世界で差が出るコミュニケーション力教育
日本では赤ちゃんを抱くとき、お母さんと向き合うように抱っこしますが、欧米人はその反対で、赤ちゃんの顔を進行方向に向ける人が多いようです。これは赤ちゃんの時からいろんな人の表情を見せるためであり、一種のコミュニケーショントレーニングだと言われています。
幼稚園に入ると、毎朝スピーキング練習(ショーアンドテル)があり、子どもたちは自己表現力の練習をしています。入学すると、トーク、ディスカッション、ディベート、アーギューとスピーキング(話す力)を体系的に学び、力をつけていきます。
日本の国語の授業にはスピーキングの授業がない
それに比べ日本はどうでしょう。日本の国語ではリーディング(読むこと)とライティング(書くこと)がほとんどでスピーキングと言えば本読みぐらいしかやりません。
さらに欧米で国語というと、論証、比較、証明など、母国語を使いこなす言語技術の習得がなされるのに対し、日本にはそれすら存在していないのです。これが日本人が世界中から交渉下手、コミュニケーション下手と言われる原因になっていると私は考えています。
その証拠に外国のインターナショナルスクールに通っていた帰国子女は、そのコミュニケーション力において欧米人となんら変わりがありません。やはり、受けた教育の差と言わざるを得ないのです。
コミュニケーション力は家庭で身に付けるしか方法がない
そうは言ってもこれから10年やそこらでそのような日本の国語教育が変わるとは到底思えません。教師自体がそのような教育を受けていないのですから無理もありません。このような状況で子どもにコミュニケーション力を付けたいと思ったら家庭で訓練を繰り返すしかなさそうです。
当協会では学校や民間の教室、家庭などに対して、コミュニケーショントレーニングをプログラム提供していますが、今回その秘訣をいくつかお教えしたいと思っています。
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コミュニケーショントレーニングの流れ
- 自己表現トレーニング(3歳~6歳)
- 1対1のトーク練習(5歳~8歳)
- 少人数でのディスカッション(8歳~10歳)
- 大人数でのディスカッション(10歳~15歳)
- ディベート(15歳~18歳)
- アーギュー(18歳~22歳)
対象年齢は欧米を例とした大まかな目安です。訓練にはルールや方法がたくさんあります。読書はさせますが目的は読書感想文を書かせることではありません。目的は語彙力を増やすことと、説明力の訓練です。そのほか、基礎的訓練として論証トレーニング、比較トレーニング、証明トレーニングなどがあります。
家庭でのトレーニング法
そうは言ってもそれを学べるところがないのですからほとんどの人は家庭でやるしかありません。家庭でのトレーニング法は保護者の方の協力が不可欠です。ここでいくつかご紹介しましょう。
- 音読トレーニング(子どもと保護者が向き合って座ります。交互に音読を10回ずつ繰り返します)
- 説明トレーニング(子どもと一緒にテレビを見たら、その内容を1分間で説明させます)
- 比較トレーニング(保護者がテーブルに二つの物を置き、その二つの違いについて1分間説明させます)
- 論証トレーニング(保護者が〇〇は好きですか?と尋ねます。その答えと理由を3つ答えさせます)
- 思考力トレーニング(その日のトピックを参考に、子どもに質問をします。どうして?どうしたらいいと思う?)
ご家庭で簡単にできることと言ったらこれくらいでしょう。上記のうち、毎日2つくらいを選択してやってみましょう。注意点としては保護者は黙って聞くこと。一切教えないということです。絶対に口を挟んではいけません。専門のトレーナーでない限り、指導は厳禁です。指導しなくても3ヵ月もやっていれば子どもは勝手にうまくなっていくものです。
保護者がやるべきことは
- 笑顔で子どもの目を見て
- 何もしゃべらずに
- 最後に一言、敬意をこめて「お疲れ様」という
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成功体験を増やしてあげること
このようなトレーニングを繰り返し行っていってほしいのですが、コミュニケーショントレーニングをする際に重要になるのは「成功体験を積み重ねる」こと。これに尽きます。
そもそも子どもがうまく話せなかったり、積極的に話そうとしない原因は以下の二つが考えられます。
- 日本で言語技術を磨く授業がない(前述のとおり)
- 学校で発表した時に失敗し恥をかいた
ひとつ目に関しては、最初に説明した通りです。問題は二つ目です。学校で意見を求められ発表をしたが、答えが違ったり、読み方を間違えたり、的外れなことを言ってしまいクラスメイトに失笑されたという経験はほとんどの方がされているのではないでしょうか?
じつはここにも大きな問題があると私たちは考えています。子どもに質問をするときに「答えを求める」質問をしてはいけないのです。答えを求める習慣が身についた私たちは、大人になって会議の場で積極的に発言が出来ない、自分の意見を言うことを常に躊躇する。このようになっていませんでしょうか?この原因は「答えを求められ続けてきた」ことだと考えます。
そのため子どもとコミュニケーショントレーニングをするときには、答えを求めさせるような質問の仕方や評価の仕方は絶対にやめましょう。この方法をとる限り、子どもは積極的に意見を言うことはないでしょう。そうではなく「答えのない質問」をするようにすること。そしてどんような意見が来ても失笑したり、正したりせずまずは「受け入れる」ことから始めます。すると子どもは「あれ?ここでなら自分の思ったまま話せて楽しい!」と感じ、これが成功体験に繋がり、次第に発言が多くなっていくでしょう。
ココは非常に重要な部分になりますので、しっかりと押さえておきましょう。2021年7月に新しく認定を開始した発達障害コミュニケーションサポーター資格では、このようにコミュトレをする際のポイントや順序などをわかりやすく解説しています。すでに多くの受講者がおり、ほとんどが児童発達支援士とあわせて受講してくださっています。ぜひ一度下記より詳細をご確認ください。
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結論:子どものコミュ力(コミュニケーション力)を伸ばす習慣
学校でのスピーキング訓練が期待できない以上、家庭でのトレーニングを習慣化することです。スピーキング訓練は決して難しいものではありません。訓練の一番の敵は教える側である保護者の「教えたい」「訂正したい」という欲求です。教えたり、指導してはいけません。真剣なまなざしと、優しい笑顔があれば十分です!