発達障害のある子の不登校|きっかけで多いのは友人関係

学校に行けなくなったとき、多くの方がまず「何がきっかけだったのか」を探します。当協会には、発達障害のあるお子さんを育てた保護者63人のエピソードがあり、そのうち39人が不登校を挙げていました。

その39人が書いたことを数えると、思っていたのとは違う形が出てきました。お伝えしたいのは、きっかけとして最も多かったのは先生ではなく、友人関係だったということのほうです。

たとえば、この記事では次のことが分かります。

  • 不登校だけで終わった子は、39人のうち5人だったこと
  • きっかけの1位は友人関係で26人(66.7%)、2位が先生で24人(61.5%)だったこと
  • 書かれていた友人関係の多くが、「いじめ」という言葉では説明されていないこと
  • 誰も悪くない場面からも始まっていること
メンタルヘルス支援士 公式サイト

39人のうち、不登校だけで終わった子は5人でした

不登校と同時に挙げられていたもの。不安障害20人が最多

当協会は、発達障害のあるお子さんを育てた保護者に「どのような二次障害があらわれましたか」を複数回答で尋ねています。有効回答63件のうち、不登校を挙げた方が39人でした。

この39人が、不登校と同時に挙げていたものを数えます。

不登校と一緒に挙げられていたもの人数39人のうち
不安障害20人51.3%
引きこもり17人43.6%
対人恐怖15人38.5%
暴言11人28.2%
自傷10人25.6%

出典:一般社団法人 人間力認定協会「子どもの二次障害に関するエピソード調査」(有効回答63件・複数回答)のうち、不登校を挙げた39人。集計は当協会が行いました。10人に満たなかった項目は載せていません。

不登校だけを挙げた方は、39人のうち5人でした。残りの34人は、ほかの状態も一緒に書いています。1人あたりの個数は平均4.49個です。

これが意味するのは、「学校に行けない」は、起きていることの一部分だということです。学校に行けるようになることを目標に置くと、残りの3つや4つが視野から外れます。不安が強い、人が怖い、家から出られない、家族に強く当たる、自分を傷つける——同じ時期に、同じ子の中で起きています。

同時に起きるとは、こういう形です

数字だけでは伝わりにくいので、実際の記述を1つご紹介します。

冬季休暇明けに登校行き渋りが始まりました。当時は学童にも通っていて、時期的に寒いし疲れも見えたのかな?くらいにしか感じていなかったのです。しかし、表情がくもり、布団から出てこなくなり、行きたくないし、行かせないでの一点張り。当時私は、発達障害の知識が低く、甘えん坊の我が子をどうやって学校に行かせようかと必死でした。今思えば、子どもはすでにSOSを出していたんですね。母親の私に対して、爪を立てたり、壁をとにかく蹴っていました。そのうち死にたいという言葉もでるようになり、見知らぬ人が外を歩いているだけでも外を歩けなくなりました。(後略)

8歳の男の子の保護者の記述です。この短い期間のなかに、行き渋り・母親への他害・希死念慮・外に出られないという4つが出てきます。この方は不安障害・強迫性障害・対人恐怖・心身症・不登校・暴力・暴言の7つを挙げていました。

注目していただきたいのは、「時期的に寒いし疲れも見えたのかな?くらいにしか感じていなかった」という一文です。あとから振り返れば分かることも、その最中には見分けがつきません。気づけなかったことを責める必要はないと、この記述は伝えていると考えています。

なお、この方はその後「進級して、担任の先生も変わり、突然、教室に入れるようになりました」と書かれています。順番も期間も、あらかじめ決まってはいません。

⚠ この39人は、発達障害の診断や特性のあるお子さんを育てた保護者に限られます。発達障害のある子ども全体を代表するものではありません。また、医師が判定したものではなく、保護者が「あらわれた」と受け取ったものです。

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きっかけの1位は、先生ではなく友人関係でした

きっかけは友人26人、先生24人、学習19人、家族13人

同じ39人に「二次障害の原因として思い当たる事柄」を複数回答で尋ねています。

思い当たるきっかけ人数39人のうち
学校関係(友人)26人66.7%
学校関係(先生)24人61.5%
学校関係(学習)19人48.7%
家族関係13人33.3%

出典:同じ39人の回答(複数回答)。集計は当協会が行いました。10人に満たなかった項目は載せていません。

63人全体で数えると、先生と友人はどちらも34人で並びます。ところが不登校を挙げた39人に絞ると、友人関係が2人ぶん上に出ます。大きな差ではありませんが、順番が入れ替わることは覚えておく価値があります。

