カウンセラーがやってはいけないこととは?善意の関わりが逆効果になる7つの理由

職場の後輩や友人から相談されて、少しでも力になりたくて「大丈夫、頑張って」と励ました。原因を一緒に探そうと、いろいろ質問もした。それなのに相手は黙ってしまい、そのあと相談してこなくなった。

よかれと思ってしたことが、なぜうまくいかなかったのか。モヤモヤが残っている方もいると思います。最近は、人ではなくAIに悩みを打ち明ける人も増えてきました。

実は、心理カウンセラーには「相談を受けたときに、あえてやらない」と決めていることがいくつもあります。どれも相手を思う気持ちから自然にしてしまう関わり方ですが、知識がないまま続けると、かえって相手を追い詰めてしまうことがあるからです。

この記事では、カウンセラーがやってはいけないとされる関わり方を7つ取り上げ、なぜ逆効果になるのかと代わりにできることを紹介します。そのうえで、最近増えているAIへの相談についても、気をつけたいことをカウンセラーの目線でまとめました。

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話すのが苦手でも、聴く力から学べます

人の話を聴くのに話し上手である必要はありません。相手の気持ちを受け止める聴き方を、スマホでマイペースに学べます。試験も自宅で受けられるので、家庭や仕事の合間にも始めやすい資格です。

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カウンセラーが「やらないこと」を決めているのは相手を守るため

悩みの相談に乗ることは、相手の心のいちばん弱いところにふれることでもあります。だからこそ、人の相談を受けることを仕事にしているカウンセラーには「これだけはしない」という決まりがあります。

たとえば国家資格の公認心理師には、仕事で知った人の秘密を正当な理由なく漏らしてはいけない義務が、法律で定められています。民間の心理カウンセラーの団体の多くも、秘密を守ることや相談者と仕事以外の関係を持たないことを、倫理の決まりとして掲げています。

こうした決まりは、カウンセラーを縛るためではなく、相談する人が安心して話せる場を守るためのものです。そして、その考え方の多くは、家族や同僚の相談に乗るときにもそのまま当てはまります。

よかれと思ってやりがちな7つのこと

カウンセラーがやってはいけない7つのことの図

ここからは、相談を受けたときにやってしまいがちで、カウンセラーなら避ける関わり方を7つ紹介します。どれも悪気のない、思いやりから出てくる行動です。

1. 「頑張って」と励ます

落ち込んでいる人を見ると、つい「頑張って」「きっと大丈夫」と励ましたくなります。けれど、すでに限界まで頑張っている人にとって、励ましは「まだ頑張りが足りない」という意味に聞こえることがあります。

とくにうつ病などで心が弱っている人には、励ましが「もうこれ以上頑張れない」という気持ちを強め、かえって状態を悪くしてしまうことがあります。励ます代わりに、「それだけしんどかったんだね」と、いまの気持ちを受け止める言葉を返します。

2. すぐに助言して答えを出す

「それなら上司に言えばいいよ」「転職したら?」と、早く楽にしてあげたくて答えを先に渡してしまう関わり方です。

相談する人の多くは、答えより先に「分かってもらえた」と感じたいと思っています。答えを急がれると、話の途中で気持ちが置き去りになり、「この人には話しても仕方ない」と口を閉ざしてしまいます。助言は、相手が話しきって「どうしたらいいと思う?」と聞いてきてからでも遅くありません。

>傾聴とは?「聞く」との違いと三原則|職場や家庭ですぐ使える言い換え例文

3. 原因やつらい出来事を聞き出そうとする

「何があったの?」「いつから?誰のせい?」と、原因を突き止めようとして質問を重ねる関わり方です。力になりたい気持ちからですが、相手にとっては取り調べのように感じられることがあります。

心の不調は、原因をひとつに特定できないことがほとんどです。原因を探すより、「今できること」を一緒に考えるほうが相手の力になります。本人が語りたがらないときは無理に聞き出さず、「話したくなったら聞くよ」と伝えて待つのも一つの方法です。とくにつらい体験は、準備ができていないまま思い出させると、かえって苦しさを強めることがあります。

