高ストレス者と判定されたら|結果は会社に伝わるのか

ストレスチェックの結果が返ってきて、「高ストレス者」と書かれていた。最初に気になるのは、たいてい自分の状態ではなく「これは会社に知られるのか」です。

この点を調べると、出てくるのは企業向けの記事ばかりです。高ストレス者にどう対応するか、放置するとどんなリスクがあるか——読む相手が会社になっています。

この記事は、判定された本人の側から書きます。答えは3段になっていて、そのまま覚えておくと迷わなくなります。

メンタルヘルス支援士 公式サイト

結論|会社に伝わるかは、3段に分かれている

会社に伝わるもの・伝わらないものの3段整理
段階会社に伝わるか
①ストレスチェックの結果そのもの伝わりません。結果は本人に直接通知され、事業者が個人結果の提供を受けることは基本的にありません
②医師の面接指導を申し出た伝わります。申出があったという事実は事業者に報告されます
③申し出たことを理由にした不利益な取扱い法律で禁止されています

出典:厚生労働省「小規模事業場 ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)。運用は事業場ごとに異なります。当協会は引用者で、厚生労働省の監修等は受けていません。

厚生労働省の実施マニュアルは、③についてこう書いています。

法律により、①労働者が面接指導の申出をしたことを理由とした不利益な取扱いは禁止されています。また、②ストレスチェック結果のみを理由とした不利益な取扱いについても、これを行ってはなりません。

つまり、多くの方が心配している「結果を見られる」ということは起きません。一方で「面接指導を申し出た事実は伝わる」のは本当です。ここを曖昧にした説明が多いので、はっきり書いておきます。

同じマニュアルは、申出先を事業者ではなく外部機関にする仕組みを設ける場合について、「申出が行われたことは事業者に報告されることになるので、このことについて、労働者に予め(面接指導の申出勧奨の機会等に)伝えておく必要があります」と、会社側への注意を書いています。隠される情報ではなく、あらかじめ説明されるべき情報として扱われている、ということです。

「高ストレス者」は、病名ではありません

先に、言葉の性質を整理します。高ストレス者は診断名ではなく、制度上の区分です。ストレスチェックの回答を点数化し、基準に沿って選ばれた人を指します。

ですので、次のようには読めません。

  • ❌ 病気である/病気になりかけている
  • ❌ 精神的に弱い
  • ❌ 仕事に向いていない

読めるのはここまでです。

  • 回答した時点で、自覚しているストレスの反応が強めに出ていた
  • 面接指導という選択肢が用意される対象になった

ストレスチェックは、労働安全衛生法にもとづく一次予防の仕組みです。不調を見つけるためではなく、その前に気づくために置かれています。判定されたこと自体は、制度が想定どおりに働いた結果です。

面接指導を申し出るかどうかの判断

申し出るべきだとも、やめておいたほうがよいとも言いません。判断材料になることを並べます。

気になっていること制度上はどうなっているか
結果を上司に見られたくない結果そのものは本人に通知され、事業者が個人結果の提供を受けることは基本的にありません
申し出たら評価が下がらないか申出を理由とした不利益な取扱いは法律で禁止されています
申し出た事実は知られるのか知られます。申出があったことは事業者に報告されます
面接で話したことは伝わるのか医師は事業者に就業上の措置についての意見を述べます。話した内容がそのまま伝わるわけではありません
申し出ないという選択はあるかあります。面接指導は本人の申出にもとづくものです

4行目が、意外と知られていない点です。面接で話した内容がそのまま会社に報告されるわけではありません。医師が伝えるのは、働き方について必要な配慮があるかどうかという意見です。

そして5行目。申し出ないことも選べます。ただしその場合、この制度の中で次に何かが起きることはありません。「様子を見る」を選ぶなら、いつまで見るかと、何が起きたら動くかを自分の中で決めておくほうが安全です。

