この記事では心理カウンセラーになるために必要な資格やスキルについて詳しく紹介をしていきます。心理カウンセラーに興味がある方や心理カウンセラーとして第一歩を踏み出してみたいと考えている方にお勧めの内容です。
私ども協会では、発達支援関連の資格を認定しており、4万名以上の方が受講されています。受講者の皆様にアンケートを取った際に、心理カウンセラーとして活躍している方やカウンセリングを今後仕事にしていきたいという方が一定数いらっしゃいました。そこで、本記事では、心理カウンセラーという仕事について深堀をしていきたいと思っています。ハードルが高そうに感じるかもしれませんが、心理カウンセラーには様々な方法や種類がありますので、未経験でもチャレンジすることはできるでしょう。それでは本題に入っていきましょう。
心理カウンセラーとは
心理カウンセラーとは、カウンセリング(対話)の技法を用いて、メンタルに不調をきたしたしている人の問題や悩みに向き合い、解決の手助けをする人のことです。様々な手助けの方法がありますが、傾聴を主としたカウンセリングや認知行動療法などを通してカウンセリングを行い、支援をしていきます。
近年は、メンタルヘルス(心の健康)が重要視されています。子どもたちで言えば、学校にスクールカウンセラーが常駐していたり、定期的に訪問するようになっており、その時にスクールカウンセラーに相談ができるようになっています。大人たちで言えば、2015年12月より50人以上働く事業所にて、年1回以上のストレスチェック義務付けるストレスチェック制度が導入されていたり、産業カウンセラーに相談できる環境が整ってきています。【参考資料1】
さらに「ハラスメント」という言葉が定着したことにより、メンタルの不調を会社や他者に訴えやすくなりました。会社側もハラスメントを未然に防ぐことや、事後のサポートを適切に行うことに力を入れており、メンタルヘルスや心理に関する専門的なスキルを有した人材が不可欠になってきています。
以上のことから、心理カウンセラーのニーズが高まっていることがわかるでしょう。
参考資料1:2015年12月からストレスチェックの実施が義務になります|厚生労働省
メンタル不調者が増えている
厚生労働省が令和6年に公表したデータでは、令和2年の精神疾患を有する総患者数は約614.8万人であったと報告しています。この数字は20年前(約258.4万人)と比較すると2.37倍程度になっているのです。「その他の精神および行動の障害」が20年前と比べ約8.6倍、「気分(感情)障害(躁うつ病を含む)」が約2.4倍、「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が約2.5倍と、メンタルヘルスに関連する項目の増加が目立っています。【参考資料2】
また警察庁が令和6年に公表した自殺者に関するデータも確認しておきましょう。統計によると令和5年中の自殺者数は21,837人だったとしています。この数字は前年とほぼ変わっていません。もう少し付け加えるとここ5年ほどは2万名ちょっとという水準を維持しています。【参考資料3】
年代別の自殺者数を見てみましょう。
- 20歳未満:810人
- 20-29歳:2,521人
- 30-39歳:2,587人
- 40-49歳:3,625人
- 50-59歳:4,194人
- 60-69歳:2,798人
- 70-79歳:2,901人
- 80歳以上:2,370人
- 不詳:31名
このようになっており、働き盛りの年齢で自殺をしている人が多いことがわかります。自殺の原因や動機として最も多いのは「健康問題」であり、その半数はメンタルの不調によるものだと読み解くことができます。子どもの場合は、支援してくれる人(保護者や先生、相談員)などが身近にいますが、大人になるとそういった人が減ってしまいますし、「誰にも相談できない」とふさぎ込んでしまうケースも多くなるでしょう。その結果、自殺という選択をとってしまうことがわかります。
冒頭で紹介したように、社会全体としては大人にも支援の手が届くようになってきています。しかし、すべての会社がしっかりと対応しているわけではないでしょうし、正社員とアルバイト、契約社員では対応が異なるかもしれません。さらには、形としてはやっているように見えても、実態はずさんだったり不正しているケースもあり得るでしょう。その結果「誰にも相談できない」と思ってしまうのかもしれません。
だからこそ、身近に心理カウンセラーがいる価値があるのです。もっと言えば「親身に話を聞いてくれる人」がいてくれるだけでも結果は変わるかもしれません。心理カウンセラーというと仰々しく聞こえるかもしれませんが、私ども協会が重要だと思っているのは「親身に話を聞いてくれる人」を増やすことです。それだけでも救われる人は必ずいると信じています。
関連記事
令和5年の自殺統計からみる発達障がい者の二次障害に潜む危険性
参考資料2:第4回新たな地域医療構想等に関する検討会
参考資料3:厚生労働省自殺対策推進室 警察庁生活安全局生活安全企画課
心理カウンセラーに必要な資格(国家資格・民間資格)
