誰にも相談できない職場のストレス…上司にも言えず抱え続けた人の末路と対策

朝、職場に着くといつもどおりの顔をつくる。仕事中は平気なふりをして、家に帰っても頭の中は職場のことでいっぱい。誰かに聞いてほしいのに、いざとなると言葉が出てこない。

上司に言えば評価に響きそう。同僚には弱音だと思われたくない。家族には心配をかけたくない。そうやって誰にも言えないまま、一人で抱えている方も多いと思います。

ただ、実は誰にも言えないまま抱え続けるのは、思っている以上に危ないことかもしれません。休職や退職につながるケースは、身近な職場でも決してめずらしくないからです。

「まだ大丈夫」「もう少し頑張れば何とかなる」。そう思って、今日もなんとか乗り切っていませんか。

ですが、眠れない夜が増えていたり日曜の夜になると気持ちが沈んだりしているなら、心はもう危ない状態に近づいているかもしれません。

メンタルヘルス支援士 公式サイト

職場のストレスを誰にも言えず平気なふりを続けていませんか

誰にも相談できないときの毎日は、外からはなかなか見えません。たとえば、こんなことに心当たりはないでしょうか。

  • 職場では笑顔でいる
    本当はつらいのに、周りに気づかれないようにいつもどおり振る舞ってしまいます。
  • 家に帰っても頭から離れない
    夕食のときもお風呂に入っているときも、言われた言葉や明日のことを考えてしまいます。
  • 夜中に目が覚める
    寝つけない日や、明け方に目が覚めてそのまま眠れない日が増えてきました。
  • 日曜の夜が憂うつになる
    休みの日も次の日の仕事を思うと気持ちが沈み、心から休めた気がしません。
  • 「このくらいで」と自分を責める
    みんな頑張っているのに、こんなことでつらいと思う自分が情けなくなります。

一つでも当てはまるなら、それだけ長いあいだ一人で抱えてきたということだと思います。

同じように悩みを抱えながら、誰にも言えずにいる人は少なくありません。厚生労働省の「国民生活基礎調査」(令和4年)では、「相談したいが誰にも相談できないでいる」と答えた人が約250万人いました。

上司にも同僚にも家族にも言えない…その我慢がストレスをため込んでいきます

話せないのには、それぞれ理由があります。

  • 上司には評価が気になって言えない
    弱いところを見せたら、仕事を任せてもらえなくなるかもしれない。そう思うと、体調のことほど言いにくくなります。
  • 同僚には弱音だと思われたくない
    みんな忙しそうにしているのに、自分だけつらいと言うのは甘えているようで気が引けます。話した内容が広まるのも怖いですよね。
  • 家族には心配をかけたくない
    家では元気でいたい。仕事のことで家族の空気まで重くしたくないと思ってしまいます。
  • 何から話せばいいか分からない
    つらいことが重なりすぎて、うまく言葉にできません。話そうとすると気持ちのほうが先に詰まってしまいます。

どれも、周りの人や家族を思うからこそ出てくる気持ちですよね。

ただ、言わずにいるあいだも、ストレスは消えずにたまっていきます。外に出せないぶん、その重さは自分の心と体が一人で受け止め続けることになります。

人間関係そのものに疲れ切っているときは、まず原因を整理してみてください。

>職場の人間関係に疲れた…我慢しても辞めても悩みがつきまとう原因とは

上司にも言えず抱え続けた人の末路|誰にも相談できないストレスが招くこと

誰にも相談できない人の4割近くは心の負担が重い状態です

国民生活基礎調査には、K6という心の状態を測る6つの質問の結果も載っています。点数が高いほど心の負担が大きいとされ、10点以上が中等度以上の目安です。

当協会が相談の状況ごとに計算すると、「相談したいが誰にも相談できないでいる」人では38.6%が10点以上でした。悩みやストレスがある人全体(17.6%)の約2.2倍です。同じ時点で比べた数字なので、相談しなかったから重くなったとまでは言えません。それでも、誰にも言えずにいる人の多くがすでにかなりのつらさを抱えていることが分かります。

眠れない・ミスが増える…つらさは体と仕事に出てきます

心の負担が続くと、眠れない・食欲が落ちる・頭痛や腹痛が続くといった形で体に出てくることがあります。

集中できずにミスが増え、そのことでまた自分を責め、ますます誰にも言えなくなる。そんな悪循環に入ってしまうこともあります。

休職や退職は7つの職場に1つで起きています

厚生労働省の「労働安全衛生調査」(令和7年)では、心の不調で1か月以上続けて休んだ人か、辞めた人がいた職場は13.5%でした。およそ7つの職場に1つです。

特別な職場の話ではありません。いま働いている職場や、隣の部署で起きていてもおかしくない数字です。

誰にも相談できないでいる人の38.6%が心の負担が重い状態であることを全体17.6%と比べた図

職場の人間関係が命に関わることもあります

厚生労働省と警察庁のまとめでは、令和7年に自ら命を絶った人のうち、原因や動機の一つに「職場の人間関係」があったものは660件でした。1日に約2人が、職場の人間関係を抱えたまま亡くなっていることになります。

