臨床心理士|指定大学院を出たあとも5年ごとに更新があります

「臨床心理士」という名前は、学校のスクールカウンセラーや病院の心理職の紹介、カウンセリングルームの案内などで目にすることが多いと思います。ただ、公認心理師という国家資格もできたいま、臨床心理士がどんな資格で、どうすれば取れるのかは分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事ではそれらを解決できるよう、臨床心理士の指定大学院・試験の中身・更新制度・有資格者の数を、日本臨床心理士資格認定協会と日本臨床心理士会の公開情報をもとに整理します。

たとえば、

  • 第1種と第2種の指定大学院と専門職大学院は何が違うのか
  • 筆記試験と口述面接ではそれぞれ何が問われるのか
  • 資格を持つ人はいま全国に何人いて毎年どれくらい増えているのか
  • 5年ごとの更新ではどんな学びをどれだけ求められるか

といった内容です。

>臨床心理士・公認心理師との違いを徹底比較。あなたに必要なのはどちらの資格

心理カウンセラーの資格をお探しの方へ

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どんな内容か見てみる

本記事で紹介している一次情報について

項目内容
情報の性質一般社団法人 人間力認定協会 メンタルヘルス支援士 受講後アンケートより抜粋
データ取得者一般社団法人 人間力認定協会
調査期間2025年3月〜2026年8月
有効回答数248件
設問「改善して欲しい点」(複数回答)
分析方法回答の項目ごとに人数を数え、有効回答数248件を100%とした割合を算出しました。「深い知識が欲しい」はカウンセリング・認知行動療法・精神疾患の3つの選択肢に分かれており、いずれか1つ以上を選んだ人数もあわせて集計しています
一般情報の出典公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会・一般社団法人 日本臨床心理士会・一般財団法人 公認心理師試験研修センター・文部科学省・厚生労働省(job tag)・e-Gov法令検索の公開情報(2026年9月25日確認)
注意点回答者は当協会の資格の受講者に限られます。他団体の資格の受講者の声ではありません。臨床心理士を目指している方や資格を持つ方に尋ねたものでもありません。1人が複数の項目を選べる設問のため、割合を足し合わせると100%を超えます

臨床心理士は1988年に始まった資格です

臨床心理士は国家資格ではなく、公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格です。受験できるのは原則として協会が指定した大学院を修了した人で、合格したあとも5年ごとに更新の審査を受け続けます。

一度取れば一生そのまま使える資格ではない、という点が、ほかの心理系の資格といちばん違うところです。どの大学院を出ればよいのか、試験では何を問われるのか、更新には何を積み重ねるのか。まずは、この資格がいつ、どんな経緯で始まったのかから見ていきます。

臨床心理士の資格を認定しているのは、公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会です。協会は1988年に、臨床心理学に関連する16の心理学関係の学会の協賛を得て発足しました。その2年後に財団法人となり、2013年4月1日に内閣府の認可を受けて公益財団法人へ移っています。最初の臨床心理士が認定されたのは、発足と同じ1988年の12月です。

公認心理師法が全面施行された2017年より、30年近く前から続いている資格ということになります。制度の骨組みは次のとおりです。

項目内容
認定する団体公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会(1988年発足・2013年4月に公益財団法人へ移行)
最初の認定1988年12月
国家資格かどうか国家資格ではない(国家資格の公認心理師とは別の資格)
受験の基本の条件協会が指定した大学院の修士課程か臨床心理分野の専門職大学院を修了すること
試験年1回・東京で実施。一次試験(多肢選択方式・論文記述)と二次試験(口述面接)
資格の更新5年ごと。研修会への参加などで15ポイント以上を集める
いま資格を持つ人39,430人(2026年4月1日現在・国内と海外の合計)

(日本臨床心理士資格認定協会・日本臨床心理士会の公式サイト・2026年9月25日確認)

名前のよく似た団体に、一般社団法人 日本臨床心理士会があります。こちらは臨床心理士が会員として加わる団体で、資格そのものを認定しているのは資格認定協会のほうです。日本臨床心理士会も「臨床心理士になるには」のページで、資格は日本臨床心理士資格認定協会が認定すると案内しています。

