当協会の「障害・障がい」「子供・子ども」の表記方針について

今回の記事では、当協会が「障害」と「障がい」、「子供」と「子ども」をどのように使い分けているかをお伝えします。表記には、法令や公用文での扱い、当事者や家族の受け止め方、各団体の方針など複数の考え方があります。当協会の目的は、特定の表記を他者へ求めることではなく、発達支援の情報をできるだけ安心して読んでいただくことです。

「障害」と「障がい」、「子供」と「子ども」

「障害」と「障がい」、「子供」と「子ども」は、行政、医療、教育、福祉、民間団体の間でも使い方が統一されているわけではありません。法令名や制度名、診断名では「障害」「子供」が使われることがあります。一方、自治体や団体が配慮の観点から「障がい」「子ども」を選ぶ場合もあります。

文化庁の国語分科会は2021年、「障害」の表記について、法令等では当面「障害」を用いるとする考え方を紹介する一方、地方公共団体や民間組織が別の表記を用いることを妨げるものではないと整理しています。また、表記に関する議論は当事者を中心に進むことが望まれるとしています。

つまり、公的な表記が一つだから他の表記が誤りになる、ある表記を使う団体だけが配慮している、と単純に分けられるものではありません。文章の目的、引用元、固有名詞、読み手への伝わり方を踏まえて選ぶ必要があります。

表記だけで支援の質が決まるわけではない

表記を変えることは、読み手の受け止め方に配慮する一つの方法です。しかし、「障害」を「障がい」に変えるだけで、偏見や差別がなくなったり、必要な支援が届いたりするわけではありません。

反対に、「障害」という表記を使っているという理由だけで、行政、医療機関、学校、団体の姿勢を否定することも適切ではありません。法令名、診断名、引用文、検索されやすい語など、表記を変えないほうが正確に伝わる場面もあります。

大切なのは、本人がどのような言葉を望んでいるかを尊重し、困りごとや必要な配慮を具体的に確認することです。表記について意見が異なる場合も、どちらかを一方的に正しいと決めるのではなく、その言葉を選ぶ理由を確認します。

当協会も、記事や教材の表記だけで配慮を示したことにせず、内容が当事者や家族を責めていないか、診断名だけで人物像を決めつけていないか、支援方法を一律に押しつけていないかを継続して見直します。

当協会のスタンス

当協会では、2026年10月13日時点で、基本的に次の方針を採用しています。

  • 子ども:一般的な本文では「子ども」と表記します。
  • 障がい者・障がい児:人を直接指す場合は、原則として「障がい者」「障がい児」と表記します。
  • 発達障害・学習障害:診断名、制度名、一般に定着した用語では「障害」を使います。
  • 固有名詞・法令名・引用:原則として出典の正式表記を尊重します。

この使い分けは、他の表記を否定するためのものではありません。記事の中で表記が混在する場合も、誤記ではなく、診断名や制度名、引用元との整合を優先していることがあります。

例えば、「発達障害のある子ども」という文章では、診断名として一般に使われている「発達障害」と、当協会の基本表記である「子ども」を組み合わせます。「障害児通所支援」「障害者手帳」「児童福祉法」など、法令・制度・事業の正式名称を説明するときは、文字を置き換えず正式名称を用います。検索結果から必要な制度へたどり着きやすくするためにも、正式な用語を残すことが大切です。

引用文では、回答者や出典が使った表記を原則として尊重します。明らかな誤字を直す場合はありますが、「障害」を「障がい」に一律変換すると、引用元が選んだ言葉や文脈まで変えてしまう可能性があります。引用の外側に置く協会側の解説では当協会の方針を使い、どこまでが引用か分かるように区別します。

一方、本人や家族が希望する呼び方が分かっている場面では、その希望を尊重します。「障害のある人」「発達に特性のある人」「当事者」など、どの言い方が適切かは人や文脈によって異なります。支援する側の都合だけで呼び方を決めず、必要に応じて本人へ確認する姿勢を大切にします。

「子ども」を使うのは、「子供」という表記の語源を否定するためではありません。読み手の中に「子ども」の表記を希望する方がいること、当協会の教材や記事で表記をそろえると読みやすくなることを踏まえた編集上の方針です。

また、「障害」と「障がい」のどちらを使う場合も、その人自身を問題として扱わないことを大切にします。困難は、本人の特性だけではなく、周囲の環境、情報の示し方、制度や社会の側にある障壁との関係で生じます。必要な調整や支援を考える際は、「本人を直す」という視点だけに偏らず、環境側で変えられることも確認します。

過去の記事には、公開当時の表記が残っている場合があります。内容を更新する際に、固有名詞や引用を除き、現在の方針に沿って見直します。ただし、検索語や引用元の正確性を保つため、本文中で「障害」「子供」を用いる場合があります。

機械的な一括置換は行いません。例えば「障害福祉サービス」を「障がい福祉サービス」に変えると、制度の正式名称とずれる場合があります。また、画像内の文字、リンク先のページ名、書籍名、資格名なども確認が必要です。記事を更新するときは、文脈と出典を一つずつ確認し、表記変更によって意味が変わらないようにします。

読者の方から表記についてご意見をいただいた場合は、単に置き換えるのではなく、該当箇所の文脈、出典、本人をどう表現しているかまで確認します。表記をきっかけに、内容そのものの分かりやすさや配慮も改善していきます。

【まとめ】当協会の表記方針について

当協会では、一般的な本文で「子ども」を使用し、人を直接指す場合は原則として「障がい者」「障がい児」、診断名や制度名では「発達障害」「学習障害」など正式・一般的な表記を用います。固有名詞、法令名、引用は出典の表記を尊重します。

この方針は、別の表記を使う人や団体を否定するものではありません。言葉の選び方に配慮すると同時に、本人の希望、必要な支援、環境上の障壁に目を向けることが重要です。

当協会は「理解は支援の第一歩」という考えのもと、表記と内容の両方を継続して見直し、発達障害や発達支援について学びやすい情報提供に努めてまいります。

情報確認日:2026年10月13日。参考:文化庁「『障害』の表記に関する国語分科会の考え方について」(2021年3月12日)。

一般社団法人 人間力認定協会 代表理事 井上智之

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 代表理事
井上 智之

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 代表理事の井上 智之。30年にわたる教室運営を通して、多くの子ども・保護者・教育関係者と向き合う。比較や不安、教育現場の課題を目の当たりにし、一般社団法人 人間力認定協会を設立。現在は発達障害の療育・支援法の研究開発と情報発信に取り組み、「理解は支援の第一歩」を理念に、一人ひとりに合った支援と社会理解の普及を目指している。また、当協会では発達支援や心理に関する知識を体系的に学べる「児童発達支援士」「メンタルヘルス支援士」などの資格講座を提供しており、これまでに延べ5万名以上の方が受講している。

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