4. 「それって〇〇(病名)だよ」と決めつける

調べた知識をもとに「それ、うつ病じゃない?」「発達障害っぽいね」と、相手の状態に名前をつけてしまう関わり方です。

病気かどうかを判断できるのは医師だけで、心理カウンセラーも診断はしません。素人の見立てで病名を言い切られると、相手は必要以上に不安になったり、反対に「そんなはずはない」と受診から遠ざかったりします。

とはいえ、相手を心配して調べた知識を伝えたくなるのは自然なことです。病名を出すなら決めつけずに、「もしかしたら〇〇の可能性もあるのかなと心配になって。一度お医者さんに聞いてみない?」のように受診のきっかけとして使います。最後の判断はお医者さんに任せる、という姿勢を言葉にしておくと、相手も受け止めやすくなります。

5. 自分の体験を話しすぎる・距離が近くなりすぎる

「私も同じことがあってね」と自分の体験を語り始めたり、親身になるあまり毎晩のように連絡を取り合ったりする関わり方です。

自分の話が長くなると、話の主役がいつの間にか聴く側に移ってしまいます。また、カウンセラーが相談者と友人のような関係を持たないのにも理由があります。関係が近くなりすぎると、相手が頼りきりになったり聴く側が冷静さを失ったりするからです。体験を話すなら短く、相手の話に戻ること。連絡の頻度や時間も、続けられる範囲に決めておきます。

6. 共感しすぎて一緒に沈む

相手の話に心を寄せるうちに、自分まで眠れなくなったり、相手のつらさが頭から離れなくなったりすることがあります。人の苦しみに深くふれ続けることで、聴く側が心身ともに疲れてしまう状態は「共感疲労」と呼ばれています。

共感は、相手と同じ気持ちに沈み込むことではありません。「この人はいま、こう感じているんだ」と理解しようとしながら、自分の足もとは保っておくことです。聴く側が倒れてしまっては、相手を支え続けることもできません。

>二次受傷とは|代理受傷・共感疲労との違いと、支援職に起きること

7. 「秘密にして」と言われて危ないサインを抱え込む

「誰にも言わないで」と打ち明けられた話の中に、「消えてしまいたい」といった命に関わる言葉が含まれていることがあります。約束を守ろうとして一人で抱え込むのは、もっとも避けたい関わり方です。

秘密を守ることは大切ですが、命に関わる危険があるときは、秘密より安全を優先するのが専門職の原則です。悩んでいる人に気づいて声をかけ、話を聴いて専門家につなぐ人は「ゲートキーパー」と呼ばれています。ゲートキーパーの役割は一人で解決することではなく、つなぐことです。支える側も一人で背負わず、相談窓口や専門家を頼ってかまいません。「大切に思っているから、一緒に相談に行きたい」と伝え、本人と一緒に相談窓口や医療機関につなぎます。

AIに悩みを相談するのは危ない?

AIに悩みを相談するときに気をつけたい4つのことの図

最近は、対話型のAIに悩みを打ち明ける人も増えています。夜中でもすぐに返事がもらえて、人に話しにくいことも気軽に打ち明けられるのは、AIならではの良さです。気持ちを書き出して整理するきっかけとしては、役に立つ場面もあります。

ただし、相談相手としてAIだけに頼るときは、次の点に気をつけたいところです。

  • 寄り添いすぎることがある
    AIは相手の言葉に合わせた返事をしやすく、偏った考えや思い込みをそのまま肯定してしまうことがあります。
  • 危ないサインに気づいてつなぐことができない
    命に関わる状況でも、家族に連絡したり、そばで見守ったりすることはできません。
  • 診断や治療はできない
    心の不調かどうかの判断や治療は、医師にしかできません。
  • 打ち明けた内容の扱い
    入力した内容がどう保存・利用されるかは、サービスによって違います。

