【受講者インタビュー】幼稚園と療育施設の板挟みで葛藤した発達障がい児支援

今回は、児童発達支援士を受講された方にインタビューをした内容をご紹介させていただきます。現在支援に携わっている方のお役に立つエピソードがご紹介されておりますので、是非ご覧ください。
ご協力いただいたSさん、この場を借りて御礼申し上げます。

受講者インタビューの目的

この受講者インタビューの目的は「他者の体験談や経験を目にすることで、自身の支援に活かすこと」を目的としています。発達障がい児支援に関しては、明確な正解というものがありません。子どもの特性や個性によっても異なるため、唯一無二の正解は出せないのが現状です。

しかし、他者の経験談から学べることは沢山あります。立場が多少違えど、自分の場合だったら・・・と置き換えて考えることで、未然に防げることが何か一つでもあるとするならば、その経験談は個人の中でおさめるのではなく、こうやって多数の人の目に触れる場所で共有するべきだろうと考え、この受講者インタビューを行っております。まだ始まったばかりの取り組みではございますが、今後は定期的にご紹介していく予定です。1年、2年とたった時には数十のインタビューをご紹介出来ていると思いますので、きっと発達障がい児支援をする際にお役に立てるものになっていると信じています。

30代 女性 Sさんへインタビュー

児童発達支援士を受講したきっかけは?

受講のきっかけは、当時年中の息子に心配があった為でした。

子どもが年中(4歳2カ月早生まれ)に上がるタイミングで転勤をきっかけに引っ越しをしました。新しい幼稚園に途中入園してから二カ月目経つ頃、先生との面談がありました。息子は積極的で友達もすぐ作っており、幼稚園が楽しいと毎日言っていたので、面談への不安はなかったのですが、先生からお話があったのは、息子は集団での指示が通らない、衝動的に行動することがある、お母さんが心配なら病院でも診断してもらえますよ、ということでした。この時、初めて“発達障害”という言葉が頭をよぎり家に帰って調べたのを覚えています。普段の息子の姿からは想像がつかず、その時は青天の霹靂でした。でも日々指導してくれている先生を困らせてしまっているなら、先生の言う通りにしてみようと思い先生の薦め通り療育に通うことになりました。

それから月1回の療育が始まったのですが、その頃から幼稚園の先生から息子に気になる行動があると毎日報告の電話が入りました。衝動的な動きが多い、支度が遅い、マイペースで周りとやることが一周遅い、本人も成長しているが周りも成長しているから差が縮まらない、発表会の練習でもきょろきょろしてしまう、男子同士の激しい戦いごっこで加減がわかっていない、など先生もどう指導すればうまくいくのか困っているようでした。女の子が8割のクラスだったので余計目立っていたのかもしれません。

息子の様子が更に悪くなっていったのは、苦手な音楽発表会の準備に入った時でした。集中が長く続かない、周りと揃えることに意識がいかないまたは興味がないようで、そこを先生から毎日怒られて帰ってきました。友達大好き、幼稚園大好きな息子の口から「幼稚園行きたくない」という言葉が出始め、だんだん元気がなくなっていきました。

実はこの頃から療育の先生と幼稚園の先生との対応に差を感じていました。療育の先生からは、周りと比べず息子ができること、できるようになったことを褒めてあげて、怒られたことをわざわざ聞かないでください、と言われていました。しかし幼稚園からは、ほぼ毎日報告の電話と「お母さんから言ってもらったほうが聞くと思うのでお願いします」と言われていたので、本人に聞きたい、注意して改善してあげたいという気持ちもあり板挟みでした。何が息子にとってうまくいくのか分からなくなっていました。

「このまま私が不満や不安を抱えていると子どもが一番困る」

と危機感を覚え、本気で発達障害、グレーゾーン、療育についていちから勉強を始めました。その過程で、より総体的に発達障害について知ることができ、知識を深められる資格はないかと探していたところ、出会ったのが人間力認定協会の児童発達支援士の資格でした。

支援をしていて最も辛かったことは何ですか?

