小学生のいじめを防ぐ秘訣は”コミュニケーション能力”だった!

いじめ問題は深刻です。15歳から39歳までの死亡原因の第1位は自殺であり、その前後の年代でも2位と、日本は世界的に見ても最悪の自殺国なのです。仕事もしない、学校にも行かない「引きこもり」は全国で80万人ともいわれています。さらに、中高年の引きこもり60万人を含めると、日本全体の引きこもりの数は実に140万人に上ります。その原因はどこにあるのでしょう。またどのようにしたら防げるのでしょうか。これまで3万人以上の子どもたちの教育に携わり現在は(一社)人間力認定協会 代表理事の私井上が、今回は「小学生のいじめを防ぐ秘訣は”コミュニケーション能力”だった!」というテーマでお話いたします。

子どもの自殺といじめを生み出す土壌とは

自殺の原因は年代別で異なりますが、おおまかにいうと、「不治の病を苦にしたもの」「経済的理由」「人間関係」などがあげられます。しかし、小学生、中学生など、子どもの自殺の原因で多いのはなんと言っても「いじめ」でしょう。日本には昔から「村八分」という言葉があるように、日本という国は、もしかして、かなり以前より「いじめ社会」だったのかもしれません。そのようないじめから子ども達をどのように守ってあげればいいのでしょうか。

また、「引きこもりは」はそのような最悪の事態を避けるための避難手段になっているのかもしれませんが、やはり社会に復帰させることは必要だと思います。

間違った競争原理が生み出す過度の競争社会

私達が住む日本をはじめとする先進国のほとんどが自由主義経済です。ある程度の自由な競争が社会や経済の活性化や進展に寄与していることは間違いありません。しかしそれはあくまでもシステムとして、効率的に経済を回すためのシステムであり、その根底に流れているのは人類社会の進歩発展なのです。自由主義経済を広めたのは敬虔なプロテスタントであり、競争の根底には人類愛があったと言われています。根底に「人類愛」があるからこそ成り立つのが競争原理であって、そこを忘れてしまったら、それはただの弱肉強食であり、そのようなものに守る価値などありません。しかし現実問題としてその「人類愛」が欠如し、結果として、世界には「貧困」と「大きな格差」が生み出されたのだと私は考えています。

過度の競争と大きな格差が生み出す不安と恐怖

過度の競争と、その結果もたらされる、大きな格差は社会全体に不安と恐怖をもたらしています。その結果、仕事をする大人達には余裕がありません。日本人ほど夫婦ともども朝から晩まで忙しくしている国民はほかにありません。

その大人達のストレスが共に暮らす子ども達に波及し、それが子ども達の学校生活にまで影響をもたらしているのではないかと思っています。私の友人で海外に居住している日本人が何人かいますが、生活にゆとりがあると、家庭での会話が増え、子ども達もおおらかに育っているように感じます。

いじめや引きこもりはコミュニケーション力で避けられる

しかし、どこまで原因を探っても、すべての原因をなくすことはできませんし、人間が集団を作る生き物である以上、他者との人間関係をすべて断ち切ることなどできません。人間の悩みはすべて人間関係からもたらされると言われるように、いじめやひきこもり、自殺もまた、人間関係からもたらされるのです。

そしてその人間関係を円滑で実り豊かなものにするための技術として、コミュニケーション力があるのです。何がともあれ、子ども達には勉強より先にコミュニケーション力をつける訓練が必要なのです。

子どもに身に付けさせるコミュニケーショントレーニング

世界でもっとも有名な投資家、ウォーレンバフェットも学生時代に体系的にコミュニケーション力を身に付けた一人です。彼は、若者が真っ先に身に付けるスキルはコミュニケーション力だと言っています。恋も仕事も、人生も、投資でさえも、すべてはコミュニケーション力によって決まると断言しているのです。

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コミュニケーション力の基本は国語力

コミュニケーション力の基本はなんと言っても、母国語を使いこなす言語技術を身に付けることです。そしてその言語技術を学ぶのは国語の時間です。しかし、残念ながら日本の国語教育には、欧米に見られる言語技術を身に付けるための授業が存在していないのです。このことが、いじめや引きこもり、自殺が多い一因だと私は考えています。

欧米で言う国語とは「書く力」(ライティング)」「読む力(リーディング)」「話す力(スピーキング)」の3つですが、日本の国語には、3つ目の「話す力(スピーキング)」の授業が存在していないのです。

読書の目的とは「語彙力」と「説明力」を身に付ける事

アメリカの小学生の読書量は日本人と比べて圧倒的に多いと言われています。教師はそれぞれの生徒に合わせた推薦図書を出すことに大変な労力を割いているそうです。日本の場合はどうかと言うと、推薦図書とは各種団体が個人を特定することなく、一般的に推薦しているものにすぎません。さらに問題なのは読書の目的に対する共通認識がないという点です。「読書の目的とは」とネットで検索しても分かるように、たくさんの解釈が存在してます。

一方、アメリカの教育基本法には読書には2つの目的が明記されています。その二つとは「語彙力」と「説明力」です読書をしたらそれがどのような本で、何を感じたのかを「明確に説明する」という練習をします。日本の場合は読書感想文を書きますが、アメリカでは多くの場合、このように言葉での説明が求められるのです。コミュニケーション力を磨くための国語教育としてどちらが有効であるかは考えるまでもありません。

コミュニケーション力とは

当協会では、今の時代に求められるコミュニケーション力を次のように定義しています。「コミュニケーション力とは、異質な者同士が話し合い、承認しながら、共に生きていく道を探る力」としています。これまでのように単純な「意志の伝達」ではいじめはなくなりません。自分とは違う、多様な他者との違いを承認し、共存の道を探っていくのです。

合言葉は「同じって嬉しい 違うって楽しい」です。人間の多様性を認め合うことが世界的に求められているのです。そのような教育の未来にしか「いじめのない社会」は実現できないと私は考えています。

結論:小学生のいじめを防ぐ秘訣は”コミュニケーション能力”だった!

個々のコミュニケーション力が向上すれば、間違いなく個人間のトラブルは激減します。また、バフェットが言うように、コミュニケーション力は人生のあらゆる場面で私たちを好ましい方向に導いてくれるのです。このように体系的に学ぶことが大切です。「児童発達支援士」や「発達障害コミュニケーションサポーター」はコミュニケーション力の基礎を学ぶにも大変良い教材です。

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