”普通”が発達障がい児(自閉症・ADHD・学習障害)を苦しめる

子どもが幼稚園に入り、同じ空間の中でほかの子と比べてみると、これまでとは違った感情が湧きだしてきます。その感情は両親の頭の中を支配するようになり、次第に親の言動として表れてきます。親の頭の中に侵入し、その言動を支配するようになったものの正体とは、、これまで3万人以上の子どもたちの教育に携わり現在は(一社)人間力認定協会 代表理事の私井上が、今回は「”普通”が発達障がい児(自閉症・ADHD・学習障害)を苦しめる」というテーマでお話いたします。

知らない間に変化していく子どもへの評価と期待

生まれてきたばかりの我が子は、ひたすらかわいく、それはまるで天使のような存在です。末は博士か大臣かという期待に胸が膨らむのもこの頃です。「親孝行は3歳までにすべて終わっている」と言った人がいましたが、本当にその通りだと思えるほどの喜びを子どもが親に与えてくれる時期です。

幼稚園から小学校にかけて広がる不安

しかし、幼稚園に入り、ほかの子と並べてみると、あれ?「うちの子少し小さいのかな」「あの子よりも幼くみえるけど」「あの子は見るからに賢そうだわ」「全然自己主張できていない」などなど、ほかの子を見れば見るほど、知れば知るほど不安が拡がり、もしかして「うちの子、天才じゃないのかも」「このままだとほかの子に後れをとるかも」そんな気持ちにさえなってくるのです。

他者比較で生まれる恐怖と不安

いつの間にか、先生も親御さんも、一人の子どもを見ることが出来なくなり、「みんなと比べてどうだこうだ」というようになってくるのです。当の子どもは生まれた時から何も変わっていないのに、周りの見る目が変わっただけだというのに、勝手に未来を想像し、恐怖や不安を抱き、「ああしろこうしろ」というのがいつの間にか口癖になっていくのです。その言葉とは裏腹に、子育てはなかなか思うようにいきません。

発達障がい児グレーゾーンへ突入

子どもの発育支援(子育て)がうまくいかなくなった時、先生や親御さんが疑うのが「発達障がい(自閉症・ADHD・学習障害)です。伝わらない、できないのはこの子の能力の問題ではないかと疑い始め、ネットで検索すると、これも当てはまる、あれも当てはまる。でも、これはちょっと違うし、、、などなど、親御さんによる我が子診断が始まります。教師は教師で自分の手のひらに収まらない児童に対して「発達障がいでは」という疑念を抱いてしまうのです。誰も私の指導力不足とは考えないものです。

習い事で変わるかもという期待を胸に

そんな時、ちょうど良いタイミングでお友達から「習い事」のお誘いです。何かのきっかけになるかもというほのかな期待をもって通わせることになるのです。

「普通」を手に入れる終わりのないレースへのエントリー

「東大目指してエリート官僚まっしぐら」コースなのか「どうにか人並みぐらいになろう」コースなのかはわかりませんが。いずれにせよ、ほぼすべての親子が日本特有の学歴レースに参加します。子どもにしてみれば「エリートコース」ならやりがいを感じることが出来ますが、「人並みコース」を目指す発達障がい児(自閉症・ADHD・学習障害)やグレーゾーンの子ども達にしてみれば、どれだけ頑張っても手に入れることができるのは「人並み」と書かれたトロフィなのでとてもつまらないものとなってしまいます。

発達障がい児にとって、苦しくて、意味のない普通レース

元来15%という少数派である発達障がい児を残り85%が参加している「普通レース」に参加させていること自体苦痛を生む原因であり、そのことには何の意味もありません。ただ、早めに「普通レース」から降りてしまえばいいのです。そしてその子が参加したいレースに参加させてあげればいいのです。

自分の歩む道を見つける

たとえそれがマイナーであっても、他人の「普通」という価値観の中で苦しむよりはずっとましです。みんなに合わせることが「普通」ではありません。その子が胸を張って生きられる場所がその子にとって普通であるべきであり、その道を選んでも結果的に何も困ることはないのです。

消滅しつつある普通レース

今、時代はものすごい勢いで変化しています。学歴社会などの価値観が、がらがらと音を立てて崩れていますAI(人工知能)の進化により、求められる人間像が大きく変わろうとしているのです。これからの社会は、人間に不足していることの大部分はAIやロボットにより補完されます。

新しい価値観の世界へ

ですから、苦手なものを克服するという考え方から、得意なもの、自分が楽しいと思えるものを追求することが、より尊いこととなるのです。そのために必要なのは、私たち大人や教育者が、これまでの「普通」を投げ捨て、子どもたちと一緒になって、新しい価値を模索していく覚悟を持つことです。コロナが終息する頃には、世界は新しい価値観が支配していることでしょう。次の時代に乗り遅れないようにしたいものです。

結論:”普通”が発達障がい児(自閉症・ADHD・学習障害)を苦しめる

「コロナ前の常識は今の非常識になってしまった」たくさんの事実を世界中の人たちが目にしています。アメリカでは病人以外は決して使用しなかったマスクをすることが常識になりました。日本でもカラオケに行かなくなったり、外食が減ったり、ZOOMが大学の授業のメインになったり、通勤がなくなってテレワークになったりと、たった1年そこらでそれぐらい変化しています。だからこそ今、これまでの「普通」を捨てることが必要なのです。そしてそのことがとりわけ発達障がい者にとっては生きやすい社会になってくると私は信じています。

新しい価値を発見・認定するために生まれた人間力認定協会

私が代表理事を務める(一社)人間力認定協会は、これから来る新しい社会の中で、本来人間が誰しも生まれながらに持っている固有の能力を存分に引き出し、支援し、育て、認めるために発足しました。多様性を持った新しい価値観の追求です。そこは健常者に限らず、発達障がい者(自閉症・ADHD・学習障害)も活躍できる社会です。次回は「子どもに発達障害というレッテルを貼ることは大きなリスク!」というテーマでお話ししたいと思います。

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