【協会監修】ADHD・自閉症診断テスト|子ども発達障害チェックリスト

「小学校に通っている児童のおよそ6.5%に発達障害の傾向がある」という統計が、文部科学省から発表されています。(最新統計では8.8%と言われています。詳細はこちら)また、明確に診断がついていないけれども、発達障害の傾向を認める「グレーゾーン」と呼ばれる子どもを含めるとさらに多く、ゆうに10%を超えるのではないかとも言われています。この記事では、当協会監修のもと作られた、発達障害(特に自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠如・多動症(ADHD)・学習障害(LD))の診断基準を見ていくことで、どういった子どもがそれぞれの障害に当てはまるのかをお伝えします。

子どもの様子を見て「ん?何か気になる」という場合は、まずはこの記事で解説されている診断基準にお子様を照らし合わせてみましょう。そして「やっぱり気になる」「当てはまるんじゃないか」と思った場合は、発達障害の診断をしてくれる小児科・児童精神科・精神科の病院などに相談されると良いでしょう。

この記事は長くなりますが、上から順にご覧ください。「自閉スペクトラム症かも?」と思っていてもADHDの特性も併せ持っているというケースが発達障害の場合は多くあります。そのため、あらゆる可能性を見出すためにも、セルフチェックの段階においては、様々な障害の特性を確認しておくことが重要です。思い込みを捨てるためにも、飛ばさずに順を追ってご確認いただくことをお勧めします。

※あくまでも目安としてこのチェックリストをご活用ください。正式な診断は医療機関にてお願いします

協会監修の診断テスト

インターネットで「発達障害 診断テスト」と検索すると、たくさんの情報が表示され、どの情報が正しくて、どの情報が正しくないのかが素人目には分かりません。さまざまな表現があるので、見れば見るほど当てはまるような気がしてしまい、さらに心配になってしまいます。

現在、日本の病院や保健センターにおいて、発達障害の診断を行う際には、基本的に、DSM-5かICD-10という診断基準を元にしています。発達障害の診断をするためには、さまざまな心理検査を行いますが、最終的に診断基準となるのはこの2つです。診断をするのは医師であり、心理検査の結果の数字だけで決めるわけでもありません。

この記事では、DSM-5のチェックリストを紹介していきます。なぜかというと理由は2つあります。

1つ目は、ICD-10は情報が古いという事です。発表されたのは1990年と今からおよそ30年前となります。実はICD-11という新しいバージョンが2018年に発表されているのですが、翻訳の点や医療業界で反映されているかという点では、まだICD-10で止まっているため情報が古いのです。そしてもう1つの理由は、DSM-5は精神疾患に特化しているのに対し、ICD-10は疾患全般に関するものとなります。範囲が広いためどうしても専門性が薄くなると言えるでしょう。

以上の理由から、この記事ではDSM-5の診断基準を紹介していきます。DSM-5はアメリカ精神医学会が発表しているものとなり、世界中に普及しています。十分な信頼性があると言えるでしょう。さらに発達障害の資格を認定し、累計3万名以上の受講者がいる当協会が監修した記事となるので、安心してご覧いただけます。

※あくまでも目安としてこのチェックリストをご活用ください。正式な診断は医療機関にてお願いします

 外部リンク>アメリカ精神医学会の公式サイト(英語)

ADHD(注意欠如・多動症)の診断テスト

それではADHDのチェックリストをご紹介します。まずはDSM-5で紹介されているものを、そのままの形でご紹介します。その後に言葉や解釈の説明を簡単にさせて頂きます。最後に年齢ごとにみられる特徴も紹介しますので、上から順にお読みいただくと理解しやすくなります。少々難しい表現もありますが頑張ってください。

【ADHD(注意欠如・多動症)の診断テスト】

DSM-5のADHD診断基準は、9つの不注意症候および9つの多動性・衝動性症候を含みます。

この基準による診断には、少なくとも1グループにおける6つ以上の症候が以下の条件を満たす必要があるとされています。

【共通事項】
・しばしば6カ月以上認められる
・患児の発達水準から予測されるよりも著しい
・少なくとも2つ以上の状況(例,家庭および学校)でみられる
・12歳前に(少なくともいくつかの症状が)みられる
・家庭,学校,または職場での機能を妨げている

まず重要なのは、上記の共通事項に全て当てはまるかどうかです。全てに当てはまった人のみ、この先へお進みください。

【不注意症状】
・細部に注意を払わない,または学業課題やその他の活動を行う際にケアレスミスをする
・学校での課題または遊びの最中に注意を維持することが困難である
・直接話しかけられても聴いていないように見える
・指示に従わず,課題を最後までやり遂げない
・課題や活動を順序立てることが困難である
・持続的な精神的努力の維持を要する課題に取り組むことを避ける,嫌う,または嫌々行う
・しばしば学校の課題または活動に必要な物を失くす
・容易に注意をそらされる
・日常生活でもの忘れが多い

