お客様より当協会が認定する「児童発達支援士、発達障害コミュニケーションサポーター、SSTスペシャリスト資格はペアレント・トレーニングに対応していますか?」というご質問がございましたので、そちらについて解説させて頂こうと思います。
ペアレント・トレーニングとは
そもそもペアレント・トレーニングとは何のこと?という方も多いでしょう。まずは下記をご確認ください。
ペアレントトレーニングとは、知的障害や自閉症などの子どもをもつご家族を対象に、1960年代にアメリカで開発されたプログラムです。
当初は、「親は子どもの最良の治療者である」という考え方をもとに、支援機関で取り組んでいる子どもへの療育を家庭でもおこなうことで、療育の効果をアップさせたり、維持させたりすることが目的とされていました。発声や模倣といった課題を、療育機関と並行し家庭でも同じ課題をおこなうことで、子どもが療育に従事する時間を増やすことができます。現在では知的障害や自閉症の他にも、ADHDなど子どもの障害種別に応じたプログラムが開発され、展開されています。日本では、そもそも子どもの療育が十分に行き渡っていなかった背景から、ご家族の日常生活の困り感を軽減するためのプログラムとして取り入れられ、独自に発展してきたものが多くあります。また、現在では、発達障害だけでなく、不登校や非行を繰り返す子ども、虐待を受けた子ども、里子や養子などに対応したプログラムが開発されるなど広がりを見せています。
このような定義がされています。
上記をまとめ簡単な表現をすると「ペアレント・トレーニングとは、療育を家庭(保護者と子ども)でおこなうこと」ということができます。ペアレント・トレーニングときくと特別な「○○式」というようなものをイメージしてしまうかもしれませんが、そういったものだけがペアレント・トレーニングというわけではありません。もちろん中には「○○式ペアレント・トレーニング」として命名しているものもあります。そういったものもペアレント・トレーニングだと言えますし、家庭で「療育施設でやっていた療育を真似してやっているんだ」という行為も立派なペアレント・トレーニングということができるでしょう。
児童発達支援士は該当するの?
上記の解釈であれば、児童発達支援士、発達障害コミュニケーションサポーター、SSTスペシャリストは全てペアレント・トレーニングに対応しているということができるでしょう。中には「日本でペアレント・トレーニングと認定されているのは○○式と○○式だと思います」と仰る方もいるかもしれませんね。確かにそういうお考えもあると思います。そういった方は「○○式」というものを学んでいただくべきでしょう。
私が伝えたいことは、児童発達支援士などの資格がペアレント・トレーニングである。ということではありません。そうではなく、児童発達支援士などの当協会の資格はペアレント・トレーニングの目的と合致している。ということを伝えたいのです。
私どもの資格は、児童発達支援士、発達障害コミュニケーションサポーター、SSTスペシャリストと3段階になっていますがこれには意味があります。順番にも意味があります。
第一段階:児童発達支援士
まずは児童発達支援士で、発達障害と子どもの心理や脳科学についての基本的なことを抑える。今まで「こうしなければ!ああしなければ!」と思い込んでいたものをいったん横に置いて、子どもを育てるということを学びます。ここで基本的な支援時の自分の立ち位置や方向性が見えてきます。
第二段階:発達障害コミュニケーションサポーター
次に発達障害コミュニケーションサポーターで、支援者が子どもに対してどのように接することが重要なのかを学びます。基本的な立ち位置は児童発達支援士で理解していますが、更に踏み込んでどのような言葉がけをするべきかを身に付けていきます。そして子ども自身のコミュニケーション力を高める方法をロープレ形式で学んでいきます。
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第三段階:SSTスペシャリスト
最後は、自宅でソーシャルスキルトレーニング(SST)ができるようにするための学習となります。これまで学んできた、支援者としての考え方、伝え方、話の聞き方を活かして、自宅で実践練習を繰り返していきます。SSTスペシャリストは保護者と子どもで実施することを前提として作られており、子どものライフスタイルに合わせたトレーニングが30種紹介されています。
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以上のような構成となっているのです。つまり当協会も最終的にはペアレント・トレーニングの目的である「療育を家庭(保護者と子ども)でおこなうこと」を目指して講座を構成しております。これは療育施設だけではだめだからという意味ではありません。療育施設の重要性は非常に高いものです。子どもにとっても保護者にとっても心の安らぎの場所になっていて、その役割は無くてはならないのです。
ただし、子どもたちは療育施設にいる時間よりも保護者といる時間の方が長いわけです。その長い時間で良い働きかけができないと、子どもだけでなく保護者も苦しくなってしまう。その苦しみを少しでも解決するために、資格をご用意しています。
ペアレント・トレーニング時の注意点は?
ここまで紹介してきた通り、ペアレント・トレーニングとは○○式を使わなくても、家庭で保護者が子どもに対して療育を行えばそれはペアレント・トレーニングと言えます。その上での注意点を最後にご紹介します。
注意点とは「基礎知識なくやるべきではない」という事です。ここでいう基礎知識というのは、発達障害や子ども心理のことです。そういった知識がないのに、さまざまな場面を想定したトレーニングばかりやっていてもあまり効果的ではないでしょう。
もしかしたら逆効果になる可能性もあり注意が必要です。ペアレント・トレーニングを行う時には、子どもの自己肯定感を高めながら実施する必要があります。しかし、保護者であるからこそ子供にたいして感情的になってしまうケースも多いと思います。「何度言ったらできるの!?」「前回も同じことやったよね?」「お母さん(お父さん)はこんなに頑張っているのに、なんであなたはやる気にならないの?」というような言葉です。このように感情が出ることを否定はしません。しかし、子どもの自己肯定感が低下するようなことに繋がるのであればやらないほうが良いでしょう。
そのため、支援者としてどういう言葉がけをするべきか、自分が相手にどういう印象を与えているのかなどを理解しておく必要があると思うのです。それが私がここでいう「基礎知識」です。結果的に児童発達支援士の基礎からやるべきですよ。といっているような形になりましたが、営業云々抜きにして本当にそう考えています。
【まとめ】児童発達支援士はペアレント・トレーニングと言えるのか?
以上で今回のペアレント・トレーニングに対する解説は終わりとなります。
結論としては、当協会の資格はペアレント・トレーニングの目的に合致している。となります。「○○式」のペアレント・トレーニングをご希望の方はいろいろ調べてみましょう。そのうえで、納得できる講座や教室をお選びくださいね。
最後までご覧頂きありがとうございます。