「今日も行きたくない」。朝の玄関で、ランドセルを背負ったまま動かなくなるわが子。なだめても叱っても状況は変わらず、仕事や家事の段取りも崩れていく。そんな毎日の中で、このページにたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
まず、お伝えさせてください。毎朝の「行く・行かない」のやりとりを続けながら、子どものために情報を探しているあなたは、もう十分すぎるほど頑張っています。
この記事では、文部科学省の最新データをもとに小学生の不登校の現状ときっかけを整理し、親にできる対応と、避けたい対応をまとめました。後半では、発達の特性があるお子さんの保護者から当協会に寄せられた体験もご紹介します。
小学生の不登校は何年生から増える?最新データ
不登校の小学生は約13万8千人、およそ43人に1人
文部科学省の調査によると、令和6年度の小学校の不登校児童数は137,704人でした。児童1,000人あたり23.0人で、およそ43人に1人にあたります。小・中学校を合わせると353,970人で過去最多、12年連続の増加です。不登校は、どの家庭にも起こりうることになっています。
学年が上がるほど増え、小6は小1の約4倍
| 8,738 | 14,125 | 19,460 | 25,322 | 31,979 | 38,080 |
| 小1 | 小2 | 小3 | 小4 | 小5 | 小6 |
図1 学年別の不登校児童数(令和6年度・人) 文部科学省の調査をもとに作成(出典は記事末尾)
小1では8,738人だった不登校児童数は、学年が上がるごとに増え、小6では38,080人と約4.4倍になります。低学年のうちの小さなつまずきが、気づかれないまま積み重なっていく様子がうかがえます。
小学生が不登校になるきっかけ・原因
学校が把握した事実は「やる気が出ない」「生活リズムの不調」
図2 不登校の小学生について学校が把握した事実(令和6年度・複数回答) 文部科学省の調査をもとに作成(出典は記事末尾)
学校が不登校の小学生について把握した事実として多かったのは、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談」「生活リズムの不調」「不安・抑うつ」でした。ただし、これは学校側から見えた姿です。「やる気が出ない」の奥に、友だちや先生との関係、勉強のつまずき、音や人の多さへのつらさなど、本人もうまく言葉にできない理由が隠れていることがあります。
低学年と高学年では、きっかけの傾向が変わる
一般に低学年では、親と離れることへの不安や、入学・クラス替えといった環境の変化がきっかけになりやすいといわれます。高学年になると、友だち関係の複雑さや、学習のつまずきが重なってくることが増えます。いずれの場合も、原因が一つに決まることは少なく、いくつかの要因が絡み合っているのが普通です。
小学生の不登校で親がやりがちなNG対応
子どもを思う気持ちが強いほど、次のような対応をしてしまいがちです。
- 嫌がる子を、引っ張ってでも学校へ連れて行く
- 「なんで行けないの」と理由を問い詰める
- 学校で注意されたことを、そのまま家でも叱る
- 遠慮して、学校に子どもの様子や要望を伝えない
どれも「早く元に戻ってほしい」という願いからの行動です。けれど子どもにとっては、家まで安心できない場所になってしまうことがあります。
不登校の小学生に親ができること
まずは休ませ、話を最後まで聴く
心と体が疲れ切っている時は、まず休むことが回復の第一歩です。原因を問い詰めるより、子どもが安心して話せる時間をつくりましょう。話し始めたら、途中で正論や助言をはさまず、最後まで聴くことが大切です。
別室登校・五月雨登校も「前進」として認める
保健室や相談室で過ごす「別室登校」や、行ける日と行けない日がある「五月雨登校」も、子どもなりの一歩です。「今日は行けた」「今日は休めた」と、どちらも認める声かけを意識しましょう。
学校と連携し、学校以外の居場所も持つ
担任やスクールカウンセラー、自治体の教育相談など、相談先は早めに持っておくと安心です。あわせて、フリースクールや習い事、放課後等デイサービスなど、学校以外に安心して過ごせる場所があると、子どもの回復の支えになります。家庭と支援先の情報共有は「療育と家庭の連携|支援をつなぐ情報共有のポイント」も参考にしてください。
