特別支援教育を受ける子は増加!発達障害・自閉症・ADHD・LD最新統計

今回は令和4年に文部科学省が発表した「特別支援教育の充実について」という統計をご紹介いたします。平成24年からの情報アップデートということで、近年の動向をcheckすることができます。是非ご覧ください。

情報元の紹介

まず今回の情報元は、「文部科学省初等中等教育局特別支援教育課」が公表した「特別支援教育の充実について」という統計になります。下記より元データの確認ができますので、興味のある方は是非ご覧ください。

外部リンク:https://www.mhlw.go.jp/content/001076370.pdf

ただ情報元では様々な統計が発表されており、見たい情報がわかりにくいケースも有るかと思います。そのため本記事にて、発達障害・自閉スペクトラム症・ADHD・LDの特性を持つ子やその支援を行う方に有益になるだろう統計をまとめて紹介をさせて頂きます。サクッと確認したい方は、本記事をこのまま読み進めてくださいね。

特別支援学校などの児童生徒の増加状況

まずは特別支援学校などの児童生徒の増加状況について紹介します。今回の統計データは令和2年度のもの。前回の統計データは平成24年度ということでおよそ10年間の差があることがわかります。そのため、10年間でどれだけの変化があったのか?という点に着目しながらデータを見ていきましょう。

  • 義務教育段階の全児童生徒数(平成24年度):1,040万人
  • 義務教育段階の全児童生徒数(令和2年度):952万人

まず10年間で児童数が約1割減少していることがわかります。テレビでも少子化ということを取り上げていますが、10年で1割の減少という事実には驚きを感じます。では、次に「特別支援教育を受けている児童生徒数」の比較を見ていきましょう。

  • 特別支援教育を受ける児童生徒数(平成24年度):30.2万人
  • 特別支援教育を受ける児童生徒数(令和2年度):59.9万人

おおよそ2倍の児童が特別支援教育を受けていることがわかりました。児童数は減少しているのに、特別支援教育を受ける児童は増えているということから、割合(パーセンテージ)はより高くなっているということになります。平成24年度の時は全児童生徒数の2.9%、令和2年度の時は全児童生徒数の6.3%となります。2倍以上に増えているのです。

特別支援教育の内訳

特別支援教育を受ける児童数がおよそ2倍に増えていることがわかりました。次に、特別支援教育の内訳を確認していきます。

  1. 特別支援学校
  2. 特別支援学級
  3. 通級指導

この3つに分けて、どのような変化があったのか見ていきたいと思います。

特別支援学校

特別支援学校に通学している児童の人数は以下の通り。

  • 特別支援学校(平成24年度):6.6万人
  • 特別支援学校(令和2年度):8.2万人

およそ1.2倍ほどに上昇していること分かります。下記は比較ではありませんが、対象の障害種と人数についても紹介します。

  • 視覚障害:約4,800人
  • 聴覚障害:約7,600人
  • 知的障害:約137,800人
  • 肢体不自由:約30,700人
  • 病弱、身体虚弱:約19,400人

重複障害の場合はダブルカウントしていることから、上記を合計した場合8.2万人ではなく、14.8万人ほどとなります。上記に「発達障害や自閉症」の表記がないのですが、発達障がい児がゼロかと言われるとそうではなく、知的障害など他の障害と併発しているケースがあるようです。逆に発達障害の症状のみで特別支援学校に通っている子はかなり少数なのだと分かるかと思います。

特別支援学級

特別支援学級に通学している児童の人数は以下の通り。

  • 特別支援学級(平成24年度):16.4万人
  • 特別支援学級(令和2年度):35.3万人

およそ2.1倍ほどに上昇していることがわかります。下記は比較ではありませんが、対象の障害種と人数についても紹介します。

  • 知的障害:約156,700人
  • 肢体不自由:約4,500人
  • 病弱・身体虚弱:約4,700人
  • 弱視:約600人
  • 難聴:約1,900人
  • 言語障害:約1,300人
  • 自閉症、情緒障害:約183,600人

ここでは自閉症、情緒障害が最も多くなっています。

通級による指導

通級による指導を受けている児童の人数は以下の通り。

  • 通級による指導(平成24年度):7.2万人
  • 通級による指導(令和2年度):16.3万人

およそ2.3倍ほどに上昇していることがわかります。下記は比較ではありませんが、対象の障害種と人数についても紹介します。

  • 言語障害:約43,600人
  • 自閉症:約32,300人
  • 情緒障害:約21,800人
  • 弱視:約200人
  • 難聴:約2,000人
  • 学習障害:約30,600人
  • 注意欠陥多動性障害:約33,800人
  • 肢体不自由:約200人
  • 病弱・身体虚弱:約100人

ここでは自閉症に加え、学習障害やADHDの児童も通っていることがわかります。

特別支援教育を受けている児童の推移

ここまでで特別支援教育を受けている児童の推移がわかったかと思います。それぞれのポイントをわかりやすく下記に箇条書きでまとめます。あくまでも簡易的にまとめたものなので、言葉足らずな部分はあるかもしれませんが、わかりやすさを重視させていただきます。

  1. 全児童生徒数は1割現状している
  2. 特別支援教育を受けている児童は約2倍になっている
  3. 特別支援学校に通う児童は約1.2倍になっている
  4. 特別支援学級に通う児童は約2.1倍になっている
  5. 通級による指導を受けている児童は約2.3倍になっている
  6. 自閉症児は特別支援学級または通級による指導を受けるケースが多い
  7. ADHD・LD児は通級による指導を受けるケースが多い
  8. 発達障害の特性のみで特別支援学校に通うケースは少ない

関連リンク:【最新統計:2.3%上昇】小中学生の8.8%に発達障害の可能性が

特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況

最後に特別支援学校の高等部を卒業した後の進路状況を見てみましょう。

  • 進学者:399人(1.9%)
  • 教育訓練機関など:337人(1.6%)
  • 就職者など:6,390人(30.2%)
  • 社会福祉施設など入所、通所者:12,943人(61.1%)
  • その他:1,122人(5.2%)

【まとめ】特別支援教育を受ける子は増加!発達障害・自閉症・ADHD・LD最新統計

いかがだったでしょうか。特別支援教育を受ける子は2倍ほどになっていることがわかりました。これは皆様もなんとなく「増えているんではないか」という予想と合致したかもしれません。

増えた理由は何なのでしょう。

発達障害やその他障害に関する認知が広がったからという理由もあるでしょう。保護者や先生が知識を得たことで、選択肢の一つに特別支援教育があがってくる。その結果、子どもも保護者もストレスが軽減され、笑顔が増えているのであれば良いことだと言えます。

私どもも積極的に情報発信をして、認知を拡げていきたいと思います!

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