講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part1

今回は、2022年1月15日に長野県社会福祉事業団様主催の「こまくさ教室公開講座」にて講演をさせて頂いた際の、講演内容をブログでもお送りいたします。受講者の皆様には、実際の講演音声をプレゼントしておりますが、より多くの方に共有させていただきたいという思いで、ブログでも紹介をさせて頂きます。講演の一部を抜粋し「part1~part3」の三部構成でお送りしますので、お楽しみください。

こちらは三部構成の第一部の内容となります。では御覧ください。

>講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part2
>講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part3

冒頭ご挨拶

この度は第20回こまくさ教室公開講座にお招きいただきまして、誠にありがとうございます。このように保護者、職員の方が当事者も含め、共に学び、考える活動をされていることに大変敬服いたしております。また、このように経験豊かな方が多い中で、私のような者が講演をさせていただくことに大変恐縮いたしております。

また、お声をかけてくださいました信濃学園様、主催のキッセイホール様、そしてお忙しい中、本日ご参加くださいました皆様には、心よりお礼申し上げます。

皆様のお仕事や生活にお役に立つお話ができるかどうかはわかりませんが、一つでも参考にできるものがあれば幸いです。

それでは早速本日のテーマに入らせていただきます。

お金がたくさんあったらな、、、
身長が高かったら、、、
もっと足が速かったら、、、
もっと健康な身体だったら、、、
この障がいがなかったなら、、、
あの時あれをしたなら、、、
あれをしなかったなら、、、

人生の悩み、あるあるですね。

「もし〇〇だったら 〇〇なのに」
「もし〇〇していたら 〇〇なのに」

しかし、本当にそうでしょうか?本当に現実が今と違っていたら幸せなのでしょうか?今と違う選択をしていたらと考える時、なぜ、人は良い方向に流れることばかり考え、より悪くなるということを考えないのでしょうか?

そして、どんなに考えても結論は一つ「仮に、人生において別の選択肢を選べたいとしても、どうなるかはわからないのだし、実際問題として人生に仮には存在しないということです」

もっと言うと、タイムマシンで過去に戻って、やり直せたとしたら、結果はより悪くなると私は考えています。なぜなら、皆さんはその時、その時で、必ず「最善」を選んできたと信じるからです。皆さんの最善の選択の結果が今を作りあげているのです。

そう信じるしかありません。そう信じれば、「今というこの瞬間に、心から感謝することが出来る」のです。そして、この感謝こそが幸福なる人生の第一歩だと私は考えています。

非認知能力について

半年前、信濃学園の職員様から、1通のメールを頂きました。此度の講演依頼ですが、内容はこのようなものでした。

障がいのあるお子さんにとっては、その障がいゆえに認知能力(IQや記憶力等)にはハンディがあります。現代社会では学校教育においても、認知能力に評価が置かれています。そして、将来、良い学校へ行って、良い会社へ就職して幸せになるという目的が一般的になっています。

では、認知能力にハンディのあり、一般的な基準のルートを歩むことができない障がいのあるお子さんは、幸せにはなれないのでしょうか。そんなことはないはずです。では、どうすればよいのか。そんなときに、「非認知能力」が、障がいのあるお子さんにとって重要であり、より良い人生を送るための心の土台となることを知りました。

そこで、「非認知能力」は、一般的にあまり知られていない内容であることから、ぜひ、この機会に「非認知能力」について、その内容と重要性また育み方を地域の保護者の皆様や支援に携わる関係機関の皆様にお届けし知っていただき、支援のきっかけにしていただけたらと考えています

さて、そうして決まったのが本日のテーマ、「非認知能力で人は誰しも幸せになれる」であります。

私共、一般社団法人 人間力認定協会のホームページの冒頭には、

よりよい人生を送るためには、高い自己肯定感(セルフエスティーム)が必要です。自己肯定感は人の成長の礎であり、一人一人の能力を高め、その人の人生を幸福なものとします

と書かれてあります。ここに出てくる「自己肯定感」これもまた、非認知能力のひとつです。

非認知能力(人間力)とは何かと申しますと、社交性、協調性、やり抜く力、自制心、思いやり、信頼、自己肯定感、勤勉性などを指します。

これまで学校教育では、認知能力が評価の基準とされたのに対し、非認知能力は評価されてきませんでした。しかし、ヘックマン博士らの研究により、「人の役に立つ、社会的に成功した人になるには、認知能力よりも非認知能力が大きな影響を与える」ということが明らかにされました。さらに「対人関係から培われる非認知能力を鍛えることで認知能力が次第に高まる」ことも実証されました。