協会は、臨床心理士に求められる専門業務として次の4つを挙げています(臨床心理士資格審査規程 第11条)。

  • 臨床心理査定:心理検査や観察面接を通じて、その人の特徴や問題のありかを明らかにする
  • 臨床心理面接:臨床心理学の技法を使い、相談に来た人の心を支える。協会はもっとも中心的な専門行為としている
  • 臨床心理的地域援助:学校や職場、地域の人々の心の健康を支える
  • 研究調査:上の3つに関する研究や調査を行う

1つ目をあえて「診断」ではなく「査定」と呼んでいるところに、この資格の立ち位置がよく表れています。協会の説明では、診断が診る側の立場から対象を評価するのに対し、査定は評価される人自身の立場からその人の特徴をとらえる行為だとされています。

受験できるのは指定大学院を修了した人です

臨床心理士の試験を受けるには、協会が定めた「受験資格」を満たす必要があります。その基本になっているのが、協会が指定した大学院の修士課程(指定大学院)か、臨床心理分野の専門職大学院を修了することです。

指定大学院の制度は1996年度に始まりました。2007年度以降の試験からは、医師と外国の大学院を修了した人を除いて、協会の指定を受けた大学院の修了が必須になっています。受験資格の区分をまとめると次のとおりです。

受験資格の区分修了や取得のあとに必要なこと全国の数
第1種指定大学院なし(修了後の直近の審査から受験できる)144校
第2種指定大学院1年以上の心理臨床経験7校
臨床心理分野の専門職大学院なし(一次試験のうち論文記述試験が免除される)4校
外国の大学院指定大学院と同等以上の教育歴に加えて日本国内で2年以上の心理臨床経験―
医師免許免許の取得後2年以上の心理臨床経験―

(日本臨床心理士資格認定協会「受験資格基準」「指定大学院臨床心理学専攻(コース)一覧」・日本臨床心理士会「臨床心理士になるには」・2026年9月25日確認。指定大学院の数は2026年4月1日現在、専門職大学院の数は2025年4月1日現在の一覧によります)

第1種と第2種の違いは、修了してすぐに受験できるかどうかです。第1種は修了後の直近の審査から受けられ、第2種は修了後に1年以上の心理臨床経験を積んでからになります。ここでいう心理臨床経験は、教育相談機関や病院などの医療施設、心理相談機関で、心理相談員やカウンセラーとして勤めた経験を指します。有給が原則で、ボランティアや研修員としての経験は認められません。このほか、以前の基準で指定された大学院の修了者向けに、修了後に求められる経験の年数が異なる区分もあり、受験資格の基準は全部で7種類です。

専門職大学院は、臨床心理士の養成を目的にした専門職学位課程で、2005年から2011年にかけて開設された4校があります。日本臨床心理士会が示している「臨床心理士養成の仕組み」の図では、専門職大学院の修了者は一次試験のうち論文の試験が免除される扱いになっています。

大学院の指定も、一度受ければずっと続くわけではありません。指定の期間は6年で、3年目に実地視察による中間評価、6年目に指定を続けるかどうかの審査があり、教員や実習施設、附属の心理相談室の運営まで確かめられます。2026年4月1日現在、指定を受けている大学院は全国で151です。

通える範囲に大学院があるかどうかも、先に確かめておきたい点です。協会の都道府県別の一覧(2026年4月1日現在)では、東京都に33校(うち第2種3校)の指定大学院が集まる一方で、青森・富山・福井・滋賀・和歌山・高知・長崎・熊本・宮崎の9県には、指定大学院も専門職大学院もありません。大学院の名前と研究科・専攻の一覧は、協会のサイトで公開されています。

日本臨床心理士会の図では、出発点が「大学卒業資格」になっています。4年制大学を出たうえで指定大学院に入り、修士課程を修了する流れです。いまの暮らしから大学院に通うのが難しい場合は、心理の学び方をほかの入り口から考えることもできます。

