[協会監修]大人の発達障害診断テスト|ADHD・自閉症チェックリスト

最近よく耳にするようになった「大人の発達障害」。もしかしたらあなたの身近にも該当する方がいるかもしれません。しかし、誤った情報が出まわっていることもありますので、発達障害支援の資格「児童発達支援士」を認定している当協会から、大人の発達障害を疑った時に確認できるチェックリストを紹介させていただきます。正しい知識があなたと身近な人を守ります。

※セルフ診断には限界がありますし、リスクも伴いますので、目安としてこのチェックリストをご活用ください。正式な診断は医療機関にてお願いします

大人の発達障害とは

そもそも「大人の発達障害」という言葉は、造語のような部分があり、正式な診断名称ではありません。発達障害は生まれ持った脳の特性や障害のことを指します。現在の医学では大人になって、脳の障害が発生し「大人の発達障害」となることはあり得ないとされています。【参考資料1】

大人の発達障害と言われている方は、子どものころから特性や障害があり、それが大人になっても現れているケースがほとんどでしょう。中には、子どものころにはそのような傾向は全くなかった。と仰るケースも有るかもしれません。その場合は、子どものころは様々なサポート(支援)によって、発達障害の特性が現れていなかっただけで、大人になって社会に出た際に、今まで見えていなかった特性が顕在化したと認識すると良いでしょう。

事故や病気で脳に障害が出て、それが発達障害と同じような特性をあらわす可能性もあるかもしれませんが、そのような場合は発達障害とは診断されず、他の障害として診断されるでしょう。

以上のことから、基本的には「子どもの発達障害」も「大人の発達障害」も現れる特性などは同一のものになります。そのため大人の発達障害を疑っている方が、チェックリストを参照する際は、子どもの発達障害のリストを見てもある程度は参考になると思います。ただ子どもと大人では生活環境が異なるので、困りごとや特性が現れるケースは異なると思います。本チェックリストでは、大人の自閉スペクトラム症の方、ADHDの方がどういったケースで特性が現れるかを紹介していきます。

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参考資料1:大人になって気づく発達障害 ひとりで悩まず専門相談窓口に相談を!|政府広報オンライン

協会監修の発達障害診断テスト|大人版

インターネットで「発達障害 診断テスト」と検索すると、たくさんの情報が表示され、どの情報が正しくて、どの情報が正しくないのかが素人目には分かりません。さまざまな表現があるので、見れば見るほど当てはまるような気がしてしまい、さらに心配になってしまいます。

現在、日本の病院や保健センターにおいて、発達障害の診断を行う際には、基本的に、DSMかICDという診断基準を元にしています。発達障害の診断をするためには、さまざまな心理検査を行いますが、最終的に診断基準となるのはこの2つです。診断をするのは医師であり、心理検査の結果の数字だけで決めるわけでもありません。

DSMはアメリカ精神医学会が発表しているもので、ICDは世界保健機構(WHO)が発表しています。実際の医療の場でも利用されているだけあって、かなり専門的な内容になっています。表現も難しく、医療関係者でない限り読み解くのが難しいでしょう。そこで、2つの診断基準をもとに、累計4万名以上の受講者がいる当協会が簡易的なチェックリストを作成いたしました。

※セルフ診断には限界がありますし、リスクも伴いますので、目安としてこのチェックリストをご活用ください。正式な診断は医療機関にてお願いします

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・[外部リンク]アメリカ精神医学会の公式サイト(英語)
・[外部リンク]世界保健機構 ICD-11(英語)

ADHD(注意欠如・多動症)の診断テスト|大人版

まずADHDのチェックリストを紹介します。ADHDのチェックを行う際には、「一定期間その特性が現れているか」「複数の場で特性が現れているか」という2つの条件を満たしている必要があります。その上で、下記に紹介する項目を複数満たしていることがひとつの診断基準とされています。

「一定期間」というのは半年程度を想定しましょう。一時的にその特性が現れているだけの場合は、ADHDを疑うのではなく、ストレスや環境などの影響であることが多いものです。そういったものと切り分けるために半年程度、継続して特性が出ているかを見るということです。

また「複数の場」というのは、「家庭と職場」などを言います。一つの場所だけで特性が出ていて、他の場所では特性が出ないというのは、脳の障害というよりは、感情的な理由が大きい可能性があります。例えば、職場ではほとんどミスをせずきっちり仕事をしている人なのに、自宅だとすぐなくし物をしたり、予定を忘れてしまう。このようなケースの場合は、ADHDを疑うというよりも、家族の関係性を見つめ直すべきでしょう。

少し長くなりましたが、以上の2つの前提条件を満たしたうえで、下記のチェックリストにいくつ当てはまるかを確認しましょう。

  • すぐに注意力が散漫になる
  • 不注意によるミス(ケアレスミス)が多い
  • 特定のことに集中しすぎることがある(過集中)
  • 長時間人の話を聞くのが苦手である
  • 話しかけられたときに、聞いていないように見える
  • 指示に従えず、やるべきことを最後までやり遂げることができない
  • 整理整頓が苦手である
  • スケジュール管理が難しい
  • 書類の提出期限などを守れない
  • なくし物や忘れ物が多い
  • 机をとんとん叩いたりして常にソワソワしている
  • 一方的にしゃべりすぎることがある
  • 相手の質問が終わる前に答え始めてしまうことがある
  • 他人の会話や活動を妨害(割り込み)してしまうことがある