初めに結論を申し上げると、心理カウンセラーになるために絶対に資格が必要かというとそうではありません。心理カウンセラーとして活動する際には、無資格であっても問題はありません。ただし、それは「問題がない」というだけであって、推奨しているわけではありません。
資格がないと以下のようなデメリットがあるでしょう。
- 資格がないと相談者に信頼されにくい
- 資格がないと心理カウンセラーとして就転職するのが難しくなる
- 資格がないと一定のスキルを確保できない可能性がある
自身がどのような活動を考えているのかによって状況は変わるでしょう。「身近な人を支えたいだけ」というのであれば、上記のデメリットは最小限で済みます。しかし、心理カウンセラーとして会社に就職して、カウンセリングを行っていきたい。と考えるのであれば、上記のデメリットの影響が大きくなります。このような目的なのであれば、やはり資格を保有しておく方がよいでしょう。また、身近な人を支えたいだけというケースであっても、資格取得を通じて、体系的に学ぶことで必要なスキルを習得できるため、やはり資格はあった方がいいのではないかと考えます。
どのような資格があるのか
心理カウンセラーに役立つ資格を紹介します。
- 公認心理師(国家資格)
- 精神保健福祉士(国家資格)
- 臨床心理士(民間資格)
- 産業カウンセラー(民間資格)
- 認定心理師(民間資格)
- メンタル心理カウンセラー(民間資格)
- メンタルケアカウンセラー(民間資格)
- 心理カウンセリングスペシャリスト(民間資格)
- メンタルヘルス支援士(民間資格)※2025年3月認定開始予定
ここでは、資格一つ一つの詳細は省きますが、目的に応じて選択すると良いでしょう。資格によっては、受験資格として学歴や経歴の条件がある場合があります。各WEBサイトを見て確認をしましょう。
国家資格があるから国家資格でなければ意味がない。ということを言われる方もいらっしゃるかもしれません。インターネットの検索で「心理カウンセラー 意味ない」と出てくることもあります。しかし、その考え方には反対です。
民間資格しか保有していない方でも、心理カウンセラーとして活躍している方はいるでしょう。その人の存在のお陰で「助かった」と思っている人もいるはずです。だとしたら民間資格であっても十分に意味があると考えます。
逆に国家資格を保有していても、適切なカウンセリングをしていない人も居る可能性はあります。その人の一言や態度で「苦しくなった」と感じている人も居るかもしれません。国家資格を取得するための努力は素晴らしいものだと思います。しかし、どう活かしているかはわかりません。
私どもは、今「学びたい」「助けたい」「人の役に立ちたい」と思っている人を応援したいです。そういった方の良いエネルギーを広めていけたらと考えています。
外部リンク
国家資格じゃないと意味がない?民間資格を取得する意味とは
心理カウンセラーに求められるスキル
心理カウンセラーとして活躍する人に求められるスキルとはどういったものがあるか確認をします。
- 傾聴スキル
- 共感スキル
- 受容スキル
- 言語化スキル
- コミュニケーションスキル
- 論理思考力
- 冷静に判断する力
このようなものがあるでしょう。「傾聴」「共感」「受容」という3つのスキルはカウンセリングの基本とも言われています。そのためこの3つはしっかりとおさえておく必要があります。ここに挙げたスキルを常に高め続ける向上心も必要だと言えるでしょう。
コミュニケーションスキルに関しては、ジョークが言えるとか笑いが取れるというスキルよりも、適切な質問をしたり、適切な要約をしたり、適切なあいづちを打つといったスキルの方が重要です。カウンセリング時の主人公は相談者側です。支援者側はあくまでもサポート役ですから、前に前に出るような意識は必要ありません。相談者を受け止めながら、話を引き出していくことが重要です。
心理カウンセラーという役割は、経験がものをいう部分もあります。テキストでいくら学んでも、実践がゼロであれば、スキルが高いとは言えません。そのため、1,2個資格を保有する程度を最低限の知識のラインとして、そこまでいったら実践デビューをして経験値を積んでいきましょう。そこでの反省を次に活かす、足りなかった部分を更に学ぶという形で、スキルを高めていくことをお勧めします。
心理カウンセラーの活躍の場(活かせる仕事)
心理カウンセラーの活躍の場は下記のように多岐にわたります。
- 医療機関
- 高齢者向け施設
- 児童相談所
- 精神福祉センター
- スクールカウンセラー
- 企業が設置するカウンセリングルーム
- 少年鑑別所
- 刑務所
- 心理カウンセラーとして独立
以上のような場での活躍が考えられます。見てわかるように老若男女が対象となっています。上記の中には、国家資格がないと就けない仕事もあるでしょう。また指定された民間資格を保有していることを採用の条件としている所もあるかもしれません。この辺りは、団体や企業によって考え方が異なりますので、求人を見ると良いでしょう。
最近では、心理カウンセラーとして独立し活動を始める方が多くなった印象を受けます。そうなった理由は通信技術の向上があげられるでしょう。今は誰でもオンラインでビデオ通話ができるようになりました。いわゆる「オンラインカウンセリング」というものです。オンラインカウンセリングは、民間資格を取得した方の活躍の場として盛り上がりを見せています。
