燃え尽き症候群の12段階|診断基準ではなく段階のモデルです

「燃え尽き症候群には12段階がある」という話を目にして、自分がどのあたりにいるのかを確かめたくなった。そんな入口でこのページにたどり着いた方が多いと思います。

先に答えをお伝えします。12段階は診断基準ではありません。心理学者のハーバート・フロイデンベルガーとゲイル・ノースが、燃え尽きに向かう過程を12に分けて説明したモデルで、WHOの分類にも日本の公的な資料にも、この段階は置かれていません。

それでも知っておく意味はあります。この12段階は最初のほうに「がんばりすぎ」が並んでいることが特徴で、まだ体調が崩れていない段階から変化が始まっていることを教えてくれます。

たとえば、

  • 12段階を作ったのは誰で、どんな性質のものか
  • 12の段階の中身
  • WHOが示す3つの側面との重なり
  • 段階を知って、どう使えばよいか

といった内容です。

この記事では、12段階を引用している学術誌の論文と、WHOの発表をもとに整理していきます。自分がどの段階かを判定する記事ではありません。

>燃え尽き症候群チェックリスト|厚労省27項目とバーンアウト症状の見方

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12段階は診断基準ではなく段階のモデルです

12段階を示したのは、心理学者のハーバート・フロイデンベルガーとゲイル・ノースです。フロイデンベルガーは1970年代に「バーンアウト(燃え尽き)」という言葉を広めた人物として知られ、ノースとの共著(1992年・ドイツ語の書籍)の中で、燃え尽きに向かう過程を12の段階に分けて説明しました。

この区分は、学術誌の論文でも紹介されています。たとえば精神医学の学術誌に掲載された論文(Riethof & Bob, Frontiers in Psychiatry, 2019)では、2人が燃え尽き症候群の進み方を12の段階に分けたとして、一覧が示されています。

ただし、ここまでが「モデル」であって「診断基準」ではないという点は、はっきりさせておく必要があります。WHOが国際疾病分類ICD-11で示しているのは3つの側面(消耗感・仕事からの心理的な距離・効力感の低下)であって、12の段階ではありません。厚生労働省の資料でも、バーンアウトという言葉は使われていますが、12段階という区分は見当たりませんでした(2026年9月18日に確認)。

モデルという言い方をするのは、多くの人を調べて統計で確かめた区分ではないからです。臨床の現場で見てきた過程を整理したもので、段階の数え方が別の研究者で違うこともあります。役に立つのは、順位づけではなく「こういう順で変わっていくことがある」という見取り図としてです。

つまり、「第◯段階だからこうなる」と決まっているわけではないということです。段階の名前を自分に当てはめて順位づけするより、どんな変化が並んでいるかを眺める使い方のほうが、この区分には合っています。

12の段階には何が並んでいるか

12の段階には何が並んでいるか

論文に示されている12段階を、順に挙げます(英語の名称は論文の表記、日本語は当協会による訳です)。

  1. 自分の力を証明したいという衝動(The Compulsion to Prove Oneself)
  2. もっと働く(Working Harder)
  3. 自分の必要を後回しにする(Neglecting Needs)
  4. 葛藤の置き換え(Displacement of Conflicts)=問題の本当の原因から目をそらす
  5. 価値観の組み替え(Revision of Values)=仕事以外のことが二の次になる
  6. 問題の否認(Denial of Emerging Problems)
  7. 引きこもり(Withdrawal)=人との関わりを避ける
  8. 行動の変化(Odd Behavioral Changes)=周りから見て様子が変わる
  9. 脱人格化(Depersonalization)=自分や他人を物のように感じる
  10. 内面の空虚(Inner Emptiness)
  11. 抑うつ(Depression)
  12. 燃え尽き(Burnout)

並びを見て気づくのは、前半の4つが「がんばっている人の姿」だということです。自分の力を示したくて、もっと働いて、自分の必要を後回しにする。この時点では、周りから見ると評価される働き方かもしれません。

後半に進むにつれて、人との関わりが減り、感じ方が鈍くなり、最後に燃え尽きが置かれています。変化の始まりは、体調が崩れたときではなく、もっと前にあるという見方がここに表れています。

なお、12段階に何日・何か月かかるか、必ず12すべてを通るのかまでは示されていません。段階の数を数えて自分の状態を決めるものではないと考えてください。

WHOの3つの側面と重なるところ

WHOは燃え尽き症候群を、次の3つの側面で説明しています。12段階の後半と重なるところがあります。

  • エネルギーが枯渇したような消耗感 → 12段階の「内面の空虚」「燃え尽き」に近い
  • 仕事からの心理的な距離の増大(否定的・冷笑的になる) → 「引きこもり」「脱人格化」に近い
  • 仕事での効力感の低下 → 「抑うつ」の前後で語られることが多い