>大学に行かなくてよい!?学歴不問で心理カウンセラー目指す3つの道と資格

試験は筆記と口述で年約1,800人が受けています

臨床心理士の資格審査は、年に1回、東京で行われます。受験資格を満たした人が協会から申請書類(1部1,500円)を取り寄せ、書類を提出して審査料を納めると、受験票が届く流れです。審査料の金額は、協会の公式サイトには掲載されていません。

2026年度(令和8年度)の日程は次のとおりです。受験の申込は2026年8月31日で締め切られているため、これから目指す人が受けるのは2027年度以降の回になります。

  • 一次試験(筆記):2026年10月10日(土)・東京ビッグサイト
  • 二次試験(口述面接):2026年11月21日(土)〜23日(月・祝)のうち個別に指定された日時・東京国際フォーラム
  • 合格発表:2026年12月下旬の予定

(日本臨床心理士資格認定協会「資格審査スケジュール」「資格審査の実施」・2026年9月25日確認)

一次試験は100題のマークシートと論文です

一次試験では、2種類の試験を1日で行います。100題をマークシートで答える「多肢選択方式試験」(2時間30分)と、心理臨床に関する1つのテーマについて1,001字以上1,200字以内で論じる「論文記述試験」(1時間30分)です。

多肢選択方式試験で問われるのは、心理学の基礎に加えて、先ほどの4つの専門業務(査定・面接・地域援助・研究調査)の基本的な専門知識と、臨床心理士の倫理や法律の基礎、基本的な姿勢や態度です。協会は、知識をただ暗記しているかよりも、実習などの臨床体験に照らして身につけた生きた知識があるかが問われると説明しています。論文記述試験では、決められた字数の範囲に、簡潔で筋道の通った文章でまとめる力が求められます。

二次試験は2人の面接委員による口述面接です

二次試験に進めるのは、一次試験の多肢選択方式試験の成績が一定の水準に達した人だけです。論文記述試験の成績は、二次試験に進めるかどうかの判定には含まれません。二次試験では、2名の面接委員が受験者を1人ずつ面接し、専門知識や技術に加えて、臨床心理士としての基本的な姿勢や態度、専門家として備えておくべき人間関係の力を確かめます。

協会はこの面接を、資格審査のなかでもとくに重要な位置にある試験だと説明し、試験というより相談の現場に臨むつもりで受けることを勧めています。最終的な合否は、多肢選択・論文記述・口述面接の3つの結果を合わせて判定されます。合格の通知を受けたあと、決められた期日までに資格認定証書の交付手続きを終えてはじめて臨床心理士として認定され、協会が発行する名簿に登録されます。

受験者はここ数年1,700人台から1,800人台です

協会が公表している直近5年の受験者と合格者は、次のとおりです。

年度受験者合格者合格者の累計
2021年度(令和3年度)1,804人1,179人39,576人
2022年度(令和4年度)1,810人1,173人40,749人
2023年度(令和5年度)1,705人1,134人41,883人
2024年度(令和6年度)1,816人1,200人43,083人
2025年度(令和7年度)1,809人1,206人44,289人

(日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士資格取得者の推移」・2026年9月25日確認。累計は1988年度からの合格者の合計です)

協会の事業紹介には「毎年約2,000名が受験」とありますが、実際の受験者は2020年度から毎年1,700人台から1,800人台で推移しています。これまででいちばん多かったのは2005年度の2,905人で、そこからゆるやかに減り、ここ数年はほぼ横ばいです。

1988年度の最初の審査から2025年度までの合格者を合わせると、44,289人になります。そのうち2026年4月1日の時点で資格を持っている人は39,430人(国内39,326人・海外104人)で、差の4,859人は協会の一覧で「逝去等」として数えられています。都道府県別に見ると、東京都が7,425人でもっとも多く、神奈川県の3,329人、大阪府の2,929人が続きます。

