ぶと、相手がなぜその言い方をするのかにも目が向くようになります。合わない人とも、必要な分だけ落ち着いて関われるようになります。

どの職場に行っても使える|仕事の合間にスマホで学べる

学んだ心の守り方は、今の職場を続けるときにも、この先どこで働くときにも使えます。テキストの内容はスマホでも学べるので、休憩時間や子どもが寝たあとに少しずつ進められます。試験もスマホから24時間受けられ、終わるとその場で合否が分かります。平均の受講期間は約2か月です。

受講後のアンケートでは、回答した248人のうち247人が「受講してよかった」と答えています。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス部門で第2位に選ばれました。

我慢し続けるのも、辞めて同じことをくり返すのも、もう終わりにしたい。どこで働いても自分の心を守れるようになりたい。そんな方の学びの一つとして、検討していただけたらうれしいです。

>メンタルヘルス支援士の詳細について

Q&A|職場の人間関係に疲れたときによくある質問

Q1:職場の人間関係を気にしないコツはありますか?

「職場は仕事をしに行く場所」と割り切り、仲良くなることを目標にしないのが一つのコツです。あいさつと仕事に必要な会話ができていれば十分です。きつい言い方をされたときは、仕事の中身だけを受け取って言い方は相手のものと考えると、気にしすぎずにすみます。

Q2:人間関係がつらくて仕事を辞めたいときはどうしたらいいですか?

辞める前に、何がいちばんつらいのかを書き出してみてください。特定の人との関係なのか、職場全体の雰囲気なのかで、取れる手は変わります。いじめや嫌がらせを受けている場合や、眠れない・食べられない日が続いている場合は、我慢を続けずに相談窓口や医療機関に相談しましょう。相談先は、次の記事にもまとめています。

>仕事のストレスで辞められない…人間関係がつらい時の相談先と心を守る方法

Q3:40代女性が人間関係で辞めても次の仕事は見つかりますか?

見つからないとは限りません。厚生労働省の「雇用動向調査」では、令和6年に40代前半で転職した人のうち、賃金が増えた人は45.9%でした。一方で、減った人も29.0%います(いずれも男女計)。条件のよい次が見つかる人もいれば、下がる人もいるということです。辞めた理由と次の職場で避けたいことを整理してから動くと、同じ悩みをくり返しにくくなります。

まとめ|職場の人間関係に疲れたまま我慢も退職もくり返さないために

  • 古株にきつく当たられる・休憩室で孤立する・陰口が聞こえるといった疲れは、多くの人が抱えている
  • 我慢を続けると、ストレスは心と体だけでなく家庭にまで持ち帰られる
  • 辞めやすい分だけ人間関係をつくり直す疲れをくり返し、次の職場にも合わない人はいるので、辞めても楽になるとは限らない
  • 辞めても悩みがつきまとうのは、受け止め方の癖や距離のとり方が変わらないままだから
  • 相手の機嫌と自分の課題を分け、言い返さずに伝える方法と職場の外の居場所を持つことが第一歩
  • どこで働いても使える心の守り方を身につけることが、同じ悩みをくり返さない助けになる

つらい職場で今日まで踏ん張ってきた毎日は、本当に大変だったと思います。この記事が、我慢でも退職でもない道を考えるきっかけになれば幸いです。

【注意事項】

この記事は、厚生労働省「令和7年 労働安全衛生調査(実態調査)」「令和7年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」「令和6年 雇用動向調査」、メンタルヘルス支援士の受講後アンケート(有効回答248件・2025年3月〜2026年8月)の一部をもとにまとめています。離職率と入職率は、全国の常用労働者のうちパートタイム労働者の値です。賃金の増減は男女計の値です。Q&Aサイトや掲示板の声は、内容を変えずに言い換えて紹介しています。

参考・相談先

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