【多動性・衝動性症状】
・手足をそわそわと動かしたり,身をよじったりすることが多い
・教室内またはその他の場所で席を離れることが多い
・不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりすることがよくある
・静かに遊ぶことが困難である
・じっとしていることができず,エンジンで動かされているような行動を示すことが多い
・過度のおしゃべりが多い
・質問が終わる前に衝動的に答えを口走ることが多い
・順番を待てないことが多い
・他者の行為を遮ったり,邪魔をしたりすることが多い

不注意優勢型と診断するには、6つ以上の【不注意症候】が必要です。 多動性・衝動性優勢型と診断するには、6つ以上の【多動性・衝動性症候】が必要です。 混合型と診断するには、不注意と多動性・衝動性のそれぞれで6つ以上の症候が必要となります。

「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(原著:American Psychiatric Association)」より引用

ADHD診断の補足説明

重要なのは、上記の項目の「共通事項」に全て当てはまるかどうかです。ここがスタートとなります。例えば「自宅ではADHDの傾向が凄く強いが、幼稚園や学校ではあまり出ていないようで、先生からは何も言われない」というケースです。この場合は、ADHDの診断基準には当てはまりません。

さらにADHDの特性と思われる行為がどのくらいの期間続いているかも大事です。ここでは明確に6か月と明記されています。

子どもは周りの環境が変わった時や、ストレスのかかり具合で、どうすれば親や他者にかまってもらえるか、自分の望み通りになるかと模索しています。このような時には意図的に「問題行動」を起こすことがあります。子どもは非常に賢いものです。他者の注目や保護者の愛情を自分に向けるために「わざと」げんかをしたり、「わざと」暴れたりすることがあります。しかしこれらは、一時的な心のさみしさを埋めるための行動である可能性もあるのです。

このような目的をもって子どもが行動している場合、多くは短期間でその行為は終わります。行為が終わるタイミングは、その行為によって目的が達せられた時。もしくは全くうまくいかないと判断し他の策に切り替えた時。いずれにせよ長続きはしません。

DSM-5ではそういった子どもの意図的な問題行動と切り分けるために「2つ以上の場所で現象が起きてるか」「6カ月以上続いているか」を基準に入れているのです。病院などにいっても「もう少し様子を見てみましょう」とよくいわれる背景には、このような理由があるということです。

3歳・4歳・5歳のADHD特徴

ADHDの特性が現れ、気づかれやすくなる年齢としては3〜5歳ころからだと言われています。当然それ以前にもADHDの特性と似た行動を取ることがあります。それは多くの赤ちゃんが共通して起こす行動なのか、ADHDの特性から来る行動なのかの判断は非常に難しいため、診断される年齢は3歳・4歳・5歳ころからが多くなります。ではこの時期にみられるADHDの特徴を確認していきましょう。

  • じっとしていられず、ウロウロしてしまう
  • 集団生活になかなか適応できない
  • 直前に伝えたこともスッカリ忘れてしまう
  • ものをなくしてしまうことが多い
  • 友達とのトラブルが見られることがある

この時にも下記のことは忘れないでください。

  • しばしば6カ月以上認められる
  • 患児の発達水準から予測されるより著しい
  • 少なくとも2つ以上の状況でみられる
  • 家庭、学校、職場での機能を妨げている

3〜5歳というのは幼稚園や保育園の時期にあたりますので、保育士や先生からの指摘などもあるかもしれません。自宅でも癇癪などが見られることがあると思います。あちこちから指摘を受けると「焦って」しまうこともありますが、まずは「焦らない」ことです。我が子のことなので焦るなと言っても難しいことはわかっていますが、我が子のことだからこそ保護者は焦ってはいけません。

園や学校の先生全員が、発達障がい児支援のスペシャリストというわけではないことは頭に入れておきましょう。保育のプロと発達支援のプロというのは別の世界なのです。また「うちの子の園での様子を教えてください」といきなり聞くと、先生も非難されることを恐れて無難な回答しかしてくれないことがあります。そのため、「自宅でADHDの特性が出ていて、園ではどうかな?と思っているのですが」という形で聞くと良いかもしれません。

