SSTスペシャリストとは?受講資格・学習内容・費用・試験の合格率とは【徹底解説】

「SSTを支援に取り入れたいけれど、子どもに合う教材や声のかけ方が分からない」「本で学んだことを、実際の関わりにつなげたい」。そんな保育士・教員・児童福祉施設の支援者や、保護者の方に向けた資格が、一般社団法人 人間力認定協会の「SSTスペシャリスト」です。

本講座では、ソーシャルスキルトレーニング(SST)の基礎と、30種類の実践ワークを学びます。テキストに加えて解説用・実践用の動画を使い、活動の目的、進め方、言葉がけを具体的に確認できます。

SSTスペシャリストは、2026年9月に受講に必要だった前提資格の要件を撤廃しました。児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーターを受講していない方も、SSTスペシャリストを単体で受講できます。

この記事では、認定団体である当協会が、公式教材の内容、小学校での活用についての取材、受講後アンケートを交えて、受講を検討するときに知っておきたいことを説明します。

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SSTスペシャリストとは?何を学ぶ資格なのか

SSTスペシャリストは、子どもの社会性やコミュニケーションを支えるために、SSTの基礎知識と実践方法を学ぶ民間資格です。人間力認定協会が認定しています。

SSTは「Social Skills Training」の略です。社会生活に必要なスキルを練習する取り組みで、その対象には対人関係のスキルや生活のスキルなどがあります。本講座が中心に扱うのは、話す・聞く・気持ちを伝えるといった対人コミュニケーションのスキルです。〔1〕

資格取得だけを目的に知識を覚えるのではなく、「この子は、どの場面で困っているのか」「どの活動なら取り組みやすいか」を考えるための学習内容になっています。

項目内容
資格名SSTスペシャリスト
認定団体一般社団法人 人間力認定協会
受講条件どなたでも受講可能
児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーターの事前受講は不要
主な学習内容SSTの基礎知識、実施時のポイント、環境設定、30種類の実践ワーク
学習方法テキスト、解説用動画、実践用動画
学習時間の目安約20時間。理解・復習に必要な時間には個人差があります
受講期限8か月
認定試験オンライン試験

※講座内容は公式テキスト第2版、学習時間・受講期限・試験形式は公式受講案内を基にしています。〔1・4〕

受講資格要件を撤廃。他の資格を受講していなくても学べます

従来は、児童発達支援士または発達障害コミュニケーションサポーターの受講経験が必要でした。現在、この前提資格の要件はありません。

他の2資格を先に受講することなく、SSTスペシャリストから学び始めることができます。保育や教育、児童福祉の仕事に携わる方だけでなく、家庭での関わりに活かしたい保護者の方も対象です。

一方、受講条件と講座の学習範囲は別のものです。本講座はSSTに重点を置いているため、発達障害の特性や、SST以外の支援方法も幅広く学びたい方は、基礎講座を組み合わせる方法もあります。

基礎講座の受講は選択肢であり、SSTスペシャリストを受講するための必須条件ではありません。 ご自身が今学びたいことに合わせて選んでください。

公式教材で学べること|基礎から30種類の実践ワークまで

目的を伝え、見本を示し、日常につなげる進め方

公式テキストでは、SSTの基本的な流れを次の5段階で説明しています。〔1:冊子pp.8–9〕

  1. 教示
    何を練習するのか、言葉やイラストなどで伝える。
  2. モデリング
    大人が見本を示す。
  3. リハーサル
    子どもが試してみる。
  4. フィードバック
    できたことを確かめ、必要に応じて見本を示し直す。
  5. 般化
    練習したことを、日常のどんな場面で使えるか考える。

例えば、友だちへの伝え方を練習するなら、いきなり「上手に言ってみて」と求めるのではなく、言い方の例を示してから試す、という順序になります。

大人が説明し続けることよりも、子どもが理解できる形にして、一緒に試すことが大切です。うまくいかなかったときも叱責せず、伝え方や課題の難しさを見直します。

30種類のワークから、練習したいスキルに合う活動を選ぶ

教材には、各ワークの目的、進め方、言葉がけ、注意点などが掲載されています。代表的な活動を紹介します。

教材に収録されている活動練習する内容
声のボリューム調整トレーニング声の大きさを段階に分け、場面に合う大きさを考える
気持ち絵カードトレーニング表情のイラストなどを手がかりに、気持ちを言葉にする
自己紹介トレーニング自分について相手に伝える
会話のキャッチボールトレーニングボールやぬいぐるみを使って、話す役・聞く役を交代する
友だちの誘いを断るトレーニング誘いに応じられないときの伝え方を、役割を交代しながら試す

