今回は発達障がい児支援の基本的な考え方について私ども一般社団法人 人間力認定協会が考えていることをお伝えしていきます。この考えだけが絶対に正しいわけではないでしょう。しかし様々な経験を経てきて、現段階ではこうするべきではないかという考えとなります。当協会の理念が色濃く出る記事となりますので是非ご覧ください。
発達障がい児の支援とは?
一般的に支援を行うと言った場合には、療育方法を覚えて、それを発達障がい児に実践するという事が支援というイメージではないでしょうか?私どももこの考えを否定するつもりはありませんし、支援のひとつの形としては正しいのではないかと思います。
しかしこれだけを支援と捉えてしまうとある問題が発生します。
それは「圧倒的に支援できる人数が少ない」という事です。人数が少ないことをマイノリティと言いますが、マイノリティ=差別やいじめに繋がりやすいという現状があります。このことは血液型を例にとると分かりやすいかもしれません。血液型からなんとなくこういう性格だよねという話は皆さんも仲間内でされたことがあると思いますが、多くの場合は「A型とO型」が比較的よく言われ、「B型とAB型」はちょっと・・難ありというような表現になるのではないでしょうか?でもその根拠ってありませんよね。血液型から見る性格というのはあくまでも傾向であり、●型の人は○○だなんて決まっているわけではありません。しかし、日本人のイメージとしてはこのように捉えられているわけです。
その点を踏まえたうえで日本人の血液型の割合を見てみましょう。結果は下記の通りです。
- A型40%
- O型30%
- B型20%
- AB型10%
お分かりいただけましたでしょうか?先ほど一般的にイメージが良いとされていた「A型」と「O型」が多く、イメージがあまりよくないとされている「B型」と「AB型」が少ないのです。これがマイノリティが生み出す差別やいじめの基本的な概念なのです。
このような例をあげればきりがありません。LBGTの問題、障がい者の問題、日本における移民や外国人に対する偏見問題など。結局は多数派が少数派を制圧し、少数派を差別するという構図なのです。
冒頭で一般的な支援では「圧倒的に支援できる人数が少ない」と言いましたが、発達障がい児というのは子どもの中でも10%未満となるため少数派確定です。少数派となっている以上、差別やいじめの対象になりやすいという傾向がどうしても強いのです。そこで私たちの合言葉である「理解は支援の第一歩」が重要になるわけです。今回の記事の答えにもなりますが「理解」こそが「支援」そのものなのです。
これをいうと「え?それだけ?」と拍子抜けされるかもしれませんが、これだけなのです。発達障害の人を90%に増やすという事は基本的には出来ないでしょう。もし万が一そうなった場合は、今度は発達障害の人が「普通の人」となり、発達障害ではない人が「障がい者」と言われることになるので、少数派を差別するという点は解消されません。しかし、発達障害のことを理解している人が50%を越えたところから世界は変わり始めると思うのです。「そういう人もいるよね」「でもこういう特徴があって凄いよね」「別に関係ないんじゃない?」という具合に、肯定的な言葉が並び始めるのです。これは人間が社会性の生き物であることを考えればほぼ間違いありません。
今から数十年前までは「女性が働くなんてありえない」という考えが基本だったでしょう。でも、その時代にも働いていた方は少数いたはずです。この方たちは肩身の狭い思いをしたり、周りから変な目で見られていたでしょう。しかし、時代が変わり現代では共働きの方が多数派になっています。そしてそうなった今、女性が働くことで差別やいじめは基本的には発生していませんよね。もちろん男尊女卑など様々な問題はまだあるかもしれません。しかし、「女性が働くこと」に対する理解は多くの人がしている時代だと考えます。
私たちが目指す世界もここなのです。発達障がい児に対する理解が広まっていけば、女性が気持ちよく働ける時代になったように、発達障がい児も学校や会社で「普通」に扱われ、定型発達の方と同じような毎日を送ることができることでしょう。
障がい児を変える?自分を変える?
