9月4日(土)に第三回となる児童発達支援士 意見交換会を実施いたしました。その時の模様を簡単ではありますが、ブログでご紹介させていただきます。
意見交換会とは?
まず初めてご覧なられている方のために、意見交換会とは何なのかについてご紹介します。
当協会では、児童発達支援士と発達障害コミュニケーションサポーターという2つの資格認定を行っております。その中で、発達障がい児の保護者や支援士同士が繋がるきっかけを作ることができないか、繋がることで安心感を得て頂くことはできないかと考え実施しているのが意見交換会です。
その名の通り、この会はよくあるセミナーではありません。
セミナーというのは、主催者側が一方的に話し、知識を提供していくものですが、この会は会員様同士の発表の中からそれぞれが学び(気づき)を得ていくことを目的としています。そのため理事長である私も参加はしておりますが、私が話すのは、最初の自己紹介1分と最後の総括5分程度となっており、それ以外の時間は全て会員様にお話しいただいております。
目的が「知識の提供」ではなく「共有・共感の場」であるためこのような形式をとっております。
今回の意見交換会の特徴
過去7月と8月にも開催しており今回が三回目となりました。今回は初の土曜日開催という事もあり、参加者の8割が教育関係者となりました。保育士、学校の先生、施設のスタッフといった形で、お仕事で発達障がい児と接しているという方が多く、共通の認識が抱きやすかったのではないかと思います。
また、コロンビアで日本人学校の先生をやられている方の参加もあり、ワールドワイドな会となりました。
では、ここからは今回の意見交換会で皆様に共有したいと感じた事例をご紹介いたします。
当事者になったときの率直な気持ち
今回ご参加いただいた方の中には、大人になって発達障害と診断を受けた方がいらっしゃいました。
この方に診断を受けた時の率直な気持ちを伺ってみたところこのようなご回答がありました。ご本人の言葉のままご紹介いたします。
ひとつは、ショックという気持ちがありましたね。で、ショックな気持ちがあるということは、裏に返せば僕の中で障がい者に対しての差別の気持ちがあったというところに気づいたこともまたショックでした。
ただ、その一方で今までやってきたことは、努力が足りなかったということじゃなく特性で仕方ないんだと、だからこれからは開き直るじゃないですけど、出来る部分・得意な部分を活かしながら苦手な部分をカバーしていく別の方法を見つければと安心した気持ちもありました。
短いですが、この言葉の中にはたくさんの想いが詰まっていることがわかるでしょう。また現在様々な活動をされている方であることからも、希望の光と感じた方もいらっしゃるかもしれません。感じ方はそれぞれでいいと思います。でも、こういう事例を知るという事が最も大切です。その後の処理(考え方)の仕方は100人いたら100通りある。その姿勢こそが支援をするうえでとても大切だと考えます。
兄弟がゆえの葛藤
次にご紹介する事例もとても興味深く、考えさせられる内容でした。プライバシーを保護するために、性別等もわからぬ形で表現を変えさせていただきます。
この方は第一子(定型発達児)・第二子(知的障害・ADHD)・第三子(定型発達児)のお子様がいらっしゃる保護者様です。この方のお悩みは、第二子の障害を恥ずかしいという意識でみてしまう第一子について。そしてそれを見て育っている第三子も同じようになっている事。この点について苦労があるとお話しくださいました。
また1人だけ障害を持っていることで、コロナ禍の自粛生活でも苦労が多かったとお話がありました。第二子が障害からくる特性のため、自粛生活を理解できなかったり、普段と違うという事でストレスを抱え、問題行動が増え、その影響が第一子、第三子にも及んでしまってとても大変だったと。このコロナ禍による子育てへの影響というものは無視できませんね。最善策は誰にも分りませんが、注視してみていく必要がある事柄であることは間違いありません。
この方のお話にもあったように、障害を持つ子と持たない兄弟に関連するお悩みを抱えていらっしゃる方は他にも多くいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、周りに打ち明けにくい内容でもあるため、一人で苦しんでいる方が多いと想像します。だからこそこういった場で、このことをお話しくださった会員様には深く感謝しています。
繰り返しになりますが、「同じような人がいるんだ」という事を知るだけでも、救われる方は絶対にいます。「私は一人じゃないんだ」「仲間がいるんだ」「乗り越えた人がいる」そう思えたら、人は前を向けるようになります。この意見交換会も、当協会のその他の活動もこのようなことを目的として活動しています。
【まとめ】第三回 児童発達支援士 意見交換会の実施報告
今回も本当に貴重なご意見を沢山ありがとうございました。皆様のご意見は当協会で蓄積させていき、どんどん発達障がい児の症例データベースとして残していこうと考えております。たくさんの症例を記録していくことで、発達障がい児の適切な支援に繋がっていきます。つまりそれは、救える子どもや保護者が多くなるということです。私たちはそのために、場の提供を今後もし続けていきますので、皆様のご参加をお待ちしております。一緒に発達障がい児支援の輪を拡げていきましょう!
過去の意見交換会について
>児童発達支援士を受講された方との意見交換会実施報告
>第二回意見交換会の実施報告 発達障害支援の輪を拡げよう!