違うのは、WHOの3つは「いまの状態」を説明するもので、12段階は「そこに至るまでの流れ」を説明するものだという点です。どちらかが正しいというより、見ている時間の幅が違います。

もう一つ、WHOは燃え尽きを仕事の文脈に限って使うとしています。12段階の前半にある「もっと働く」「自分の必要を後回しにする」も、仕事の場面を想定した書き方です。家事や介護での消耗を軽く見るという意味ではありませんが、この区分は職場の話として読むのが自然です。

>燃え尽き症候群とは|WHOは病気ではなく仕事の現象としています

前半の段階は評価されている時期と重なります

前半の段階は評価されている時期と重なります

12段階のうち、本人がいちばん気づきにくいのは前半です。仕事に打ち込んでいて、成果も出ていて、周りからは「よくやっている」と見られていることが多いからです。

たとえば、担当が増えても断らない。人が減っても自分が巻き取る。休みの日にも連絡を確認する。どれも仕事の場面では評価されやすい行動で、本人も問題だと思っていません。12段階では、この時期に「自分の必要を後回しにする」が起きているとされています。

もう一つ、前半でよく起きるのが「4 葛藤の置き換え」です。仕事の量や役割に無理があるのに、その部分には触れず、体調の悪さや家族との関係など別のところに原因を置いてしまうことを指します。「自分の体力が落ちただけ」「家で休めていないからだ」と考えているうちは、職場の条件はそのまま残ります。ここに気づけるかどうかが、前半と中盤の分かれ目になります。

見分ける手がかりになるのは、やめたときにどうなるかです。少し力を抜いても問題が起きないなら、まだ余裕があります。「自分が抜けたら回らない」と感じて休めないなら、仕事の配分そのものを見直す段階に入っているのかもしれません。

ここで大事なのは、順位づけではなく気づいた時点でできることを1つ選ぶことです。仕事の量や役割は、自分の工夫だけで変えられないことが多くあります。職場の窓口や職場の外の相談窓口に、条件の話として持っていってかまいません。

段階の名前を覚える必要はありません。役に立つのは、「前はしていたのに、しなくなったこと」を1つ思い出すという見方です。昼休みに外に出ていたのに行かなくなった。同僚と雑談していたのに減った。帰ってから本を読んでいたのに開かなくなった。12段階が並べているのは、そうした小さな引き算の積み重ねです。

>仕事のストレスで辞められない…人間関係がつらい時の相談先と心を守る方法

中盤から後半で変わるのは人との距離です

中盤から後半の段階に並ぶのは、人との関わり方の変化です。5番目の「価値観の組み替え」では、仕事以外のことが二の次になります。友人と会う予定を断る、趣味をやめる、家族との時間が減る。本人は「今は忙しいから」と考えていることが多い時期です。

7番目の「引きこもり」と9番目の「脱人格化」は、周りから誤解されやすいところです。人と会うのを避けたり、相手を個人としてではなく作業の相手のように感じたりする変化で、外からは「冷たくなった」「やる気がない」と見えます。WHOの説明でも、仕事から心理的な距離を置く変化は3つの側面の1つに挙げられていて、性格の問題としては説明されていません。

10番目以降の「内面の空虚」「抑うつ」「燃え尽き」は、医療機関に相談する段階にあたります。眠れない、気分の落ち込みが続く、朝起き上がれないといった状態が出ているなら、段階を数えるより先に受診してください。燃え尽き症候群という診断名はつきませんが、いま出ている症状は診療の対象です。

>燃え尽き症候群は診断されるのか|病名がつくのは別の状態です

変化に気づいた場面の声を紹介します

当協会のアンケートに寄せられた声を紹介します。燃え尽き症候群について尋ねた調査ではありません。職場の同僚との関係に消耗した方が、相手の様子の変化に気づいた場面を書いた回答です。

気持ちの浮き沈みが激しくて、甲高い声で話してみたり、低い声での話し方がある。
担当保育者に対しての接し方が気になった事。

書かれているのは、診断名でも点数でもなく、声の調子と人への接し方が前と違うという具体的な変化です。12段階の「行動の変化」に近い見え方で、自分の変化に気づくときも、同じように小さな違いから始まります。

部下や同僚に当てはめたくなったとき

この並びを知ると、周りの人がいま何段階目かを当てはめたくなります。けれど12段階は診断基準ではなく、順番どおりに進むと決まっているものでもありません。人に当てはめて段階を決めることは、この記事のいちばん避けたい使い方です。

