5月11日に開催された意見交換会の実施報告をさせて頂きます。今回もとても有意義な時間となりました。皆様ありがとうございました。ここで紹介している内容が皆様のお役に立てば幸いです。
意見交換会議事録
ここからは今回の意見交換会の質疑応答時に、実際にお話のあった内容をご紹介していきます。お客様の言葉をほぼそのままの表現で紹介させていただきます。(個人情報保護のため一部表現を変えている箇所がございます)
皆さんがもっと色々な支援をしたい、活動をしたいと思われる中でその活動をするために資格を取りたいと考えてこの児童発達支援士をお取りになったというお話を聞いて、私も同じ気持ちでとても共感しました。その中でN区のS先生にお伺いしたいのですが、保育士の資格ともう1つ児発管をお取りになられているということで、その児発管について教えていただけますでしょうか?
回答者A様:はい。児発管と呼ばれている正式には児童発達支援管理責任者といいます。放デイや児童発達支援などの事業所を立ち上げる時には、この資格を持っている人が必ず1人居ないといけないというものがあり、私ともう1人の保育士がこの資格を取りました。ただ、取るのにも要件が厳しく、直接支援を何年間やっているなどの要項がいくつかあります。実際の現場で5年以上働いている人ならば、学校の先生でも受けられるため範囲は広いのですが、要件は厳しいです。私は去年取ったのですが、去年までは講習を受けて資格が取れました。今は、放デイは資格が無くても持っている人を雇えば作れるため保育園がすごく増えた時のような流れで増えています。そのため今年からは厳しくなっており、その資格を受けてから2年間OJTしてからではないとその資格を名乗れないという形になりました。
先程自己紹介の時に保護者の気持ちが知りたいというお声があり、サポートする側がどんな声かけをしたら保護者の方は安心できるか、などのエピソードを聞けたらと思うのですが、Fさんは今色々な活動をされていますし、お子様に診断が出たというお話がありましたが、Fさんは周りの方の声かけで安心したなどのそういったエピソードや、逆に言葉に傷ついたなど何かエピソードがあれば教えていただけますか?
回答者A様:はい、私の息子はADHD気質がすごくて、5歳の時は保育園で他害がひどかったです。他害、癇癪、こだわりがひどくて園の先生は受け入れてはくれませんでした。園によってはすごく良く見てくれる先生もいらっしゃるのですが、子どもが通う園の場合は先生から私達は専門ではないので、キチンとした対応はできませんということをずっと言われていました。『今日は〇〇くんにこういうことをしていました。トイレスリッパを投げていました。服を振り回していました。バックを振り回して行事の練習には参加できませんでした。』などのことをノートにずっと書かれていました。親としても子どもを認められない、『なんでこんなことをするんだ、どうしてこんなに苦しめるんだ。』という思いでしか子どもを受け入れることはできませんでした。そんな時に小学校に入った時の先生がとにかく寄り添ってくれました。息子への対応は今までとはまったく違い、その時に初めて支援というものを目にして、息子を一人の人間として受け入れてくれたのと、親の私達にもすごく寄り添ってくれました。その寄り添いというものがありがたく、息子がやる行動にはしっかりと理由があって、時間はかかるけれどもゆっくりとできるようになるし、習得さえすれば皆と同じようにできるようになることとかを1からずっとこまめに連絡を取ってくださり、親としての思いや葛藤など話をすごく聴いてくださり、それがとてもありがたかったです。私自身は今、お母さん方のお話を聴く機会が結構あるので、できるだけ辛い思いなどを吐き出してもらえるような環境、空間を作っていけるようにしています。