早期療育には賛否両論ありますが、保護者がそこから目をそらし続けることはお勧めできません。

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6歳以降のADHD特徴

この年齢からは、先ほど紹介したDSM-5の基準に照らし合わせてください。

小学校に上がるタイミングでADHDが発覚するというパターンも多くあります。小学校に入学し、「授業中にじっと座っていないといけない」「授業中に板書しないといけない」という小学校では当たり前とされていることができず、ADHDを疑われ発覚することがあります。同時に、この時期から学習障害(LD)の特徴も見え始めることがあります。

また、ADHDの特性を起因とした友達との喧嘩が多くなるのもこの時期です。幼児期と違い、体も大きくなり力もついてきます。そうなるとトラブルも大きくなりがちです。そういったサインも見逃さないようにしましょう。

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自閉スペクトラム症(ASD)の診断テスト

次に、自閉スペクトラム症の診断基準をご紹介します。こちらもDSM-5の診断基準をご覧ください。過去にはテレビなどでもよく聞いていた「アスペルガー症候群」という診断名は、DSM-5ではなくなっていますので、注意してください。

【自閉スペクトラム症(ASD)の診断テスト】

①複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること

②行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(常同的、反復的な身体の運動や会話、強いこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚過敏または鈍感など)

③発達早期から1,2の症状が存在していること

④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること

⑤これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル(原著:American Psychiatric Association)」より引用

自閉スペクトラム症診断の補足説明

ADHDの時と違い、具体的な表記が少ないと言えますね。なのでこれだけを見ても、自宅でセルフチェックを行うのは難しいですね。次の項目で年齢ごとに明確なチェック項目を設けているのでそちらをご確認ください。

ここでもADHDの時と同じように、「複数の状況で」という部分があります。すなわち家庭内だけではなく、幼稚園や他者とのつながりの中で自閉スペクトラム症の傾向が出ているかどうかが重要という事ですね。また③で「発達早期から」という表記があります。この場合の「早期」とは0歳~4歳くらいを指すと考えてください。ADHDでは3歳くらいから診断できるようになると言いましたが、自閉スペクトラム症はそれよりも早いタイミングから傾向が現れることが多いです。その時の特徴が、「抱っこにこだわりがあり、気持ち悪いと背中をそらす」「視線が合わない」などです。また、それ以後であれば「友達と遊ばずひとり遊びばかりしている」「興味を持ったもののことをとことん追及する」などが見られます。

0歳・1歳・2歳の自閉スペクトラム症特徴

この時期にみられる傾向は以下の通りです。

  • ほとんど泣かない
  • 些細な事でも激しく泣く
  • 夜中ちょっとした物音ですぐ起きる
  • 独りで寝ていても起床時に泣かない
  • 目が合いにくい
  • 指さしした方向を見ない
  • あやしたりくすぐったりしても笑わない
  • 表情が乏しい
  • 初語がかなり遅い
  • 名前を呼んでも振り返らない
  • 抱っこを嫌がったり、暴れたりする

自閉スペクトラム症の特性を持つ子の中には、「感覚過敏」という特徴があります。上記で紹介したリストも感覚過敏がゆえにみられる傾向があります。「些細な事でも激しく泣く」は「些細な音」であっても、聴覚過敏の子からすると激しい音に聞こえることがあります。また「抱っこを嫌がる」というのは触覚過敏や圧覚過敏であることもあります。

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3歳・4歳・5歳の自閉スペクトラム症特徴

この時期は、他者とのコミュニケーションに着目をするようにしましょう。自閉スペクトラム症の特徴は大別すると「コミュニケーション」「感覚過敏」「こだわり」にあると言えます。感覚過敏の傾向については、2歳ころまでにある程度把握は出来ているでしょうから、3歳以降に関しては「コミュニケーション」に着目すると良いでしょう。幼稚園や保育園でお友達はいるのか。お友達と一緒に遊べているか。人に興味を持てているかなどを意識的に見るようにしていくと良いでしょう。

また親子で冗談を言ったりしたときに、それが伝わっているのか。また場の空気をある程度読めているかという事もポイントとしてあげることができます。自閉スペクトラム症の傾向がある子はいわゆる「空気を読む」ことが苦手です。あいまいなものが苦手なのです。

  • 一人遊びばかりしている
  • 冗談が通じない
  • 場の空気を読むことができない
  • 人に興味を示さない
  • こだわりが以上に強い
  • いつものやり方や手順が崩れることを嫌う
  • ものを置く場所が同じで異なることを嫌う

チェックリストとしては、以上となります。セルフ診断テストを行ったうえで、皆さまの不安な気持ちや「これからどうしたら?」という気持ちにお応えして2つの観点からお話をします。

