「学校行きたくない」小学生の理由がわからない時は?行き渋りの朝に親ができること

「おなかが痛い」「今日は行きたくない」。朝の支度が止まり、時計を見ながら声を荒らげてしまう。理由を聞いても「わからない」。小学生の行き渋りは、親にとってもつらい時間です。

毎朝その小さなSOSから目をそらさず、どう接すればいいのかを調べているあなたは、すでにお子さんの一番の味方です。どうか自分を責めすぎないでください。

この記事では、公的な調査をもとに小学生が「学校行きたくない」と感じるタイミングやきっかけを整理し、行き渋りの朝に親ができることをまとめました。後半では、発達の特性があるお子さんの保護者の体験もご紹介します。

小学生の「学校行きたくない」はめずらしくない|データで見る実態

小学生の8割は学校が好き。それでも4割は「朝、行きたくない」

博報堂教育財団こども研究所が2025年に小学4年生〜中学3年生を対象に行った調査では、小学生の83.3%が「学校が好き」と答えました。一方で、「朝、学校に行きたくないと思うことがある」と答えた小学生も40.8%いました。学校が好きでも、朝は気が重くなる。その揺れは、多くの子に共通するものです。

行きたくなるタイミングで最も多かったのは「月曜日」、次いで「長い休みの明け」でした。

月曜日24.2%
長い休み(夏休みなど)明けの日17.6%
きらいな教科の授業がある日16.3%
外が暑い・寒い日12.8%
授業で発表しなければならない日9.3%
天気が悪い日9.1%
テストがある日6.5%

図1 朝「学校に行きたくない」と思うタイミング(小学4〜6年生591人に占める割合・複数回答) 博報堂教育財団こども研究所の調査(2025年)をもとに作成(出典は記事末尾)

行きづらさを感じてから、半年以内に休み始めた子が約半数

一方で、見過ごせないデータもあります。文部科学省が不登校を経験した小学6年生に行った調査では、「行きづらい」と感じてから1か月未満で休み始めた子が27%、1か月以上6か月未満が20%でした。朝の「行きたくない」は、早めに受け止めたいサインでもあります。

行き渋りとは?不登校との違いと見逃したくないサイン

行き渋り(登校しぶり)の意味

行き渋り(登校しぶり)に明確な定義はありませんが、一般に「学校を嫌がりながらも、なんとか登校している状態」を指します。行き渋りから不登校までは、次のように段階的に移っていくことが少なくありません。

段階よく見られる様子
渋りながら登校朝ぐずる、支度が進まない、腹痛や頭痛を訴えるが登校はする
付き添い・遅刻親が途中や教室まで送る(付き添い登校)、遅れて登校する
部分的な登校保健室や別室なら行ける、行ける日と行けない日がある(五月雨登校)
不登校病気や経済的な理由以外で、年間30日以上欠席している(文部科学省の定義)

朝だけの腹痛・頭痛、月曜や休み明けに強まる様子

朝になると腹痛や頭痛を訴え、昼には元気になる。日曜の夜から口数が減る。休み明けに渋りが強くなる。こうした様子は「仮病」ではなく、体が先に出しているSOSであることが多いものです。

小学生が学校に行きたくない理由|「理由がわからない」子も4人に1人

不登校の小学生が挙げた「最初のきっかけ」

先ほどの文部科学省の調査で、不登校を経験した小学生に「最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ」を聞いた結果です(複数回答)。

先生のこと29.7%
身体の不調26.5%
生活リズムの乱れ25.7%
きっかけが何か自分でもよくわからない25.5%
友達のこと(いやがらせやいじめがあった)25.2%
勉強が分からない22.0%
友達のこと(いやがらせやいじめ以外)21.7%

図2 最初に学校に行きづらいと感じ始めたきっかけ(不登校を経験した小学6年生・上位7項目・複数回答) 文部科学省の調査をもとに作成(出典は記事末尾)