出典:公式テキスト第2版のNo.3、9、11、18、23。表は活動の目的を要約したものです。〔1〕

例えば、会話のキャッチボールでは、誰が話す番なのかを、持っている物で見えるようにします。「順番に話そう」という言葉だけでは分かりにくいときに、活動を組み立てるヒントになります。

また、気持ちを考える活動でも、大人の想定した答えだけに急いで合わせるのではなく、子どもがどう受け取ったのかを聞くことを大切にします。断り方の練習も、誘いを必ず受け入れるためではなく、自分の意思を伝える選択肢を増やすための活動として扱います。

テキストと2種類の動画で、声のかけ方まで確認する

テキストだけでは、説明のタイミングや活動全体の流れが思い浮かばないこともあります。本講座では、解説用動画でポイントを確認し、実践用動画で進行のイメージをつかめます。テキストには、導入や練習時の言葉がけも用意されています。〔1・4〕

ただし、台本や動画は進め方の手がかりです。目の前の子どもが同じ反応をするとは限りません。言葉を短くする、取り組む量を減らす、休憩するなど、本人の理解や気持ちに合わせて調整します。

練習の場だけでなく、日常で使えているかを振り返る

公式教材にはトレーニング記録表があり、習熟の目安も示しています。大きく分けると、「支援があればできる」「練習では自分でできる」「日常でも使えている」という段階です。〔1:冊子p.27、pp.106–107〕

練習を一度できたことと、教室や家庭で自然に使えることを分けて考えられるため、次に何を支えるか整理する助けになります。

小学校の先生への取材|子どもに合う教材を選ぶ手がかりに

当協会は、教材を活用している愛知県知立市立知立東小学校の近藤先生に、導入の理由を伺いました。

近藤先生は、SSTの指導に苦手意識があり、児童の特性や必要な支援に合う教材をすぐに見つけることが難しかったと話されています。本や研修で学びながら教材を探す中で、本講座のテキストを手に取られました。

「読みながらこの教材は、この子に使おうなど付箋をつけて勉強ができました。」

知立市立知立東小学校・近藤先生へのインタビューより抜粋。所属・状況は取材当時。〔2〕

テキストに、どのような子どもに使うか、どのような力を目指すかの説明があったことが、活動を選ぶ手がかりになったというお話です。

支援の現場で必要なのは、活動の数だけではありません。「この活動を、この子と行う理由」を考えられることも大切です。教材の目的と子どもの困りごとを照らし合わせて選ぶ、という使い方が、この取材から見えてきます。

なお、取材当時の通級指導では、SSTのほかにも複数の取り組みを組み合わせていました。このお話は教材の選び方・活用方法についての事例であり、講座だけによる子どもの変化を測定したものではありません。

>30種類の実践ワークと動画教材について詳しく見る

受講者の声|家庭での活用と、実践するときの難しさ

ここでは、当協会のSSTスペシャリスト受講後アンケートから、学びを活かす場面が分かる回答を紹介します。いずれも回答者個人の感想であり、すべての方に同じ変化が起きることを示すものではありません。〔3〕

「日常の会話のやりとりにSSTの要素が加わる」

「学習を終えて、日常の会話のやりとりにSSTの要素が加わる、というのを実感しました。」

SSTスペシャリスト受講後アンケート、2022年7月の回答より抜粋。〔3〕

この回答者は、身構えずに家庭で実践できているとも記されています。

家庭では、毎回まとまった練習時間を設けることが難しい日もあるでしょう。例えば、会話で順番に話すことを意識したり、困ったときの伝え方を一緒に考えたりすることも、教材の考え方を日常に取り入れる方法です。

学んだ活動をすべて行おうとするより、今の生活の中で取り入れやすい場面を探してみてください。

「実践がなかなか難しい」という声もあります

「実践がなかなか難しい実習の場が欲しい」

SSTスペシャリスト受講後アンケート、2023年7月の回答。〔3〕

教材を理解することと、子どもの反応に合わせて進めることには違いがあります。この声は、受講を検討する方にも知っていただきたい点です。

本講座の学習は、テキストと動画が中心です。実践するときは、最初から多くの課題を扱うのではなく、目的を一つに絞り、短い活動から試し、子どもの様子を見て調整します。公式教材でも、開始時に無理をしすぎないことを説明しています。〔1:冊子p.26〕

資格名に「スペシャリスト」とあるからといって、取得後すぐにすべての場面へ対応できるという意味ではありません。学んだ内容を振り返りながら、支援の経験につなげていくことが大切です。

SSTスペシャリストはどのような人に向いている?