AIは「気持ちを整理する道具」として使い、つらさが続くときや危ないと感じるときは、人の相談窓口や医療機関につながることが大切です。

AIに話して一時的にすっきりしても、同じ悩みを何度も打ち込んでいたり返事を読んでかえって考えが堂々巡りになったりしているなら、それは人に話したほうがよいサインかもしれません。身近な人がAIにばかり相談していると知ったときも、声をかける目安になります。

AIは言葉を返してくれても、表情の小さな変化に気づいたり、そばにいて一緒に専門家のもとへ足を運んだりすることはできません。身近な人の悩みを本当に支えられるのは、やはり人です。そして、その支えを逆効果にしないためには、ここまで見てきた「やらないこと」を知識として身につけておくことが欠かせません。

知識を持って関わるために

7つのことは、どれも「相手を思う気持ち」から出てくるものです。だからこそ、気持ちだけで関わると、知らないうちに逆効果になってしまいます。心理カウンセラーが学ぶのは特別な話術ではなく、こうした「やらないこと」の理由と、代わりにどう関わるかという知識です。

相談を受けることが多い方や心理カウンセラーの資格に興味を持ち始めた方は、どんな資格で何を学べるのかを比べてみると、自分に合う学び方が見えてきます。

>心理カウンセラー資格一覧【協会監修】どれがいい?目的別に民間資格を比較

相談に乗る人のための知識を学べるメンタルヘルス支援士

講座で体系的に学ぶ形を考えている方に向けて、当協会が認定する資格を紹介します。

メンタルヘルス支援士は、励ましや声かけが逆効果になりやすい心の不調の基礎から大人の発達障害・認知行動療法、傾聴を中心とした話の聴き方までを順を追って学べる民間資格です。テキストと同じ内容をスマホでも学べ、試験も自宅から受けられます。

受講後のアンケートでは、回答した248人のうち247人が「受講してよかった」と答えています。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス部門で第2位に選ばれました。

>メンタルヘルス支援士の詳細について

カウンセラーがやってはいけないことに関するよくある質問(Q&A)

Q1:カウンセラーに向かない人の特徴はありますか?

相手の話を聴くより先に答えを出したくなる人や、相手のつらさを自分のことのように抱え込みやすい人は、そのままだと疲れやすいといわれます。ただ、どちらも知識と練習で変えられる部分が大きく、最初から向いていないと決める必要はありません。

Q2:秘密にしてと言われた話は絶対に誰にも話してはいけませんか?

相手の秘密を守ることは大切です。ただし、命に関わる危険があるときは、秘密より安全を優先します。本人に「心配だから一緒に相談したい」と伝えたうえで、相談窓口や医療機関につなぐことが勧められています。

Q3:AIに悩みを相談してもよいですか?

気持ちを書き出して整理する道具としては役に立つ場面があります。ただし、AIは診断や治療ができず、危ないサインに気づいて人につなぐこともできません。つらさが続くときは、人の相談窓口や医療機関に相談してください。

まとめ

  • カウンセラーが「やらないこと」を決めているのは、相談する人が安心して話せる場を守るため
  • やりがちな7つは、励ます・すぐ助言する・原因を聞き出す・病名で決めつける・自分の話をしすぎる・共感しすぎる・危ないサインを抱え込む
  • どれも思いやりから出る行動だが、知識がないまま続けると相手を追い詰めることがある
  • AIは気持ちの整理には使えるが、つらさが続くときは人や専門機関につなぐ
  • 代わりにできるのは、まず気持ちを受け止め、必要なときは一緒に専門家につなぐこと

相談されたとき、何か言ってあげなければと焦る必要はありません。「やらないこと」を知っておくだけで、相手が安心して話せる時間は確実に増えていきます。

【注意事項】

この記事で紹介している受講者の数字は、当協会が実施したメンタルヘルス支援士の受講後アンケート(2025年3月〜2026年8月・248件)によるものです。接し方の説明は、厚生労働省「こころの耳」とゲートキーパーのページの内容を2026年10月29日に確認してまとめています。本記事は診断・治療を目的としたものではありません。

参考・相談先

心理カウンセラーの資格を探す方へ|メンタルヘルス支援士