この度、当協会では発達障害に関する調査報告書を発刊することとなりました。調査報告書とはいったいどのようなものか、だれを対象にしているのか、どう活用していけばよいかなどを本記事にてご紹介いたします。
発達障害に関する調査報告書とは
「調査報告書」は、発達障害支援の現場で得られる“生の声”を基に作成された独自のレポートです。全国に4万人を超える当協会資格講座の受講者(児童発達支援士、発達障害コミュニケーションサポーターなど)を対象にアンケートを行い、日々子どもたちや保護者、支援者と接している方々から一次情報を収集しています。その一次情報を分析し、皆様に伝わりやすいようグラフや表にてまとめたものが調査報告書となります。
発達障害に関する基本的な知識は広まってきていると感じていますが、現場レベルの生の声はまだまだ行き届いていないと感じます。そのため、この調査報告書を作ることによって、より多くの方に一歩踏み込んだ情報をご提供できるのではないかと考え発刊するに至りました。
調査報告書の目的
当協会が調査報告書を作成する理由には、いくつかの明確な目的があります。
1. 実態の可視化とエビデンスの蓄積
発達障がい支援の分野では、研究データや統計だけでは捉えきれない「現場のリアル」が数多く存在します。
支援者や保護者、教育関係者などが日々感じている課題や工夫を可視化し、社会に発信することで、実態に即した支援体制づくりにつなげたい——この想いが、すべての調査の出発点です。
2. 課題の発見と政策・支援提案への架け橋
調査報告書を通じて浮かび上がる傾向や課題を分析し、行政・教育委員会・研究機関などに対して、より効果的な支援施策や制度改善の提案を行っています。
「データを集めること」が目的ではなく、「支援現場の課題を社会と共有し、次の一歩を生む」ことこそが、当協会の調査活動の本質です。
3. 支援者・当事者間の共通理解を育む
報告書の公開により、支援者・教育者・保護者・当事者など、立場の異なる人々が共通の事実や課題を共有できます。これにより、支援方針のすれ違いを減らし、協働の土台を築く役割も果たしています。
調査内容と要点
現時点で下記4つの調査報告書を発刊しております。
①注意欠如多動症児への投薬に関する調査
【調査結果の要点】
・投薬開始「6歳」が最多 小学校入学期に増える選択
・揺れる保護者の心 「投薬の不安なし」はわずか1割
・約9割が効果を実感 集中力や学習面で前向きな変化
・副作用は約8割に 食欲減退・睡眠障害など課題も
②療育施設の利用に関する実態調査
【調査結果の要点】
・利用開始は3 歳以下が半数を占める 早期療育の実態
・62%が「専門機関の勧め」で利用開始 決断の背景
・施設選びの決め手は“先生と環境” 47%が最重視
・療育で変化を実感した保護者 7 割超 成長の手応え
③発達障がい児の特別支援教育の利用に関する実態調査
【調査結果の要点】
・利用者の約4割が「後悔なし」と回答 高い満足度
・最大のメリットは「心の安定」 保護者の37%が実感
・利用児童の4人中3人(75%)が男の子という実態
・課題は「先生の質」 約2割が指導方法に不満を指摘
④発達障害の特性に応じた支援方策調査
【調査結果の要点】
・パニック対応の鍵 約半数が「環境調整、安全確保」
・忘れ物対策の半数が「掲示」「リスト」での見える化
・偏食対応の秘訣 35% が「本人の意思、ペース尊重」
・時間管理の課題 約 3 割が「時計活用」で視覚的支援
この他にも今後作成する予定のテーマは下記のとおりです。
・子どもの二次障害について
・発達障害であることを子どもにどう伝えたか
・感覚過敏/鈍麻に関する実体験
・カサンドラ症候群について
発達障がい児の支援をされている方であれば、どの情報も知りたいと思える内容になっていると思います。
調査報告書の活用方法
協会で発刊した調査報告書は、無償で地方自治体や教育機関、一般の方に提供しております。提供実績は下記のとおりです。
・調査報告書を全国の教育委員会に提供
・調査報告書を全国225校の大学、短期大学に提供
・調査報告書を全国132校の専門学校に提供
・調査報告書を全国にある8,000を超える療育施設に提供
静岡市の教育委員会に訪問し、意見交換を行ったインタビュー記事をまとめておりますので、あわせてご覧ください。
>静岡市教育委員会 特別支援教育センターへの訪問報告|人間力認定協会
調査報告書の引用について
当協会が公開している調査報告書やデータ、並びに当事者・保護者・支援者の声から得られた一次情報およびその分析結果(二次情報)は、教育現場・研究・支援活動・講演・研修・メディア制作など、目的に応じて自由にご活用いただけます。(詳細は引用に関するガイドラインご確認ください)
皆さまが引用し、共有してくださることで、情報はより多くの人に届き、支援の輪は確実に広がっていきます。
私たちは、皆さまと共に、発達支援の未来を育てていきたいと考えています。
共に支援の輪を拡げていきましょう。