この度当協会が認定する「児童発達支援士」「発達障害コミュニケーションサポーター」「SSTスペシャリスト」の3つの資格の第2版を2025年4月にリリースいたしました。ただ情報を新しくしただけでなく、より発達障害のことを深く知ることができる内容にパワーアップしています。どのような点が変更されたのか分かりやすくまとめましたのでご覧ください。
第2版になって変更された点
それでは第2版になって変更になった点を紹介します。基本的には、児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーター・SSTスペシャリストすべての講座で共通の変更が加えられています。
- DSM-5からDSM-5-TRの表記へ変更
- 最新の統計や研究結果を紹介
- 発達障害に関する情報を追加
- 試験対策動画の音声見直し
- 試験料を4,070円から5,060円(税込)に変更
このような変更を行いました。それではひとつずつ詳しく紹介していきます。
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DSM-5からDSM-5-TRの表記へ変更
発達障害の診断時に利用されるアメリカ精神医学会が発行する「DSM」という医学書があるのですが、これまでは2013年に発刊された「DSM-5」の情報に基づいていました。しかし2022年に改訂版となる「DSM-5-TR」が発刊され、一部の診断名称に変更が加わりました。このDSMという医学書の情報は、日本の医療機関や児童発達施設でも活用されているケースが多く非常に重要な情報ソースとなります。そのため、児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーター・SSTスペシャリストでも第2版のテキストでは最新版である「DSM-5-TR」で紹介されている名称や診断基準などを紹介しています。
DSM-5からDSM-5-TRになって表現がどのように変わったかというと以下のように変わっています。
DSM-5の表記 | DSM-5-TRの表記 |
知的能力障害(知的発達症/知的発達障害) | 知的発達症 |
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害 | 自閉スペクトラム症 |
注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害 | 注意欠如多動症 |
限局性学習症/限局性学習障害 | 限局性学習症 |
統合失調症スペクトラム障害 | 統合失調スペクトラム症 |
精神病 | 精神症 |
上記は一例ですが「障害」という名称を極力排除し「症」と言い換えている点が特徴です。だからと言って意味するところも大きく変わったかというとそういうことではありません。。「精神科病名検討連絡会」のガイドラインに沿って決められています。その際の基本方針は次の通りです。
1. 患者中心の医療が行われる中で、病名と用語はよりわかりやすいもの、患者の理解と納得がえられやすいものであること
2. 差別意識や不快感を生まない名称であること
3. 国民の病気への認知度を高めやすいものであること
4. 直訳がふさわしくない場合には意訳を考え、カタカナをなるべく使わないこと
5. 原則、病名のdisorder を、disability の邦訳として広く使われている「障害」ではなく、「症」と訳すこと(DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル)|アメリカ精神医学会より引用)
このようになっています。差別意識が生まれないように、当事者やその家族への配慮をした結果このような表現になったということです。第2版テキストでは当協会でもこの基準に当てはめていますので、今まで以上に多くの方が気持ちよく受講できる内容・表現になったと思います。
外部リンク
発達障害の診断基準DSM-5とICD-10の違いとは?
最新の統計や研究結果を紹介
教材で紹介している自殺者統計やいじめの統計、不登校の統計などを最新情報に更新いたしました。コロナ禍を経て統計結果に変化が現れていることもあるため、より現在に近い情報を提供する必要性を強く感じ変更しました。発達障害に関する情報もそうですが、デジタル関係の情報も日々新しいものが生まれます。その結果、これまでは想定されていなかった被害や社会問題が生まれることもあります。発達障がい児の二次障害を防ぐためにもこういった情報をアップデートしていくことは非常に重要です。
(児童発達支援士より引用 いじめ認知件数の推移)
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発達障害に関する情報を追加
これは主に児童発達支援士の教材で該当することとなります。児童発達支援士のテキストは1章から6章まであり、1章と2章が発達障害に関する知識。3章以降が子育て全般でいかせる知識と分けられています。これまで児童発達支援士を受講された方の99.5%が「受講して良かった」と答えていますが、残りの0.5%の方のご意見の中に「もっと発達障害に関する専門知識が欲しかった」というものが複数見られました。そこで第2版の児童発達支援士テキストでは、1章と2章の内容をボリュームアップし、5、6ページ分ほど追加しました。最新の情報をこれだけ追加出来たので、満足度は大きく変わるものと思います。ボリュームは増やしましたが、テキストのページ数自体は大きな変化はありません。それは文字サイズと行間をそれぞれ少し小さくしたためです。
試験対策動画の音声見直し
これまで児童発達支援士と発達障害コミュニケーションサポーターの試験対策動画では、当方のスタッフが音声の吹込みを行っていました。しかし、やはりプロではありませんので、聞き取りにくい部分や活舌が悪い部分がございました。そこで第2版の試験対策動画では、AIを活用したナレーション音声に変更を致しました。とても聞き取りやすくスムーズであるため、繰り返し視聴してもストレスを感じることがありません。
また試験対策動画をオンラインで視聴する際には「Vimeo」というサービスを利用しているのですが、Vimeoの指定する要件を満たしていないパソコンやタブレット、スマホでは、試験対策動画が視聴できないケースが極稀ではありますが発生しておりました。そのため第2版ではVimeoだけではなく、他の方法でも試験対策動画を視聴できるように対策を取りました。このことにより、オンラインでの視聴が更にスムーズになったと言えるでしょう。(第1版も同様の措置を先日行いました)
試験料を4,070円から5,060円(税込)に変更
2025年4月にリリースした第2版の教材を申し込まれた方は受験料が5,060円となります。第1版の教材で学習されている方は試験料が4,070円であるため、値上げした形になりますがご理解願います。その分講座の内容は上記で紹介した通り充実させておりますので、きっと総合的にはご満足いただけるのではないかと思います。
【まとめ】児童発達支援士が更に充実しリニューアル!第2版の変更点まとめ
以上となります。
第2版となり私どもとしても更に胸を張って皆様にお勧めできる内容となりました。この分野は現在も研究がすすめられている分野であるため、今後も定期的な更新を検討しています。また既に受講された方にも新しい第2版の情報を一部ご提供できるようサービスを検討しております。
私たちの使命は「支援の輪を拡げること」です。そのためには正しい知識が必要です。時代が変われば正しい情報も変わってしまうかもしれません。この気持ちを常に持ち、皆様に知識をご提供してまいりたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。