文部科学省が2026年1月に公表した「特別支援教育資料(令和6年度)」をもとに、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を受ける児童生徒の推移を紹介します。元記事で扱っていた令和2年度の数値を、確認できる最新の公表値へ更新しました。数字が増えたという事実だけで理由を決めつけず、どの学びの場で、どのような変化があったのかを見ていきます。
情報元の紹介
今回の情報元は、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の「特別支援教育資料(令和6年度)」です。特に断りのない限り、令和6年5月1日現在の学校基本統計などが使われています。通級による指導の人数は、最新の通年調査である令和5年度の値です。
資料には多くの統計が掲載されています。本記事では、義務教育段階の全体像と、特別支援学校・特別支援学級・通級による指導の違いが分かる数値を中心に整理します。
特別支援学校などの児童生徒の増加状況
文部科学省の基礎資料では、平成16年度と令和6年度の20年間を比較しています。
- 義務教育段階の全児童生徒数(平成16年度):1,092万人
- 義務教育段階の全児童生徒数(令和6年度):927万人
全児童生徒数は減少しています。一方、特別支援教育を受ける児童生徒数は次のように増えています。
- 特別支援教育を受ける児童生徒数(平成16年度):17.9万人
- 特別支援教育を受ける児童生徒数(令和6年度):68.0万人
全児童生徒に占める割合は1.6%から7.3%へ上昇し、人数は約3.8倍になりました。ただし、この増加だけから発達障害そのものが同じ割合で増えたとは判断できません。制度の整備、支援への理解、学びの場の選択、把握方法の変化など複数の要因を考える必要があります。
特別支援教育の内訳
特別支援教育の主な学びの場は、次の3つです。
- 特別支援学校
- 特別支援学級
- 通級による指導
同じ「特別支援教育」でも、在籍する学級や指導を受ける形は異なります。ここからは20年間の推移と、障害種別の最新値を確認します。
特別支援学校
義務教育段階で特別支援学校に在籍する児童生徒数は、次の通りです。
- 特別支援学校(平成16年度):5.3万人
- 特別支援学校(令和6年度):8.7万人
20年間で約1.6倍です。令和6年度の特別支援学校全体では、障害種別の在籍者数は知的障害81,557人、肢体不自由20,814人、病弱12,888人、聴覚障害4,408人、視覚障害2,484人でした。
特別支援学校は複数の障害種に対応でき、複数の障害がある人はそれぞれの障害種に計上されます。そのため、障害種別の合計と実際の在籍者総数は一致しません。また、発達障害の診断名だけで学びの場が決まるものではなく、一人ひとりの教育的ニーズや必要な支援を踏まえて検討されます。
特別支援学級
小中学校等の特別支援学級に在籍する児童生徒数は、次の通りです。
- 特別支援学級(平成16年度):9.1万人
- 特別支援学級(令和6年度):39.5万人
20年間で約4.3倍です。令和6年度の障害種別では、知的障害172,519人、自閉症・情緒障害210,707人、肢体不自由4,189人、病弱・身体虚弱3,978人、難聴1,777人、言語障害1,062人、弱視553人でした。
なかでも自閉症・情緒障害の学級に在籍する児童生徒数が多くなっています。ただし、数字だけで本人に適した学びの場を判断することはできません。学校の体制や具体的な支援内容も確認する必要があります。
通級による指導
通常の学級に在籍しながら通級による指導を受ける児童生徒数は、次の通りです。
- 通級による指導(平成16年度):3.6万人
- 通級による指導(令和5年度):20.1万人
比較可能な最新値では約5.6倍です。令和5年度の障害種別では、言語障害47,069人、自閉症41,171人、情緒障害28,274人、学習障害40,396人、注意欠陥多動性障害44,107人などとなっています。
通級は通常の学級での学習を基本とし、一部の時間に障害に応じた特別な指導を受ける仕組みです。実施形態や利用方法は自治体・学校で異なるため、希望する場合は在籍校や教育委員会へ確認してください。
特別支援教育を受けている児童の推移
ここまでの要点をまとめます。
- 義務教育段階の全児童生徒数は、平成16年度の1,092万人から令和6年度の927万人へ減少
- 特別支援教育を受ける児童生徒は、17.9万人から68.0万人へ約3.8倍
- 特別支援学校は約1.6倍
- 特別支援学級は約4.3倍
- 通級による指導は約5.6倍
- 特別支援学級では自閉症・情緒障害、通級では自閉症・学習障害・注意欠陥多動性障害などの人数が増加

過去の一点と比べるだけでなく年次推移を見ると、特別支援学級と通級による指導の利用が継続的に増えてきたことが分かります。一方、制度ごとに対象範囲や調査時点が異なるため、系列間の人数をそのまま比較することはできません。
関連リンク:【最新統計:2.3%上昇】小中学生の8.8%に発達障害の可能性が
人数の増加は、支援につながる児童生徒が増えたことを示します。一方で、必要な支援の内容、本人の希望、学校の体制はそれぞれ異なります。割合の大小だけで学びの場の良し悪しを決めないことが大切です。
特別支援学校高等部(本科)卒業後の状況
令和6年3月に特別支援学校高等部本科を卒業した20,641人の進路は、次の通りです。
- 進学者:375人(1.8%)
- 教育訓練機関等入学者:264人(1.3%)
- 就職者等:6,090人(29.5%)
- 社会福祉施設等入所・通所者:12,809人(62.1%)
- その他:1,078人(5.2%)
これは全国集計であり、障害種別や本人の希望、地域の選択肢によって進路は異なります。「特別支援学校に進むと将来が一つに決まる」という意味ではありません。
【まとめ】特別支援教育を受ける子どもは増加
義務教育段階で特別支援教育を受ける児童生徒は、平成16年度から令和6年度までの20年間で約3.8倍となり、全児童生徒の7.3%を占めています。特に、特別支援学級と通級による指導の利用が増えています。
ただし、統計は増加の理由や、一人ひとりに適した学びの場を直接示すものではありません。診断名だけではなく、本人がどの場面で困り、どのような配慮や指導があれば学びやすいかを具体的に確認することが必要です。学校見学や就学相談も活用し、本人・保護者・学校で情報を共有しながら検討しましょう。
当協会も、発達特性の理解と具体的な支援方法を学ぶ機会を通じて、必要な支援につながりやすい環境づくりに取り組んでまいります。
情報確認日:2026年10月13日。出典:文部科学省「特別支援教育資料(令和6年度)」。