毎年新たに加わる臨床心理士は1,100人台から1,200人ほどで、大学院と2段階の試験を経た人が、ほぼ同じ規模で加わり続けています。

取ったあとも5年ごとに更新があります

臨床心理士の大学院から更新までの流れの図

臨床心理士には、資格の発効日から満5年を経過するごとに更新の手続きがあります。協会はこの仕組みを、生涯有効な資格ではなく、研修を義務づけたうえで更新していく資格だと説明しています。日本臨床心理士会も、資格を取ったあとも研修や研究が義務づけられていると案内しています。

更新に必要なのは、5年のあいだに協会が定める6つの教育研修の機会に参加(または発表)して、合計15ポイント以上を集めることです。ただし、6つのうち1番目か2番目のどちらかを含めて、3項目以上にまたがっている必要があります。

  1. 協会が主催する研修会など(臨床心理士研修会・心の健康会議など):研修会の受講者は2ポイント、講師や発表者は4ポイント
  2. 日本臨床心理士会や地区・都道府県の臨床心理士会が主催する研修会:ワークショップ型の受講者は2ポイント、年6回以上開かれる定例型の研修会に1年間続けて参加すると4ポイント
  3. 協会が認める関連学会での活動:年次大会への参加は2ポイント、口頭発表は4ポイント、研究誌や機関誌への原著論文は10ポイント
  4. 協会が認める臨床心理学の研修会:受講者は2ポイント、講師や発表者は4ポイント
  5. スーパーヴァイジーとしての経験:スーパーヴィジョンの開始時と終了時に所定の報告書を出すと3ポイント
  6. 臨床心理学に関する著書の出版:原著に準ずるものは12ポイント、そのほかは10ポイント

(日本臨床心理士資格認定協会「臨床心理士資格更新制度」・2026年9月25日確認)

受講者として研修会に出るだけなら1回2ポイントなので、15ポイントに届かせるには5年で8回ほどの参加が目安になります。年に1回か2回、研修会や学会に足を運ぶ計算です。スーパーヴィジョンは、自分が担当している事例について経験の長い専門家から指導を受けることで、これも更新のポイントとして数えられます。

国家資格の公認心理師には、こうした更新の仕組みはありません。公認心理師法には資格の有効期間や更新の定めがなく、知識と技能の向上に努めることが資質向上の責務として書かれています(第43条)。学び続けることを求めている点は同じでも、臨床心理士はそれを5年ごとの審査という形で確かめる資格だといえます。

協会は資格取得後の学びを「生涯学習」と呼び、5年ごとの再認定を、専門家の思い込みから相談する人を守る点検の仕組みと位置づけています。更新の手間は負担でもありますが、裏を返せば、名簿に載っている臨床心理士は、学び続けてきたことを5年ごとに確かめられた人たちです。そこが、相談する側にとっての資格への信頼を支えています。

公認心理師とあわせて持つ人も多い資格です

公認心理師の登録者が持つほかの心理系資格の図

2017年に公認心理師が国家資格として始まってからも、臨床心理士の資格は続いています。両方を持っている人がどれくらいいるかは、国の指定を受けた一般財団法人 日本心理研修センター(いまの公認心理師試験研修センター)が、2023年10月末時点の公認心理師の登録者を対象に行った「令和5年度公認心理師活動状況等調査」で確かめられます。

この調査に答えた38,827人に、公認心理師のほかに持っている資格を尋ねたところ(複数回答)、臨床心理士と答えた人は15,088人で、38.9%でした。同じ心理系の資格では、臨床発達心理士が4.5%、学校心理士が3.6%、特別支援教育士が3.5%です。公認心理師の資格だけを持つと答えた人は6.5%でした(公認心理師試験研修センター 報告書〔最終版〕・2026年9月25日確認)。

学校の現場でも、2つの資格は並んで扱われています。スクールカウンセラーの選び方を定めた文部科学省の実施要領(2026年2月17日一部改正)では、選考の対象の1番目に公認心理師、2番目に日本臨床心理士資格認定協会の認定を受けた臨床心理士が挙がり、そのあとに精神科医や大学の教員などが続きます。医療や福祉の分野についても、厚生労働省のjob tagは、この仕事に就いている人は臨床心理士か公認心理師のいずれかを持っていることがほとんどだとしたうえで、臨床心理士は指定大学院を修了していなければ受験資格が得られないと説明しています(いずれも2026年9月25日確認)。