学習障害(LD)の診断テスト

発達障害には、自閉スペクトラム症・ADHDだけでなく学習障害(LD)もあります。学習障害は限局性学習症ともいわれ、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものと定義づけられています。

学習障害は7歳、8歳、9歳ころに特性が顕在化しやすいと言われています。

その際にどういった特性が見られるのかまとめた記事がありますので、学習障害の診断チェックを行いたい方は下記より記事を御覧ください。

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発達障害のグレーゾーンとは

発達障害の傾向は認められるものの、診断基準に満たない場合は「グレーゾーン」と言われることがあります。ただしグレーゾーンというのは通称であり、正式な診断名というわけではありません。にもかかわらず「グレーゾーン」という名称によって、子どもの自己肯定感を傷つけてしまうケースがあるため、グレーゾーンという表現を避けるべきという意見もあります。

さらに明確に診断がついていないがために、支援を受けにくいケースもあるため、保護者としても苦しい思いをされることがあるようです。

その為、診断名があるないにかかわらず、子どもの特性に合わせた対応が求められると言えるでしょう。あらわれる特性はADHDや自閉スペクトラム症など発達障害の特性の一部が現れるため、発達障害の知識を身に付けておくことで、柔軟に対応ができるようになるでしょう。グレーゾーン特有の特性はこれ!といったものはありません。正しい理解で、適切な支援を行っていきましょう。

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発達障害の早期療育について

自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠如・多動症(ADHD)については、早期療育の重要性が述べられています。療育というのは「発達支援」とも言われ、現代の発達障害支援において、早期療育は欠かせないといわれています。子どもにとっていい方向に成長を促すことができます。ただ保護者の「そんなところに通っているなんて恥ずかしい」といった思いや、「発達障害だと認められない」といった不安で、早期療育を受けないことは子どもにとってデメリットとなることがあるため、感情を落ち着けてじっくり考えてみましょう。

子どもの気になる行為が、発達障害からくる行動なのかは、判断が難しいものです。その上で、行動特性であっても問題行動になる行動はやめていくようにしなければなりません。

まずやるべきは「保護者が知識を身に付けること」だと思っています。早期療育とは、何も施設に入れることだけを言っているのではありません。保護者がしっかりとした知識を身に付け、子どもに自宅で簡易的な療育を行うことから始めると良いでしょう。

保護者が身に付けるべき知識とは何を指すのか、それは「発達障害のことと、子育てのこと」です。注意いただきたいのは「発達障害のことだけ」にならないようにすることです。この段階においては「子どものことや子育てのこと」をきっちり理解する必要があります。そうすれば子どもが意図的に問題行動を起こしているのであれば、その理由や対処方法がわかるでしょう。もし子どものことや子育てのことを理解し実践した上でも傾向が続くのであれば、それは発達障害の可能性が高いので病院に行くべきだと言えます。

当協会では、発達障害支援の資格として3つの資格を認定しています。

  1. 児童発達支援士
  2. 発達障害コミュニケーションサポーター
  3. SSTスペシャリスト

これら資格の延べ受講者数は3万名を超えています。個人だけでなく、保育・療育施設のスタッフの皆様、学校法人で契約され学生が学習されているケースも多くなってきました。

2024年にはNHK(Eテレ)の子ども番組に出演されている芸能人の鳥居みゆきさんが、児童発達支援士と発達障害コミュニケーションサポーターを取得されたということでネット上で一時話題になりました。その他にも報道ステーションに出演されている下村アナウンサーもInstagramで資格取得を報告されています。

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このように子どものために「発達障害のことと、子育てのこと」を学ぶ方は非常に多くなってきたと言えます。当協会の資格以外にも、発達障害や子育てに関する良い資格がありますので、視野を広く持ち検討していただくと良いでしょう。

自宅でのセルフ療育も検討する

発達障害に関する知識を身に付けていくと、下記のような葛藤が訪れることがあります。

「我が子は診断がつくほどではないのかもしれない。病院に連れて行って、マイナスイメージを持たせてしまうのも嫌だな。でもだからと言って何もしないわけにもいかないし・・・」

このような葛藤は、グレーゾーンと言われる特性を持つ子の保護者に多いと思います。安易に病院に連れていく判断はとりにくいこともあるでしょう。そういった場合は、まずは自宅での療育を試してみるのも一つの手かもしれません。療育には様々な種類がありますが、自宅でも簡単にできるものとしては、SST(ソーシャルスキルトレーニング)やTEACCH(視覚的構造化・物理的構造化)などがあります。これらを自宅で行うのであれば、子どもに発達障害という意識を持たせずに、ゲーム感覚で取り入れることができるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。

発達関連の勉強を進めていくとわかるのですが、専門用語は英語が多くとっつきにくいのですが、その意味するところや、療育で行うトレーニングひとつひとつは、とてもシンプルなものが多いのです。そのため現段階では「療育を自宅で行うなんて無理!」と思っている方でも、最低限の知識をつけられた後は「意外といけるかも」と思われる場合も多いと思います。まずは資格を一つ取得してみたり、書籍を数冊読破して基礎を身に付けてみましょう!