保育士・教員・児童福祉施設などの支援者

次のような学習目的がある方に、本講座の内容が合います。

  • SSTを取り入れるために、活動の目的と進め方を整理したい。
  • 子どもの課題に合わせて、教材を選ぶ視点を学びたい。
  • 声のかけ方や見本の示し方を、動画でも確認したい。
  • 練習した内容を日常の場面につなげ、記録して振り返りたい。
  • 保護者にSSTの専門性を示したい方。

活動を増やすためだけでなく、すでに実施しているSSTの進め方を見直す用途でも学べます。学校や施設内でテキスト・動画をそのまま利用する場合は、利用方法について当協会へ事前にお問い合わせください。

家庭での関わりを学びたい保護者

子どもへの言葉がけや、一緒に練習できる活動を学びたい方にも受講いただけます。家庭で取り組む場合も、子どもが困っていること、取り組みたいと思えることを出発点にしましょう。

保護者がすべての支援を担う必要はありません。学校や療育施設を利用している場合は、そこで取り組んでいることを聞き、家庭で無理なくできることを相談しながら進める方法もあります。

児童発達支援士・コミュサポ・ペアレントトレーニングとの違い

「他の資格と、何が違うのか」「ペアレントトレーニングを学びたい場合にも合うのか」は、受講前に確認したい点です。

講座・取り組み主に扱う内容
SSTスペシャリストSSTの基礎と30種類のワークを通した、具体的な実践方法
児童発達支援士発達障害の特性や、ABA・構造化・スモールステップなどの支援の基礎
発達障害コミュニケーションサポーター傾聴、気持ちの理解、リフレーミングなど、コミュニケーションに関わる学び
ペアレントトレーニング保護者が子どもの行動を理解し、関わり方を学ぶプログラム

3資格の欄は当協会の公式テキストに基づく学習内容の要約です。〔1・5〕ペアレントトレーニングについては、国立障害者リハビリテーションセンターが、保護者による行動の観察や、ほめ方・しかり方などの学習を含む取り組みとして説明しています。同センター「家族支援」

家庭でSSTを行うことと、ペアレントトレーニングは100%同じ意味というものではありません。 ただし、当協会の児童発達支援士で子どもの特性理解や関わり方を学び、SSTスペシャリストで実践を学ぶことでペアレントトレーニングと似た学びを得られるとして、保護者の方の受講も多くなっています。

子どもとの具体的な練習方法を学びたいのか、発達支援全般を学びたいのか、保護者自身の関わり方を継続的に相談したいのか。目的を整理すると、自分に必要な学びを選びやすくなります。

受講料・試験料はいくら?資格取得までにかかる費用

SSTスペシャリストの受講料と認定試験料は、次のとおりです。〔4〕

費用金額(税込)
受講料31,500円
認定試験料(1回分)5,060円
上記の合計36,560円

合計は、受講料と認定試験1回分を足した金額です。任意のオプション等を選ぶ場合の費用は含みません。受講料の支払い方法は、クレジットカードまたは銀行振込です。カード払いには、一括・3回・6回・12回の案内があります。

料金・支払い条件は変更される場合があります。お申し込み時には、公式の受講案内で最新条件をご確認ください。

>SSTスペシャリストの料金・申込み方法を確認する

学習から試験・資格取得までの流れ

1.公式ページで受講内容を確認し、申し込む

教材内容、受講期限、料金を確認してお申し込みください。前提となる2資格の事前受講は必要ありません。

2.教材を受け取り、テキストと動画で学ぶ

学習時間の目安は約20時間、受講期限は8か月です。まず基本的な考え方を確認し、それからワークの目的や手順を学ぶと、活動を選ぶ理由も整理しやすくなります。

3.学習が進んだら、オンライン試験を申し込む

試験はオンライン形式です。試験申込み時に受験希望日を設定し、ご自宅などから受験できます。スマートフォンでの受験にも対応しています。〔4〕

試験項目内容
試験時間30分
出題数30問
出題形式2択・4択の選択問題
合格基準21問以上の正解
教材の参照試験中は不可
結果の確認試験終了後、その場で表示

合格基準の「21問以上」は、受験者の合格率を意味するものではありません。試験のルールを確認し、落ち着いて受験できる時間と環境を用意してください。

>公式の試験制度・受験上の注意を確認する

4.合格後、認定証を受け取る

合格後は認定証が発行され、履歴書には「SSTスペシャリスト 取得」と記載できます。資格は年ごとの更新制ではありません。〔4〕

取得した資格は学びを示す一つの材料です。実際にどのような支援を学び、どのように活用しているかも、自分の言葉で説明できるようにしておくとよいでしょう。

SSTスペシャリストが生まれた背景

当協会がSSTスペシャリストの認定を開始したのは、2022年4月です。開発の背景には、既存講座の受講者から寄せられた、家庭で実施できる支援やSSTについて学びたいという声がありました。〔6〕