以上となります。これらの特性が家庭や職場で一定期間現れているかをチェックします。

上記に多く当てはまったからと言って、ADHDが確定するわけではありません。もし上記の特性が、生活に支障をきたしているような場合は、一度病院に相談に行くと良いでしょう。上記のような特性があったとしても、生活に支障をきたしていないのであれば、わざわざ発達障害かどうかを疑う必要もないでしょう。発達障害と言われたり疑われたりすると、多くの人はショックを受けると思います。そのため安易な判断は絶対に控えましょう。

自閉スペクトラム症(ASD)の診断テスト|大人版

次に、自閉スペクトラム症のチェックリストを紹介します。ADHDの時と同じように、「複数の場で特性が現れているか」をひとつの前提条件としましょう。また、これらの特性が生活に支障をきたすものかどうかも確認しましょう。その上で、下記のチェックリストにいくつ当てはまるかを確認しましょう。

  • 集団行動が苦手である
  • コミュニケーションが苦手である
  • 場の空気を読むことが苦手である
  • 喜怒哀楽の感情が表情や態度に現れにくい
  • 非言語情報(身振り手振り、態度など)を読み取ることが難しい
  • 視線を合わすことが苦手またはほとんど合わせられない
  • 他者への関心が薄い
  • 自分のやり方やルールに強いこだわりがある
  • 席や物の配置が変わった時に苦痛を感じることがある
  • 食べ物の好き嫌いが激しい
  • 同じ食べ物ばかりを食べたがる
  • 感覚刺激に敏感である(音や匂いなど)

以上となります。これらの特性が家庭や職場で一定期間現れているかをチェックします。

自閉スペクトラム症の特徴として「コミュニケーションが苦手」「こだわりの強さ」「感覚刺激への過敏さまたは鈍感さ」という3つが挙げられます。すべてが現れている人もいれば、コミュニケーションの苦手さだけが強く出ている方もいます。ただし「コミュニケーションが苦手=自閉スペクトラム症」という判断はやめましょう。過去にあったコミュニケーションによる失敗やトラウマによって、苦手である方も多々います。そういったものを「コミュ障だから」という発言も控えましょう。正しい知識をもち、正しい支援をしていかなければ、すべての人が輝く社会にはなりません。大人がそのようないじめのような感覚を持ってはいけません。

発達障害と精神疾患・依存症の関連性

発達障害と精神疾患・依存症には関連性があると様々な研究で報告されています。一例を紹介すると、自閉スペクトラム症の方は、不安症(43~84%)、うつ病(2~30%)、強迫症(37%)、注意欠如多動症(59%)、反抗挑発症(7%)、チック症(8~10%)、てんかん(5~49%)、睡眠障害(52~73%)などを併存する確率が高いという調査結果があります。【参考資料2】

ADHDの方は、ゲーム依存症やアルコール依存症、薬物依存症などを併存する確率が高いという研究も多くあるため、適切な支援が求められています。

支援には様々な方法がありますが、まずは「多くの方が発達障害を理解すること」が第一歩となるでしょう。理解されないがために精神的に病んでしまったり、一時的な快楽を求めアルコールや薬物などの依存症を発症するわけです。そこに理解者がひとりでも多くいれば、そのような二次障害に繋がることは少なくなるでしょう。「誰からも理解されなければ病む」というのは、発達障がい者に限った話ではありません。障害がない方でも、誰からも理解されなければ病んでしまう可能性は非常に高いでしょう。

私ども協会は、児童発達支援士という発達障害と子育てに関する資格を認定しています。「児童」とついていることから、基本的には子どもの支援を対象とした資格になっていますが、大人の方への適応も出来る要素がありますので、興味のある方は是非特設サイトをご覧ください。

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・令和5年の自殺統計からみる発達障がい者の二次障害に潜む危険性
・児童発達支援士 特設サイト|人間力認定協会

また、発達障害に関する認識が広まっても、残念ながら病んでしまう方は一定数いらっしゃることでしょう。そのような場合に備え、心理カウンセラーもより多くの場で活躍できるようになるといいなと考えます。心理カウンセラーや相談者のよき理解者になることができます。その存在はとても心強く、メンタルを回復させることに大変役立つことでしょう。

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・[外部リンク]発達障害は依存症になりやすい!?ASDやADHDとの関係性とは

参考資料2:Levy SE, Mandell DS, Schultz RT:Autism. Lancet 374:1627‒1638, 2009

【まとめ】大人の発達障害診断テスト|ADHD・自閉症チェックリスト

以上となります。

大人の発達障害に対して具体的なイメージが出来たかと思います。ここで紹介したチェックリストはあくまでも目安として活用してください。チェックリストを通じて、それぞれの障害の特徴を知ることも出来たでしょう。そこに価値があるのです。障害の特徴を知ることで、その人がやる気がなくてミスをしているのではないと分かれば対応も変わってくるはずです。

正しい理解が、当事者を救うことに繋がります。共に支援の輪を拡げていきましょう。

最後までご覧頂き有難うございました。

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