申し出ない場合に、他に使える窓口

社内の制度を使いたくない事情がある場合もあります。会社を経由しない相談先があります。

  • こころの耳(厚生労働省)……働く人向けの電話・SNS・メール相談の窓口がまとまっています
  • 産業保健総合支援センター/地域産業保健センター……労働者数50人未満の事業場で働く方も無料で相談できます
  • 精神保健福祉センター・保健所……お住まいの自治体の窓口。本人でも家族でも相談できます
  • 職場に産業医・保健師がいる場合……ストレスチェックの申出とは別に相談できます

最後の1行は見落とされがちです。面接指導の申出をしなくても、産業医に相談すること自体はできます。制度の外側にも道があります。

なお、労働者数50人未満の事業場についても、ストレスチェックの実施が義務化されます。施行日は2028年(令和10年)4月1日です。

社内を経由しない4つの相談先

結果は「いまの働き方」への評価でもあります

高ストレス者の選定には、自覚しているストレス反応の強さだけでなく、仕事の負担や周囲の支援についての回答も関わります。つまりこの判定は、あなた個人の耐性だけを測ったものではありません。

この見方は、当協会の公式テキストの立場とも一致します。テキストは、うつ病について強いストレスから離れた環境で過ごすことの重要性を挙げ、身近な方に不調が見られる場合には「強いストレスがどこから来ているのかを見極め休息を与えることから始めると良い」と書いています。

見極める対象は、人ではなく「どこから来ているか」です。結果を受け取ったときも同じで、自分の性格を点検するより、いま何が重くなっているかを書き出したほうが次につながります。

  • 仕事の量(時間・件数・締切の重なり方)
  • 裁量(進め方や順番を自分で決められるか)
  • 役割(何をどこまで担うのかがはっきりしているか)
  • 人間関係(相談できる相手が職場にいるか)
  • 見通し(この状態がいつまで続くのか分かっているか)

面接指導を申し出る場合、この5つを整理しておくと話が早くなります。「しんどいです」より「先月から担当が2つ増えて、締切が毎週重なっています」のほうが、就業上の措置につながりやすくなります。

出来事の側から確かめるなら、別の記事に一覧があります。

職場のストレスのチェックリスト|労災で認められた出来事から見る

上司の側から見た同じ制度

もし読者の方が管理職であれば、この制度は逆側からも見えます。部下の結果は届きません。誰が高ストレス者かも分かりません。分かるのは、面接指導の申出があったという事実だけです。

厚生労働省の指針は、管理監督者について「セルフケアの対象者として管理監督者も含めるものとする」としています。ケアする側であると同時に、ケアされる側でもあるという立て付けです。管理職自身が高ストレス者と判定されることも、当然あります。

管理職として部下の変化に気づく側の話は、別の記事で整理しています。

ラインケア チェックリスト|部下ではなく、自分の対応を点検する

働きながら、自分にも症状がある人がいます

当協会の資格に申し込んだ146人に、受講前に尋ねた「受講した動機」(複数回答)です。

受講した動機(複数回答)人数割合
身近に精神疾患または症状がある方がいる(過去にいた)から86人58.9%
現在の仕事に活かせると思ったから85人58.2%
子育てに活かせると思ったから49人33.6%
自身に精神疾患または症状がある(過去にあった)から45人30.8%

出典:一般社団法人 人間力認定協会「メンタルヘルス支援士 受講前アンケート」(N=146/2025年2月〜2026年7月)。複数回答。

注目したいのは2行目です。「現在の仕事に活かせると思ったから」を選んだ85人のうち、20人(23.5%)は「自身に精神疾患または症状がある(過去にあった)」も選んでいます。働くために学びに来た人の4人に1人が、自分の側にも抱えているということです(この対応は当協会が集計)。

⚠ ただし146人に「高ストレス者と判定された経験があるか」を尋ねた設問はありません。示せるのは、どんな立場の人が学びに来ているかだけです。

ここからは受講後アンケート248件からの抜粋です。高ストレス者と判定された方の声として集めたものではありません。原文のまま掲載し、省略した部分は(前略)(中略)(後略)と記しています。