2つの資格の違いを短くまとめると、根拠と入り口と続け方です。公認心理師は法律にもとづく国家資格で、大学と大学院で指定の科目を修めることなどが受験の条件になり、更新はありません。臨床心理士は公益財団法人が認定する資格で、協会の指定大学院の修了が受験の条件になり、5年ごとに更新があります。どちらが上という関係ではなく、取り方と続け方の違う2つの資格です。くわしい比較は、冒頭で紹介した記事で整理しています。

なお、どちらの資格を持っていても、病気の診断をしたり薬を出したりすることはできません。診断と治療は医師の業務で、臨床心理士に限らず、公認心理師を含めて心理系のどの資格でも同じです。臨床心理士が担うのは、査定や面接を通じて本人への理解を深め、ほかの専門家とも検討しながら、その人に合った支え方を見つけていくことです。

もっと深く学びたくなったときの道

臨床心理士になるには、大学を卒業したうえで指定大学院の修士課程を修了し、年1回の試験に合格し、そのあとも5年ごとの更新を続けていきます。仕事や家庭と両立しながら目指すには、大きな決断が要る道です。

一方で、心理を深く学びたいという気持ちは、資格を目指すかどうかとは別に生まれてくるものです。心理職としての採用を目指さないなら、学歴を問わない検定や、講座を受けてから試験に臨む民間資格で学ぶ方法もあります。当協会のメンタルヘルス支援士も、そうした民間資格の1つです。臨床心理士の受験資格にはなりませんが、家族や同僚の小さな変化に早めに気づき、相談窓口や医療機関へつなぐ場面で、学んだ知識が支えになります。

メンタルヘルス支援士との共通点と違い

ここからは、当協会自身の資格についての話です。メンタルヘルス支援士は当協会が認定する民間資格で、講座を修了しても臨床心理士の受験資格は得られません。学歴や年齢による受講の条件はなく、講座の受講者がオンライン試験を受ける仕組みで、試験だけの申込はできません。試験は24時間いつでも受けられます。受講料35,200円に試験料5,060円を加えた40,260円(税込)がかかる一方、臨床心理士のような更新はなく、登録や更新のための費用も要りません(当協会の公式サイト・2026年9月25日確認)。

共通しているのは、話を聴く姿勢を学びの中心に置いている点です。日本臨床心理士資格認定協会は臨床心理面接をもっとも中心的な専門行為と位置づけており、メンタルヘルス支援士の講座にも、傾聴・受容・共感といったカウンセリングの基本姿勢を学ぶ章があります。違いは学びの深さと、資格が引き受ける役割の重さです。臨床心理士は大学院での実習と2段階の試験を経て、心理の専門職として相談そのものを引き受けます。メンタルヘルス支援士が目指しているのは、家庭や職場で身近な人の話を聴き、その心を支えるための知識を身につけることです。

講座を終えた方の受講後アンケート(248件)で「改善して欲しい点」を尋ねたところ(複数回答)、「カウンセリングの深い知識が欲しい」を選んだ方が80人(32.3%)いました。カウンセリング・認知行動療法・精神疾患のいずれかについて深い知識を求めた方は、合わせて121人(48.8%)です。

基礎を学び終えた方の3人に1人が、カウンセリングをもっと深く学びたいと感じていたことになります。入り口の学びが、その先の専門的な学びへの関心につながった数字だと受け止めています。本格的に心理の専門職を目指すなら、その先には指定大学院から臨床心理士や公認心理師へ進む道があります。臨床心理士として名簿に載っている人たちも、5年ごとの研修で学び直しを重ねています。深めたいという気持ちは、どの段階にいても大切にしてよいものです。