オンラインカウンセリングで実戦経験を積む
オンラインカウンセリングとは、WEBビデオ通話を利用したカウンセリングとなります。オンラインカウンセリングのメリットは以下のようなものがあります。
- 全国どこに住んでいる方でも対応可能
- 自宅で出来るためローコストである
- 相談者側も落ち着ける場所(自室など)でできる
- 外出不要なので引きこもりがちな人の対応も可能
中でも、相談者が自室でできるという点はメリットが大きいでしょう。メンタルが不調な時は、自宅から出ることも大変です。さらにカウンセリングルームが街中にある場合などは、更にハードルが高いでしょう。きれいなオフィスビルで実施する場合は緊張感も高まってしまいます。そういった点を排除できるのがオンラインカウンセリングのメリットでしょう。
心理カウンセラーとして独立した個人が、オンラインカウンセリングを行う際に、ネットやSNSを利用して集客をすることになります。SNSの場合は、自分のフォロワーになっている人が相談者になるケースが多くなるでしょう。その場合、SNSの日々の投稿やDMのやり取りなどで、支援者と相談者の関係が事前に築ける点も良い点です。少なくとも何かしら合致しているから、フォロワーとなっているはずなので、「カウンセラーとの相性が最悪だった」というケースは減らせると考えています。
そのためオンラインカウンセリングを行う場合は、通常の対面カウンセリングよりも少しハードルが低いと言えます。「国家資格がないから・・・」「カウンセラーとして活動したことがないから・・・」という方に人気が出るのもうなずけます。
しかし、心理カウンセラーとして独立した個人が行うオンラインカウンセリングにもデメリットはあります。
- カウンセリングが成り立っていない
- カウンセラーの知識不足
- カウンセラーの気分によって対応が違う
- カウンセラーが好き勝手話している
- プライバシーが守られていないケースがある
やはりカウンセラーの質という部分が課題になります。しっかりと学び、そのことを理解し、体現できていればよいのですが、中に資格を取ってそれを名刺代わりに使っているだけという方もいます。そういった方は、カウンセリングといいつつ、自分のやりたいようにやっているだけという場合もあります。また、カフェなどでカウンセラーが面談をしている場合は、相談者側のプライバシーが守られない場合もあるでしょう。オンラインカウンセリング中の録画データを、適切に保管してくれているのかも気になるところです。
オンラインカウンセリングにも以上のようなメリット・デメリットがあることを理解しておきましょう。
メンタルヘルス支援士資格の最新情報
メンタルヘルス支援士とは、当協会(一般社団法人 人間力認定協会)が新しく認定する資格試験です。
現時点では「2025年3月」より認定を開始する予定でおります。メンタルヘルス支援士の概略は以下の通りです。
メンタルヘルス支援士は、精神疾患患者や発達障がい者、メンタルヘルス(心の健康)に不調をきたしている者に、どのような働きかけをすれば、メンタルヘルスを良い状態に変えたり、悪化を防いだりすることができるのかを体系的に学び、、認定する資格試験である。精神疾患の特徴や治療に用いられる心理療法、傾聴・受容・共感を基礎としたカウンセリング、日常的に活用できる心理学テクニックを体得し、被支援者に適切な支援をすることが目的である。
カウンセリングに関するスキルも学びます。それだけでなく、心理学テクニックや大人の発達障害などについても学ぶことができるようになっています。
メンタルヘルス支援士を受講することで下記のようなメリットを得られるよう開発をしています。
- 良好な人間関係を構築しやすくなります
- 自身のメンタルヘルスを向上させることができます
- ポジティブな考え方ができるようになります
- 自身や近親者の精神疾患を未然に防ぐことができます
- 悩んでいる方や苦しんでいる方に適切な支援を行うことができます
- ビジネスの場面で、成果をあげられるようになります
- 子育てに関する悩みやストレスが軽減します
- 子どものいじめ、引きこもり、不登校を減らすことに貢献できます
- 自身や子どもの自己肯定感を高めることができる
- 発達障がい者のよき理解者になることができます
- 発達障がい者の対人関係や業務関係のトラブルを未然に防ぐことができます
現在、開発は順調に進んでおります。準備が整い次第、当サイトまたは「人間力認定協会 公式サイト」にて開講のご案内をさせていただきます。
【まとめ】心理カウンセラーになるには?資格・仕事・活躍の場を徹底解説
以上となります。
冒頭でもご紹介したように私どもは、「親身に話を聞いてくれる人」を増やしていけるように今後も活動をしてまいります。その結果、精神疾患を患う方が減少し、すべての人が生きがいをもって生活していけるようになると信じています!
心理カウンセラーとして第一歩を踏み出そうかと考えている方のお役に立てれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。