上司や同僚として見るのなら、段階の番号ではなく、その人の以前と比べてどこが違うかのほうが手がかりになります。返事が短くなった。人と話す場面を避けるようになった。ミスの種類が前と変わった。他の人と比べるのではなく、同じ人の前後で比べます。

気になったときにできるのは、評価を伝えることではなく、仕事の量と役割と人員という条件のほうを見直せるかを確かめることです。燃え尽きの原因は続いた職場のストレスにあるとされているので、声かけだけでは条件は変わりません。

本人が話せる相手は職場の中だけとは限りません。産業医や社内の相談窓口のほか、働く人向けの電話・SNS相談もあります。行き先を1つに絞らず、選べる形で伝えておくほうが届きやすくなります。

>部下のメンタル不調のサイン|他人と比べず、その人の普段と比べる

メンタルヘルス支援士について

ここまで、燃え尽き症候群の12段階が診断基準ではないこと、12の段階の中身、WHOの3つの側面との重なり、前半の段階で起きていることをご紹介してきました。

こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や職場の同僚、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。

資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

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Q&A|燃え尽き症候群の12段階に関するよくある質問

Q1:燃え尽き症候群の12段階とは何ですか?

心理学者のハーバート・フロイデンベルガーとゲイル・ノースが、燃え尽きに向かう過程を12に分けて説明したモデルです。学術誌の論文でも紹介されていますが、WHOの分類や日本の公的資料には置かれていない点に注意してください。

Q2:12段階は診断基準ですか?

診断基準ではありません。WHOがICD-11で示しているのは消耗感・仕事からの心理的な距離・効力感の低下という3つの側面で、段階ではありません。段階の数を数えて自分の状態を決めるものではありません。

Q3:12段階は順番どおりに進みますか?

どの段階に何日いるか、必ず12すべてを通るのかまでは示されていません。順番や期間を当てはめるより、どんな変化が並んでいるかを眺める使い方のほうが合っています。

Q4:初期症状はどれにあたりますか?

12段階では、前半に「自分の力を証明したいという衝動」「もっと働く」「自分の必要を後回しにする」が並びます。体調が崩れる前の、仕事に打ち込んでいる時期にあたるため、本人も周りも気づきにくいところです。

Q5:自分が何段階目か知るにはどうすればいいですか?

段階を特定する方法は示されていません。気になるときは、厚生労働省の疲労蓄積度の項目などで今の状態を確かめ、不調が続いているなら医療機関に相談してください。呼び名や段階よりも、続いている状態のほうが手がかりになります。

まとめ|12段階は自分を測る物差しではなく変化の並びを見る地図

  • 12段階はフロイデンベルガーとノースが示したモデルで、診断基準ではありません
  • WHOの分類にも日本の公的資料にも、この段階は置かれていません
  • 前半に並ぶのは「もっと働く」「自分の必要を後回しにする」という、評価されやすい行動です
  • WHOの3つの側面はいまの状態、12段階はそこに至る流れを説明しています
  • 段階を数えるより、気づいた時点でできることを1つ選ぶほうが役に立ちます

本記事で紹介している情報について

項目内容
12段階の一覧と出典Riethof N, Bob P.「Burnout Syndrome and Logotherapy」Frontiers in Psychiatry 10:382(2019年)。原典は Freudenberger H, North G.『Burn-out bei Frauen』Krüger Verlag(1992年・ドイツ語)
日本語訳英語名称をもとに当協会が訳しました
WHOの位置づけ・3つの側面World Health Organization「Burn-out an occupational phenomenon: International Classification of Diseases」(2019年5月28日)
公的資料の確認厚生労働省のサイト内で「燃え尽き」「バーンアウト」と段階の記載を探し、12段階の区分は見当たらないことを確認(2026年9月18日)
紹介した声当協会「カサンドラ症候群に関するエピソード調査」(対象は児童発達支援士の受講者/有効回答36件/2022年11月〜2026年8月)
確認日2026年9月18日

【注意事項】

この記事は、学術誌に掲載された論文とWHOの発表をもとにまとめたものです。12段階は診断基準ではなく、自分がどの段階かを判定するためのものでもありません。診断・治療を目的とした記事ではありません。心身の不調が続いている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、医療機関や相談窓口にご相談ください。ご自身や周囲の安全に関わる状況では、ためらわず専門の窓口にご連絡ください。

参考・相談先

燃え尽き症候群が気になる方へ|メンタルヘルス支援士