私の場合、息子の集団生活以外で辛かったと感じることはあまりありませんでした。逆に言えば、私がその場にいられない集団生活時に困難が生じているので、初めは先生からの状況説明だけで受け止めなくてはならず、いわゆる言われっぱなし状態で、息子の行動理由も、原因もそのあとの様子も全く分からないまま報告を受けるだけで、息子への適切な指導が何か分からない日々がもどかしく辛かったです。

療育に通い始め、私の知識も増えてきた頃ようやく、幼稚園の先生にも私にも“発達凸凹”が強い子どもへの接し方の知識が全くなかったのだということに気づきました。

普段集団の中で指導していると当たり前かもしれませんが、周りよりできること、周りよりできないこと、が目立ちます。発達凸凹の子は苦手なことが多いのでできないことが目立つのですが、実はその分できないことを補うために見た目ではわからない努力をしているのです。しかし褒められることが少ないとダメな所ばかり顕著になりどんどん自信をなくし、できることが何もないような気がしてしまうのです。

特に集団という特殊な環境は、家の中など一対一で丁寧に指導してもらっている状態とは異なります。そこで私は、療育での訓練の様子や療育の先生の対応後に見られた息子の変化、私自身が勉強して培った知識から分かってきたことと息子の特性を踏まえて、幼稚園の先生と共有すべく息子の取扱説明書を作ることにしました。その情報をもとに先生と話し合いをすることにしたのです。

資格取得後、何か変化はありましたか?

発達について理解することで、私自身の視野が広がったと感じます。そしてその知識や療育の先生との指導過程を幼稚園の先生と共有することで息子をとりまく環境は確実に変化しました。

発達凸凹の子は他の子よりできないことも多く、我が家の長男もそうでした。でも年長のクラスの担任の先生は、その時に周りが自然とその子を助ける流れを作れるように普段から失敗した子やうまく切り替えられない子への率先した声がけ、見守りをしつつ、仲間同士補い合い助け合う姿勢が見られた時には、みんなを褒めてくれていました。その優しい空気がとてもありがたかったです。今でも年長の先生と密なコミュニケーションはとっていますが、一方的なものではく、先生の方で指導の仕方を試行錯誤して頂けています。

年中の最後に作成した息子の個性と望ましい指導をまとめた(取り扱い説明書)は、年長の先生にも引き継がれ、私が児童発達支援士を受講して得た知識と療育の先生からの情報をまとめて共有できたことで、息子に対してだけでなくひとりひとりの個性に対する理解の輪が少し広がったようにも感じました。

学んだ内容で特に印象に残っていることは?

ウィリアム・ジェイムズの

「心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる」

という言葉に、習慣の重要性だけでなく、同時に子どもの運命を変えるのは、子どもを取り巻く大人の見方や行動ではないか、と感じました。

そしてもう一つ、習慣化ネットワークの「60秒」と「200回」という脳科学的キーワードも子育てをする上で指針となり印象に残っています。

支援を行っている方に一言お願いします!

人間力認定協会の資格はまさに「理解への第一歩」です。

困っている人(例えば自分自身、子ども、家族、教え子、患者さんなど)の状況を理解し、様々な支援方法を分かりやすく学べる貴重なチャンスだと思います。また得た知識によって困っている人へ今までとは違った声がけができるかもしれません。その一言が新しい支援の形になり素晴らしいきっかけになるかもしれません。適切な知識を学ぶことで自分自身への自信にも繋がります。ぜひ、その一歩を進んでみてください。

【まとめ】幼稚園と療育施設の板挟みで葛藤した発達障がい児支援

いかがでしたでしょうか?同じような境遇だった方、自分とは境遇は違うが気持ちはよくわかるという方、自分の感じ方とは違うなと思った方、どのような感じ方も間違いではありません。今のあなたが、今のあなたなりに感じたことはとても重要な感情だと思います。ご自分の精神状態を見つめるきっかけにもなるかもしれません。

ご協力いただいたSさんの考え方は、私ども協会の考え方と非常に近いものがあります。それが表現されているのがこの一節。

「子どもの運命を変えるのは、子どもを取り巻く大人の見方や行動ではないか」

素敵な考え方ですね。この考え方であれば、私たちにできることは沢山あります。とても前向きな捉え方であり、支援士の心構えとして私はとても素晴らしいと感じています。この考え方が根底にあるからこそ、今回のインタビューにも快く応じてくださったのだと思っております。ご協力いただき本当にありがとうございました。

当協会では、さらに支援を輪を拡げるために資格認定、意見交換会、医師との打ち合わせ、Twitter、Instagram、Youtube、当ブログ運営など多岐にわたり活動をしております。共に支援の輪を拡げていきましょう!!

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