回答者B様:はい。今Fさんがおっしゃったことがすごく分かるなと思いながらお聴きしていました。子どもが支援学級に在籍していて今4年生なのですが、去年までの先生はこれができませんでした、『あれができませんでした、これができませんでした』と伝えてくださる先生だったんですけども、今年から先生が変わりまして、これができました、あれができました、ここを頑張りましたということを凄く言ってくださるので親として心が少し楽になりました。また、誉められることが嬉しくて頑張るタイプの子どもなので、暴れなくなってとても安定して4月から通えています。それは親としても子どもとしてもありがたいということを感じています。どうしても皆と一緒にこれをしましょうということは出来ない子なので、親御さんに接する時は誉められる機会が少ない子だということを頭に入れていただけるといいかなと思います。外であまり誉められる機会が無く、『あれができなかったね。これができなかったね。」と言われ続けている子ども達だと思うので、習い事とかだと小さいことでも『あ、いいね!やったね!』などの声かけで小さいことを拾っていただけると親子共々とても嬉しいです。
この会の大半が当事者の保護者の方が主なのですが、半数近くは教育関係者の方がいらっしゃいます。やはりこの問題と捉える時に当事者もしくは保護者の方から見える教育の現場と、教育現場が抱える問題と両方あって、ともすれば両方ぶつかりあう所があったりするんですね。せっかくこの機会ですので、Sさんには園側から見た自分達が発達障がい児と付き合う時にあたって、親御さんたちにこういうことを知ってもらいたい。親御さんたちにこういうものがあったらいいなという求めるものがあったら、その辺りをお話いただければなと思います。
回答者A様:先程も話したのですが、うちの園ではモンテッソーリ教育をやっています。なので先程SさんやFさんがお話されてたように、一人一人を個として見ています。そのため全体で同じことをするということはほとんど無いです。その子のペースに合わせて行うためうちの園では先生が凄く多く、11人の子どもに対して4人の先生がいます。そして危ない物を排除するということもしません。今年は重度の身体障碍を持つ方も来ていますし、発達障害の子も今まで何人も来ていますが、1年間でほとんど普通の子と変わらないくらいになっています。その時に私達が言っているのは、園でやっていることと同じことをお家でもやってくださいと言っています。園では、その子がこの先、生きやすくなるためのことをお願いしています。例えば人が話している時は目を見ましょう、といった簡単なことです。それが出来たらちゃんと見れたねと誉めます。そういう感じでお家でも話をする時は目を見るようにお子さんに言ってくださいとお願いしています。他にもご飯の時は椅子に座りましょうなどもあります。この時に基本的に否定的な言葉は使いません。例えば走っちゃ駄目などです。そういう場合は歩きましょうねといった形で声かけをしています。モンテッソーリを始めてからは、子ども達はすごい明るくのびのびと自分のやりたいことも全部認めてもらえて気が済むまでやってその後はキチンとできたりします。うちの園ではご飯の時間は決まっていますが、食べるか食べないかは子どもが決めていいことになっています。そのため遊んでいて食べない子は食べないで帰り、それはそのままお母さんにお伝えします。多いのが、おやつの時間にお昼寝から起きて遊んでおやついらないから遊んでいたいという子がいます。その子はそのまま遊ばせて親御さんにおやつは食べませんでしたと伝え、そこでお家に帰ってからおやつを食べさせないでくださいということは言います。おやつの時間は決まっていて、その時間に本人が食べないと決めたのでその結果をそのまま本人に受け止めさせてあげてくださいと言っています。そういうことをやっていくうちに、子どもがその時間に行かないと食べられないんだということを学習します。それによって食べなきゃいけない時を段々分かっていきます。今は新学期が始まってまだ1カ月ですが皆凄く落ち着いていて、食べる時に立ち上がる子もいなくて段々と社会性が身に付いてるのかなと思っています。
【まとめ】第十回 児童発達支援士 意見交換会の実施報告
今回も様々なお話が出てきました。最近自発菅についての問い合わせも当協会に多くなっており、需要が高まってきている様子がうかがえます。自発菅になるためには、実務経験が必要となりますが、無知だったり無資格の状態で実務経験を積むという事も難しいものです。そのため児童発達支援士を取得されるという方も多くいらっしゃいます。発達支援業界の入り口に児童発達支援士があるというようなイメージでしょうか。当然自発菅になるために児童発達支援士は必須ではありませんが、是非ご検討いただけると良いのではないかと思います。
今回ご参加いただいた皆様ありがとうございました。