知識を学んだ後に、「では、子どもにどう伝えればよいのか」「どんな活動から始めればよいのか」と迷う。その段階を支えるため、具体的なワークと、実施時の言葉がけを学べる形にしています。

今回の受講資格要件の撤廃により、他の2資格を経由せず、この実践的な学びから始められるようになりました。すでに現場で支援に携わる方も、家庭での関わりを考えたい方も、ご自身の目的に合わせて受講を検討いただけます。

よくある質問

発達支援の資格を持っていなくても受講できますか?

はい。児童発達支援士や発達障害コミュニケーションサポーターの事前受講は不要です。SSTスペシャリストのみでお申し込みいただけます。

幼児や小学生への支援にも使えますか?

教材には、子どもに合わせて難易度を調整するためのアレンジが含まれます。学年だけで活動を決めるのではなく、言葉の理解、取り組みやすさ、本人が困っている場面などを踏まえて選びます。〔1・4〕

ADHDや自閉スペクトラム症など、診断名ごとに教材を選びますか?

本講座では、診断名だけでワークを割り当てるのではなく、その子の困りごとや練習したいスキルを踏まえて選ぶことを大切にしています。同じ活動でも、言葉がけや難易度の調整が必要です。

市販の本で学ぶ場合と、どのような違いがありますか?

本講座は、公式テキスト、解説用・実践用動画、認定試験を組み合わせた通信講座です。動画で進め方を確認したい方、一定の学習範囲に沿って取り組みたい方には、講座という選択肢があります。市販の本より必ず優れているということではなく、学びたい内容と方法で選んでください。

資格を取れば、子どもの困りごとは解決しますか?

資格の取得によって、特定の変化や支援の結果が保証されるものではありません。講座で学ぶ目的は、子どもに合う活動や関わり方を考えるための知識と方法を増やすことです。本人の様子を見ながら、必要に応じて学校や支援機関とも相談して進めます。

教材の内容を確認し、自分の支援に合う学びを選ぶ

「この子には、どの活動が合うだろう」「どう伝えれば、一緒に取り組めるだろう」。SSTスペシャリストは、こうした日々の問いに向き合うための、具体的な方法を学ぶ講座です。

テキストと動画で進め方を確認し、子どもに合うワークを選び、実践を振り返る。学校や施設での支援にも、家庭での会話や関わりにも、その学びをつなげていただけます。

他の資格の事前受講は必要ありません。 まずは公式ページで、教材や動画の紹介、受講条件をご覧ください。

>SSTスペシャリストの教材・料金を確認して受講を検討する

本記事で参照した資料

本記事は、認定団体である一般社団法人 人間力認定協会が、自団体の講座を紹介するものです。教材・取材・アンケートと、一般的な支援の解説を区別して掲載しています。

  • 〔1〕人間力認定協会『SSTスペシャリスト公式テキスト』第2版。基礎知識、実践ワークNo.3・9・11・18・23、習熟目安、トレーニング記録表。
  • 〔2〕当協会による、愛知県知立市立知立東小学校・近藤先生への教材活用インタビュー。回答の一部を抜粋・要約。
  • 〔3〕当協会「SSTスペシャリスト受講後アンケート」。2022年7月・2023年7月の自由記述から抜粋。回答は効果測定の結果ではありません。
  • 〔4〕SSTスペシャリスト公式受講案内、公式試験制度。料金・試験条件は2026年9月17日確認。前提資格の要件は、協会の最新方針に基づき記載。
  • 〔5〕当協会『児童発達支援士』『発達障害コミュニケーションサポーター』各公式テキスト第2版。
  • 〔6〕当協会が2022年に公開した本記事の旧版。資格開発の経緯を参照。
一般社団法人 人間力認定協会 代表理事 井上智之

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 代表理事
井上 智之

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 代表理事の井上 智之。30年にわたる教室運営を通して、多くの子ども・保護者・教育関係者と向き合う。比較や不安、教育現場の課題を目の当たりにし、一般社団法人 人間力認定協会を設立。現在は発達障害の療育・支援法の研究開発と情報発信に取り組み、「理解は支援の第一歩」を理念に、一人ひとりに合った支援と社会理解の普及を目指している。また、当協会では発達支援や心理に関する知識を体系的に学べる「児童発達支援士」「メンタルヘルス支援士」などの資格講座を提供しており、これまでに延べ5万名以上の方が受講している。

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