これから精神科訪問看護での作業療法を行う上で、精神科関係の復習と、私は大人の発達障害起因の気分症、妻も精神疾患があり、公私共々、良き学びの時間となりました。これからもその都度見返しつつ、引き続き学んでいきます。ありがとうございました。

40代の方の回答です。総合評価は「大満足」でした。「公私共々」という一語に、支える側と当事者が同じ人の中で重なっている状態が表れています。

職場では上司に対して、また、初対面の人に対する接し方など、ここで習得したことが少し生かすことができ、なるほどなーと思うことがありました。もっと実践をしながら勉強したことを活かせるようになりたいです。

30代の方の回答です。総合評価は「普通」でした。使いどころとして最初に挙がっているのが「上司に対して」という点に、職場の関係のつくり方が学びの対象になっていることが出ています。

家族と自分のセルフケアの為に受講しました。
特、発達障害の子供の二次障害などのケアの参考にしています。

60代以上の方の回答です。総合評価は「普通」でした。受講の目的に「家族と自分のセルフケア」を並べて書かれています。誰かを支えるための知識と、自分の状態を扱うための知識を、はじめから分けずに求めているという書き方です。高ストレス者の判定を受け取ったあとに要るのも、この後半のほうです。

歳を重ねて勉強するのは大変でしたが、メンタルヘルスについて知識を深める事が出来て良かったです。ボランティア活動にも自信をつけることが出来き、これからの活動に活かせるようにていきたいと思います。

60代以上の方の回答です。総合評価は「普通」でした。知識を得ることが、状態の改善ではなく行動の自信につながったという書き方をされています。

働く場面で受けた出来事が、そのあとも残って抜けないときは、別の記事で扱っています。

カスハラを引きずるのはなぜか|弱いからではないと言える理由

メンタルヘルス支援士について

ここまで、高ストレス者と判定されたときに会社へ何が伝わるのかと、申し出るかどうかの判断材料をご紹介してきました。

こうした理解を深めることと合わせて、働く方や人事の担当者、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。この記事で触れた、強いストレスがどこから来ているのかを見極めるという考え方は、公式テキストの第1章で、うつ病への対応として解説されています。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。

資格の有無が支援の基準になるものではありませんし、資格を取れば診断ができるようになるわけでもありません。働きながら学ぶ選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

メンタルヘルス支援士の詳細について

Q&A|高ストレス者と判定されたあとのよくある質問

Q1:結果は上司や人事に見られていますか。

結果そのものは見られていません。ストレスチェックの個人結果は本人に直接通知され、事業者が個人結果の提供を受けることは基本的にありません。提供には本人の同意が必要です。ただし、医師の面接指導を申し出た場合は、その申出があったという事実が事業者に報告されます。結果の中身と、申し出た事実は別のものとして扱われています。

Q2:面接指導を申し出ると、評価に響きませんか。

厚生労働省の実施マニュアルは「法律により、労働者が面接指導の申出をしたことを理由とした不利益な取扱いは禁止されています」と明記しています。不安が消えるかどうかは別として、制度上の位置づけははっきりしています。それでも申し出にくい事情がある場合は、社外の相談窓口を先に使う方法もあります。記事末に置いています。

Q3:面接で話した内容は、そのまま会社に伝わりますか。

そのまま伝わるわけではありません。医師が事業者に伝えるのは、就業上の措置に関する意見です。働き方について配慮が必要かどうか、必要ならどういう内容か、という形になります。面接で話した個々の内容が報告書として会社に渡るものではありません。気になる場合は、面接の冒頭で「どこまで伝わるのか」を確認して構いません。

Q4:高ストレス者と判定されたら、病気ということですか。

いいえ。高ストレス者は診断名ではなく、制度上の区分です。回答を点数化し、基準に沿って選ばれた人を指します。病気かどうかを判断するのは医師であり、ストレスチェックではありません。ストレスチェックは、不調を見つけるためではなく、その前に気づくために置かれた一次予防の仕組みです。判定されたこと自体は、制度が想定どおりに働いた結果です。