ペアレント・トレーニングとは・・・セルフ療育のことをペアレント・トレーニングと表現される方もいらっしゃるでしょう。この二つはとても似ていてほぼ同じ意味だということも可能です。ペアレント・トレーニングとは、療育を家庭(保護者と子ども)でおこなうことを指します。最近では、ペアレント・トレーニングという言葉の方がよく耳にするようになったかもしれません。難しく考えず、療育を家庭でおこなうことがペアレント・トレーニングなんだと認識するようにしましょう。

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発達障害の診断テストを受けられる病院を探す

病院を探す時には、インターネットで「発達障害 診断 病院」と検索していただければ、最寄りの病院が沢山出てくるでしょう。診断を受けられる病院の診療科はいくつかあり、小児科や精神科、児童精神科などがあります。どこがよい、どこが悪いということは一概には言えませんので、口コミ等を参考にされると良いでしょう。

また、各保健所も発達障害の診断をしてくれる病院の情報を持っていますので、保健所で相談することも考えてみてください。初診を受けられるまでに、数ヶ月ほど待つ可能性があります。子どもの発達障害を疑ってから、診断を受けるまでの時間というのは、保護者の皆様にとって物凄く長く感じ、辛く感じる期間だと思いますが、焦らずに構えましょう。

「あなたは発達障害です」

こう言われて喜ぶお子さん、保護者はまずいないでしょう。しかし、将来大人になった時に、二次障害(特性のために苦労をしてうつなどになること)が生じてから受診をするのでは、本人の苦しみはさらに深くなる可能性が高いでしょう。

そのため、どうするべきかはじっくりと考えるようにしてください。その時には、自分の感情だけではなく、子どもの今、近い未来、そして将来のことをしっかりと見据えて判断するようにすると良いでしょう。

子どもが発達障害かも?と思った時の保護者の行動順序

子どもが発達障害かもしれないと思った時は、ここで紹介したように、

  1. セルフチェック(診断テスト)を実施
  2. 発達障害の情報や知識を得る
  3. 小児科や児童精神科に相談する

これらをひとつずつ行動していくようにしましょう。保護者の気持ちとしては焦ってしまったり、いてもたってもいられなくなってしまうものでしょう。ただこういう時こそ落ち着いて行動しましょう。その方が結果的に冷静で正しい判断が下せるようになるものです。視野を狭めないように注意が必要です。

診断テストには限界があることを理解しましょう

ここまでセルフチェックリストという形で診断テストについて紹介をしてきましたが、診断テストには限界があることは理解しておきましょう。

最終的な判断は医師にゆだねるしかありません。自宅で診断テストを行う際には「こういう傾向がやはり強いのか」という判断程度に留め、次の行動を決めるための材料にして頂きたいと考えています。次の行動とは上記でも紹介したように「知識を得ること」「病院に相談に行くこと」と言えるでしょう。

誤ったセルフチェックで、保護者が落ち込み、子どもへの影響が出ることが一番よくありませんので、その点を理解して本チェックリストをご活用ください。

【協会監修】ADHD・自閉症診断テスト|子ども発達障害チェックリスト

今回チェックリストをご紹介した目的は「保護者のその後の行動の目安にするため」です。チェックをして落ち込む、喜ぶのではなく、チェックをしたあとに「じゃあ、まずは私自身が勉強をしよう」とか「一度いきつけの小児科に相談してみよう」という具合に具体的な行動に繋がれば幸いです。

発達障害は脳の障害ではありますが、その特性をどう活かすかが最も重要です。そして自己肯定感を高めることが重要なのです。それができれば発達障害があったとしても楽しく幸せな日々を送ることができます。この点は発達障がい児も定型発達児も変わりません。子育てや教育について知識を身に付けて、子どもを輝く未来に導いていきましょう!

発達障がい児の特性そのものを「変えよう!」と強く思うと苦しくなるかもしれません。当協会が思う真の支援とは「発達障がい児を取り巻く環境を変えること」だと考えています。環境を変えるためには、多くの人が発達障害のことを知り、理解することが大切です。

理解は支援の第一歩!

 

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