一方で、職場の人間関係を強いストレスに感じている人は増えています。厚生労働省の「労働安全衛生調査」では、仕事の強いストレスの内容に「対人関係」を挙げた人が、前の年の26.1%から令和7年は32.9%になりました。

職場の人間関係のつらさは、誰にも言えずに抱えているうちに、自分でも気づかないところまで進んでしまうことがあります。だからこそ、限界が来る前に自分で自分を守る手立てを持っておくことが大切です。そのうえで、少しずつ頼れる先を持てるようになると、一人で抱える重さはずっと軽くなります。

心がすり減る前に誰にも話さず今日から一人でできる3つの対策

「誰かに相談して」と言われても、なかなかそうできずに悩んでいる方が多いのが現状だと思います。話せないことそのものが、つらさをいっそう重くしてしまうこともありますよね。そこでここでは、誰にも話さなくても一人で今日から始められる対策を紹介します。

頭の中を書き出して自分に話す

誰にも話せないなら、まずは紙やスマホのメモに話してみてください。何があったか・そのときどう感じたか・いまの体の様子を、思いつくまま書くだけで大丈夫です。

頭の中だけで考えていると、同じ場面が何度もよみがえって気持ちが重くなっていきます。書き出すと、起きたことと自分の気持ちを少し離れて見られるようになります。誰にも見せなくてかまいません。

書きためたメモは、もし医療機関や相談窓口に行くことになったとき、「いつからどのくらい続いているか」を伝える材料としてもそのまま使えます。

心と体のサインに早めに気づく

つらさは、気持ちより先に体や行動に出ることがあります。いまの自分の状態を知っておくと、無理をしすぎる前に立ち止まりやすくなります。

  • 体に出るサイン
    寝つけない・明け方に目が覚める・食欲が落ちる・朝になると頭やおなかが痛くなる。休日に寝て過ごしても疲れが抜けないこともあります。
  • 気持ちに出るサイン
    ささいなことでイライラする・理由もなく涙が出る・好きだったことが楽しめなくなる。自分では性格のせいだと思いやすい変化です。
  • 行動に出るサイン
    人と話すのがおっくうになる・ミスや忘れ物が増える・お酒や甘いものの量が増える。周りのほうが先に気づくこともあります。

当てはまるサインが増えてきたら、それは心がかなり疲れてきている合図かもしれません。

「こんなことで」と自分を追い込む考え方のくせに気づく

とはいえ、つらいときに「考え方を変えましょう」と言われても、簡単にはできないと思います。それでも考え方のくせに目を向けてほしいのは、職場の人や環境はすぐには変えられなくても、自分の受け止め方なら今日から少しずつ変えていけるからです。

話せない理由の奥には、「こんなことでつらいなんて甘えだ」「自分さえ我慢すればいい」という考え方がひそんでいることがあります。真面目な人ほど、自分にだけ厳しくなりがちです。

そう思ったときは、「同じことを友人から打ち明けられたら何と言うだろう」と考えてみてください。きっと「甘えだ」とは言わないはずです。自分にかけている言葉に気づくだけでも、心の負担は少し変わります。

誰にも話さず一人でできる3つの対策|職場のストレスを相談できないとき

ただ、職場の悩みは一度で終わるとは限りません。異動しても人が入れ替わっても、似たような場面はまたやってきます。そのたびに自分の心を自分で支え続けるには、心の仕組みや、つらいときの考え方のくせを知っていることが大きな助けになります。

メンタルヘルス支援士について

当協会が認定している「メンタルヘルス支援士」は、心の不調について順を追って学べる民間資格です。心の不調の基礎・考え方のくせに気づく認知行動療法・傾聴を中心としたカウンセリングの基本まで扱います。誰にも頼れないときでも、自分の心の状態に気づき、自分で整えていくための知識が身につきます。