Q5:うちは小さい会社でストレスチェックがありません。

現在、実施が義務づけられているのは労働者数50人以上の事業場です。ただし50人未満の事業場についても義務化され、施行日は2028年(令和10年)4月1日です。それまでの間も、地域産業保健センターは50人未満の事業場で働く方の相談を無料で受け付けています。こころの耳の窓口は勤務先の規模を問わず使えます。

まとめ|3段に分けて覚える

  • ①結果そのものは会社に伝わらない。本人に直接通知され、事業者が個人結果の提供を受けることは基本的にない
  • ②面接指導を申し出た事実は伝わる。ここを曖昧にした説明が多いので、はっきり書いておく
  • ③申し出たことを理由とした不利益な取扱いは、法律で禁止されている
  • 高ストレス者は診断名ではなく、制度上の区分。病気かどうかを判断するのは医師であり、ストレスチェックではない
  • 面接で話した内容がそのまま伝わるわけではない。医師が伝えるのは就業上の措置についての意見
  • 申し出ないことも選べる。ただしその場合、この制度の中で次に何かが起きることはない
  • 社内を経由しない窓口がある。こころの耳/産業保健総合支援センター・地域産業保健センター/精神保健福祉センター・保健所
  • 面接指導を申し出なくても、産業医に相談すること自体はできる
  • 整理して持っていくのは、性格ではなく仕事の量・裁量・役割・人間関係・見通し
  • 50人未満の事業場も義務化される。施行日は2028年4月1日

本記事で紹介している情報について

項目内容
制度についての出典厚生労働省「小規模事業場 ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)。結果の通知先、面接指導の申出が事業者に報告されること、申出を理由とした不利益取扱いの禁止、50人未満の事業場への義務化の施行日は、いずれも同マニュアルの記載によります
権威の帰属制度に関する記述は厚生労働省の資料に基づきます。当協会は引用者であり、厚生労働省の監修・認定・推奨を受けたものではありません
この記事の位置づけ制度の解説を目的としたものではなく、法令の解釈を示すものでもありません。判定されたご本人が、次の一歩を考えるための整理です
⚠ 運用は職場ごとに異なります実施方法・通知の仕方・面接指導の流れは事業場によって違います。詳細は勤務先の実施事務従事者、産業医・保健師にご確認ください
教材からの出典当協会公式テキスト『メンタルヘルス支援士 公式マスターブック』第1章1-2(うつ病への対応)/管理監督者に関する記述は厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
一次情報の性質一般社団法人 人間力認定協会「メンタルヘルス支援士 受講前アンケート」および「同 受講後アンケート」より抜粋
データ取得者一般社団法人 人間力認定協会
調査期間受講前アンケート:2025年2月27日〜2026年7月25日/受講後アンケート:2025年3月8日〜2026年8月20日
有効回答数受講前146件/受講後248件
設問「性別」「年代」「職種(複数回答)」「受講した動機(複数回答)」「自由にメッセージをお願いします」ほか
分析方法受講動機8分類の単純集計。複数回答のため割合の合計は100%を超えます
注意点146人に「高ストレス者と判定された経験があるか」を尋ねた設問はありません。この記事の受講者の声も、判定された方の声として集めたものではありません
注意点本記事は診断・治療を目的としたものではありません。受診の要否についても断定していません

【注意事項】

この記事は、厚生労働省が公開しているストレスチェック制度の資料を整理したものです。法令の解釈を示すものでも、個別の職場における運用を保証するものでもありません。実施方法や通知の仕方は事業場によって異なるため、詳細は勤務先の実施事務従事者、産業医・保健師にご確認ください。高ストレス者は診断名ではなく制度上の区分であり、この記事はお読みになった方の状態を判定するものではありません。心の状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。本記事は診断・治療を目的としたものではなく、受診の要否を判断するものでもありません。眠れない状態や体調の変化が続く場合は、産業医・事業場内産業保健スタッフ、または医師・専門機関・お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。当協会は医師による監修を受けていません。

参考・相談先

メンタルヘルス支援士バナー