そして、上位3つがすべて学校のなかの出来事です。家族関係を挙げた方は13人(33.3%)で、4位でした。ご自身の関わり方を悔やんでいる方に、まずこの順番をお伝えしたいと思います。

1つだけを挙げた方は、ほとんどいません

もうひとつ、表からは見えないことがあります。39人の多くが、きっかけを2つも3つも挙げているということです。友人関係と先生と学習が同時に書かれている回答は珍しくありません。

ですから「原因はどれか」を1つに決めようとすると、行き止まりになります。複数が重なった結果として起きていると考えるほうが、実際の記述に近いのです。

「いじめ」と書かれていない友人関係のほうが多くありました

友人関係が1位と聞くと、いじめを思い浮かべると思います。実際に書かれていたものを読むと、そうとは限りませんでした。

自分自身の特性をある程度理解しており、友達のなかで浮かないように、無理に相手に合わせようとして、疲弊していた。本人はルールが絶対で臨機応変が難しいので、掃除をサボる子や突然の変更などの学校生活で、自分がわからなくなったと。

11歳の女の子の保護者の記述です。誰かに何かをされたのではなく、合わせ続けたことで消耗しています。「浮かないように」という一文が、この子が毎日していたことの全部です。外から見ると、友達とうまくやっているように見えていたはずです。

同級生の中で、ちょっかいを出してくる友達がいて、本人は嫌なんだけど、相手を悪く言いたくないためにストレスを溜めてしまった。

8歳の男の子の保護者の記述です。「相手を悪く言いたくない」という理由で、本人が黙っています。この状態は、学校に相談しても事実として上がってきません。相手の子にも悪気がない場合があります。

この2つに共通しているのは、本人が困っていると言わないことです。だから、家で急に行けなくなったように見えます。実際には、その前に長い期間があります。

誰も悪くない場面からも始まっています

長男が12歳のときに、軽度知的障がいと自閉スペクトラム症の診断を受けました。中学校から国語と数学は別クラスになり、学年で1人だけの移動だったのでクラスメイトには保健室に行っていると伝えていたようです。そこを隠してほしくなく、堂々としてほしいと私が思ったことから、担任の先生に支援学級に行っていることをみんなに伝えてもらいました。そこからみんなが長男にたいしてどのように接したらいいかわからなくなったようで、それを敏感に察知してしまった長男が学校へ行かなくなって(後略)

12歳以上の男の子の保護者の記述です。隠さないほうがいいという判断も、先生の対応も、クラスメイトの戸惑いも、どれも悪意ではありません。それでも学校に行けなくなっています。

この記述を読むかぎり、防ぐ方法があったとは言いにくいと考えています。悪者を探すやり方では届かない範囲があるということです。「誰のせいか」を確定させることと、いまの子の状態をどうするかは、別の作業として進めたほうが現実的です。

39人は、どんな子たちだったか

年齢と性別も見ておきます。

区分人数39人のうち
11歳以下25人64.1%
12歳以上14人35.9%
男児28人71.8%
女児11人28.2%

出典:同じ39人。年齢は保護者が回答した時点のもので、不登校が始まった年齢ではありません。集計は当協会が行いました。

3人に2人が11歳以下です。中学生の問題として語られがちですが、この記録では小学生のほうが多く出ています。

男女の比は28対11です。ただし、この調査に回答された保護者のお子さん全体でも男児43人・女児20人と偏っているため、この数字から「男の子に多い」とは言えません。回答者の構成をそのまま反映している可能性があります。

不登校のチェックリスト|保護者と先生では、見ている場所が違う

メンタルヘルス支援士について

ここまで、不登校を挙げた39人の保護者が書いたことをご紹介してきました。

こうした理解を深めることと合わせて、ご家族や学校の先生、支援の現場で働く方々の間でも、メンタルヘルスへの理解を深めるための学びが広がっています。

当協会が認定する「メンタルヘルス支援士」は、精神疾患の基礎知識、大人の発達障害、認知行動療法、傾聴を中心としたカウンセリングの基本姿勢などを、体系的に学べる民間資格です。2026年には「日本の資格・検定AWARDS 2026」の総合アクセス数部門で第2位に選ばれました。

資格の有無が支援の基準になるものではありませんが、身近な人と日々関わる方が、専門的な知識を身につける選択肢の一つとして知っていただけたらと思います。

メンタルヘルス支援士の詳細について

Q&A|発達障害のある子の不登校についてよくある質問

Q1:発達障害があると、不登校になりやすいのですか?

