講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part3

今回は、2022年1月15日に長野県社会福祉事業団様主催の「こまくさ教室公開講座」にて講演をさせて頂いた際の、講演内容をブログでもお送りいたします。受講者の皆様には、実際の講演音声をプレゼントしておりますが、より多くの方に共有させていただきたいという思いで、ブログでも紹介をさせて頂きます。講演の一部を抜粋し「part1~part3」の三部構成でお送りしますので、お楽しみください。

こちらは三部構成の第三部の内容となります。では御覧ください。

>講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part1
>講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part2

子どもが伸びる指導12原則

第二部では、社交性、協調性、コミュニケーション力、社会情緒能力を育てるための訓練法を一部ご紹介します。

これは、発達に凸凹や個体差のある子どもたちが、二次障害としてのコミュニケーション障害を克服し、良好な学校生活や人間関係を送ることを目的として開発いたしました。家庭や職場で応用できるものを中心にお話ししたいと思います。

①挨拶・礼儀を徹底します

挨拶はコミュニケーションの始まりであり、礼儀作法の入り口でもあります。挨拶ができるようになったら、次は、挨拶にプラスαの言葉を添えます。こういった日常の挨拶からコミュニケーション力と礼儀作法を身に付けさせます。

②「やる気」を引き出します

楽しんで取り組めること、発見する喜びがあること、集中して考え続けられること。この3点を満たす学習法を提供します。そして何より自ら参加する事、発言する事、そしてそれが承認されることの繰り返しにより、子どもたちの「やる気」を引き出します。

「やる気を引き出す」のであって「やる気を押し付けてはいませんか」

「やる気を引き出す」のは簡単です。教えるのではなく、子どもに教えさせるのです。

教える側は楽しいけど、教わる側はつまらない。学ぶ喜びと言うのは「気づき」と「発見」なんです。これを子どもたちに与えられるかどうかです。

親や教師が教える喜びを奪って、教わる退屈を子どもに強要してはいませんか?

教師や親が教えるのが当たり前?本当にそうですか?

③自由な発想を大事にし、想像力を鍛えます

教えすぎは子どもの想像力の芽を摘み取ってしまいます。絵を描くときにリンゴは何色ですか? シマウマの色は? 空の色は? 絵を描く場合、それが何色でもいいのです。そんなことで子どもたちの想像力の芽を摘み取ってはいけません。

子どもが理解不能な言動をしたときには、興味のある顔をして、どうしてその色を選んだのか?どうしてそういう言葉になったの?と言う風に子どもたちの世界に耳を傾けてみましょう。子どもは先生としての役割をしっかり果たしてくれますよ。ここで、間違い訂正は必要ありません。答え合わせなど必要もありません。

④学ぶ重要性を理解させます

自分の将来がイメージでき、それが世の中の役に立つことがわかれば子どもたちは自ら学び始めます。大切なのは子どもたちに学ぶことの楽しさと重要性を自覚させ、そのことが将来的に人の役に立つのだということを理解させることです。

学ぶ目的は何ですか?子どもたちの今の学びは「誰かの役に立てるためです」そのことを子どもたちに話して聞かせましょう。この世に存在するすべての仕事は誰かの役に立つこと、働くとは、傍(はた)が楽(らく)になることだということを理解させましょう。

⑤「あきらめない心」を育てます

うまくいかない体験こそが重要です。大事なのはそこで何を学ぶかです。失敗から多くを学びとれるということが成長力や人間力につながります。ですからマナカルでは、できたからではなく、あきらめないで取り組む姿勢を評価します。すべての経験にはあらゆる「学び」があることを教えてあげてください。

諦めない心を育てるには「この世で体験するすべてのことに大切な学びがあることに気付かせてあげればいいのです。

⑥自主性を育てます

やるべきことを自ら進んでやる事が重要です。教えすぎなければ子どもの可能性は無限大です。お手本は場合によってはその子に制限を与え、可能性を縮めてしまうことになります。お膳立てをすればするほど子どもの自主性は奪われてしまいます。

自主性の育て方は、

一、明確なルールを、親子の話し合いで決めること
一、従わない場合は一緒にルールの改正をすること
一、ルールに従うように指導すること

これができるようになれば「自主性が付いた」と言うことになります

⑦考える習慣を身に付けさせます

普段からニュースや新聞などの話題を一緒に考える習慣をつけます。理解するプロセス、考えるプロセスが頭を鍛えます。交通事故の話題なら「どうやったら事故が減るのかな?」「自分たちでできる交通安全は何だろう?」など答えは一つではありません。

親も先生も答えがない問題について話し合う習慣こそが、子どもたちの思考力を高めるのです。

⑧主体性を育てます

自らテーマを求めていくという姿勢が重要です。言われたことをただやるのではなく、自分の頭で考える力が求められています。先生は手取り足取り教えることはしません。しっかり頭を使って考え、取り組ませることが私たちの仕事です。

⑨努力と根性と忍耐

「楽しい」だけではいけません。誰にも負けない努力をすること、歯を食いしばってでもやるという根性、つらい時にはぐっとこらえることができる忍耐力も必要です。その強さこそが子どもたちに自信と勇気と自立心をもたらすのです。

忍耐は仏教では忍辱と呼び、人生における6つの修行六波羅蜜のひとつです。我慢させること、歯を食いしばる経験をさせ、そのことが人間形成にとって大切なことであることを教えます。

⑩自己表現力とコミュニケーション力を鍛えます

「話す力」と「聞く力」を育てます。伝えたいことを伝える力は訓練によって身に付きます。また、考え方が違うことは問題ではなく、まずは他者を承認することが必要で、コミュニケーションとはその上に成り立つということを理解させ、訓練します。

まず大切なのは「聞く力」を育てる事。そのための前提として「他人」を尊敬することを教える必要があります。尊敬とは「しっかりとあなたを見る」と言うことなんです。

⑪しっかり叱り、具体的にほめます

子どもに子どもだましは通用しません。「友達の消しゴムを拾ってあげて、とってもやさしいね」「挨拶が大きな声でできたね」「お友達の話がしっかり聞けているね」など具体的な行動をほめて、認めてあげることで向上心を養います。ほめるというより「ありがとう」と感謝することが大切です。

⑫劣等感を抱かせない

幼少期に不用意に優劣をつけ、子どもたちにセルフイメージを与えることはいいことではありません。良い方ならまだしも、自分は頭が悪いというような劣等感を抱かせてしまっては、その後の成長に大きく影を落とすことになってしまいますので注意が必要です。

私たちが行うべきは教育ではなく、発育支援であり、発達支援なのです。そしてこれこそが真の教育、エデュケーションであると考えています。

【まとめ】講演「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」 part3

これで「非認知能力で人は誰でも幸せになれる!」の講演ブログは終了となります。今回の記事では、指導12原則というものをご紹介させていただきました。

ここで紹介したアプローチを実践していただくことで、きっと子育てが楽になります。私どもは、情報過多なこの社会で、「これが正しい、これもやったほうがいい、●歳までにはこれ」などというつもりはありません。このような情報に散々振り回されて、非常に苦しい思いをされているのは保護者の皆様です。やればやる程ドツボにハマる。というと大げさかもしれませんが、本当にこういう状況で苦しんでいる方も多いんです。

今回紹介した講演三部作をきっかけに、子育てを前向きにとらえられるようになり、より楽しい日々を送れるようになれば幸いです。ありがとうございました!

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