【受講者インタビュー】保護者の願いと子どもの現状との狭間で・・・

今回は山梨の富士吉田にある「のびのび楽舎ピコ」さんで働く羽田さんのインタビューをご紹介します。

インタビューを受けてくださった羽田さんの紹介

羽田さんは山梨県富士吉田にある「のびのび楽舎ピコ」さんで働く女性です。大学卒業後、保育園や幼稚園で8年間勤務したのち、現在のお仕事に転職されたという経緯をお持ちです。

新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きを見せていたタイミングであったため、静岡から山梨へ私と事務局のスタッフを連れて、インタビューをさせて頂きました。羽田さんの他2名のスタッフ様ともお会いしましたが、皆様児童発達支援士と発達障害コミュニケーションサポーターを受講されていらっしゃいました。

その中で、現在のお教室の状況や今後どのようにしていきたいかなどと言うお話を沢山聞かせていただきました。とても熱い思いをお持ちの皆さんで、こちらの心も熱くなりました。このような想いを抱く方がこうやって全国にいると思うと本当に心強く思います。

羽田さんからは、幼稚園や保育園で勤務していた時のエピソードを中心にお話しいただきましたので、そちらをご紹介させていただきます。

羽田さんへのインタビュー

児童発達支援士を受講したきっかけ

幼稚園教諭として働く中で沢山の個性を持った園児たちを見てきました。中にはお子さんの発達状況に悩み、改善策や対応について相談に来る保護者の方も居ました。

実際に集団活動をする中で、自分の気持ちと周りとの様子に葛藤を持ち上手く溶け込めなかったり、変に悪目立ちしてしまったりするお子さんが最近は増えたように感じ、どんな風な配慮や関りが良いのだろうと手探りで行ってきました。

そこで児童発達支援士の資格に出会いました。勉強していく中で病気の詳しい内容を知ると同時にどの様な関りが適しているのか、その子たちがどんな風に悩んでいるか、今後の問題点等細かな点まで深く学ぶ事が出来ました。まずはその子たちについて良く知り理解してあげる事でより寄り添った関りに繋がっていくきっかけになりました。

発達障がい児支援をしていて最も辛かったことは

本人はやりたくない、うまくいかないという気持ちの葛藤の中でいたのにも関わらず、保護者の方は皆と同じように取り組めている事に安心して喜んでくださるので、運動会やお遊戯会などの保護者観覧の行事の際なるべく皆と同じように参加できるようにを意識してしまいました。

ありのままのお子さんの姿を見せても、保護者の人を安心してあげられる知識や言葉かけがあれば、子どもの気持ちに寄り添った対応が出来たのかなと今では思います。

保護者の方の願いや思いを意識すると、子どもの指導をどのようにしたら良いか悩むことがよくあります。特に保護者の方の気持ちが発達の現状を受け入れられない場合は、より保護者の理想と教師の願いの狭間で悩む事が多いです。

発達障害に関する知識を習得し何か変わりましたか

自分の気持ちにゆとりが持てるようになりました。

「どうして出来ないの」と押し付けるのではなく、「このようにしたら指示が分かりやすいかも」「これが苦手だからこんな行動をしているのかもしれない」と予測して子どもの気持ちにより寄り添った関りを意識できるようになりました。

指導の幅も広がり、今ではSNS等を通して新たな教材や活動の工夫の仕方を知り学びを深めています。

悩んでいる方に何かアドバイスはありますか?

学んだことで悩みの全てが解決できるわけではないかと思いますが、まずは知ることから始める事で新しい方法が見つかったり気持ちの変化を得られたりする事があると思います。

大きな変化ではなくても理解してあげる、受け止めてあげる為の材料やお子さんにとって今できる事の関わりが増え、それだけで価値のある学びにつながると思います。不安や疑問でいっぱいの中で関わるよりも自信を持って大丈夫と見守りながら関わる方が子どもにとっても自分にとっても良いと思います。

発達障がい児の支援を行う上で大切だと感じていることは

子どもの気持ちと保護者の気持ちに寄り添う事です。保護者の方の気持ちは少なからず子どもに伝わり一番大きな影響があると考えています。

保護者の方の気持ちに寄り添い、子どもの個性を理解してもらい、受け止めてもらう事で子どもも安心して自分を表現できると思います。子どもの気持ちと保護者の気持ち、両方に寄り添いながら支援を行う事が大切だと思います。

感想:親の願いが強いからこそ・・

ありがとうございました。

幼稚園の先生に限った話ではありませんが、先生の立場というのは非常に難しいものです。保護者の立場に立てば、その場をうまくカモフラージュしてでも、お子さんがやり通しているように見せることが大切だと考えるかもしれません。しかし子どもの立場に立てば、無理をさせずにその子の出来る範囲内の課題にしてあげる。このような心境になることでしょう。

その間に挟まれるのが先生方だと思います。

発達障害であることを受け入れることができない保護者からは「何故うちの子だけ違うことをやらせているの?」「先生の教え方がおかしいのでは?」このように言われてしまうこともきっとあるでしょう。この批判を恐れてしまえば、今度は子どもに無理強いさせることになる。つまりこういった諸問題というのは、先生方だけの責任ではありません。だからと言って保護者の責任とも言えません。大きく言えば、社会全体の問題です。障がい者を差別するような風潮。普通とは違うことに敏感である文化。これらすべての問題であり、決して一人の個人だけの問題ではないのです。

お互いにお互いの立場を理解したうえで、話し合いができれば前進することも沢山あるでしょう。しかし日本人はその対話が本当に苦手です。苦手であるがゆえに、抱いている想いが伝わらない。そうなると誤解がうまれる。誤解が不信感へとつながる。何とももどかしい。

私たちは、発達障がい児支援のために「発達障害コミュニケーションサポーター」という資格を設けて、コミュニケーションのあり方やトレーニングを紹介しています。しかし、発達障がい児以前に、私たち大人も全員コミュニケーションのトレーニングを受けるべきなのです。コミュニケーションというものは、何も話す力だけを言うのではありません。聴く力も必要です。共感する力も必要です。意見を述べる力も必要です。

私たち大人はそういったトレーニングを一切受けずに社会に出ました。そして親になりました。先生になりました。これで問題が発生しないほうがおかしいと言えます。ここで私は結論を設けることはしませんが、皆様の中で今一度、子どものために今すべきことは何なのか考えてみてください。これは私から皆様への問題提起です。答え(正解)はありません。逆に言うと、すべてが正解かもしれません。

【受講者インタビュー】保護者の願いと子どもの現状との狭間で・・・

いかがだったでしょうか。

今回は山梨富士吉田で働いている羽田さんからお話を伺いました。とてもたくさんの学びがありました。保育の現場をリアリティをもって感じることも出来ました。ここからどういった行動を起こすかは皆さん次第です。どのような行動でもいいので、まずは始めの一歩を踏み出しましょう!

これからも認定支援士を中心にインタビューを行っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

発達障がい児支援の人気資格
【公式】児童発達支援士サイトを確認

最新情報をチェックしよう!