簡単にいうと、認知能力が高いからと言っても幸せになれないけど、非認知能力が高い人は幸せになったよと言うことです。この研究結果はアメリカの教育に大きな衝撃をもたらすことになりました。

自尊心・自己肯定感とは

人間が生きていく上で、最も大切な非認知能力といえば、それは「自己肯定感」です。「自尊心」と言ってもいいでしょう。

自己肯定感とは自分には価値があると思える感情です。似たような言葉に自尊心があります。国語辞典によれば「自尊心とは、自分の人格を大切にする気持ち、また、自分の思想や言動などに自信を持ち、他からの干渉を排除する態度。プライド」とあります。これに自分のできないところも含めて自らを肯定するのが自己肯定感です。

自己肯定感と言う大きな枠の中心に自尊心の領域があると考えてもいいでしょう。

自尊心、プライドというと自分の地位や財力、何らかの能力があることを自慢する人が多いのですが、それは大きな勘違いです。そんなものは自尊心ではありません。それは不遜な態度、思い上がりと言っていいでしょう。

もう一度言いますね。「自尊心とは、自分の人格を大切にする気持ち、また、自分の思想や言動などに自信を持ち、他からの干渉を排除する態度」です。そう考えれば、この非認知能力が、発達障がい者、身体障がい者と定型発達児、健常者、すべての人が持つことが出来るということがお分かりいただけると思います。

それでは人の成長において、なぜ、この自己肯定感が大切なのか?についてお話しします。それはこの自己肯定感が私たちの見るもの、経験するものすべてに意味を与えるからです。

自己肯定感が人生の意味を決定するのです。

え、どういう意味?と感じるのではないでしょうか。

ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授の研究によると、私たちは1に最大で3万5000決断を下しているそうです。

先生や親に叱られた時、自己肯定感の高い子はそれを「自分への関心」であるとか「愛されている実感」と捉えるのに対し、自己肯定感の低い子は自分だけに向けられた「暴力」であり「差別」だと捉えるでしょう。この場合、親や教師の思いは関係ありません。重要なのは本人がどう捉えるかであり、それを決定づけるのが自己肯定感なのです。それを1日に最大35000回行っているという事実を聞けば、人生の結果にどれだけ多くの影響を及ぼしているかは明白でしょう。

皆さん自尊心はおありですか?子どもたちはどうですか?

ここに一つの統計データがあります。先進20か国の15歳の子どもたちに行ったアンケートです。

「あなたは自分自身のことを価値がある人間だと思いますか?」

という問いに対し、「自分に価値がある」と答えた日本人はわずか7.5%。ちなみに先進20か国の平均は80%程度です。

世界では80%の子どもたちが「自分自身に価値がある」と答えているのに対し、日本の子どもたちの実に92.5%が「自分には価値がない」と考えているわけです。

日本の学校でいじめがなくならない理由がここにあります。自尊心を持てない子どもは暴力によって他人の自尊心を奪おうとします。その連鎖こそがいじめや差別の根源です。そして、今の、ひきこもり、自殺大国ニッポンを作り上げているのです。

15歳から39歳までの死因トップは「自殺」であり、これは世界最高水準なのです。

どうして日本人の自尊心はここまで下がってしまったのでしょうか。この話をするとここだけでも1時間は必要ですから、本日はこの原因のお話は省いて、どのようにしたら自尊心、自己肯定感を高めることが出来るかについてお話ししたいと思います。

【まとめ】講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part1

今回は一度、ここで切らせていただきます。ここまでが、非認知能力や自己肯定感についての基本的な概念の確認になります。まずは基礎となる知識を統一しておかなければ、その後の話がなかなか入ってきませんので、まずはこちらの記事を繰り返しご覧頂き、人生を豊かにするうえでとても大切な概念をしっかりと理解していきましょう。

最後に少し紹介になりますが、このような事も学べるのが当協会の認定資格である「児童発達支援士」や「発達障害コミュニケーションサポーター」なのです。発達障害についての専門知識も学びますが、それ以上にこういった考え方をまずは理解し、その後アプローチの仕方を学ぶことが非常に重要だと思います。そこに発達障がいかどうかという事はあまり関係がありません。一人の人間に対して接する適切なアプローチ方法を知ることで、子育てに限らず社会活動全般で人生が豊かなものになりやすくなるとも言えるでしょう。

こちらの資格も是非ご検討くださいね。

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