先生や友達、勉強といった学校での出来事と並んで、体の不調や生活リズムの乱れが上位にあります。そして注目したいのが、「きっかけが何か自分でもよくわからない」と答えた子が25.5%、およそ4人に1人いたことです。

理由を言えない・本人もわからないのは自然なこと

子どもは、自分の気持ちを言葉にする力がまだ育っている途中です。「理由を言って」と問い詰めるほど、子どもは「うまく説明できない自分が悪い」と感じてしまいます。理由がわからないことは、気持ちが小さくないことを意味しません。理由探しはいったん脇に置き、「行きたくないくらい、しんどいんだね」と受け止めるところから始めましょう。

1年生が泣いて嫌がる場合と、高学年の場合

1年生は新しい環境や長い一日の疲れに慣れるだけで精一杯で、親と離れる不安から泣くことも珍しくありません。高学年になると、友達関係や勉強など悩みが複雑になり、親に話さなくなることもあります。

行き渋りの朝に親ができること|声かけと「全部か休みか」以外の選択肢

「行く・行かない」より先に、体と気持ちを確かめる

朝はまず、熱や痛みがないか、眠れているかを確かめます。そのうえで「行くの?行かないの?」と二択で迫るより、「今どんな感じ?」と様子を聞くほうが、子どもは気持ちを出しやすくなります。

かけたい声かけ・避けたい声かけ

場面避けたい声かけかけたい声かけ
「行きたくない」と言われた「なんで?理由を言いなさい」「そっか、行きたくないんだね」
「おなかが痛い」と言う「また?本当に痛いの?」「どのへんが痛い?少し横になろうか」
支度が進まない「早くして!遅刻するよ」「次は靴下だね」と一つずつ
休むことにした「明日は絶対に行くのよ」「今日は休もう。教えてくれてありがとう」

遅刻・途中まで・保健室など「間」の選択肢を持つ

「全部行く」か「休む」かの二択では、子どもも親も追い詰められます。2時間目から行く、校門まで一緒に行く、保健室で過ごすなど、間の選択肢を担任と相談しておくと、朝の負担がぐっと軽くなります。その際は、朝の様子や家での変化も一緒に伝えておきましょう。休ませるときの考え方や避けたい対応は、小学生の不登校で親ができること|やってよかった対応と後悔しやすい対応で詳しく紹介しています。

発達の特性がある小学生の行き渋り|保護者の体験から

ここからは、発達障害(疑いを含む)のお子さんの保護者から当協会に寄せられた体験です。特性がある子の行き渋りには、本人も言葉にしにくい「感じ方の違い」が隠れていることがあります。

理由は「先生の声」や「雨」だった

小学5年生で登校渋りが始まり、そのころ本人が自覚して聴覚の過敏がわかったお子さんがいます。一番困ったことは、次のようなものでした。

先生の声が苦手で授業が苦痛になる事です。

ADHDのお子さんの保護者

このご家庭では学校に相談し、ノイズキャンセリングのイヤホンをつける配慮を受けました。別のご家庭では、濡れることや大きな音が苦手で「雨の日は登校を行き渋り、送り迎えが必須」だったそうです。医師や先生と相談してプールを見学にしてもらうなどの対策を重ね、こう振り返っています。

行き渋りなく安心して登校できた。

自閉スペクトラム症、ADHDなどのお子さんの保護者

「疲れかな」と見過ごした冬休み明け

行き渋りのサインを、後から振り返る声もありました。

冬季休暇明けに登校行き渋りが始まりました。当時は学童にも通っていて、時期的に寒いし疲れも見えたのかな?くらいにしか感じていなかったのです。(中略)今思えば、子どもはすでにSOSを出していたんですね。

