3月5日に開催された意見交換会の実施報告をさせて頂きます。今回もとても有意義な時間となりました。皆様ありがとうございました。ここで紹介している内容が皆様のお役に立てば幸いです。
意見交換会議事録
ここからは今回の意見交換会の質疑応答時に、実際にお話のあった内容をご紹介していきます。お客様の言葉をほぼそのままの表現で紹介させていただきます。(個人情報保護のため一部表現を変えている箇所がございます)
回答者A様:私は1年生・3年生・4年生・5年生の支援員を行っています。1年生というのは特に保育園から小学校で大きく環境が変わるため、基本的にどのような子でもパニックを起こします。1日の流れなどが分かってきた段階で、対応できない、慣れるのが遅い子が明確になってきて、そういった子にどのような支援をしようかという話し合いになります。先生に言っていただけると助かることは、何か子どもが困っていたら相談してくださいと言っていただけると教員の立場として助かります。中には診断を受けていない子や、発達障害についてあまり受け入れができていない親御さんもいらっしゃるので、学校側からお子さんの様子が・・・と話をするのが重くなってしまうことがあります。でも、保護者の方が何かあったら言ってください!と言っていただけると、私達はお子さんがこういう事で困っているのですが、どういう風に対応していったらいいですか?とこちらから聞けることで一緒に支援の方向を見つけていくことができるのではないかと思っています。1年生になってみないと本人がどういった事に困るのかが分からないと思うので、特に今は準備はいらないのではないかなと思います。
また、今年入る子でちょっとパニックの症状がある子が小学校入学前に学校探検ということで学校に遊びに来て、私がマップを作ってここは1年生の教室、2年生の教室、トイレはこっちを使いますといった説明をしました。子どもは来た時は不安がっていましたが、終わってみると嬉しそうにマップを見て、ありがとうございましたと言ってもらえたので、学校を一緒に回ってみるというのもパニックを起こさない1つの方法だと思います。
回答者B様:お子さんが1年生になられるということでおめでとうございます。私は普段支援級ではなく通常級のほうで支援にあたっています。1年生に入るというのは、障害を持っていない定型のお子さんでもかなり緊張をして慣れない環境に入ってこられます。入学の際に先生に伝えておく事というのは、お母さまがこの子はこうすると少し落ち着く、ご家庭の中でいつもお子さんとやり取りされている小さい事でもいいので、お子さんが安心するような物でもいいですし、言葉がけでもいいですので、そういったとっかかりとしてお伝えしていただけるとありがたいです。その後に担任の先生なんかと密にやり取りができるような関係が作れると良いなと思います。連絡ノートやお電話でも何でもよいので、そういったことを担任の先生に言ってくださると支援員へ話が伝わり普段の支援に役立てる形になります。
そしてそういったやり取りの中で、だんだん支援員とお子さんに信頼関係がうまれていけば、より良い支援につながっていくと思いますので、そういうやりとりをしていただけるとありがたいかなと思います。
回答者B様:私は○○県で特別支援学校の中学部の担任をしています。タイムリーな話がありまして、少し個人情報の話もありまして詳しくは言えないのですが、ある自閉症スペクトラムの診断を受けている子が居て、その子も国語数学の時間に計算プリントをやっていて、それが時間内に終わらないとパニックになって近くにある自分の水筒やランドセルを投げてしまう、また、他者に爪を立ててひっかくといった行為をする子がいました。お母さんとお話をして、パニックになってもその子が安心して、クールダウンできるような個室みたいなものを用意して、その個室には危険なものをあらかじめ排除して物を投げたとしても大丈夫な空間を用意して、お母さんに先にすみません今日はあえて荒れさせます、と断って荒れさせて水筒などを投げる前に私と一緒にクールダウンする部屋に行ってしばらく1人にさせました。しばらく泣いたり騒いだりしますが、落ち着くまで待って本人が私の所まできて先生すみませんでした、といった言葉を聞いたら教室に戻って終わらなかった国語数学のプリントをもう1度やり直すということを繰り返しました。これを繰り返していたら、段々と時間内に終わらなくても自分の中で許せるようになってきて、時間内に終わらなくても仕方がないかとなり、そこで次の活動に移ることができるようになったという中学部の子が居ます。私は特別支援学校というのは騒いだりしても、他の人に迷惑がかからなければいい空間なのかなと思っているので、あえて暴れさせてもいい空間を作って、その経験を乗り越えて次の課題を用意してあげるのも必要なのかなと思います。ただ油断すると怪我などに繋がるので、そういった点は注意が必要です。
回答者C様:私も一緒に過ごしている生徒の中にじゃんけん等でも負けるとパニックを起こす子がいまして、そういった子にはじゃんけんする前に負けたら悔しい顔をしてください!と言葉がけをします。そうすると、じゃんけんで負けた時にどうしたらいいかが本人が分かるので、今までは負けると泣いてどこかへ行ってしまっていたのが、じゃんけんで負けた時に悔しい!といった顔をしてもう1回じゃんけんをしよう!といった気持ちの切り替えができるようになりました。
また、同じように物を投げてしまう子もいるのですが、私はあえて投げても良い物を与えます。少し広い所へいって、風船など当たっても害が無いものを渡していっぱい投げよう!と言って一緒に投げています(笑)。一緒にやってくれたという思いから生徒はこういうことで気持ちがおかしくなっちゃったんだと教えてくれます。そういった時にどうしようかと、一緒にメモをして、こういうことで困った時はこうするとメモを残しておきます。同じような場面になった時に本人にそのメモを見せます。自閉症の子もそうなのですが、言葉で伝えるより絵など目で見ることで情報が入りやすいため、投げて良い物一覧を絵で作ってあります。風船やクッションなどが描いてあり、どれにする?と聞き子どもが選び、一緒に広い所へ行って対応をするとしています。もしよかったらお家の大丈夫な所で安全な物を投げて発散させてあげてほしいなと思います。
【まとめ】第八回 児童発達支援士 意見交換会の実施報告
今回も皆様から、具体的な相談やご回答を沢山いただくことが出来ました。ここで紹介されていることは、支援を行う上で本当に大きな財産になると思います。どの事例が我が子に当てはまり、良い結果を導くかはわかりません。しかし「ちょっと試してみよう」と思い、試行錯誤の一助にして頂ければよいのではないでしょうか。明確な答えが欲しくなると思いますが、対人関係において明確な答えは見つかりません。常に模索して、最善を導いていく姿勢。それこそが支援者に求められる姿勢だと考えています。
今回ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。