自分の心の変化に気づける|心の不調の基礎と認知行動療法

うつなどの心の不調がどう始まり、どんなサインが出るのかを知っておくと、「まだ大丈夫」と無理を重ねる前に自分の変化に気づけるようになります。

認知行動療法では、「こんなことで」と自分を責めてしまう考え方のくせに気づき、受け止め方を少しずつ変えていく方法を学べます。

気持ちを言葉にする練習ができる|アサーションと傾聴

別冊のワークでは、相手を責めずに自分の気持ちを伝えるアサーションや、緊張をほぐすリラクゼーションを練習できます。いつか誰かに話してみようと思えたとき、自分の気持ちを言葉にする助けになります。

傾聴を学ぶと、職場の人との関わり方を見直すきっかけにもなります。受講した方からは、次のような声が届いています。

職場にいる気になる方への対応など関わり方を見直す機会となりました。(40代)

自分のつらさをきっかけに学び始める人も

受講前のアンケートでは、受講の理由として「自身に精神疾患または症状がある(過去にあった)から」を挙げた方が約3割いました。自分がつらい思いをしたことをきっかけに、学び始める方も少なくありません。職場でつらい経験をした方からは、こんな声も届いています。

ずっと無視され続けて嫌な思いをしましたが、周りの理解してくれる同僚に助けられました。話を聴く、共感する、は大事な支援だと思います。(30代)

スマホで自分のペースで学べる|仕事の合間に少しずつ

テキストの内容はスマホでも学べるので、通勤や休憩の合間に少しずつ進められます。試験もスマホから24時間受けられ、終わるとその場で合否が分かります。平均の受講期間は約2か月です。気持ちがつらいときは休むことを優先して、少し落ち着いてから始めても大丈夫です。

受講後のアンケートでは、回答した248人のうち247人が「受講してよかった」と答えています。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス部門で第2位に選ばれました。

誰にも言えない気持ちを、これ以上一人ですり減らしたくない。自分の心を自分で守れるようになりたい。そんな方の学びの一つとして、検討していただけたらうれしいです。

>メンタルヘルス支援士の詳細について

Q&A|誰にも相談できない職場のストレスに関するよくある質問

Q1:誰にも相談できないときはまず何から始めればいいですか?

誰かに話す前に、一人でできることから始めてかまいません。頭の中のことを紙やスマホに書き出したり、心と体のサインに気づいたりすることです。声に出すのが難しくても、厚生労働省の「こころの耳」のようにSNSやメールで気持ちを送れる窓口もあります。悩みの内容ごとの相談先は、次の記事にまとめています。

>仕事のストレスで辞められない…人間関係がつらい時の相談先と心を守る方法

Q2:上司に相談したら評価が下がりませんか?

ストレスチェックで高ストレスと判定され、医師の面接指導を申し出た場合、それを理由に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。日常の相談すべてに同じ決まりがあるわけではありません。不安なときは、体の状態とお願いしたいことだけを短く伝える方法や、職場の外の窓口から始める方法もあります。

Q3:こんなことでつらいと思うのは甘えでしょうか?

甘えではありません。厚生労働省の「労働安全衛生調査」(令和7年)では、仕事で強いストレスを感じている人は67.5%と、3人に2人にのぼります。眠れない・食欲がないなど体にまで出ているなら、心が限界に近づいているサインかもしれません。いまの状態を確かめる目安として、次の記事も参考になります。

>燃え尽き症候群チェックリスト|厚労省27項目とバーンアウト症状の見方

まとめ|誰にも相談できないまま一人で抱え続けないために

  • 「相談したいが誰にも相談できないでいる」人は約250万人。誰にも言えないのは自分だけではない
  • 言えない我慢のあいだも、ストレスは消えずにたまっていく
  • 誰にも相談できない人の4割近くはすでに心の負担が重く、休職や退職は7つの職場に1つで起きている
  • 誰にも話さなくても、書き出す・サインに気づく・考え方のくせに気づくことは今日から一人でできる
  • 自分の心を自分で支え続けるには、心の仕組みを知ることが助けになる

自分に合う心の守り方は、人それぞれ違います。この記事が、一人で抱えている気持ちを少しだけ軽くするきっかけになれば幸いです。

【注意事項】

この記事は、厚生労働省の公表資料(令和4年 国民生活基礎調査、令和7年 労働安全衛生調査)、厚生労働省・警察庁「令和7年中における自殺の状況」、メンタルヘルス支援士の受講前アンケート(有効回答146件・2025年2月〜2026年7月)・受講後アンケート(有効回答248件・2025年3月〜2026年8月)の一部をもとにまとめています。K6の割合は、国民生活基礎調査(詳細集計)第114表で公表されている人数から当協会が計算したもので、相談の状況との関係は同じ時点での傾向です。自殺の状況の「原因・動機」は1人につき最大4つまで数えられるため、件数は人数と一致しません。

参考・相談先

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