8歳・ADHD、学習障害のお子さんの保護者

このお子さんは保健室登校や職員室登校の時期を経て、進級して担任の先生が変わったことで、教室に入れるようになったそうです。

通常級は渋っても「通級の日は嫌がらない」

環境が合うと、子どもの様子が変わることもあります。小学1年生から通級を利用したお子さんの保護者は、こう話しています。

通常級の方は、合わなくて登校渋りがあったが、通級の日は嫌がらない等、いい効果があった

自閉スペクトラム症のお子さんの保護者

通級や支援級の選び方は発達障がい児は特別支援学級・通級・通常級、どれを選ぶべき?、保護者の体験は療育エピソード|通級・特別支援級に関するエピソード①で紹介しています。

「行かせる」から「わかろうとする」へ|親の見方が変わると朝が変わる

子どもの気持ちや学校の環境を、親が直接変えることはできません。けれど、親自身の見方や関わり方は変えられます。「どうしたら行かせられるか」から「この子に何が起きているのか」へ。問いが変わると朝の声かけが変わり、子どもが安心できる時間が少しずつ増えていきます。

発達障害について学んだ認定支援士の方も、こう話しています。

子供の行動を素直に受け止める事ができる様になりました。受け止める事ができる様になった事で、その後の対応の幅が広がったと思います。

お子さんの小学校入学時に発達障害がわかった、児童発達支援士の保護者

当協会の児童発達支援士は、発達の特性や感覚の違い、子どもへの関わり方を、自宅で体系的に学べる資格です。「わからないから不安」だった毎朝が、「わかるから待てる」朝に変わるかもしれません。資格の内容は資格の徹底解説でもご覧いただけます。

まとめ|小学生の「学校行きたくない」には、理由探しより安心を

小学生の「学校行きたくない」は、決してめずらしいことではありません。けれど、行きづらさを感じてから半年以内に休み始める子も少なくありません。理由がわからなくても、まずは気持ちを受け止め、体調を確かめ、「全部か休みか」以外の選択肢を一緒に探していきましょう。親が安心して構えていられることが、子どもにとって何よりの支えになります。

この記事で使用したデータ

資料内容対象
博報堂教育財団こども研究所 トピックス調査「令和の学校」(2025年7月)学校が好きな割合、朝学校に行きたくないと思う割合、そのタイミング(図1)全国の小学4年生〜中学3年生1,200人(うち小学生591人)
文部科学省「令和2年度 不登校児童生徒の実態調査」結果の概要・報告書行きづらいと感じ始めたきっかけ(図2)、休み始めるまでの期間前年度に不登校だった小学6年生・中学2年生(小学生713人)
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」不登校の定義―
人間力認定協会「感覚過敏・鈍麻に関するエピソード」アンケート感覚過敏と行き渋りの体験受講者の保護者等/2025年5月〜2026年3月
人間力認定協会「子どもの二次障害に関するエピソード」アンケート行き渋りの始まりと振り返り受講者の保護者等/2023年1月〜2026年1月
人間力認定協会「通級・支援級の利用について」アンケート通級を利用した後の変化受講者の保護者等/2022年8月〜2024年3月
人間力認定協会「認定支援士インタビュー」学んだ後の変化認定支援士/2022年7月〜2026年5月
保護者・認定支援士の声は、回答の原文から一部を抜粋しています。
一般社団法人 人間力認定協会 代表理事 井上智之

執筆者

一般社団法人 人間力認定協会 代表理事
井上 智之

【プロフィール】
一般社団法人 人間力認定協会 代表理事の井上 智之。30年にわたる教室運営を通して、多くの子ども・保護者・教育関係者と向き合う。比較や不安、教育現場の課題を目の当たりにし、一般社団法人 人間力認定協会を設立。現在は発達障害の療育・支援法の研究開発と情報発信に取り組み、「理解は支援の第一歩」を理念に、一人ひとりに合った支援と社会理解の普及を目指している。また、当協会では発達支援や心理に関する知識を体系的に学べる「児童発達支援士」「メンタルヘルス支援士」などの資格講座を提供しており、これまでに延べ5万名以上の方が受講している。

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