発達の特性がある小学生の不登校|保護者の体験から
文部科学省の調査研究では、回答校の児童生徒全体の不登校率が3.71%だったのに対し、特別支援学級や通級の対象、発達障害(疑いを含む)に関する相談があった児童生徒等では13.26%でした。回答した432校の集計で全国の数値ではありませんが、特性への理解や支援が届いているかどうかが、不登校と関係している可能性を示しています(詳しくは「「発達障害のある児童生徒等」の不登校率は13.26%」)。
当協会が受講者から集めた「子どもの二次障害に関するエピソード」には、発達の特性があるお子さんが小学生のうちに不登校になった体験が多く寄せられています。その中から、保護者の振り返りをご紹介します。
登校しぶりは「前触れ」だったかもしれない
2次障害の前触れとして、登校しぶりの際に玄関でうわぁーと奇声を上げている時期がありました。
10歳・自閉スペクトラム症、学習障害のお子さんの保護者
「無理に連れて行かなければよかった」
学校に無理やり連れていかなければよかった。こうなる前に学校以外の場所へ居場所を作ってあげればよかった。
8歳・自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害のお子さんの保護者
特性を学校に伝え、「逃げ場」を決めておけば
子どもの特性を事前に担任の先生に詳しく話しておけば良かった。学校側と辛くなった時の逃げ場を確認しておけば良かった。
6歳・グレーゾーンのお子さんの保護者
給食や待ち時間、細かい文字の指導など、周りの子には何でもないことが、特性のある子には大きな負担になることがあります。入学後に特性に気づくケースは「小学校入学後に発達障害へ気づくのはなぜ?」で解説しています。
親の見方が変わると、子どもも変わっていく
子どもの特性も、学校の対応も、親が直接変えることはできません。けれど、自分の見方、考え方、行動は変えることができます。そして親の気持ちに余裕が生まれると、それは確実に子どもに伝わります。
知識をつけた事で私の子育てや子どもが悪いのではなく、発達に原因がある事がわかり子どもとどう接したらいいのかが具体的にわかり、子どもに振り回される事や感情をぶつけることが少なくなりました。
長男の不登校をきっかけに受講した認定支援士
小学校で登校しぶり、中学校の3年間は不登校だった自閉スペクトラム症の息子さんが、入院生活を経て、今は専門学校に元気に通っているという認定支援士もいます。不登校は終わりではありません。親が学び、関わり方を変えたその先に、子どもが自分の道を歩き出す日は来ます。
当協会の児童発達支援士では、発達障害の特性と二次障害の仕組み、子どもへの具体的な関わり方を、専門用語をできるだけ使わずに学べます。友だち関係や二次障害の予防まで見据えるなら、発達障害コミュニケーションサポーターとの2科目セットもあります。内容は「児童発達支援士・発達障害コミュニケーションサポーター資格【徹底解説】」で紹介しています。
まとめ|小学生の不登校で親ができる一番のこと
小学生の不登校は学年が上がるほど増え、その手前には登校しぶりや体調の変化といったサインがあります。無理に行かせず、話を聴き、学校や相談先とつながること。そして親自身が自分を責めすぎず、学びながら余裕を取り戻すことが、子どもの回復の土台になります。ほかの家庭の体験は「療育エピソード|発達障がい児の二次障害に関するエピソード①」でも紹介しています。
この記事で使用したデータ
| 資料 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」 | 小学校の不登校児童数、学年別人数(図1)、学校が把握した事実(図2) | 全国の小・中学校 |
| 文部科学省「特別支援教育・不登校担当の校内連携体制の在り方に関する調査研究」報告書 | 回答校の児童生徒全体と発達障害のある児童生徒等の不登校率 | 全国の小・中学校等432校(回答率27.5%) |
| 人間力認定協会「子どもの二次障害に関するエピソード」アンケート | 発達の特性があるお子さんの二次障害の内容、原因、「こうしておけばよかった」と感じていること | 受講者の保護者等/2023年1月〜2026年1月 |
| 人間力認定協会「認定支援士インタビュー」 | 受講のきっかけ、学んだ後の変化 | 認定支援士/2022年7月〜2026年5月 |
