10月5日に開催された意見交換会の実施報告をさせて頂きます。今回もとても有意義な時間となりました。皆様ありがとうございました。ここで紹介している内容が皆様のお役に立てば幸いです。
意見交換会議事録
ここからは今回の意見交換会の質疑応答時に、実際にお話のあった内容をご紹介していきます。お客様の言葉をほぼそのままの表現で紹介させていただきます。(個人情報保護のため一部表現を変えている箇所がございます)
解答者A様:はい。私の子どもは診断を受けてから15年ほどが経ちまして長かったような部分もありますが、振り返ってみると早いなと思っています。息子は、ASDを持っているのですが知的障害も持っています。発語が遅く、3歳になってもまったく発語が無くて、4歳になってもほとんど喋れない状態で、発する声は言葉として認識できない音でした。ただ、息子は小さい頃から動物や動物のカードが好きだったので、ひらがなの動物のカルタを作りました。「あ」ならアライグマの写真を乗せて「あらいぐま」と書いたのカードを作れるだけ作って、子どもが指差したカードを大人がこれはシマウマだね、ライオンだねと遊んでいました。すると段々と発音できる音が増えてきて、ある日「あ~い~う~え~お~」と50音を唱えるようになりました。文字と音が上手くリンクして、発音できる音が増えて、文字が読めるようになって、全ての物に名前があることを知って、急に子どもの認知が広がりました。好きなことから学習的な要素に向けたところが良かったのかなと思います。私自身この十数年間を振り返ってやってきてよかったなと思うことがあるのですが、それは子どもの成長記録を作ることです。3歳の頃から食事面やいわゆる身辺自立のことや、コミュニケーション、遊びの面などでこんな状態だということを記したものです。きっかけは息子のことをこれから関わる人達にちゃんと理解してもらえたらいいなと思いから作り始めました。小さい頃は3ヶ月や半年毎に更新をしていき、時間が経ってから振り返ると、本当に少しのことでもここが成長したな、前はできなかったけどここが少しできるようになっているなというちょっとした成長が嬉しく感じることができました。これを続けていると次の目標や課題が見えてくるので、やり続けようと思ってから15年経ちました。毎日生活しているとちょっとした変化を見過ごしてしまうこともあるので、成長記録を振り返るとこれができるようになってたんだ!と気付くこともあり、子育てのモチベーションに繋がりました。
小さいお子さんが皆さんいらっしゃって、気持ちの面で切り替えが難しかったり、そういう時の対応が難しいとおっしゃっていたのですが、私もまったく同じで小さい時はパニックになったら手がつけられなくて、物は投げるし手は出るしその辺に寝っ転がってどうにもならなくなってしまうこともありました。その時に心がけていたのは、上手に言葉で表現できない言葉にならない思いを共有するということを心掛けていました。子どもの心を代弁するように努めていました。これができなくて悔しかったね、これは痛かったね、嫌だったね。と気持ちを代弁してあげることで、子どものことを分かっているよと伝えるように心がけていました。このようなことを何年も繰り返していくと、子どもが嫌だなと思うことに対して対応できる力がついてきて、経験が学びになって情緒面が凄く落ちついてきました。情緒が落ち着くと身辺や学習面の積み上げができるということを、最初は分からなかったのですが経験の中で感じるようになりました。
解答者A様:私は通常学級なので、ADHDと診断が出ている子はクラスにはいないのですが、多分そういう傾向にあるなと思う子と関わることがあります。学級で2年生くらいの子でヤシの木がすごい好きな子がいます。何かあるとヤシの木の話をするのですが、皆は興味が無くて、ちょっと微妙な雰囲気になることはあります。その時は「分かったよ、ちょっと後で聞くね」と言ってから全体に指示を出して、その子の所に行って話を聞いて1分くらい聞いて「そうなんだ!いいね!すごいね!」といった感じで盛り上がって、その子の話したい気持ちが落ち着いてから次に行くようにしてます。もちろん時間が無いとできないのですが、無理に静かにと押さえつけてしまうと、余計にヒートアップしたりモヤモヤとした気持ちになって次の活動でその子が上手くできなかったりするので、ちょっと全体で盛り上がりながら進んだり、その子の時間を個別で取ったりしていました。
発達障害をお持ちの方にご意見をお伺いしたいです。今クリニックに来てもらって行うスタイルではなく、ご自宅に訪問してその子に合ったペースでたくさんの時間を取ってその子のために診療するということを考えています。病院とかに来ると、その子に使わないが別の患者さんに使っている物の臭いや音を遮断することができないので、そういうことでビックリしたりできなかったりして、皆と同じ予防処置ができないことがあります。これ防ぐためにご自宅にお伺いして、皆と同じように予防処置などができるのではないかと考えている最中です。そういったサービスがあったら皆さんは利用したいと思いますか?お子さんにとっていいんじゃないかなと思うかお聞きしたいです。
解答者A様:今4歳の息子が歯医者さんに通っています。息子は小さい頃から歯磨きの仕上げをさせてくれないため、虫歯になってしまいました。今通っている所は親子分離で4歳からは1人で入っていくのですが、やはり泣きます。私がいると甘えてきて余計できなくなると思いますし、最後にはありがとうございましたと言って帰ってくるので、その制度がとても息子に合っていると思っています。自宅でというお子さんもいらっしゃると思うのですが、私の例のように母親が居ないほうが頑張れるという子も居るのかなと思います。
解答者B様:私の息子が2人共ASDで、次男が割と落ち着いたタイプのASDで音の過敏性が強く、三男が多動多弁なASDでタイプが多少違います。次男はお母さんが一緒で家に来てもらうと安心するタイプで、三男の場合は逃げ回ったリやらないかもしれないタイプです。そのため向き不向きはあるのかなと思います。次男は歯医者さんに行って、ゆっくりと今日は何ができた、これができたと5分10分の治療を毎週続けて、長い時間をかけてケアをしています。また、お医者さんからイヤーマフや耳栓を借りてそのような措置や、他のお子さんが居ないような時間を選んで、他のお子さんの泣き声や治療の音などが聞こえないようにもしてもらっています。三男は病院自体が好きではないのですが、家に来られると遊び感覚になって興奮してしまい、治療にはならないような気がします。子どもの特性に合わせて自宅に行く行かないを決めてもいいと思います。
【まとめ】第十四回 児童発達支援士 意見交換会の実施報告
今回も貴重なご意見を沢山うかがうことができました。ありがとうございました。
沢山のご意見があり、私どももいつも本当に勉強になっております。皆様が思っている以上に、それぞれが経験してきたものというのは価値があり貴重なのです。同じような経験をされる方が日本中に沢山いらっしゃいます。私ども協会を通じてそこをリンクさせることができれば、子育てに悩む保護者を減らすことができる。そうすれば子どもたちの自己肯定感を更に高められる。そう考えています。今後もよろしくお願いいたします。