心理の資格をいくつか見比べてから選んだ方が、最後に何を決め手にしたのかは、次の記事にまとめています。

>心理カウンセラー資格一覧【協会監修】どれがいい?目的別に民間資格を比較

メンタルヘルス支援士について

ここまで、臨床心理士の指定大学院と試験の中身、5年ごとの更新制度についてご紹介してきました。

こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。

資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

>メンタルヘルス支援士の詳細について

Q&A|臨床心理士に関するよくある質問

Q1:臨床心理士と公認心理師はどちらも国家資格ですか

2つのうち国家資格は公認心理師で、2017年に公認心理師法が全面施行されてできた資格です。臨床心理士は、1988年に発足した公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会の認定を受ける資格で、同じ年の12月に最初の臨床心理士が生まれました。2023年の調査では、回答した公認心理師の登録者の38.9%が臨床心理士もあわせて持っており、両方を持って働く人も少なくありません。

Q2:臨床心理士の第1種と第2種の指定大学院は何が違いますか

修了してすぐに受験できるかどうかが違います。第1種指定大学院(2026年4月1日現在144校)は修了後の直近の審査から受けられ、第2種指定大学院(7校)は修了後に1年以上の心理臨床経験を積んでから受験します。心理臨床経験は、教育相談機関や医療施設、心理相談機関で心理相談員やカウンセラーとして勤めた経験で、有給が原則です。このほか、臨床心理分野の専門職大学院(4校)の修了も受験資格になります。

Q3:臨床心理士の試験ではどんなことが問われますか

一次試験では、マークシートで100題に答える多肢選択方式試験と、1,001字以上1,200字以内で論じる論文記述試験を受けます。心理学の基礎、臨床心理士の4つの専門業務の基本知識、倫理や法律の基礎が問われます。多肢選択方式試験の成績が一定の水準に達した人は、二次試験で2名の面接委員による口述面接を受け、臨床心理士としての姿勢や態度、人間関係の力を確かめられます。合否は3つの試験の結果を合わせて判定されます。

Q4:臨床心理士の資格更新には何が必要ですか

資格の発効日から5年のあいだに、協会が定める6つの教育研修の機会に参加し、合計15ポイント以上を集めることが必要です。6つのうち、協会主催の研修会か臨床心理士会主催の研修会のどちらかを含めて、3項目以上にまたがっていなければなりません。研修会の受講は1回2ポイント、学会での口頭発表は4ポイント、原著論文は10ポイントなど、関わり方によって点数が変わります。

Q5:臨床心理士の資格を持っている人は何人いますか

2026年4月1日の時点で39,430人(国内39,326人・海外104人)です。1988年度からの合格者の累計は44,289人で、差の4,859人は協会の一覧で「逝去等」とされています。資格審査の受験者は2020年度から毎年1,700人台から1,800人台で、2025年度は1,809人が受けて1,206人が合格しました。

まとめ|臨床心理士

  • 臨床心理士は国家資格ではなく、1988年に発足した日本臨床心理士資格認定協会の認定を受ける資格です。最初の臨床心理士は1988年12月に生まれました
  • 受験の基本は指定大学院か専門職大学院の修了です。第1種は修了後すぐに、第2種は1年以上の心理臨床経験を積んでから受験できます
  • 試験は年1回で、一次の多肢選択と論文記述、二次の口述面接の3つを合わせて合否が決まります
  • 受験者はここ数年1,700人台から1,800人台で、いま資格を持つ人は39,430人です
  • 取ったあとも5年ごとに更新があり、研修会や学会への参加などで15ポイント以上を集めます
  • 公認心理師の登録者の38.9%が臨床心理士もあわせて持っており、スクールカウンセラーの選考でも2つの資格は並んで挙げられています
  • 大学院への道にすぐ進めなくても、心理の基礎はいまから学び始められます。深めたくなったときの行き先を知っておくと、次の一歩を選びやすくなります

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、当協会が収集したアンケート・体験談の一部をもとにまとめています。心の状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状や不安がある場合は、早めに医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。

本記事に掲載した他団体の資格の情報は、2026年9月25日時点で各団体の公式サイトを確認した内容です。受験資格・試験の日程・更新の条件は変更されることがありますので、申し込みの前に必ず各団体の公式サイトでご確認ください。

参考・相談先

心理カウンセラーの資格を探す方へ|メンタルヘルス支援士