児童発達支援士を受講された方との意見交換会実施報告

皆さん、こんにちは。一般社団法人 人間力認定協会の代表理事を務める井上です。今回の記事は当協会の活動を報告させていただくものとなります。

意見交換会を実施した背景

おかげさまで児童発達支援士の受講者数は2万名を超えました(2024.9現在)。これだけ早いペースで受講者が増えているという事は、それだけ発達障がい児支援のことで悩まれている方がたくさんいるという事でしょう。

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そこで当協会としても、発達障がい児支援を更に普及させていくために、皆様がどういったところで悩み苦しんでいるのか。そして今後どのような活動をしていこうとお考えなのかを聴く場を設けたいと思い、2021年7月14日に「第一回 児童発達支援士 意見交換会」を実施するに至りました。

この意見交換会では、ひとりひとりの支援士と交流を図るために、大人数ではなく少人数で実施いたしました。その数は20名。今回選抜された20名は、当協会が認定する「認定支援士」の皆様がほとんどとなり、一部認定支援士以外の受講者の方にもお声をかけたというものになっています。

今回はこちらから知識を提供するタイプの講演ではなく、支援士同士が顔を合わせ発言をしあう意見交換という形をとりました。目的は、皆様の想いをぶつけ、同じ思いをもった仲間がこれだけいるという事を知ってもらい、心強さを感じて頂くこと。そして多様な意見の中から自分自身で活かせるものを見つけ出していただくため。この目的で意見交換会を実施いたしました。

意見交換会で学んだこと

ここからは意見交換会で感じたことや、支援士から上がった共有したいなと思える内容を紹介していきたいと思います。

音楽を用いた発達障がい児支援

実は今回参加した20名のうち3名が、音楽療法を用いて発達障がい児支援を行っているという事がわかりました。お話を伺うと、音楽と発達障がい児支援というものは非常に相性がよく、放課後デイサービスや学童に派遣された音楽療法を行われていらっしゃる方もいました。

自分を音楽で表現ができる、心を静めることができる、感性を豊かに出来る、このようなメリットがあるのでしょう。

少し話はそれますが、音楽家と言われる方の中には、発達障害を疑われている偉人も多くいます。そういった点をみても、音楽に限らず芸術と発達障がい児支援というものの可能性を感じました。

児童の支援とともに重要な保護者のメンタルヘルス支援

今回の参加者の中には、多くの方がすでに何かしらの形で我が子以外の発達障がい児支援を行っていたり、現在開校準備中という方でした。とても意欲の高い方ばかりだなという印象で、それだけでも頭が下がります。

現場で支援を行っている皆様が口をそろえて仰っていたのが、
「子どもの支援も重要だけど、その保護者の支援もとても重要。でも、保護者とくに母親は、子育てのことで報われることがないため、強いストレスをため込んでいることが見てすぐわかってしまう。この状況では子どもに適切な支援を施すことは非常に難しい」

このようなお話が複数の方から上がりました。

この意見には当協会も同意します。家庭の中でお母さんは太陽であり中心であると言っても過言ではありません。お母さんの精神状態が、子どもの成長に影響を及ぼすことはほぼ間違いないと言ってもいいでしょう。もちろん家庭によってはこの役割をお父さんが担っていたり、祖父母が担っていることもあるでしょう。

では保護者のメンタルヘルスを支援するにはどうしたらよいのでしょうか?簡単です、話を聴くだけで良いのです。表現を少し変えると、吐き出す場を設けてあげれば良いのです。その時には「話を聴く➡ねぎらいの言葉をかける」これだけでもお母さんの表情はパッと明るくなります。現代では日本の景気が停滞している影響もあり、共働きの家庭が非常に多くなりました。するとゆっくり自分の想いを吐き出す場というものはなかなかないでしょう。そのため、吐き出せる場を作るだけでも十分効果があると言えます。

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地域によっても支援体制が異なる

この日の意見交換会では、東京都、京都府、兵庫県、神奈川県、栃木県、静岡県、北海道、鹿児島、沖縄等の地区から参加がありました。都会と言われるところから小さな町まで様々です。その中で意見が出たのが、都会と田舎では行政の支援体制や意識が異なるため、支援をする際の方法論も多少変えていく必要があるということでした。

当然すべてを行政任せにするということでは支援の輪を拡げることはできません。しかし、発達障がい児支援の活動を行うときに行政と話をする必要が出る場合もあるでしょう。その話が、○○県ではスムーズに許可されるが、●●県では拒否された。このようなことが発生します。

この時に支援士としては、行政との交渉を粘り強く続けるという事も出来ますが、支援を行う場を変えることができる場合は、そういった判断をすることもありだと言えます。当然、支援士にも都合があるためそう簡単に都道府県を変えることはできないかもしれませんが、開業などを考えている方の場合は、この点もある程度は抑えておく方がその後の運営がしやすいのではないでしょうか。

今後の意見交換会について

今後は2種類の意見交換会を検討しています。

  1. 今回同様の意見交換会(顔合わせと簡単なスピーチ・質疑応答)
  2. 分科会を作り、更に深い話し合いを実施

このような2つを考えています。今回のような意見交換会は、まず最初の入り口としてとても有効であり、支援士の皆様もモチベーションに繋がりますし、今後の支援の参考になることも多いため継続的に行ってまいります。

しかし、更に深い話し合いの場も設けることができたらいいなと感じましたので、企画を検討し近々分科会を作る形でディスカッションの場を設けようと考えています。ここでは自閉スペクトラム症のグループ、ADHDのグループという形で分けたり、家庭支援・施設支援というグループで分けたりという事を考えています。皆さんにとって、実のある形にするにはどうしたらよいかの最善を見つけていきたいと思います。

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【まとめ】児童発達支援士を受講された方との意見交換会実施報告

以上で今回実施した意見交換会の報告を終了とします。

今回参加されたみなさま、本当にありがとうございました。児童発達支援士と発達障害コミュニケーションサポーターの認定を行い、発達障がい児支援を行う団体としての責任感を強く感じることができました。きっと参加されたみなさまもモチベーションが高まるきっかけになったのではないでしょうか?

私たちはこの「きっかけづくり」という事を大切にしています。きっかけがなければ人はなかなか「今」の行動や思考を変えることはできません。それが最善のものではないと思っていても、変えることはなかなかできないのです。そんな時に資格学習や意見交換会に参加することで、否が応でも「やらなきゃ」「変えなきゃ」「動かなきゃ」となる。これで良いと思っています。人の意志は強固なものですが、自分で自在に操ることは容易ではありません。

だからこそ人と人は共存して生きていくのではないでしょうか。「強い人」というのは何もすべてのことを自分一人で行う人ではないのです。自分は「弱い人間かも」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、自分を責めずに与えられたきっかけを活かしてみる努力から始めてみましょう。自己否定は気持ちを暗くするばかりでプラスはありません。明るく前を向いていきましょう!

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