この記録からは、その比較はできません。回答された63人は、発達障害の診断や特性のあるお子さんを育てた保護者に限られていて、特性のないお子さんとの比較になっていないからです。分かるのは、この63人のうち39人が不登校を挙げていたということだけです。「特性があるから行けなくなる」ではなく、特性のある子が学校で何につまずいたかを見るほうが、次の一手につながります。

Q2:友人関係が1位なら、クラスを替えれば解決しますか?

そうとは限りません。39人の多くは、きっかけを2つ以上挙げています。友人関係だけを挙げた方はごく少数です。友人と先生と学習が同時に書かれている回答が珍しくありません。環境を変えて落ち着いた例も記述のなかにありますが、1つ動かせば止まる、という形にはなっていません。まず、いま何と何が重なっているかを書き出してみてください。

Q3:いじめがあったのか、確かめたほうがよいですか?

確かめる価値はありますが、「いじめがなかった=友人関係は関係ない」ではありません。この記録に出てきた友人関係の多くは、合わせ続けて疲れた、相手を悪く言いたくなくて黙っていた、という形でした。どちらも、学校に聞いても事実としては上がってきません。お子さんに誰と何をしているときがいちばんしんどいかを聞くほうが、実態に近づきます。

Q4:学校に行けるようにすることを目標にしてよいですか?

39人のうち、不登校だけを挙げた方は5人でした。残りの34人には、不安・引きこもり・対人恐怖・暴言・自傷などが同時に起きています。登校を目標に置くと、そちらが見えなくなります。まず、いまいくつのことが同時に起きているかを数えるほうを先にしてください。数えてみると、優先順位が変わることがあります。

Q5:親の関わり方が原因なのでしょうか?

家族関係を挙げた方は13人(33.3%)で、4位でした。上位3つはすべて学校のなかの出来事です。ご自身を責めておられるなら、この順番を見てください。もちろん家庭で起きていることが無関係というわけではありませんが、いちばん多く挙げられていたのはそこではありません。この調査には、ご自身の関わり方を悔やんでおられる記述も多く含まれています。それでも、上位3つは動きませんでした。

まとめ|1つに決めなくて大丈夫です

  • 不登校を挙げた39人のうち、不登校だけで終わった子は5人。平均4.49個が同時に起きていました
  • 一緒に挙げられていたのは不安障害20人(51.3%)、引きこもり17人(43.6%)、対人恐怖15人(38.5%)など
  • きっかけの1位は友人関係26人(66.7%)、2位が先生24人(61.5%)、3位が学習19人(48.7%)
  • 家族関係は13人(33.3%)で4位。上位3つはすべて学校のなかの出来事でした
  • 書かれていた友人関係の多くは、「いじめ」という言葉では説明されていません。合わせ続けて疲れた、相手を悪く言いたくなくて黙っていた、という形です
  • 誰も悪くない場面からも始まっています。悪者を探す作業と、いまの子の状態をどうするかは、分けて進めてください

不登校の親が疲れたとき|34人の「こうしておけばよかった」

本記事で紹介している情報について

項目内容
情報の性質一般社団法人 人間力認定協会「子どもの二次障害に関するエピソード調査」。発達障害の診断または特性のあるお子さんを育てた保護者の回答で、有効回答は63件。本記事はそのうち不登校を挙げた39人を対象にしています
設問「どのような二次障害があらわれましたか」「二次障害の原因として思い当たる事柄は?」(いずれも複数回答)、子どもの年齢、性別
分析方法不登校を挙げた39人を抽出し、同時に挙げられた項目と原因を数え、39人を母数として割合を算出しました。該当が10人に満たなかった項目は掲載していません
注意点二次障害の有無を医師が判定したものではなく、保護者が「あらわれた」と受け取ったものです。また、特性のないお子さんとの比較になっていないため、発達障害と不登校の起こりやすさを比べることはできません
年齢について年齢は回答時点のもので、不登校が始まった年齢ではありません
一般情報の出典文部科学省の特別支援教育に関するページ。2026年9月9日に閲覧して確認

引用している文章は、自由記述欄からそのまま転載しています。改行記号の変換と、長い記述の末尾に(後略)を付けた以外の編集は行っていません。

【注意事項】

この記事で紹介している内容は、当協会が収集したエピソードの一部をもとにまとめています。回答者は当協会の受講者およびアンケートに協力いただいた保護者に限られ、発達障害のあるお子さん全体を代表するものではありません。二次障害という言葉に公的な診断基準はなく、本記事の分類は当協会が読みやすさのために整理したものです。お子さんの状態や必要な支援は一人ひとり異なり、一律の正解はありません。また、本記事は診断・治療を目的としたものではありません。気になる様子がある場合は、早めに学校のスクールカウンセラー、児童精神科などの医療機関、お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。

参考・相談先

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