ここまでで基本的な「支援」に対する考え方はご理解いただけたと思います。しかし中には「子どもを変えないと他の子に嫌われてしまう」などと不安に感じている方もいらっしゃることでしょう。その不安は大切なあなたの想いです。否定はしません。しかし、私が先ほど伝えた理解が広まった世界ではその点も気にならなくなるはずです。それよりも気を付けて頂きたいのは、この考え方は支援をするうえでちょっと危険な考え方を含んでいるのでその点をお話しします。
「子どもを変えないと他の子に嫌われてしまう」という考えのどこに危険が潜んでいるか分かりますか?ちょっと考えてみてください。
私どもの考えとしては「子どもを変える」という部分に危険を感じます。子どもを変えるという事は「無理な事へのチャレンジ」です。それは何も発達障がい児だからという意味ではなく「他者を変える」という事は基本的に出来ません。このことはあらゆる心理学者が述べている通りですが、私たちが変えることができるのは、自分自身のみです。当然働きかけをして「変わるきっかけ」を与えることはできるでしょう。しかし、その機会を受け取って変わるという決断をするか否かは本人次第です。こちらでは絶対にコントロールできないのです。もしこの考えを持ち続けたまま支援を行うと危険な状況に陥る可能性が高くなります。
何故かというと不可能な事へのチャレンジを子どもにさせるからです。支援をする保護者は子どものためと思ってあの手この手で頑張りますが、子どもは一向に変わらない。変わらないと自分の努力が実らなかったことにいら立ち、子どもを強く叱責する。そのことにたいし自己嫌悪し、落胆する。このようなことが何年も続いたらどうでしょうか?子どもも保護者も精神的に非常につらい状況になっていることが想像できるでしょう。「相手を変える」という不可能なことへ期待してしまうとこのような状況を招きかねません。
前述した通り、支援をする際は、本人を取り巻く環境が変わることが重要です。その第一歩は保護者がよき理解者になる事。そしてクラスメイトや先生がよき理解者になる事。さらに周りの大人が理解者になる事。このようにして環境が変わっていくことで、本人が生きやすくなっていくわけです。
ですから、支援をする際には相手ではなく自分自身の捉え方や接し方を変えることだけに専念しましょう。そのために知識を習得するのです。さらにその知識を周りに共有したり伝播していくことが重要となります。保護者1人が理解していても輪は広がりません。自身の兄弟やママ友などに広めるところから始めていきましょう。
ペイフォワードという素晴らしい映画があるのですが、1人の人間が3人の人間に善い行いをする。善い行いをうけた3人も別の3人に善い行いを施す。このことを徹底していけばあっという間に地球全体に善い行いが広まり平和な世界がやってくるというものです。非常にシンプルな理論ですがその通りです。地球全体に支援の輪を広めようと思った時、1人が1000人に広める必要はないのです。それぞれが3人ずつに広めるだけというとても簡単な事なのです。たったそれだけで支援の輪が広まり、理解が50%を越える。そうすれば発達障がい児への差別やいじめはこの世から消えてなくなることでしょう。
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【まとめ】真の支援とは?発達障がい児に対する差別やいじめを減らすために!
いかがだったでしょうか?今回はちょっと理屈っぽい記事になってしまったかもしれません。そのため読みにくさや理解しずらい点があったかもしれません。でもこの考え方は非常に重要だと考えているので、繰り返しご覧いただき是非理解を深めるようにしてください。きっとその先に明るい未来が待っています。
支援をする時には特別なことをする必要はありません。特別なスキルを身に付ける必要もありません。ある程度の理解をするだけでも十分にそれは支援です。だから私たちの認定する児童発達支援士では「発達障害の知識」と「子どもへのアプローチ法」を半々の割合で紹介しているのです。専門用語や知識を積み重ねたほうが安心感があるかもしれません、でもその多くは役に立たないことが多いのです。お医者さんだけが理解していればよいようなことまで保護者が理解する必要はありません。それよりも子どもへのアプローチ方法やここで紹介したような考え方をマスターすることで、保護者自身も子どもも楽になることでしょう。
正しく効率の良い学びを一緒に追い求めていきましょう。